宝物の心配 05/04/2017
まるで、前回のつづきのような話ですが、つづきではありません。
4月30日のことです。
その日は愛鳥ラニ君(セキセインコ)のホルモン注射の日でした。
いつものように朝一番にラニ君を自転車に乗せ、かかりつけ獣医さんの所へ行きました。
そしていつものように注射をし、
「この頃、この子が食卓から離れなくて・・・」
と私が言うと
「テフロンの話をしましたっけ?」
と先生。
「いえ、聞いていませんけど・・・」
「テフロン加工のフライパンがあるじゃないですか。あれ、このヒト達にとっては毒なんですよ。あれで炒め物をした時に出る煙をこのヒト達が吸うと死んでしまいます。よく家でたこ焼きパーティをして死んでしまったということもありますので、料理をする時は換気扇を強く回すか、一番いいのはこのヒト達を料理の場から遠ざけることですね。家の中にはこのヒト達にとって危険な物が沢山あるんですよ。」
先生と私はこんな会話を交わし、いつものように私とラニ君は自転車で帰宅しました。
帰宅すると起きたばかりの夫(ネパール人)が洗濯機を回しだしたところでした。
注射終えたラニ君を部屋に放し、私はジョギングに出、夫は洗濯をしました。
ジョギングが終わると、遅い朝食です。
パン、フルーツ入りヨーグルト、ゆで卵、コーヒーと、日曜の朝の食事はいつもこんな感じで、夫がこさえます。
これらが食卓に並ぶとラニ君がテーブルの上をチョコチョコとせわしなく歩きます。
隙あらば盗み取りをするのです。
「ラニ君、ダメー!」
何度大きな声を出すことか。
「ちょっと!食べてばかりいないで、ラニ君のこと、ちゃんと見張ってよ。」
食事に夢中な夫を叱咤する私です。
人間が食事の時はラニ君も食事。いつでも3人一緒です。
食事が終わると、夫はパソコンを見たりスマホでゲームをしたりし、私はというと、ごろんと横になってテレビを見、ラニ君はというと部屋の中を自由に飛び回り、夫や私の肩に乗ったり頭に乗ったり。
各々が好きなように過ごします。
14時少し前のことでした。
「髪、切って来る。」
夫は出かけ、私とラニ君、二人っきりになりました。
ラニ君は、自分の扉が開けっ放しのケージに戻り、おやつのあわ穂を食べ餌も食べ、そしてパタパタと飛んで来て、私が日頃使っているパソコンの上に着地しました。
その後です。
ラニ君がパソコンの上で、パソコンに張りつくような姿勢で目を閉じているではありませんか。
「あらま。ラニ君、こんな所で寝ちゃった。」
こんなラニ君を見るのは初めてなので、私は写真を撮りました。
ひとしきり写真を撮ったものの、パソコンの上で目を閉じたまま微動だにしないラニ君。
「ラニ君、どうしたの?」
声をかけても、ラニ君は目と閉じたまま、動きません。
そーっと羽に触れてみましたが、チョロッと目を薄く開けただけで動きません。
未だかつてラニ君は放鳥時に居眠りをすることなどなく、羽を触らせてくれることなど皆無。
「これはおかしい!普通じゃない!」
私は慌てて、朝行って帰って来たばかりのかかりつけ獣医さんへ電話をしました。
「朝かかったばかりの○○ですが、様子がおかしんです。目を閉じたまま動かなくて、なんかベターとっ膨らんでいて、元気がなくて、なんだかいつもと様子が違うんです。」
動揺してしまい、支離滅裂な説明にはなりましたが、状態が悪いということは伝わったようです。
「午後の受付は16時からで、今、予約の方で一杯なのでお待ち頂くようになるかもしれませんが来てください。16時からですが、病院は15時40分位から開けますので、早く来てラニちゃんをお預かりすることもできますから。」
目を固く閉じ、具合の悪いラニ君。
そうこうするうちに、頭をさっぱりさせた夫が、
「このスタイル、どう?」
ご機嫌で帰ってきました。
「大変だよ!ラニ君が元気ないよ。もう少ししたら、また病院に行くから。」
なおもパソコンの上に張り付くように横たわり目を閉じているラニ君を夫も見、
「本当だ!ラニ赤ちゃん、元気ないね。私も一緒に病院へ行く。」
病院が開くまでの1時間ちょっとが、すごく長く感じました。
1時間の間に死んでしまったらどうしようと心配で心配で、されとて見守ることしかできません。
