「ククルス・ドアンの島」田村淳は大人になりブライト好きに、年齢変更の理由明かされる

劇場アニメ「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」のトークイベントが本日6月20日に開催され、安彦良和監督、プロデューサーの福嶋大策、総作画監督・キャラクターデザインを務めた田村篤、「ガンダム」好きで知られる田村淳、若井おさむ、MCとしてニブンノゴ！の森本英樹が登壇した。

MCの森本は、安彦監督には伝わらなかったというククルス・ドアンをイメージした服装で登場。注意事項の説明から「発声するとジオン側に傍受される」「写真撮影している方がいたらミノフスキー粒子をばらまきます」「見つけたら高機動型のスタッフが駆けつける」と“ガンダムジョーク”を織り交ぜ、和やかな雰囲気でイベントはスタートした。冒頭の挨拶では、田村淳が「ククルス・ドアンの島」のCMに出た際に、これまで「ガンダム」好きをアピールしてなかったことから、熱心なファンより「本当に好きなのか？」と厳しい言葉をもらったことを告白。森本も田村淳からDVDを借りて「機動戦士ガンダム」を観たとフォローし、田村淳は「この中にもし（その発言をしたファンが）いたら1対1でガンダムについて話しましょう」と冗談めかしながら、本当に「ガンダム」が好きだと訴えていた。

映画の感想を求められた田村淳は「ファーストガンダムのよさがギュッと凝縮されている。『ガンダム』をずっと好きだった人も、この作品から『ガンダム』を観る人にもすごくわかりやすい」とコメント。さらに「大人の都合で始まった戦争を子供たちがどう見ているのかが描かれている。TVシリーズよりも子供が増えて、いろんな思いの子供たちがいるようになった。それを見てドアンやアムロがどう思っているのか、感情の揺れ動きがたくさんある作品。人の気持ちに寄り添った作品になっています」と熱く語った。

続く若井は戦闘シーンについて「動きがCGでメカメカしい感じかと思いきや、人間のような動きも見せる。モビルスーツ同士の戦闘にも手に汗握りました」と興奮気味に話す。またガンペリー、コアブースター、ルッグンといったモビルスーツ以外のメカの活躍にも熱くなったそうで、「ガンペリーのファンの角度が変わったりしている描写が本当にリアルで感動しました」とマニアックなポイントにも着目していた。

この日のイベントが“大ヒット”を記念したものだったことから、森本から公開2週で動員43万人、興行収入8.5億円突破と勢いづく今作の状況が伝えられる。しかし安彦監督は「スタッフに『それはヒットじゃないよ』と言ったんです。大ヒットというのは『鬼滅』を超えるとか、『トップガン』を撃ち落とすとか……」と高い目標を掲げていることを話し、「あと6週間上映があるので、皆さんの力で本当の大ヒットに近付けていただけたら大変うれしく思います（笑）」と呼びかけた。

観客に鑑賞回数を聞いた場面では、3回以上鑑賞したというファンが多数手を挙げる。それを受け、改めて鑑賞する際に注目してほしいポイントを聞かれると、田村淳はホワイトベースの艦長ブライトの名前を挙げる。子供の頃は、アムロに厳しいブライトが嫌いだったそうだが、「僕も48歳という年齢になって管理する側の気持ちが分かってきた」と明かし、「ブライトにミライがコーヒーを持ってくるシーンが好き。ミライとのちょっとしたやり取りとか、管理職の苦悩のよさが見えてきた」と話すと、会場からも共感を示す拍手が起きた。

若井が挙げた「セイラさんが島の子供をおんぶしているところを見るキッカの顔」には、安彦監督も「まさかキッカを観られているとは思わなかった」とマニアックぶりに思わず驚く。さらにブライトがTVシリーズの設定から年齢が25歳に引き上げられていることについて「昔は20歳を超えたら子供番組では、おじさんでなければありえなかった。ブライトは、おじさんではなく兄貴分、そこで19歳というギリギリの年齢になったんです。なので変えたというよりは当たり前にしたということです」と裏話を披露し、田村淳と若井を驚かせた。また安彦監督は「ファーストガンダムのよさが詰まっている」という田村淳のコメントを絶賛し、田村淳も「お墨付きをいただけました！」と喜んでいた。

“作画崩壊”とも言われた鼻の長いザクを映画に活かした舞台裏について聞かれると、田村篤は「子供の頃にTVシリーズを観ていて、別に変だと思っていなかったんです」と回答。続けて「あれはあれでいい思い出。それをきちんと昇華したいなと思った」と話した。

今作がTVアニメ第15話をリメイクしたものであることから、新たにリメイクを観たい話数を田村淳と若井が挙げることに。「マチルダ中尉救出作戦」「時間よ、止まれ」「小さな防衛線」「脱出」などエピソードを次々と挙げると、最後は若井が「あと42話分、ぜひ作ってほしい」と本音を伝え、会場からもこの日一番の拍手が沸き起こった。福嶋プロデューサーも「どうですか？」と安彦監督に振ると、「心残りはない」と言っていた安彦監督も熱量に押されてか「物理的には無理ですけど（笑）。やるやらないは関係なしに、この歳にしては仕事はできるので……」と漏らし、田村淳と若井は「可能性は0じゃない！」と盛り上がった。

この日は貴重な資料の数々がスクリーンで紹介されるコーナーも。最後の挨拶では安彦監督が何度も劇場に足を運ぶファンに感謝しつつ「『鬼滅』を超えるためには、皆さんが破産してしまいます（笑）。自己犠牲ではなくて、まだ観ていない人、あるいは『ガンダム』が嫌いな人も『観てごらんよ』と誘えば、自己負担を減らせると思います」と笑わせる。さらに「『ガンダム』は本来、人間ドラマなんです。それを再確認する意味で心を込めて作りました。ですから『騙されたと思って観てごらん』と積極的にすすめていただきたいと思います」とメッセージを贈りイベントを締めくくった。