【北九州市】デザイニングチタンで、私たちと一緒に未来を創りませんか?【日本製鉄株式会社】 | NASSE online
トランティクシー

【北九州市】デザイニングチタンで、私たちと一緒に未来を創りませんか?【日本製鉄株式会社】

北九州のまち

北九州市は、1901年官営八幡製鐵所の操業開始によって製鉄業が盛んになり、次々と製鐵所や化学工場が生まれ「北九州工業地帯」として発展しました。戦後は一時衰退しましたが、蓄積された技術や人材などの産業基盤を活かし、自動車、半導体、素材・部品等を中心とした産業が盛んに行われています。このようにものづくりの街として有名な北九州市ですが、実はもう一つ、チタンの生産規模において世界有数を誇るチタンの街でもあるのです。
今回は、最先端の金属チタンの魅力と新しい可能性について、意匠性チタン「TranTixxii®(トランティクシー)」を製造する日本製鉄株式会社の長坂さんにお話を伺いました。

チタンは資源的に豊富な“レアメタル”

(写真:東邦チタニウム株式会社)
(写真:東邦チタニウム株式会社)
銅は6000年前、鉄は4000年前から身近な金属として使われています。しかしチタンが金属材料として実用化されるようになったのは戦後で、まだ70年ほどの歴史しかありません。
実はチタンは全世界に偏在しており、資源的には、地殻中に9番目に多い元素で、金属に限ると4番目に豊富な資源です。そのチタンがいわゆるレアメタル(特殊金属・希少金属)の代表格といわれるわけは、チタンが化学的に活性で酸素と強固に結合した状態で存在しているため製錬が難しく、高品質のものを効率よく作るのが困難だからです。
現在では、最新鋭の大型の反応装置を用いて一度に大量のチタンを製造できるようになりましたが、極めて高い技術と莫大なエネルギーがかかります。チタンの量産プロセスは、今後さらなるイノベーションが必要とされています。
ナッセスタッフ
チタンってまだまだ新しい金属だったんですね。チタンの歴史をもう少し教えてください。
またチタンの名前の由来は何なんですか?
長坂さん
チタンは18世紀末、イギリス・コーンウォール地方の海岸で初めて発見されました。
その後、ギリシャ神話の地底に封じ込められた巨人「タイタン」の名にちなんで、鉱石中に封じ込められた元素として「チタン」と命名されたんですね。そこからさらに160年経って、ようやくチタンの工業生産・実用化がスタートしたんです。

他の金属と比べて優れている「チタン」の特徴

ナッセスタッフ
なるほど!チタンは資源としては豊富にあるけれど、金属として量産するのが難しい金属なんですね。
チタンが他の金属と比べて優れている点は何ですか?
長坂さん

チタンは他の金属と比べて、次のような特に優れたメリットがあります。

●軽い…銅の50%、鉄の60%の軽さ
●強い…鉄の約2倍、アルミニウムの約3倍の比強度
●錆びにくい…特に海水耐食性はプラチナに次ぐ強さ
●体にやさしい…金属アレルギーを起こしにくい
このようにチタンは、軽くて丈夫、そのうえ錆びなくて人体にやさしいという金属です。また、直射日光を浴びることで、ある程度有機物の汚れを分解したり、消臭・抗菌するという「光触媒作用」もあります。さらに陽極酸化法による「チタン発色」で、様々な色を作り出すことができます。チタンの持つ多くの可能性は、最先端の実用金属として今後も様々なシーンで活躍することが期待されますね。

チタンはこんなところで使われています!

