転職回数が多いという事実だけで転職が不利になることはない
Web・ゲームクリエイターは、一般的なビジネスパーソンに比べて転職回数が多い傾向がみられますが、それでもあまりに転職回数が多くなると、履歴書や職務経歴書を書く時に、ちょっと気が引けるという人もいると思います。
そこで今回は、Web・ゲームクリエイターの転職回数は、採用時にどのように評価されるのか、また転職回数が実際に多い場合にはどのような準備をすればよいのかご紹介していきます。
転職回数が多くても、必然的な理由があれば問題ない
厚生労働省の出典データ「平成26年版労働経済の分析」を見てみると、
男性では、30歳台から50歳台半ばまでの年齢層で、約半数が初職から離職することなく就業し続けている者で占められている。女性では、初職から離職せずに就業し続けている者は少数派であり、40歳台後半では、約4割の者が初職から2回以上転職している
と記述されており、日本人の終身平均転職回数は、1.5〜1.8回程度にとどまるようです。
確かに、私たちマイナビクリエイターが、実際に企業の採用担当者にお話を聞くと、30代以下の一般的な職種の人の転職では、だいたい3回あたりから転職回数が気になるとのこと。これは、クリエイティブ職であっても同様で、3〜5回になると「なぜそんなに転職を繰り返すのか」と疑問に思うようです。
ただし、「気にする」「疑問に思う」というのは「ただちにマイナスに評価する」という意味ではありません。
というのも、例えば「業界トレンドの変化により、自分の職種のニーズが激減したため職種を変更した」というような理由は、Web・ゲーム業界ではよく耳にする話ですし、会社の業績悪化や部門の縮小・再編など、当人の意思とは無関係に、転職を余儀なくされる人がいることも、採用担当者は熟知しているからです。
つまり、転職回数が多いことに、必然的な原因や応募先企業の採用担当者が納得できる理由があれば、転職回数の多さは、マイナス評価に直接結びつかないということがわかります。
キャリアアップのための転職では、実績を重視しよう
- より上級職にステップアップするために転職した
- 他の会社からヘッドハンティングされ上級職に抜擢された
上記のような、実力社会のクリエイティブ業界らしいポジティブな理由による転職も、もちろんマイナス評価には結びつきません。むしろ優秀さをアピールできる材料になり得るでしょう。
ただし、「その抜擢された会社から、当社にさらに転職するのはなぜか?」という質問への回答を用意しておくべきです。なぜなら「当社に転職しても、別の会社から好条件の誘いがあったらすぐに辞めてしまうのではないか?」という疑問を、応募先の企業から持たれてしまうからです。
また「抜擢されたものの、期待に添えなかったため辞めざるを得なかったのではないか?」など、クリエイターとしての実力をネガティブに疑われる可能性も考えられます。
こうした疑いを持たれないためには、過去に在籍した職場でどのような実績をあげたのかを提示するのが一番です。「高く評価された」「多くの顧客を開拓した」などの抽象的な表現は避け「業務効率化のため○○を○○%削減した」「○○施策で○○円の売り上げを達成した」といった具体的・客観的事実で実績をアピールしましょう。
そして、そうした実績をあげた上で転職を希望する理由を明らかにし、決して「顧客や仕事に対する誠実さや会社に対する忠誠心などが欠如しているわけではない」ことを説明して、納得してもらうように心がけるべきでしょう。
クリエイターとして、一貫性のある転職理由を提示しよう
例えば、最初の会社ではWebデザイナー、次の会社ではゲームのUIデザイナー、その次の会社ではマークアップエンジニアといったように職種を転々としているクリエイターは、「あなたはいったい何を目指しているのですか?」という疑問を採用担当者から投げかけられる可能性があるでしょう。このような場合は、
- 職種は変えたが実際の携わってきた業務内容は変わっていない
- 働き方は変えたがずっと同じテーマ、同じ分野を追求している
といった、一貫した転職理由を提示しましょう。
- 自分の表現したい世界をより忠実に表現できるメディアが登場したのでそちらにシフトした
- 常に最新のUX(ユーザーエクスペリエンス)を追求してきた結果、そうなった
というような合理的な説明をし、その進歩の過程を職務経歴書やポートフォリオなどで示すことができれば、採用担当者を深く納得させることができるでしょう。
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クリエイターの転職必須ツール、ポートフォリオの作り方とは?
まとめ
このように「転職回数が多い」という事実だけで転職が不利になることはありません。ただし、採用担当者の疑問や不安を払拭するために、以下のような5つの説明を準備しておきましょう。
- それらの転職に合理性があったこと
- 転職の度にクリエイターとして着実に成長してきたこと
- それぞれの職場で確かな実績を残してきたこと
- 顧客、会社、仕事に対して誠実であること
- クリエイターとして一貫したテーマを持っていること
転職回数が多かったとしても、これらのことを明確に語ることができれば、むしろクリエイターとしてのあなたを、より魅力的にアピールすることができるでしょう。