自己PRと自己紹介の違いは?転職面接対策について解説【例文あり】
中途採用の面接において、「自己PR」と「自己紹介」はどちらもよく聞かれる項目です。この記事では、「自己PR」と「自己紹介」の違いや、面接官が見ているポイント、面接準備で重要な点などについて詳しく解説します。
目次
自己紹介と自己PRの違い
自己紹介と自己PRの違いは、それぞれの目的の違いです。自己紹介の目的は「自分が何者なのかを伝えること」、自己PRの目的は「自分の人材としての魅力を伝えること」と、それぞれ異なっています。以下に詳しく解説します。
自己紹介とは?
自己紹介とは一般的に、初対面の人などに自分の名前や所属などの基本情報を、自分で知らせることです。面接の冒頭で自己紹介を求められたら、まずは挨拶をしたうえで「氏名、前職の会社名・職種や担当業務や簡単な経歴」といった基本情報を簡潔に伝えます。これに加えて、「前職での主な実績」「志望動機」などキャリアに関する情報を簡単に伝えましょう。
自己紹介の例文
本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。毎日花子と申します。
現在は〇〇〇株式会社のWeb部門に所属し、自社サービスサイトのデザインを手がけて4年目になります。昨年はサイトUIの大幅改修プロジェクトの主担当となり、改修によって操作に関する問い合わせの60%削減を果たしました。
UI/UXデザインの経験を生かし、より幅広い案件に携わってみたいと考え、御社に応募しました。どうぞよろしくお願いいたします。
自己PRとは?
転職活動での自己PRとは、能力や実績、人柄など、人材としてのあなたの魅力を、企業に対して伝えることです。注意が必要なのは「自分で考える自分の魅力」ではなく、「応募先企業にとっての魅力」を伝えるという点です。企業が求める人材像をよく理解したうえで、何がアピールできそうかを考えましょう。
たとえば、求める人物像として「探求心がある」、歓迎スキルとして「AIに関する知識や経験」とあった場合の自己PRは以下のようなイメージです。
自己PRの例文
私は最先端の技術を仕事に取り入れる、アンテナの高さに自信があります。
Webマーケターは知識・技術の習得や洞察力が重要です。そのため、人間にしかできない業務に集中して成果を出せるよう、最新技術を取り入れて業務効率化に取り組んできました。
近年は生成AIに注目し、企画を立てる際のリサーチにはChat GPTを日常的に活用しています。また、前職ではコンテンツのプロトタイプ作成やABテスト、KPI分析についても生成AI活用の実験を重ねてきました。その一部は実用化でき、ABテストの作業時間を半減することに成功しました。
もし御社に採用いただけたら、この強みを生かしてWebマーケティングの効率と品質の向上に貢献したいと考えています。
自己紹介と自己PRでは面接官の見ているポイントが異なる
面接では両方聞かれることが多い自己紹介と自己PRですが、ここまで見てきたように、目的も内容も異なります。そして、面接官が注目しているポイントも当然異なります。以下、自己紹介と自己PRで面接官が見ているポイントについて解説します。
自己紹介では第一印象とキャリアを見ている
自己紹介はアイスブレイクの意味で使われることもあります。そこで最も大切なのは第一印象です。基本的なビジネスマナーはもちろん、姿勢や表情、挨拶、話し方なども重要です。話す内容をあらかじめ考えるだけでなく、相手に与える印象もしっかり意識してください。
次に見られているのは、あなたにどのようなキャリアがあり、何ができるのかということです。これまでの経歴と主な実績といった客観的な情報を、具体的な数字などを交えて伝えましょう。
自己PRではパーソナルスキルを見ている
自己PRを通して面接官が見ているのは、応募者のパーソナルスキルです。話す内容や受け答えから、「この人は応募職種に適性があり活躍できそうか」「会社の文化に馴染めそうか」「適切なコミュニケーションが取れるか」「一緒に仕事をしたいと思えるか」といった点を見極めようとしています。
自己PRの内容は、相手が知りたいことを起点にしながら、会社が求める人材像に合致する自分の強みが伝わるように組み立てましょう。アピールしようとしている強みが転職先でどのように役立つかを意識し、伝えるポイントを絞って、具体的かつわかりやすく話すことが大切です。
自己紹介の準備で重要なポイント
自己紹介の目的や、面接官が見ているポイントが理解できたら、実際に自己紹介の準備をしましょう。自己紹介では、自分についての基本情報を伝えます。