ナッセスタッフ
チタンは強くて軽いだけじゃなく、私たちにとって様々なメリットがある金属なんですね。
おもにどのような分野で使われているのですか?
長坂さん
チタンの開発当初は、潜水艦や航空機などに多く使用されていました。その後、製造技術の進歩とともにコストダウンが図られ、多種多様な分野での需要が増加。発電所や化学プラント、海洋建造物、建築内外装材、ゴルフクラブ、人工関節など、その用途と可能性は広がっています。

航空宇宙

エアバス(写真提供:エアバス・ジャパン)
スターフライヤー(写真提供:株式会社スターフライヤー)
強くて軽く、またバネのようにたわみ易く、同じ力が加わった場合に鉄の約2倍たわみ、力を解放すると戻る性質のあるチタン。さらに比較的熱にも強いので、航空宇宙分野では様々な部品に使われています。
〈用途例〉
機体構造材、ジェットエンジン部品、ロケット部品、燃料タンクなど

化学・電力、その他一般産業

株式会社日阪製作所(写真提供:株式会社日阪製作所)
チタンは海水(塩水)や酸に強く、化学的にも溶けにくく、腐食しにくい金属です。また、チタンには他の金属に比べ、比重が軽いため、体積当たりの伝熱効率がよいことから、温まりやすくかつ冷めやすいため、熱交換器用途で使用されています。
〈用途例〉
LNGプラント、海水淡水化プラント、化学プラント、電極、貯蔵槽、タービングブレード、タンクローリー、熱交換器など

自動車・二輪車

(写真はイメージです)
チタンは単に錆びにくいということではなく、高温時での耐食性が高いのが特徴です。通常、金属は高温になるほど表面が活性化するために酸化して錆びるのですが、チタンは非常に安定しているので、自動車のエンジンバルブやコンロッド、マフラーなどに適しています。
〈用途例〉
マフラー、エンジンバルブ、バルブリテーナ、コンロッドなど

建築・土木

北野天満宮(写真提供:日本製鉄)
強くて耐食性に優れたチタンは、屋外の施設や設備の建材としてとても重宝されています。メンテナンスの必要がないので、配管や手すりなどのインフラ設備や、伝統的な日本建築の屋根材、美術館や博物館などに最適です。
〈用途例〉
屋根材、壁材・建材、発色建材、モニュメント、飾り金物、表札、手すり、配管、標識、耐震補強、防食被膜など

スポーツ用品・日用品

(写真はイメージです)
(写真はイメージです)
(写真提供:株式会社スノーピーク)
軽量化の特性を活かしてスポーツ用品や日用品など、さまざまな分野に使われています。
また生体適合性に優れ、金属アレルギーが起こりにくいため、眼鏡や腕時計、アクセサリーなど肌に触れる日用品にも適しています。
〈用途例〉
ゴルフクラブ(ヘッド)、登山用品、釣具、ヨット部品、腕時計、メガネフレーム、アクセサリーなど

医療

(写真提供:日本製鉄)
チタンは他の金属に比べて毒性が低く、金属アレルギーの原因となるイオンの発生が少ないため、アレルギーを引き起こしにくいとされています。無害な金属として、インプラントや心臓のペースメーカーなど、体の中で使用される装置の素材として医療の分野でも広く活用されています。
〈用途例〉
フェースシールド、人工骨、心臓ペースメーカー、人工歯根(インプラント)、手術用器具、人工弁、人工関節など

日本・北九州市は世界有数のチタン生産大国・技術大国

ナッセスタッフ
なるほど!航空機からメガネのフレームまで、とても幅広い分野でチタンが活用されているんですね。
日本はチタンの生産や技術において、どれくらい進んでいるんですか?
長坂さん
一般的にはあまり知られていませんが、実は、日本は世界有数のチタン生産大国・技術大国なんです。
世界で生産されている金属チタンの10%強は日本製で、しかもその品質は、航空機の最需要部品のひとつであるジェットエンジンローターに使われる最上位グレードを含め、純度が高く常に安定しているという最高級品です。さらに、北九州市では、東邦チタニウム株式会社が金属チタンの原料であるスポンジチタンを生産していて、世界のシェアの約4%を占めています。
ナッセスタッフ
北九州市のチタン産業が世界レベルなんて知りませんでした!
ナッセとして、北九州市民として、もっとアピールしていきたいです。
これからのチタン産業はどういう風に発展していくのでしょうか?
長坂さん
チタンは他の金属素材と比べ圧倒的な耐食性能を有するため、1970年代から建材として使われるようになりました。
海浜地区などの厳しい腐食環境から、博物館や神社仏閣など恒久的な建築物や民生品へと適用範囲を積極的に拡大したんですね。現在日本は、チタンを採用した建築物の数では世界一となっています。耐変色チタン(色の変わりにくいチタン)の開発に成功したことが大きな要因ですね。この耐変色チタンは、今後さらに様々な分野への活用が期待されています。

