面接での短所・弱みの正しい答え方。NG回答から職種別回答例あり
転職における面接では、「あなたの短所はどこですか?」「あなたの弱みを教えてください」といったネガティブな質問をされることがあります。この質問に対して、どんな回答を用意したらいいのでしょうか。
まず前半では、面接担当者が「短所・弱み」を質問する意図について説明し、続いて「短所・弱み」を答えるときのポイントを解説します。後半では、具体的な回答例を用意していますので、これらを総合的に活用して、あなたの面接対策にお役立てください。
目次
面接担当者が「短所・弱み」を質問する意図は?
面接で「あなたの短所は何ですか」と質問されることはよくあります。しかし、「短所・弱み」となるとうまく答えられなかったり、「正直に答えることで悪い印象にならないだろうか」と不安になる人も多いのではないでしょうか。そこでまずは、「なぜ面接では短所・弱みに関する質問が定番になっているのか?」という点について考えてみましょう。この質問で面接担当者が知りたいのは、下記のようなポイントです。
面接担当者が知りたい4つのポイント
- 客観的に自己分析ができているか?
- ネガティブなことを人に話すときのビジネスコミュニケーション術を心得ているか?
- 「短所・弱み」が当社の業務・組織に悪影響を及ぼさないか?
- 「短所・弱み」を克服しようという積極性や、具体的な努力・工夫が認められるか?
もちろん嘘はいけませんが、日頃から「自分の短所・弱みはこれだな」と感じていることをそのまま率直にぶつければいいというわけではありません。上記のような面接担当者側のポイントを意識し、適切な回答を用意する必要があるでしょう。
面接で「短所・弱み」を答えるときのポイント
自身の「短所・弱み」を質問されたときは、あまり長々と回答するべきではありません。また「短所・弱み」をどのように捉え、そして、どのように伝えるかで面接担当者に与える印象は変わってきます。あらかじめ以下のポイントを押さえたうえで、「短所・弱み」について語れる準備をしておきましょう。
ネガティブチェックであることを理解しておく
原則として、「短所・弱み」に関する質問はネガティブチェックです。採点基準は会社によってさまざまですが、たとえば前述の「ネガティブなことを人に話すときのビジネスコミュニケーション術を心得ているか?」というポイントに沿って、100点満点から減点方式で評価されていると考えてください。どんなに「短所・弱み」に力を入れてしゃべっても、それが高評価に繋がるとは考えにくいので、「できるだけそつなく、適切な回答をして次の質疑応答に移る」という守備的意識を持って臨むといいでしょう。
自身の「短所・弱み」は、「長所・強み」と表裏一体に考えることが重要
実は、あなたの「短所・弱み」は、「長所・強み」と表裏一体の関係にあります。たとえば、以下のような関係です。
短所(裏) | 長所(表) |
---|---|
情に流されやすい | 情に厚い |
周囲の意見を聞かない・柔軟性に欠ける | 信念を貫く |
最悪の事態を想定していない | プラス思考である |
融通が利かない・発想の飛躍や機転がない | 生真面目な性格である |
このような相対関係を理解しておき、「長所・強み」で語った部分の裏側を「短所・弱み」として語れるよう準備しておくことが大切です。
面接では、長所と短所をセットで質問されることが多いです。ですから、長所として「仕事に対するモチベーションが高い」と言ったときは、「モチベーションが高くなりすぎて周囲と温度差が生じてしまったことがある」といった失敗談を、反省と改善策を添えたうえで短所として話すようにすると、回答全体の整合性が高まります。
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文脈を意識して「短所・弱み」を語る
これらのことを総合的に考えると、面接で「短所・弱み」を語るうえでの文脈は、次のように組み立てればいいということが見えてきます。
- 業務に支障のある致命的な短所は避け、努力や工夫でカバーできる「短所・弱み」を選ぶ
- 自身の「長所・強み」と「短所・弱み」を表裏一体のセットにして、回答を考える
- 業務において「短所・弱み」を
「このように克服してきた」「このようにリカバリーした」というフォローとセットにして語る - 努力はしているものの、完全に克服しきれていないからこそ、
