転職したい!と思っても不安でなかなか踏み出せない人が今やるべきこと
転職したいとは思うけれど、「まだ迷いがある」「スキルがなくて不安」という気持ちがあると、なかなか最初の1歩が踏み出せないことがあります。そんなときは、なぜ転職したいのか、どのような職に就きたいのかなどを具体的かつ客観的に考えましょう。そのうえで、本当に転職すべきなのかどうかも含め、今後の転職活動の進め方を判断していけばよいのです。
この記事では、転職したいと思ったときにするべきことや、転職したほうがいい・しないほうがいい人の特徴、知っておきたい転職のリスクや成功のポイントなどを解説します。また、転職希望者からのよくある質問に、これまで数々の転職をサポートしてきたキャリアアドバイザーがお答えします。
キャリアアドバイザー プロフィール
Y.Tsunoda
ゲーム業界からWeb・IT業界まで、幅広くクリエイティブ業界全般を担当。前職の接客経験で培った「親しみやすさ」を武器に、機械的なヒアリングではなく、親身になった相談で『常に転職希望者に寄り添い、5年後のキャリアまで一緒に想像し、伴走していく』ことを心がけている。
目次
転職を決断する前にするべき3つのこと
転職したほうがいいのか、それとも転職しないほうがいいのか、冷静な判断をするためには、まず現状を客観的に把握し、転職の理由や目的を具体化させていくのが重要です。転職を決断する前にするべき3つのことを以下にまとめました。
1転職したい理由と転職の目的を書き出す
あなたはなぜ転職したいと思ったのでしょうか。転職したい理由は、現状の職場や人間関係への不満といった後ろ向きなものから、自分の夢やキャリアプラン、ワークライフバランスの実現などポジティブなものまで、人によってさまざまです。一時の勢いや気分で転職を決断して後悔することのないよう、まずは自分の考えを整理して、なぜ転職したいのかをはっきりさせましょう。
考えを整理するためには、転職したいと思った理由と転職の目的を紙に書き出してみるのがおすすめです。
例
転職したい理由 | 転職の目的 |
---|---|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
2今後のキャリアプランを描く
転職したい理由と転職の目的が明確になったら、「いつまでにどのような状態になりたいか」という今後のキャリアプランを描いてみましょう。キャリアプランをうまく描けないのであれば、その原因がどこにあるのか掘り下げて考える必要があります。
詳しくは後述しますが、転職は必ず成功するとは限らず、さまざまなリスクも伴います。また、転職したい理由を転職以外の方法(職場への交渉、副業など)で解決できる可能性もありますし、転職したい理由が自分自身の問題(仕事への姿勢、経験、知識など)にある場合は、転職しても同じ状況が繰り返される場合もあります。
現在の職場で働き続けるメリットとデメリット、転職で得られるメリットとデメリットを具体的に比較し、さまざまな可能性を考えながら、転職があなたにとってプラスになるかどうか判断することをおすすめします。
合わせて読みたい!
3転職サイトなどで求人を見る
転職の目的と今後のキャリアプランが描けたら、転職情報サイトなどで実際の求人情報を見てみましょう。あなたの描いたキャリアプランと転職市場のニーズにどのようなギャップがあるか確認することで、より現実的なキャリアプランへと修正することができます。
自分の希望する条件を満たす求人が見つかった場合は、転職後の状況をより具体的にイメージしながら、転職するかどうかの判断ができるようになるでしょう。また、応募したい求人がない、働きたいと思える企業が見つからない、希望に合う求人に応募するためにはスキルや経験が足りないなどの場合には、キャリアプランを変更したり、転職のやり方を考え直したりする必要があるかもしれません。
転職したほうがいい人の特徴
転職するべきか、しないべきかは、個人個人の置かれた環境によって判断基準が変わってくるため、一概には言えません。その一方で、客観的にみて明らかに転職がプラスになる状況が存在するのも事実です。
転職したほうがいい人とは、どのような人でしょうか。キャリアアドバイザーの視点からその特徴を紹介します。
心理的安全性・身体的安全性が確保できていない人
転職の緊急度が高いのは、現在の職場で心理的安全性や身体的安全性を確保できていない人です。具体的には、パワハラ・セクハラ・モラハラなどのハラスメントを受けている人、立場や待遇に見合わない過重な責任を負わされている人、違法な長時間労働や危険な環境での労働を強いられている人などです。