これからのチタン…【トランティクシー】のデザイニングチタン

世界で初めて、チタンの変色の課題を克服

(写真提供:日本製鉄)
1970代より建築分野でも適用され始めたチタンですが、建築材料としての適性を揺るがす大きな課題がありました。それは、一部のチタンの表面が、銀色から茶色に変色する現象でした。
日本製鉄は、この変色現象のメカニズムを解明し、変色の原因となるチタン表層の不純物を取り除く技術を確立。2001年に世界で初めて「耐変色チタン」を開発しました。
2001年に竣工した「大分スポーツ公園スタジアム」の屋根には、この耐変色性チタンが使用されています。15年後の2016年に状況を確認すると、チタン屋根の色調変化はほとんど見られず、美しくて健全な状態のままでした。
こうした実績もあり、現在はチタン建材として国内外に600以上の実績を持ち、国内の建材用チタン市場シェアの約90%を占めます。
ナッセスタッフ
色が変わらない技術の開発が、チタンの建材としての価値をさらに高めたんですね。
これは世界的にも画期的な出来事だったのでは?
長坂さん
そうですね。多くの建築家やお客さまの要望に、今まで以上にお応えできるようになりました。
それからも国内外で多数の著名な建築物への採用実績を積み重ね、パートナー会社の技術協力を得て、ついにデザイニングチタンが誕生したんです。

デザイニングチタン「トランティクシー」のブランド展開をスタート

日本製鉄は2017年2月から、金属としての機能(軽い、強い、錆びない、体にやさしい)に意匠性を加えたデザイニングチタン製品をTranTixxii(トランティクシー)と名付けてブランド展開をスタートしました。
TranTixxiiは「超える、進化する」という意味のTran、チタンの元素記号Ti、そしてチタンの原子番号(22)のローマ数字xxiiを組み合わせた造語です。
強くて軽くて錆びないだけではなく、人と環境に優しいTranTixxiiは「時を超える美しさ」を実現します。
ナッセスタッフ
えっ、色が変わらないというだけでなく、「美しさ」もチタンに備わったんですか!
チタンはどんどん進化しているんですね。でも金属というと、鉄や銅、金や銀という色しかイメージできないのですが、トランティクシーの「美しさ」ってなんですか?
長坂さん
(写真提供:寺田倉庫株式会社Pigment TOKYO)
トランティクシーの特長の一つが、豊富な色調バリエーションです。
チタン表面に存在する酸化被膜の厚さをコントロールすることで、銀色以外にも100種類以上の色調が表現できるんです。また、見る角度や天候、時間が異なることで、光の干渉の仕方が変化し、様々な色が発現するのも大きな特長です。
伝統建築から近代建築、自動車、家電、テーブルウェア、時計、眼鏡など、さまざまな製品、環境にマッチする色調をご提案できます。
詳しくは、日本製鉄トランティクシーのウェブサイトをご覧ください。
https://www.nipponsteel.com/product/trantixxii/variation/index.html
なお、上記写真にございますカラーチタンはこちらのECサイトよりご購入可能です。
PIGMENT TOKYO

トランティクシーの使用例

建築外装(国内):博物館・国内伝統建築・公共施設


九州国立博物館
(写真提供:三晃金属工業株式会社)
浅草寺本堂
浅草寺本堂
(写真提供:日本製鉄)

フジテレビ本社 球体展望台
(写真提供:日本製鉄)

建築外装(国外):公共施設・海外高級ホテル


中国国家大劇院(中国)(写真提供:日本製鉄)

ホテル マルケス・ド・リスカル(スペイン)(写真提供:日本製鉄)

建築内装:国内商業施設・交通機関施設・海外宗教施設


西武百貨店/池袋本店  特別室
(写真提供:株式会社西武百貨店)

オフィスビル内装(丸の内パークビル二階受付)
(写真提供:日本製鉄)

スペインの教会の内装
(写真提供:Quinta Metalica)

その他にもこんなところに使われています!


