子ども靴を扱う「フナナカ子ども靴店」、紳士靴・洋服を扱う「フナナカ洋装店」(以上、米原市柏原)が11月17日、オープンした。
店主の船中俊宏さんはもともと米国の紳士靴ブランド「Grant Stone(グラントストーン)」の靴を取り扱う店舗をECサイト上で運営。日本で同ブランドの靴が購入できる唯一の販売店として、東京などでポップアップストアも出店してきた。船中さん自身の米原への移住を機に空き家を改装し、実店舗化。新規事業として、1階で子ども靴、2階で紳士靴・洋服を販売する。
店舗化について、船中さんは「実際に店に来て素材や製法を『見る』のはネット上ではできないこと。リモート化が進み、何でも家で済ませられる時代だからこそ、自分で外に出て目や体を使って情報を得ることを大切にして物が買える場にしたい」と話す。
船中さんが靴の販売を始めたきっかけは、同ブランドの靴と出合い、履いて歩く中で、「外に出たくなる」「挑戦したくなる」といった気持ちの変化をもたらす「靴の力」を感じたことだという。社名の「ゲットゴーイング」には「出かける準備はできているか」という気持ちを込める。
米原で拠点を探す中で引かれたのは、「歩く」ことにも関わりが深い旧中山道の街並み。足を休め、大事にする場所でもあった昔の宿場町「柏原」地区で、靴の販売だけでなく「歩く」ということの大切さについても伝えていきたいという。
1階の子ども靴店で取り扱うのはアシックス社の子ども向け靴。サイズは11.5~22センチで、1歳~小学生ぐらいまでを想定したラインアップ。「フットルック」という測定機械を使って足裏をスキャンし、サイズだけでなく、圧力や重心などのバランスも測定する。靴の履き方や姿勢、歩き方の指導のほか、今履いている靴についてのアドバイスも行う。
子ども靴の新規事業について、「日本人は足や靴に関する知識が乏しいように感じる。子どものころからの歩き方の癖は骨格形成や成長、脳の発達にも影響を及ぼすと言われるが、靴屋をやっていても子どもの足を見ることは難しい。単純に靴を売るのではなく、子どもの足の成長記録を残しながら親にも勉強してもらい、発育をサポートすることで、地域の子育てに貢献したい。いずれは保育園などでも測定ができれば」と話す。
2階では「グラントストーン」の革靴を17種類ほど取りそろえる。サイズは22.5~28センチだが、サイズ外は取り寄せにも対応。同ブランドの靴は、「かかとが狭くフィット感の強さが特徴」だという。「革靴でありながら一日履いても疲れにくいうえ、高いデザイン性も併せ持つ」とも。仕事で履くイメージの強い革靴を普段から履けるようにと、靴に合わせて着られる「カジュアルな印象」のシャツやアウター、小物なども販売する。
「気分が上がり、少しだけ格好付けたくなるような靴や服を身に着け、大人がもっと見栄を張ったり笑ったりすることで、子どもが大人になりたいと思える社会になる。それは大人の義務であり、責任」と船中さん。「子ども靴を見に来た親子が2階へ上がり、かっこいい靴や服を手に取るような流れができれば。地域にもカラフルな服を着て、いくつになっても遊び心を持ち、日々を明るく過ごせるような人が増えたら」と話す。
営業時間は11時~18時。日曜・祝日定休。定休日も予約があれば対応可。