現在も「短所・弱み」であることは素直に認める - そのうえで、「次のステップとしてこのような努力をしている」という前向きな姿勢を見せる
ちなみに、克服法はあまり長々と語るべきではありません。また、完全に克服したかのように話を偽らないように意識しましょう。無理が生じて、面接担当者に疑問や不自然さを感じさせることになり、そこを追及されると墓穴を掘ってしまうことになる可能性があります。自分をよく見せようとするあまり、誠実さを欠くような話し方にならないように気を付けましょう。
職種別「短所・弱み」の回答例
続いては、「短所・弱み」を質問された際の回答ポイントがわかったところで、実際にどんな回答をしたらいいのか、例文を紹介します。クリエイターの職種別に回答例をまとめたので、ご自身のケースと照らし合わせながら、参考にしてみてください。
ここでは、「集中しすぎて、自分の仕事に没頭すると周囲が見えなくなり、時間の感覚も忘れる」という弱みを持つ人の場合、どのように回答すればいいかという共通のテーマで回答例を用意しました。
Webデザイナー
私の短所は、「1つの仕事に集中しすぎて周囲が見えなくなってしまうことがある」という点です。
たとえば、1つのページの作り込みに時間をかけすぎてしまったり、残業時間が長くなってしまったりということで、前職では上司に叱られることもありました。しかし、集中力があるということは、クオリティの高いデザインができるというメリットもあると思います。
最近では「時間配分に気を付ければいいのだ」と気付き、「この仕事にかけていい時間は最長○時間」と時間を配分することで、集中力を自分の長所にすることができました。
とはいえ、完全に長所になったというわけではありません。今後、後輩や部下などの管理をする立場になるためには、自分の仕事をしながら周囲に目配りをするといった視野の広さも必要になります。そこで、「周囲のメンバーが今何をしているか?」を定期的に把握する習慣をつけるため、仕事中30分おきにPCのアラートをセットするなど、目的意識を持って改善トレーニングに励んでいます。
「集中力が高く、密度の高い仕事ができる」という自分の長所の裏返しを、自分の短所と位置付けています。具体的に短所を克服する方法を編み出し、それを身に付けたという点は評価できるでしょう。
ただし、「かつて短所だったことが長所になりました」と言い切ってしまうと、「では、現在の短所は?」と突っ込まれて答えに窮するようになります。短所が長所の裏返しである以上、「短所を完全に克服できた」と言い切るのは印象がよくありません。
「今後のことを考え、さらに高い次元で短所克服に取り組んでいる」という姿勢を見せることが大切です。また、課題に対して具体的な改善トレーニングを工夫している点も好印象でしょう。
Webディレクター
私は前職でWebデザイナーからWebディレクターになりたての頃、上司から「自分の仕事に没頭しすぎる」という指摘を受けました。ディレクター職はプロジェクト全体の進行状況を把握していなくてはなりません。クライアントとの折衝や社内調整もあります。性質の異なる多くの作業を同時に進めていくには、1つの仕事に没頭することが短所となってしまうと注意されたのです。
それ以降、私は業務を「パケット化」することを心がけました。具体的には、タスクを重要度と所要時間でリスト化し、プライオリティ順に一つひとつの業務を短時間で集中的にこなすようにしました。私は、いろいろな仕事を並行して進行できるマルチタスク型の人間ではありませんから、一つひとつの業務を順次こなしていくという仕事の進め方のほうが性に合いました。また、15分程度の隙間時間の活用法も上達し、仕事の効率化に繋がったと考えています。
とはいえ、業務のパケット化にも限界があります。そこで、手がける案件が大型化するにしたがって、「周囲のスタッフに権限を委譲し、その報告をこまめに受け取る」という、組織のフラット化を実践しました。個人の能力や時間には限界がありますから、こうした取り組みは今後さらに重要度が増すと思います。
しかし、自分が目配りしなくてはならない範囲が広がるにつれ、一つひとつの業務にかけられる時間は減っていきます。いかにパケットを小型化し、短時間に集中してこなし、次のタスクに素早く自分を切り替えていけるかが今後の課題だと思っています。
ゲームプランナー