上長や人事に対して改善や配置転換を願い出る、職場のコンプライアンスホットラインや社外の相談機関に相談するなどの対策をとっても状況が改善しないときには、転職を検討したほうがよいでしょう。会社と交渉するだけのパワーが残っていなかったり、すでに心身に異常が表れていたりする場合には、家族や医療機関などにも相談しつつ、判断を急いだほうがいいかもしれません。
右肩下がりの業界にいる人
一概には言えませんが、自分がいる業界の市場規模が右肩下がりの状況だったり、価格競争が激しくなっている状況であれば、成長している業界への転職で年収アップやキャリアアップが実現できる場合もあります。
たとえば、同じ「デザイナー」という仕事であっても、紙媒体のみを手がけるデザイン会社に所属するのか、紙もWebも手がけるデザイン会社に所属するのかによって、業務内容や身に付けられるスキル・経験、将来的なキャリアの選択肢や収入も変わってくるでしょう。
もちろん、今の会社の中で新規事業の立ち上げや新市場への参入を提案する道もありますが、それが現実的でない場合は転職を視野に入れてもいいかもしれません。
現職では今後のキャリアプランを達成するのが難しい人
いまの職場では今後のキャリアプランの達成が難しい場合も、転職は1つの解決策になります。
たとえば、自分のスキルや経験が適正に評価されず、望むような仕事内容や待遇が得られていない人、自分の目指すキャリアを実現できるような職種やポジションが現状の職場に存在しない人、ほかにやりたいことが明確にあったり転職することで実現したいことがある人などにとっては、転職がポジティブな選択肢となり得ます。
実現性の高いキャリアプランを具体的に描けていて、社内での異動や副業などによるキャリアプランの達成も難しい場合には、転職を考えてもよいでしょう。
転職しないほうがいい人の特徴
転職したほうがいい状況の人がいる一方で、転職せずにもう一度考え直したほうがいい人もいます。仕事において何かしらの問題に直面しているとき、転職すればすべてが解決できるわけではありません。
転職しないほうがいいのはどんな人なのか、その特徴をご紹介します。
他責の人
何かうまくいかないことがあるたびに、自分に非はなく周囲の人や環境に原因があると考えてしまう傾向がある人は、転職が現状を好転させるきっかけにならない場合があります。
とくに、自分の能力や会社への貢献が上司や会社から評価されていない、と考えている人は要注意です。自己評価は周囲からの客観的評価よりも高くなりやすい、経験が浅く能力の低い人ほど自分を過大評価しやすい、などの事実が心理学の世界で明らかになっています。
現状への不満から勢いで転職を決めてしまうと、転職先でも同じような不満を抱いて転職を繰り返すことにもなりかねません。しっかり自分自身と向き合い、周囲の人の意見も聞いて現状を客観的に見つめられるようになるまでは、判断を急がないほうがいいでしょう。
転職する目的があいまいな人
転職したいという気持ちがあっても、転職したい理由や目的がはっきりしない人は、すぐに転職を決めないことをおすすめします。
現状にどのような課題を抱えているのか、転職することでどのような状況になりたいのか、という点が明確になっていないと、転職先を決める際の判断基準を持つことができません。根拠なく「前の職場よりましかもしれない」「どこでもいいからとにかく転職したい」と転職先を決めてしまうと、入社後に待遇や仕事内容のミスマッチが起こったりする可能性も高くなります。
転職する目的がはっきりしない段階なら、焦って転職する必要はありません。時間をかけて考えましょう。
転職したばかりの人
いまの職場に転職してきて1年未満など日が浅い人は、転職を避けたほうがよいでしょう。いまどき多少の転職歴があっても就職に不利にはなりませんが、あまりにも短い期間で転職を繰り返している人は、「うちの会社で採用してもすぐに辞められてしまうのではないか」という企業側の懸念から受け入れられにくくなる可能性があります。
また、再び転職活動をして、まったく新しい環境に飛び込んで1から関係構築をやり直すにはかなりのエネルギーを要します。現状抱えている問題は、転職でしか解決できないものでしょうか。今の会社に交渉し、部署異動などで解決できる場合もあるかもしれません。辞めたいと思っても決断を焦らずに、現在の環境で状況を改善する可能性も探ってみましょう。
やりたい職種への理解が浅い人
今とはまったく異なる業種や職種への転職を希望している人も、転職には慎重になることをおすすめします。その世界で一人前の仕事ができるようになるまでに、どのような知識やスキル、経験が必要になるのか、そのためにどのくらいの時間がかかるのかを十分に理解できているでしょうか。まったくの未経験であれば、自分よりずっと年下の上司のもとで働くこともあるかもしれません。