スズキ/GSX-R1000
(写真提供:スズキ株式会社)

チタン鬼瓦(写真提供:日本製鉄)

アート(芸術家による利用)
(写真提供:日本製鉄)
ナッセスタッフ
チタンがお寺の瓦として使われてるなんてびっくりですね。
また固そうなイメージがあるのに、カーブのあるデザインや球体など自由に形が変えられるのにも驚きました。今度、九州国立博物館に行ったらじっくり見てみます!
長坂さん
浅草寺では、落ち着いた色のチタン瓦が使われています。粘土瓦と見間違えるほど自然ですが、チタン瓦は軽くて丈夫でメンテナンスがいらないので、長期的に見れば経済的です。さらにチタンは熱膨張率が低いため気温変化による伸縮が少なく、他の金属と比べ、九州国立博物館の屋根のような長尺施工に向いているんです。

トランティクシーが創る新しい未来

トランティクシーは、国内外の多くの企業と、チタン素材を使ったコラボレーション展開を実現しています。
その中の一部をご紹介!

スノーピーク×スターフライヤー×トランティクシー


SnowPeak × STARFLYER チタンダブルマグ(写真提供:スターフライヤー)

北九州空港に本拠を置く航空会社スターフライヤーは、マイレージ・プログラム「スターリンク」のマイル交換商品にスノーピークとのコラボレーション商品「Snow Peak × STARFLYER チタンダブルマグ」を作成。このコラボレーションは、スターフライヤーの本拠地と、スノーピークのマグカップで使われているチタン=トランティクシーのルーツが同じ北九州市であることが契機になっています。

開発担当スノーピークの山下さんのインタビューより
“コラボレーションのお話をいただいたときは、全く異なる業種だったので正直驚きました。
チタンがつないでくれた縁のようなものを感じています。北九州を源流とするチタン素材でのコラボレーションを通じて、北九州を応援する取組みに参画できることは光栄です。”
出典:snowpeak×スターフライヤー|公式サイト

※ご好評により交換受付は終了いたしました。

カシオ計算機×トランティクシー

(写真提供:カシオ計算機株式会社)
カシオ計算機は、耐衝撃ウオッチ“G-SHOCK”の新製品として、スクエア型のフルメタル「5000」シリーズに“G-SHOCK”のために開発された新素材のチタン合金を採用した『GMW-B5000TR』を発売。GMW-B5000TRは、日本製鉄株式会社のデザイニングチタンブランド「トランティクシー」のチタン合金を外装部分に採用しています。“G-SHOCK”のさらなる素材の進化を追い求め、カシオ計算機と日本製鉄が6年の歳月をかけ共同開発を行い、新しいチタン合金が誕生しました。軽量で耐食性が高く、低アレルギー性といったチタンの特性はそのままに、純チタンの約2倍の硬度を確保しています。これにより、これまで鏡面加工が難しかったチタン素材で、ステンレス素材と同等の仕上げを施すことが可能になり、“G-SHOCK”のチタンモデルでは初めてベゼルとバンドに天面フルミラー仕上げを実現させました。
[参考・画像]カシオ計算機株式会社
ナッセスタッフ
いろいろなシーンでトランティクシーが使われているんですね。
これからますますチタンの特性を活かした商品がどんどん開発されていくんでしょうか?
長坂さん
チタンはまだ若くてとても面白い金属です。今まで鉄を扱ってきた私たちだからこそ、鉄ではできないことをチタンでやっていきたいという思いが強いですね。いろんな企業・メーカーとコラボすることで、まだ世に出ていない新しい商品を作っていくことができると思います。ぜひ皆さんにチタンに興味を持っていただいて、新しい製品づくりに一緒に取り組んでいきたいですね。ぜひよろしくお願いします!

企業概要

日本製鉄株式会社
NIPPON STEEL CORPORATIN
◾️本社:東京都千代田区丸の内2-6-1
◾️HP:https://www.nipponsteel.com/index.html
◾️トランティクシーHP:https://www.nipponsteel.com/product/trantixxii/

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