名刺管理からはじまる出会いをイノベーション。深く、そして幅広く自社サービスと向き合うクリエイターの働き方 ―― Sansan株式会社 インタビュー | マイナビクリエイター

名刺管理からはじまる出会いをイノベーション。深く、そして幅広く自社サービスと向き合うクリエイターの働き方 ―― Sansan株式会社 インタビュー

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クリエイターの活躍の場となる企業は、クライアントからクリエイティブ業務を請け負う受託会社と、自社でサービスを保有する事業会社に大別することができる。また事業会社の中でも、特にWebやITをフィールドにビジネスを展開する会社は社内にクリエイティブ部門を置き、独自の制作活動を行っている。

今回のMATCHBOX REVIEWではITベンチャーとして近年飛躍的な成長を見せるSansan株式会社にインタビュー。同社の事業2部門におけるクリエイティブのリーダーでクリエイター採用にもタッチする鈴木氏と友近氏に登場していただいた。事業会社で活躍するクリエイターとは?採用の場で求められるクリエイターの自己表現の方法とは?「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションに名刺管理からはじまるSansanの独創的なビジネスにも注目しつつ、今回もポートフォリオに焦点を当てて同社のクリエイター採用のポイントを聞いてみた。

プロフィール紹介

鈴木 翔氏(写真左)
Sansan事業部プロダクト開発部 デザインマネージャー

友近 玲也氏(写真右)
Eight事業部リードデザイナー

SansanとEight。2つのプロダクトを持つSansan株式会社の2人のデザインリーダー

―― 今回はインタビューにご協力いただきありがとうございます。まずはSansan株式会社のビジネスと鈴木さん、友近さんお2人のポジションについて教えてください。

鈴木氏:Sansan株式会社は「出会いからイノベーションを生み出す」ことをミッションに、名刺交換を入り口に、そのデータからビジネスの可能性を広げていくことを目的としています。現在当社では社名と同じ「Sansan」という法人向け名刺管理サービスと個人向けの「Eight」を事業として展開しています。私はSansan事業部でデザインマネージャーとして、自分でもプロダクトのUI・UXデザインを行っています。

友近氏:SansanとEightの違いは法人向け、個人向けの違いだけではありません。Eightは名刺を起点に個人同士が繋がるSNSの機能を備えていて、登録者同士がフィードを通じて近況を伝えられるなど、ビジネスチャンスの拡大に繋がっています。私はEight事業部のリードデザイナーを務めていて、事業部のデザイナー6名のマネジメントとEightのオウンドメディアのデザイン業務も行っています。Sansan事業部が全体で240名ほどいるのに対して私たちのEight事業部は70名ほど。Sansan事業部では組織がさらにいくつか分かれていて、デザイナーも各部門にいるのですが、Eight事業部は6名のデザイナーでEightの事業全体のデザインを行っています。Webやアプリのデザインはもちろんのこと、チラシやパンフレットなどの紙のデザインまで、幅広く行うのがEight事業部のデザイナーの特徴です。

―― クリエイターの採用にはどのように関わっていますか?

鈴木氏:Sansan、Eightのプロダクトデザインの採用ということで、私と友近の2人で書類審査と1次面接を行っています。SansanとEightで応募の受け口は違うのですが、求める人材に共通部分も多く、2人で双方の応募者を見ています。

友近氏:Sansanへの応募だったけど、Eightのほうが合っている、あるいはその逆という場合もあるので、応募してくれた方と話し合って、最初の志望とは違う部署で採用するという例もありますね。

受託制作会社からITベンチャーへ。クリエイターが新天地で得た仕事とポジション

――お2人のSansan株式会社への入社の経緯を教えてください。またSansanでクリエイターとして働くことの魅力についても教えてください。

鈴木氏:前職では制作会社で受託の仕事をやっていました。いろいろな案件を手がけ、お金を稼いでいるという感覚はあったのですが、ものづくりに深く関わっているという手応えがもっと欲しいと感じていました。また、何か1つのことに集中してのめり込んで仕事をしたいと思うようになりました。そんなときに出会ったのがこの会社だったんです。