自己紹介で話す内容の例
- 面接の機会をいただいたことへのお礼
- 氏名
- これまでの経歴
- 仕事における主な実績
- 志望理由
- 面接への意気込み、締めの言葉など
自己紹介は面談の入り口です。長くても1分以内に収まるよう、簡潔にまとめることを心掛けてください。また、ただ項目を列挙するだけにならないよう、話のメリハリも意識しましょう。1分で話せる分量は、200~300文字程度です。
自己紹介で伝える内容の中でとくに重要な「これまでの経歴」「仕事における主な実績」を伝える準備について解説します。
キャリアの棚卸しを行う
まずは社会人になってから積み上げてきたキャリアの棚卸しをしましょう。すでに履歴書や職務経歴書を作成していたら、それをベースにしながら、それぞれの経歴の中で「どのような役割を担い、どのような強みを発揮して、どのような成果を得たか」など、詳細を掘り下げていきます。
キャリアの中で一番長い経験をピックアップしておく
キャリアの棚卸しができたら、その中で一番長い経験をピックアップしましょう。自己紹介の短い時間で経歴について説明する際、「経験してきた期間」という客観的な情報をもとに「この業務については自信がある」とアピールしやすいためです。ただし、応募する職種と一番長い経験との関連が薄い場合には、ほかの経験をアピールするのでも構いません。
自己紹介であってもロジカルに伝えられるように
経歴や志望動機など、あなたの過去の判断や行動にかかわる情報は「なぜそうしたのか」を論理的に説明できるようにしておきましょう。たとえば「より大きな案件を経験したいと考え、〇〇株式会社に転職した」「データにも強いデザイナーになりたいと思い、〇〇の学校に通った」「〇〇賞を受賞した〇〇〇のサイトを見て感動し、こんなに挑戦的な仕事ができる環境で働きたいと、御社を志望した」などです。
理由が明確でないと「何となく転職を重ねているのか」などと誤解される恐れもありますし、理由を質問されたときとっさに「人間関係が悪かったので」などネガティブな受け答えをしてしまうかもしれません。ロジカルかつ好印象な受け答えができるよう、しっかり用意しておきましょう。
自己PRの準備で重要なポイント
自己PRで最も大切なのは、「自分で考える自分のアピールポイント」ではなく、「応募先企業が求める人材像とマッチする自分の強み」をアピールすることです。そのためにはまず求人票や企業Webサイトを読み込んで企業がどのような人材を求めているのかを理解し、自分の経験や強みの中から、何をアピールするか決めましょう。
伝えるときは以下のような流れで、相手が理解しやすいように明解かつロジカルに話しましょう。
自己PRの流れ
- アピールしたい強みを一言で伝える
- その強みを発揮して仕事の成果に繋がった具体的なエピソードを伝える ...Point 1
(成果の数字や、周囲の人の言葉などを入れて客観性を持たせる) ...Point 2 - その強みを応募先企業でどのように生かすことができるか、生かしたいかを伝える ...Point 3
以下、ポイントを解説します。
具体的なエピソードを入れる
自己PRに欠かせないのが「具体的なエピソード」です。自分の強みをどれだけアピールしても、その根拠が示されなければ説得力はありません。アピールしたい強みがこれまでにどのような場面で発揮され、それによってどのような成果を得たのか、具体的に伝えましょう。
客観性を持たせる
強みが発揮されたエピソードには、アピールしたい強みを裏付けるような情報を入れましょう。たとえば「〇年間継続した」「売上が〇%上がった」「社内で1位だった」などの数字や、「〇〇を受賞した」「リピート指名を受けた」「クライアントから感謝の言葉をもらった」などの事実です。こういった情報があることで、エピソードがあなたの主観から語られているのではなく、客観的な裏付けがあることを示せます。
応募先の企業でどのように生かせるかを明確にする
もう1つのポイントは、アピールしたい強みを応募先の企業の事業や、応募する職種の業務内容に結びつけて語ることです。前職でのエピソードを伝えても、その強みが応募先企業でどう生かされるのかが伝わらなければプラスの評価には繋がりません。たとえば「この強みを御社の〇〇〇〇でも発揮して、事業の成長に貢献できればと思います」など、明確に伝えましょう。
よくある質問
自己PRと自己紹介の違いについて理解いただけたでしょうか。最後に、自己PRと自己紹介に関して転職希望者からよく受ける質問と、キャリアアドバイザーがからの回答をご紹介します。
Q.1転職活動でも自己PRや自己紹介は重要なのでしょうか?