私の弱みは、「ある程度まとまった時間、企画に集中しないとアイディアが生み出せない」というところにあると感じています。ほかのプランナーのアシスタントをしていた頃は、補佐的な業務や雑務に追われていましたが、あるテーマを与えられたとき「考えをまとめたいので○時間ください」と申請すればそれが認められていました。ところが、自分がリーダーシップを発揮するようになってくると、会議・報告・相談・質問がひっきりなしに続き、企画に集中する時間が取れなくなってしまいました。
そこで私が導入したのがコアタイム制度でした。「週に○回、○時から○時までは、よほどの緊急時を除いては声をかけない。電話も取り次がない」というルールを設けて、自分の時間を確保するようにしたのです。最初は若干の混乱もありましたが、コアタイム制度が浸透するにしたがって、支障なくプロジェクトが進められるようになりました。私自身も、企画のクオリティがアップしたと自覚しています。その成果が認められ、コアタイム制度は前職の会社全体に導入されるようになりました。
御社の環境にこうしたコアタイム制度がふさわしいかどうかはわかりませんが、何らかの方法で、ある程度まとまった時間を自分の仕事に集中的に使える状況があればと願っています。
プランニングに携わるクリエイターであれば、誰でもある程度の時間、思考に集中しなくてはならないのは当然でしょう。
この例では、その普遍的な問題を自分の弱みととらえ、「自分に限らず誰にでもそうした時間は大切であり、それが結果的に業務効率の向上に繋がる」ということも伝えています。リーダーシップの発揮を求められるポジションでは、こうした自分の仕事のスタンスや流儀を「弱点・弱み」という形で間接的に伝える方法もあることを覚えておいていただければと思います。
ただし、即時相談・即時連絡を是としている企業文化を持つ会社であれば、「この人のやり方は当社に合わない」とマイナス評価されてしまうリスクも考えられます。こういうタイプの話をする際は、事前に企業研究を進めておき、先方に賛同が得られるだろうという見込みを持って面接に臨むことが重要です。
言ってはいけない「短所・弱み」のNG回答例5選
続いては、実際にマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーが企業からよく耳にする「短所・弱み」のNG回答例5選を紹介するとともに、なぜNGなのかを説明していきます。
1:言葉の選び方が悪い
ことわざで「物も言いようで角が立つ」というものがありますが、同じことを言うのでも、いかにも印象の悪いネガティブな言い方もあれば、「見方によれば長所かもしれない」と感じられるポジティブな言い方があります。たとえば、次のような表現例がわかりやすいでしょう。
ネガティブな言い方 | ポジティブな言い方 |
---|---|
不愛想である | 必要以上に言葉を発しない |
言葉が足りない | 言葉をじっくり選ぶ |
ネガティブ思考である | 常にリスクへの配慮を忘れない |
すぐに落ち込む | 思慮深く繊細である |
引っ込み思案である | 軽はずみなことは言わない |
個人差はありますが、人間、自分を語るときには、必要以上にネガティブな表現や否定的な表現を選んでしまうことがあります。そこにある種の謙遜やユーモアが含まれていることも多いのですが、初対面の面接担当者にそのようなニュアンスは通じません。できるだけよい言葉を選ぶよう心がけてください。
2:業務上での支障を予測させる
自身の「短所・弱み」を語る際は、業務に支障を与えるような不安を与える内容は控えましょう。たとえば「気が短い」「自分の意見を否定されると感情的になりやすい」というような言い方では「周囲とトラブルを起こしやすいのでは?」と疑われてしまいます。1つ目と通じるところもありますが、「結論を早急に求める傾向がある」など婉曲な表現にしたうえで、「感情が高ぶったときはひと呼吸置いて、冷静な対応をするようにしています」などとフォローしましょう。
3:自己PRや長所と矛盾がある
たとえば自己PRや「強み・長所」などの質問に対して「コミュニケーション力が高い」などと答えているのに、「短所・弱み」が「問題を1人で抱え込んでしまうことがある」というのでは、「いったいどっちが本当なのだろう?」と、面接担当者を悩ませることになります。ただし、こうした矛盾については、語っている本人は気付かないことが少なくありません。私たちマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーも、転職希望者にヒアリングしていく段階で、このような「全体の整合性」については特に注意してアドバイスを行っています。