15時40分丁度に病院へ行き、受付にラニ君を預けました。
午後の予約の人達も続々と来て、かなり待つのだろうなと思ったのですが、1番に呼ばれました。
恐らく配慮してくれたのでしょう。
「朝来た時と、全然違いますね。テフロンで料理をしたりしましたか?」
「いえ、テフロンではしていませんが、ゆで卵を作りました。」
「ゆで卵くらいなら問題ありません。元気はないのだけど・・・、この前の吐いている時とは様子が違いますね。うーん、原因が何なのか、わかりませんねー。」
先生は真剣な顔で仰り、
「今からこのヒトに点滴を打ちます。タウリン等が入った肝臓に効く粉薬を5日分出しますので、前と同じように水にといてあげて下さい。」
「先生、なかなか水を飲まないのですが・・・」
「その時は口に薬入りの水をつけて飲ませて下さい。それと、寝る時も前と同じように明るくして寝て下さい。明日朝、電話で様子を教えて下さい。」
帰宅すると、ラニ君は依然ぐったりしたまま、夫の襟付きのシャツと首の間に入り、うずくまりました。
羽に触ることを許さないラニ君が、こんな行動をとることも、勿論初めてのことです。
「ラニ君、寒いんだな。熱があるのかもしれない。」
夫はこう言い、ラニ君がくっついている間、じーっと動かずにいました。
私達は三人一緒に寝ています。
夜は、先生に言われた通り、明るくしたまま眠りました。
ちなみに何故明るくしたままかというと、いつでも餌を食べられる状態にしておくためだそうです。
翌朝、ラニ君は餌を食べ、薬入りの水を二口ほど飲み、前日よりは元気そうには見えましたが、いつもに比べれば元気がありません。
そして問題は仕事です。
ゴールデンウィーク中といえども私の休みはカレンダー通り。
本来であれば私は仕事に行かなくてはならなかったのですが、こんな状態のラニ君を置いて出勤するなど到底できません。
「なんて言おう・・・」
と考え、
「家族が病気なので休みます。」
会社に休む電話を入れました。
「だって、本当のことだもん。ラニ君は家族だもん。それもただの家族じゃないの。私にとっては世界で一番大切な宝物なんだから。」
とかなんとか、自分の中で会社を休んだ言い訳をし、そんな事よりもやはり心配なのはラニ君です。
病院が開いたと同時に電話を入れ、ラニ君の状態を報告すると
「餌を食べたのなら、もう少し様子を見て下さい。昼頃、また電話を下さい。」
「ラニ君、大丈夫なの?ラニ君が病気だとママ(私のこと)、心配で心配で、心配でしょうがないよ。ラニ君が口がきけたらいいのに・・・。ラニ君、元気になって。」
午前中はケージの中にいるラニ君に話しかけてばかり。
昼になり、また病院へ電話をしました。
「よくわからないのですが、朝とあまり変わらないような・・・。ただ、おやつのあわ穂を少し食べました。でもいつもに比べれば、元気はないです。」
と言うと、受付の人が先生に確認をし、
「一時的なものかもしれないからもう少し様子を見て下さい。それでもよくないようであれば、夕方、また電話を下さい。」
止まり木に止まっていて、餌もおやつも食べたのだから重症ではないとは思うのですが、いまひとつ回復しているのかどうかがわかりません。
そこで私は、我が家から徒歩1分の所にある大型量販店に行き、クッキーのようなセキセインコのおやつとカットルボーンを買いました。
カットルボーンとは、小鳥を飼っている人であれば知っているでしょうが、イカの甲羅を特殊加工したもので、ラニ君はこれを齧るのが好きです。
帰宅し、すぐにこの2つをラニ君に与えたところ、久しぶりのカットルボーンにラニ君は興味を示し、ガリガリと齧り始めました。
そしてピヨ、ピヨ、ピヨ、ジャージャージャっと鳴き始めました。
「あっ!元気になっているかも・・・」
人間も病気の時は話したくないものですが、それはインコも同じようです。
具合が悪い時は鳴きません。
それからラニ君は徐々に回復し、夕方にはいつもの、元気なラニ君に戻りました。
それにしても前回といい今回といい、ホルモン注射の後に具合が悪くなるというのが気になります。
ラニ君はもう3年以上定期的に注射を打っていますが、4歳を過ぎたラニ君の体に注射が負担になっているのではないか?