どれだけその仕事への憧れがあっても、実力や実績がものをいう転職で、すぐに結果を出すのは難しいことです。どうしてもチャレンジしたい場合は準備期間を設けて、勉強したり、実際にその業界で働いている人に話を聞いたりして、仕事への理解を深めましょう。
転職のリスクを認識しておこう
職場が変わるということは、人間関係だけでなく、仕事のやり方、組織の文化などもすべてリセットされるということです。転職によって起こる変化が、必ずしもポジティブなものであるとは限りません。
以下、転職にともなう具体的なリスクの例をご紹介します。
年収アップと引き換えに業務の量・責任が増す
一般的には、年収が上がればそれだけ業務範囲が広がったり、業務内容の難易度が上がったり、業務や組織に対する責任が増すなど、金額相応の条件が付加されます。業務量や責任が増えれば、残業や出張が増えたり、休みがとりづらくなったり、ストレスにさらされる機会が増えたりする可能性もあるでしょう。
高年収の求人に魅力を感じるのは仕方のないことですが、年収に見合った業務と責任を負うことを理解し、覚悟を決めたうえで応募しましょう。
新しい人間関係を一から構築しなければならない
人間関係をリセットしたくて転職するのであれば、まったく知らない人たちの中で新たな仕事を始めることはチャンスかもしれません。しかし一方で、リスクでもあります。
まず、新しい人間関係を構築し、その中で信頼を得るには時間と労力がかかります。そして、新しい環境に慣れるまでは、同僚や上司の人柄、得意分野、担当している業務内容などがわからないので、不明点を誰に聞いたらいいのか、誰に依頼したらいいのかなど、業務上でのコミュニケーションがスムーズにいかず、ストレスを感じるものです。
たとえ面接の際に好印象だったとしても、実際のところは働いてみないとわからない、ということを理解しておきましょう。
新しい仕事を一から覚えなければならない
たとえば、組織名や役職名、商品名などが略語で呼ばれていたり、専門用語が多かったりして、社内の人の会話や上司からの指示が理解できないこともあるでしょう。どの業務にどのシステムを使うのか、何のファイルがどこにあるのか、メールや電話、メッセンジャーなどでのコミュニケーションをどう使い分けるか、各種申請や報告はどのように行うのかなど、覚えることは山積みです。
新たな環境に慣れ、仕事を覚えて実力を発揮できるようになるまでは、時間がかかることを覚悟しておきましょう。
転職を成功させる3つのポイント
転職活動で重要なのは、自分と向き合うこと。そして、さまざまな情報をもとに自分の置かれている状況を客観的に把握することです。その際に押さえておくと役立つポイントがいくつかあります。
ここからは、転職を成功させるためのポイントを3つご紹介します。
自己分析の後、転職の目的を明確にし、優先度を決める
自己分析を行って転職の目的が明確になったら、転職先に求める条件に優先順位をつけましょう。たとえば、年収が最優先で業務負荷は増えてもいい、仕事内容が希望に合っていれば年収は据え置きでもいい、家族との時間を大切にしたいから平日休みより土日休みがいいなど、譲れない点や妥協できる点は転職の目的によって異なります。そのため、なにを持ってして転職の成功とするのかを、あらかじめ言語化しておくことが大切なのです。
合わせて読みたい!
広い視点をもって転職活動に臨む
求人情報を調べていると、誰もが知っている大企業や、年収の高い企業、福利厚生が充実している企業などは魅力的に見えるものです。しかし、それらの企業があなたに合うとは限りません。
小さくても無名でも、自分の希望に合う企業はないか目を向けてみたり、社員の口コミを探してみたり、上場企業であれば開示情報を確認するなど、多角的な視点をもって企業を見極めていきましょう。
ほかの人の転職活動について調べてみる
転職にはさまざまな理由があり、人それぞれに価値観も異なります。そのため「これが正解」といった転職はありません。しかし、1人で転職について考えていると、自分の思う「転職はこうあるべき」という固定観念にとらわれて選択肢を狭めてしまったり、転職すべきなのかどうか判断に自信が持てなくなったりすることもあるでしょう。
そんなときには、ほかの人がどんなきっかけで転職を決めたのか、転職をすることで未来がどう変わったのかなど、実際に身近にいる転職経験者や転職を考えている人に話を聞き、自分自身の状況と比較してみるのもいいでしょう。そうすることで、もっと深く具体的に転職について考えることができるはずです。
合わせて読みたい!