4:致命的なNGワードを口にしてしまう
相手を不安にさせる「会社に損害を与えるかもしれない」「組織やチームにマイナスになるかもしれない」といった「短所・弱み」は、言わないほうがいいでしょう。理由は2つあります。1つは「業務に支障が出そうな人材をわざわざ採用したいと思う企業はない」ということ、もう1つは「自分にとって一方的に不利な情報を不用意に相手に与える姿勢はビジネスパーソンとして不安」ということです。具体的には、以下のようなパターンがあります。
- 時間やお金、対人関係にルーズである
- 約束を忘れることがある
これらの回答は社会人としての信用が置けません。そもそも、こんな致命的な弱みを平気で口に出せる神経が疑われます。「ひょっとして、それをたいして悪いことだと思っていないのでは?」などと、良識を疑われても仕方ないでしょう。
- 精神的なダメージに弱い
クリエイターとして繊細な神経を持っているのはいいのですが、「ちょっとしたことで会社を辞めてしまうのでは?」「扱いが難しい人では?」などと不安を感じさせてしまいます。
- ケアレスミスが多い
いっしょに働くメンバーとして、不安を感じさせるような話は避けましょう。また、このような「短所・弱み」は長所と表裏一体関係にならず、一方的なマイナス評価となってしまいます。たとえば「ケアレスミスは多いが、そのぶん仕事は早い」などといってもフォローになっていません。
5:「特に短所・弱みはありません」と言ってしまう
面接担当者に対し「私には特に短所も弱みもありません」などと言ってしまうのはよくありません。なぜなら、人間の「短所・弱み」は「長所・強み」と表裏一体の関係にあり、どんな美点やアドバンテージも、評価の尺度が違う人から見れば「短所・弱み」と評価されることがあるからです。「短所や弱みがない」と聞いた面接担当者は「よほど自己分析をしていない人なのか?」「完全無欠を自負する完璧主義者なのか?だから前職を退職することになったのでは?」といった不安を抱いてしまう可能性があります。
非常に多く見られるNG例
なお、今回NG回答例5選で紹介した以外にも、自分で気付いていない「短所・弱み」が面接で露呈してしまうケースが見られます。具体的には、以下のようなケースです。
- 上から目線が態度に出やすい
- 人と話すとき、すぐに目をそらしてしまう
- ニコニコ愛想よく笑っているつもりが、ニヤニヤ薄ら笑いに見えてしまう
- 話のポイントが微妙にずれている
こうした短所はなかなか自分で気付くことが難しく、周囲から指摘してもらえるチャンスも少ないため、社会人経験が長くなっても(あるいは長くなるほど)放置されたままになっているケースが多いのです。
私たちマイナビクリエイターは、「本人のために必要」と判断すれば、他人が指摘しにくい「短所・弱み」もズバリと指摘するようにしています。また、必要であればいっしょに克服するためのトレーニングのお手伝いもしています。
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まとめ
短所・弱みのようなネガティブ系の質問は、面接で最も回答が難しい質問のひとつでしょう。面接担当者の質問の意図を知り、冒頭でも紹介したように、以下のような意識を持って、自分なりの回答を用意しておくことが面接対策には欠かせません。
- 客観的に自己分析ができているか?
- ネガティブなことを人に話すときのビジネスコミュニケーション術を心得ているか?
- 「短所・弱み」が当社の業務・組織に悪影響を及ぼさないか?
- 「短所・弱み」を克服しようという積極性や、具体的な努力・工夫の形跡が認められるか?
また、用意する回答も「話の内容自体はいいが、この企業の文化には合わないだろう」と思われる場合があります。
マイナビクリエイターのキャリアアドバイザーは、応募先の企業の価値観や企業文化を十分理解したうえで転職マッチングを行っています。もし、このようなミスマッチが予測される場合は、その旨を転職希望者様にアドバイスし、回答内容の変更や添削などの面接対策支援を行っています。理想の転職を実現するために、ぜひ私たちにお手伝いをさせてください。