けれども注射を打たないと産卵をしてしまい、これまたラニ君の体には負担だろうし、と色々と考えてしまいます。
次に来院する時に先生に相談することにします。
話は少しそれますが、ラニ君を見守っている間、私は皇太子様が雅子様と結婚される時に仰った言葉を思い出しました。
「命をかけてお守りします。」
確かこう仰ったと記憶しています。
順番で行けばラニ君の方が私より先に天国へ行くことでしょう。
インコの寿命は人間よりうーんと短いので、ラニ君の寿命も順調にいって、あと3、4年でしょう。
それまで私は、それこそ命をかけてお守りしたく、いつも書いていますが、ラニ君は本当に私にとっては宝物なのです。
4月30日のことです。
その日は愛鳥ラニ君(セキセインコ)のホルモン注射の日でした。
いつものように朝一番にラニ君を自転車に乗せ、かかりつけ獣医さんの所へ行きました。
そしていつものように注射をし、
「この頃、この子が食卓から離れなくて・・・」
と私が言うと
「テフロンの話をしましたっけ?」
と先生。
「いえ、聞いていませんけど・・・」
「テフロン加工のフライパンがあるじゃないですか。あれ、このヒト達にとっては毒なんですよ。あれで炒め物をした時に出る煙をこのヒト達が吸うと死んでしまいます。よく家でたこ焼きパーティをして死んでしまったということもありますので、料理をする時は換気扇を強く回すか、一番いいのはこのヒト達を料理の場から遠ざけることですね。家の中にはこのヒト達にとって危険な物が沢山あるんですよ。」
先生と私はこんな会話を交わし、いつものように私とラニ君は自転車で帰宅しました。
帰宅すると起きたばかりの夫(ネパール人)が洗濯機を回しだしたところでした。
注射終えたラニ君を部屋に放し、私はジョギングに出、夫は洗濯をしました。
ジョギングが終わると、遅い朝食です。
パン、フルーツ入りヨーグルト、ゆで卵、コーヒーと、日曜の朝の食事はいつもこんな感じで、夫がこさえます。
これらが食卓に並ぶとラニ君がテーブルの上をチョコチョコとせわしなく歩きます。
隙あらば盗み取りをするのです。
「ラニ君、ダメー!」
何度大きな声を出すことか。
「ちょっと!食べてばかりいないで、ラニ君のこと、ちゃんと見張ってよ。」
食事に夢中な夫を叱咤する私です。
人間が食事の時はラニ君も食事。いつでも3人一緒です。
食事が終わると、夫はパソコンを見たりスマホでゲームをしたりし、私はというと、ごろんと横になってテレビを見、ラニ君はというと部屋の中を自由に飛び回り、夫や私の肩に乗ったり頭に乗ったり。
各々が好きなように過ごします。
14時少し前のことでした。
「髪、切って来る。」
夫は出かけ、私とラニ君、二人っきりになりました。
ラニ君は、自分の扉が開けっ放しのケージに戻り、おやつのあわ穂を食べ餌も食べ、そしてパタパタと飛んで来て、私が日頃使っているパソコンの上に着地しました。
その後です。
ラニ君がパソコンの上で、パソコンに張りつくような姿勢で目を閉じているではありませんか。
「あらま。ラニ君、こんな所で寝ちゃった。」
こんなラニ君を見るのは初めてなので、私は写真を撮りました。
ひとしきり写真を撮ったものの、パソコンの上で目を閉じたまま微動だにしないラニ君。
「ラニ君、どうしたの?」
声をかけても、ラニ君は目と閉じたまま、動きません。
そーっと羽に触れてみましたが、チョロッと目を薄く開けただけで動きません。
未だかつてラニ君は放鳥時に居眠りをすることなどなく、羽を触らせてくれることなど皆無。
「これはおかしい!普通じゃない!」
私は慌てて、朝行って帰って来たばかりのかかりつけ獣医さんへ電話をしました。
「朝かかったばかりの○○ですが、様子がおかしんです。目を閉じたまま動かなくて、なんかベターとっ膨らんでいて、元気がなくて、なんだかいつもと様子が違うんです。」
動揺してしまい、支離滅裂な説明にはなりましたが、状態が悪いということは伝わったようです。
「午後の受付は16時からで、今、予約の方で一杯なのでお待ち頂くようになるかもしれませんが来てください。16時からですが、病院は15時40分位から開けますので、早く来てラニちゃんをお預かりすることもできますから。」
目を固く閉じ、具合の悪いラニ君。
そうこうするうちに、頭をさっぱりさせた夫が、
「このスタイル、どう?」
ご機嫌で帰ってきました。
「大変だよ!ラニ君が元気ないよ。もう少ししたら、また病院に行くから。」
なおもパソコンの上に張り付くように横たわり目を閉じているラニ君を夫も見、
「本当だ!ラニ赤ちゃん、元気ないね。私も一緒に病院へ行く。」
病院が開くまでの1時間ちょっとが、すごく長く感じました。
1時間の間に死んでしまったらどうしようと心配で心配で、されとて見守ることしかできません。
15時40分丁度に病院へ行き、受付にラニ君を預けました。