「転職したい」という気持ちはあるけれど、あと1歩が踏み出せない人のQ&A
転職したい理由を書き出したり、今後のキャリアプランを描いたり、転職のリスクを確認したりしている時点で、すでに転職活動は始まっています。
しかし、転職に向けて新しい1歩を踏み出すには勇気も、エネルギーもいるものです。本当に大丈夫なのかという不安や、さまざまな手続きに対する負担感から腰が重くなってしまう人もいるでしょう。
転職したいけどあと1歩を踏み出せない、という方からのよくある質問に、転職相談のプロであるキャリアアドバイザーがお答えします。
Q.1転職したいけど、スキルがありません。
自分ではスキルがないと思っていてもこれまでの仕事を通じて身に付けたものが何かしら必ずあるはずです。
自分にとっては当たり前のことが、ほかの人にとっては貴重な経験やスキルである場合もあります。まずは、いまの職場で経験した業務を中心に、実務年数が足りないのであれば学生時代に学んだことやアルバイトの経験なども含めて、経験・実績の棚卸しをしましょう。転職したい理由を書き出したときと同様、紙に書き出していくのがおすすめです。そこから、自分の経験やスキル、実績との親和性が高そうな求人を探していきます。
もし具体的に目指したい職種があり、その職種に応募するにはスキルが足りないのであれば、スキル獲得に向けて行動しましょう。スクールに通う、書籍やオンライン講座で独学するなどのほか、その職種に関連する部署がいまの職場にあれば部署異動を願い出るのも1つの手です。
Q.2転職したいけど、何がしたいのかわかりません。
全体的にまだ自己分析が足りていないようです。
まずは、これまでの仕事の経験などを思い起こし、「やりたいこと(興味のあること)」「やりたくないこと(苦手なこと)」を紙に書き出していきましょう。それぞれを書き出したら、一つひとつの項目について、「なぜやりたいのか」「なぜやりたくないのか」を掘り下げて考えていきます。
自分のやりたいこと、やりたくないことを具体的に考えていくことで、「チームでコミュニケーションしながら進める仕事が好き」「仕事の成果が数字で見えたほうが、やりがいを感じられる」「決められたことをただやるのではなく、クリエイティビティを発揮できる仕事がいい」「仕事内容よりも、プライベートの時間をしっかり確保できることのほうが大事」など、仕事を選ぶうえでの優先順位が見えてきます。そこから、転職先に求める条件を明確にしていきましょう。
Q.3転職したいけど、失敗しそうで怖いです。
企業研究をやり直し、情報収集に努めましょう。
転職に対して「失敗しそうで怖い」と思う具体的な理由は人間関係でしょうか、仕事内容でしょうか、それとも待遇でしょうか。不安を解消するのに必要なものは、転職先企業に関する情報です。まずは求人情報、業界に関するデータや口コミ、企業のWebサイトに掲載されている会社説明など、情報を収集して企業研究を行いましょう。
なお、転職エージェントを利用すれば、求人票にはない、より深い企業情報を得られることも期待できます。また、キャリアアドバイザーと対話することで、自分がなぜ、何に対して不安を抱いているのか、具体的な原因が見えてくることもあります。たとえば30代の転職には自身のライフイベントなどが重なることも多いため、不安を持つ人が多いものです。しかし、ほかの人の転職体験をよく知る第三者から客観的なアドバイスをもらうことで、1人では出せなかった答えが見つかることもあります。転職エージェントもうまく利用しながら、「怖い」の原因をつぶしていきましょう。
Q.4転職したいけど、書類の準備が面倒です。
転職に必要な書類の作成には、便利なオンラインサービスも上手に利用しましょう。
履歴書、職務経歴書、ポートフォリオ作成など、転職先に提出する書類を一から作成するには時間がかかります。また、どのように書いたらいいのか迷うこともあるでしょう。そんなときは、必要な項目を埋めていけば適切な形式の書類ができる、テンプレートなどを活用するのが賢明です。
マイナビクリエイターでは、誰でも簡単に無料でポートフォリオを作成できるサービス「MATCHBOX(マッチボックス)」を展開しており、ポートフォリオだけでなく、履歴書や職務経歴書も作成することができます。また、あらかじめ記入例が記載された履歴書・職務経歴書もご用意していますので、用途に合わせてご利用ください。
転職について、エージェントに相談するのも手
転職に関する悩みは、誰にでも気軽に話せるものではないかもしれません。家族や同僚など、身近な人や利害関係のある相手であればなおさらでしょう。そんなときは、利害関係のない第三者として、転職エージェントを利用するのも1つの手です。
まだ転職するかどうかを決めていない段階でも、相談だけでも問題ありません。転職活動とは、転職するための活動ということだけを指すのではなく、自己分析や企業研究などをすることで「転職するかどうかを決めるための活動」も含まれます。つまり、まず転職活動を始めてみなければ、本当に転職するかどうかを判断するのは難しいのです。
転職に関する悩みがあればいつでも気軽にご相談ください。