友近氏:私が入社したのはEightが個人向け名刺アプリからビジネスネットワークの機能を備える転換期で、採用時の面接でも「これから新しい展開をするよ」と伝えられていました。私も受託会社からの転職でユーザーの声を直接プロダクトに反映できるポジションで仕事がしたいと考えていました。独創的なビジネスモデルをもったSansanのような会社を探していたんです。

鈴木氏:入社前の情報収集や面接での説明で、Sansanのビジネスに関してはある程度理解しているつもりでいました。しかし入ってみるともっと壮大なことをやろうとしている会社なんだと感じましたね。単に名刺管理サービスをやりたいというのではなく、その先にある人と人の出会いからイノベーションを生み出すということをビジネスにしているんです。このビジネスを推進していくうえでこの会社はデザインをすごく重要視しています。

Eight事業部やSansan事業部の各部門で30名ものデザイナーが活躍していて、私たちの事業に不可欠なクリエイティブを生み出しています。デザイナーがのびのびと力を発揮できる環境作りにも会社全体で取り組んでいます。また横の繋がりの1つとして、ICE(Innovation Creative Evolution)という社内のデザイナー同士の連絡組織を作って業務の連携や情報交換も行っています。

友近氏:ICEではこれまでに他の事業会社のデザイナーとの交流会やショートプレゼンを実践する勉強会などを開催しました。またSansanでデザイナーが働く魅力としては、年間6万円までの本の購入補助や、社外研修の費用の補助なども。クリエイティブのためのハード、ソフトの導入にも積極的で、クリエイターの意見に必ず耳を傾けてくれます。

また、Sansan、Eightという2つの事業を行う当社では、クリエイター、営業、エンジニア、など制作会社と違ってさまざまな職種の人が在籍しています。そんな多様な職種が混在する環境でありながら、違う職種同士がお互いに尊敬し合い、丁寧に情報共有を行っているところが当社の特徴です。社内の雰囲気はフラットそのもの。職種の違いやセクショナリズムを意識することなく働けるのが魅力です。

Sansanのデザインリーダーが求める、ポートフォリオにおける"自己表現"とは。

見本としてお持ちしたMATCHBOXの制作過程を示したポートフォリオを見ながら、率直な意見を交わす友近氏と鈴木氏

―― 貴社における採用のポイント、ポートフォリオの見方について教えてください。

友近氏:Sansanのクリエイターとして必要なのは、どうしてそのクリエイティブが行われたかをしっかりと説明できること。クリエイター自身がどんなスタンスでその仕事と関わり、与えられた課題をどのように解決していったかが重要です。面接でもプロジェクトでのチーム感や実際のやりとりなどを聞いていきますので、個人プレイ中心の人はウチには合わないかも知れません。

鈴木氏:書類審査ではデパートのショーケースのような華やかなポートフォリオを求めているわけではありません。その意味でデザイナーであっても自分の表現したいことを言語化できることは大変重要です。デザインスキルがどれだけ高くても、ポートフォリオや面接でこちらの求める情報が伝わってこなければ評価することはできません。
また自社でサービスを運営している特性として、直接ユーザーのニーズに対応していくことになるため、絶えず発想の転換が求められます。こうじゃなきゃだめ、こうあるべきというようなクリエイティブに対する固定観念が仕事の障害になる場合もあります。課題に対してフレキシブルに取り組めるクリエイターを求めています。

―― 今回は『MATCHBOX』で作ったポートフォリオの見本を持ってきました。貴社における採用のポイント、ポートフォリオの見方について教えてください。

友近氏:フォーマットとして違和感はないですね。項目もベースとして必要なものが網羅されていると思います。ただ、新卒の応募者などがポートフォリオサービスを利用した場合にありがちなのですが、フォーマットの形にとらわれすぎて自分のアピールになっていないことが多いと感じています。フォーマットを利用しながら自分のオリジナリティを出すことにもっと工夫してほしいと思います。せっかくよいフォーマットを利用していても、他のクリエイターと同じ印象のポートフォリオになってしまっては元も子もありません。