午後の予約の人達も続々と来て、かなり待つのだろうなと思ったのですが、1番に呼ばれました。
恐らく配慮してくれたのでしょう。
「朝来た時と、全然違いますね。テフロンで料理をしたりしましたか?」
「いえ、テフロンではしていませんが、ゆで卵を作りました。」
「ゆで卵くらいなら問題ありません。元気はないのだけど・・・、この前の吐いている時とは様子が違いますね。うーん、原因が何なのか、わかりませんねー。」
先生は真剣な顔で仰り、
「今からこのヒトに点滴を打ちます。タウリン等が入った肝臓に効く粉薬を5日分出しますので、前と同じように水にといてあげて下さい。」
「先生、なかなか水を飲まないのですが・・・」
「その時は口に薬入りの水をつけて飲ませて下さい。それと、寝る時も前と同じように明るくして寝て下さい。明日朝、電話で様子を教えて下さい。」
帰宅すると、ラニ君は依然ぐったりしたまま、夫の襟付きのシャツと首の間に入り、うずくまりました。
羽に触ることを許さないラニ君が、こんな行動をとることも、勿論初めてのことです。
「ラニ君、寒いんだな。熱があるのかもしれない。」
夫はこう言い、ラニ君がくっついている間、じーっと動かずにいました。
私達は三人一緒に寝ています。
夜は、先生に言われた通り、明るくしたまま眠りました。
ちなみに何故明るくしたままかというと、いつでも餌を食べられる状態にしておくためだそうです。
翌朝、ラニ君は餌を食べ、薬入りの水を二口ほど飲み、前日よりは元気そうには見えましたが、いつもに比べれば元気がありません。
そして問題は仕事です。
ゴールデンウィーク中といえども私の休みはカレンダー通り。
本来であれば私は仕事に行かなくてはならなかったのですが、こんな状態のラニ君を置いて出勤するなど到底できません。
「なんて言おう・・・」
と考え、
「家族が病気なので休みます。」
会社に休む電話を入れました。
「だって、本当のことだもん。ラニ君は家族だもん。それもただの家族じゃないの。私にとっては世界で一番大切な宝物なんだから。」
とかなんとか、自分の中で会社を休んだ言い訳をし、そんな事よりもやはり心配なのはラニ君です。
病院が開いたと同時に電話を入れ、ラニ君の状態を報告すると
「餌を食べたのなら、もう少し様子を見て下さい。昼頃、また電話を下さい。」
「ラニ君、大丈夫なの?ラニ君が病気だとママ(私のこと)、心配で心配で、心配でしょうがないよ。ラニ君が口がきけたらいいのに・・・。ラニ君、元気になって。」
午前中はケージの中にいるラニ君に話しかけてばかり。
昼になり、また病院へ電話をしました。
「よくわからないのですが、朝とあまり変わらないような・・・。ただ、おやつのあわ穂を少し食べました。でもいつもに比べれば、元気はないです。」
と言うと、受付の人が先生に確認をし、
「一時的なものかもしれないからもう少し様子を見て下さい。それでもよくないようであれば、夕方、また電話を下さい。」
止まり木に止まっていて、餌もおやつも食べたのだから重症ではないとは思うのですが、いまひとつ回復しているのかどうかがわかりません。
そこで私は、我が家から徒歩1分の所にある大型量販店に行き、クッキーのようなセキセインコのおやつとカットルボーンを買いました。
カットルボーンとは、小鳥を飼っている人であれば知っているでしょうが、イカの甲羅を特殊加工したもので、ラニ君はこれを齧るのが好きです。
帰宅し、すぐにこの2つをラニ君に与えたところ、久しぶりのカットルボーンにラニ君は興味を示し、ガリガリと齧り始めました。
そしてピヨ、ピヨ、ピヨ、ジャージャージャっと鳴き始めました。
「あっ!元気になっているかも・・・」
人間も病気の時は話したくないものですが、それはインコも同じようです。
具合が悪い時は鳴きません。
それからラニ君は徐々に回復し、夕方にはいつもの、元気なラニ君に戻りました。
それにしても前回といい今回といい、ホルモン注射の後に具合が悪くなるというのが気になります。
ラニ君はもう3年以上定期的に注射を打っていますが、4歳を過ぎたラニ君の体に注射が負担になっているのではないか?
けれども注射を打たないと産卵をしてしまい、これまたラニ君の体には負担だろうし、と色々と考えてしまいます。
次に来院する時に先生に相談することにします。
話は少しそれますが、ラニ君を見守っている間、私は皇太子様が雅子様と結婚される時に仰った言葉を思い出しました。
「命をかけてお守りします。」
確かこう仰ったと記憶しています。
順番で行けばラニ君の方が私より先に天国へ行くことでしょう。
インコの寿命は人間よりうーんと短いので、ラニ君の寿命も順調にいって、あと3、4年でしょう。
それまで私は、それこそ命をかけてお守りしたく、いつも書いていますが、ラニ君は本当に私にとっては宝物なのです。
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