転職活動でも自己PRや自己紹介は重要です。
転職の面接でとくに見られているのは、これまでのキャリアやそこから得た強みと、志望理由との一貫性です。そのため、面接で話す自己PRと自己紹介の内容と、応募書類に書いた志望理由などが矛盾しないよう、事前に考えておく必要があります。
これまでのキャリアや仕事における強みについて事前に自己分析することで、転職の軸(転職先を選ぶ際に重視する、ゆずれない条件)も明確になります。自己分析が不十分だと転職後のミスマッチに繋がるおそれもあるため、自己PRや自己紹介の準備は手を抜かずしっかり取り組むことをおすすめします。
Q.2社会人経験が浅く、自己紹介で語れるキャリアが少ないのですが、学生時代の経歴でもいいのでしょうか?
企業が中途採用で望むのは「即戦力」なので、基本的には実務経験が評価の対象となります。できる限り社会人になってからの経験を語りましょう。
どうしても語れる経験や実績がない場合に学生時代のエピソードを語るのは、第二新卒(卒業後3年以内)までと考えてください。
ただし、たとえばゲームデザイナーに応募する人が「学生時代に自主製作したゲームがヒットして賞を取った」など、応募先企業にとって採用判断に直結するものであれば、学生時代のエピソードを語っても問題ありません。
Q.3自己PRと長所の違いがわかりません。
この記事でお伝えしてきたように、自己PRはあなたの人材としての魅力をアピールするものです。人材としての魅力とは、言い換えると、応募先企業があなたを採用したときに得られるメリットとも言えます。それに対して長所は、あなたの人柄や性格で優れている点のことです。
どちらも重なる部分があるので区別が難しいのですが、自己PRは「業務に貢献できる強み」、長所は「対人関係やチームワークなどにポジティブな影響を与える要素」と考えるとわかりやすいでしょう。面接では、長所を聞かれたあとに自己PRを求められるなど、両方聞かれることがあるので、違いを理解しておきましょう。こちらの記事も参考にしてください。
合わせて読みたい
Q.4自己PRがないのですがどのようにすればいいのでしょうか?
自己PRすべきことがみつからないときは以下のことを試してみてください。
- 自分の応募する職種の自己PRをWebで検索して調べてみる
- 企業の求人票の「求める人材像」を読み込み、自分に当てはまる点がないか考える
- 自分にどのような強みがあるか、第三者に聞いてみる
自己PRを聞かれたときに何も答えられないと、自己分析や企業研究などの事前準備が足りないとみなされてしまうかもしれません。必ず答えられるようにしておきましょう。
詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
面接対策に転職エージェントを活用しよう
自己PRと自己紹介はそれぞれに目的も内容も異なるため、それぞれのポイントを押さえて事前に準備しておくことが大切です。即戦力を求められる中途採用の面接では、応募者のキャリアや強みのほかにも、転職の軸や本気度、将来のビジョンなどについて質問されることがあり、すべてに一貫性があるかどうかが見られています。
仕事をつづけながらの転職活動も退職後の転職活動も、時間的・精神的な負担が大きいため転職エージェントの活用がおすすめです。経験豊富なキャリアアドバイザーのノウハウが詰まった以下の記事もぜひ参考にしてください。