鈴木氏:作品数を多くしすぎてその人が得意とすること、転職してやりたいことがぼやけてしまっていると、私たちもどこにフォーカスしてよいかがわかりません。ポートフォリオではいかに見せるべき作品を選択できるかも問われているところだと思います。厳選した作品に対して、必要な情報が載っているのはもちろんのこと、クリエイターの思いや人間性を表すその人の生の声が入っていることが、採用を判断するうえで私たちの重要なポイントとなっているのです。『MATCHBOX』にはコメントを入れられるところがふんだんにありますので、フォーマットを活用しながら見本にとらわれず自分なりのポートフォリオ作りにチャレンジしてほしいです。

Web・グラフィックのデザイナーからUI・UXデザイナーへのキャリアチェンジを目指すには

―― 最近のSansanへのクリエイターの応募者についてどんな感想をお持ちですか?

鈴木氏:Webデザインやグラフィックデザインを経験して、当社でUI・UXデザインに取り組みたいという人が増えています。そしてよく質問されるのが、他のデザイナーからUI・UXデザイナーにジョブチェンジするにはどうすればよいかということ。

私自身、本を読んだり研修に参加したりして、グラフィックデザインからUI・UXデザインへと仕事をシフトしてきました。しかし実際のUI・UXデザインに方法論や正解はないと感じています。私がやっていることは自分が設計したデザインをできるだけ多くの人に見て触ってもらって感想を聞くことです。そうすると100人に聞けば100人がよいという正解が存在しないこともわかります。100人の中の100人に近づけるためにどこまで工夫できるかがUI・UXデザインだとも言えるのです。だからこそUI・UXデザイナーには失敗のプロセスも重要です。これまでの仕事でどんな失敗を経験し、それをどう克服したか。ポートフォリオでそれを表現してもらえれば私たちは間違いなく注目します。

友近氏:Webデザイン、プロダクトデザインと多彩なキャリアを持った人からご応募いただいています。スキルに関しては当社で身に付けていただける部分も多いので伸び代や将来性を重視して採用しています。私たちの仕事はエンジニアとのコミュニケーションが多いので、現状で高い知識が必要というわけではないのですが、技術に対する関心、トレンドに対する関心は持っておいてほしいところです。事業会社の出身でなくてもクライアントワークの経験者なら当社経営陣の要望を聞いて仕事をするのもスムーズなはずです。

―― 最後に転職を考えるクリエイターへのメッセージをお願いします。

鈴木氏:転職したいと思うきっかけは人それぞれだと思います。しかし転職先を決めるには自分が何をやりたいかをしっかり決められることが大切です。私が転職によってグラフィックからUI・UXデザインに方向転換したように、新たな分野へのチャレンジであってもこれまでの自分が活かせるところは必ずあります。「自分には無理かも」と考えるより、今できることとこれからやりたいことを見つめて転職活動を行ってください。

友近氏:転職では自分をアピールするだけではなく、応募する企業をしっかりと選ぶと良いと思います。入社してから後悔するのは人生において大きな損失です。その会社に合わせていくのではなく、自分の力を発揮できる会社を見つけることに注力していただきたいです。本当の自分を表すポートフォリオを作れば、それにマッチした会社とも出会えるはずです。

インタビューを終えて

新たなビジネスモデルで飛躍するSansan株式会社はクリエイターの活躍の場としてもたくさんの魅力を持った企業である。インタビュー中の言葉に留まらず、鈴木氏、友近氏が雄弁に語ったのは、壮大なミッションに向かって多彩な社員が一丸となって進む同社のダイナミックさである。そんな活き活きと成長する企業に転職者はどのようにアプローチしていくべきか。読者の皆さんにはこのインタビューをヒントに転職における最も強力な武器として、ポートフォリオを活用する方法を是非見つけ出してほしい。

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この記事を書いた人

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