かつての旧モデルから、ややコンセプトとターゲット層が変わった2022年モデル最新格安スマートフォン AQUOS sense7 (型番SH-53C/製品番号ASH47189,ASH47150,ASH47163,ASH47176)の実機レビュー・評価です。
結論から書いておくと、本ページのタイトルにも書いたとおり”AQUOS sense7は初心者向けだけでなく、スマホ中級者にもオススメ出来る機種”に仕上がっています。
シャープのスマートフォン「AQUOS sense」は、ナンバリング上は2022年秋モデルの本機種で”第7世代”にまで続くロングヒットシリーズです(ドコモ向け以外のliteやPlusといった派生モデルを入れると何十台も種類があります)。sesneシリーズの初期頃は”初めてのスマホ初心者・シニア向け”という印象がやや強かった本シリーズは、2022年モデルのAQUOS sense7で少し路線を変更し、カメラ機能を大幅にアップグレードしてきました。
本ページでは実際にAQUOS senseシリーズの過去モデルを何台も使ってきた経験と、上位のAQUOS “R”などの高性能機種と比べた場合にAQUOS sense7はどんな部分が優れている/あるいは高級機種に劣っているのか、実際に使ってみて感じた印象を中心にレポートします。
AQUOS sense7の主な仕様/2世代前からの変更点
”AQUOS sense7が初心者用→中級者でもOK”という評価になった根拠を、まずは数字から見ていきましょう。比較用に2世代前のAQUOS sense5Gとsense7の仕様を見比べてみます。
スペック・仕様 | 2022年モデル AQUOS sense7 |
旧モデル AQUOS sense5G |
発売日 |
2022年11月11日 |
2021年2月12日 |
ディスプレイ | 6.1インチ FHD+ (2400×1080) 有機EL |
5.8インチ FHD+ (2400×1080) TFTパネル |
サイズ | 152 × 70 × 8.0 mm |
148 × 71 × 8.9 mm |
重さ | 158グラム |
178グラム |
SIMスロット |
nano SIM+eSIM |
nano SIM |
電池容量 | 4570mAh | 4570mAh |
CPU | Snapdragon 695 5G |
Snapdragon 690 5G |
RAM | 6GB | 4GB |
ROM | 128GB |
64GB |
5G通信 | 対応 | 対応 |
おサイフケータイ |
対応 |
対応 |
ワンセグ/フルセグ |
非対応 |
非対応 |
ワイヤレス充電 |
非対応 |
非対応 |
外部ストレージ |
micro SD(最大1TB)対応 |
micro SD(最大1TB)対応 |
カメラ | 5030万画素[メイン] +800万画素[超広角] |
1200万画素[メイン]
+1200万画素[超広角]
+800万画素[望遠] |
防水防塵 |
対応 | 対応 |
生体認証 |
顔+指紋(本体横) | 顔+指紋(画面下) |
価格* | 54,230円 | 39,600円 |
*価格はドコモ発売当時のもの。
まず最も驚きなのはAQUOS sense5G→ sense7ではディスプレイサイズが大きくなっているにも関わらず、本体が20グラムも軽くなり、バッテリー容量も維持している点です。
AQUOS sense7は決して”小さなスマホ”と呼べるほどのコンパクトな機種ではないながら、sense5Gと持ち比べると明らかに薄く・軽くなっていることが感じられます。4570mAhの大容量バッテリーはそのままですので、電池を犠牲にすること無く軽量化に成功しています。
ディスプレイの種類も変わっており、AQUOS sense6シリーズから発色がきれいな有機ELパネルになりました。
屋外でも見やすい「アウトドアビュー」ではディスプレイを明るく保ち、濡れた手でも操作が出来る独自のチューニングがされています。
電池持ち性能に関してシャープでは数年前から頭打ちになっている印象はありますが、さまざまなスペック・性能が2世代前と比べた場合でも底上げされています。
では、さらにAQUOS sense7の進化点をみていきましょう。
快適な顔認証+指紋認証
AQUOS sense7にはロック解除用に指紋認証と顔認証の両方に対応しています。
旧モデルではディスプレイの下のホームボタンに指紋認証センサーが組み込まれていたところ、AQUOS sense7では本体右横に移動しました。この黒いセンサーはタッチ式で、電源ボタンは別途その上にあります。
旧モデルにあったアシスタントボタンは無くなりました。
顔認証はディスプレイ上部にあるカメラで、指紋認証は本体右横にある指紋認証センサーボタンをタッチするだけで、一瞬でロック解除が行なえます。また、顔認証はマスクを着用したままでも解除が出来る設定があります。
外出時にマスクを着用することが多いため、顔認証より指紋認証を使いたいというユーザーでも、冬場に指が乾燥すると指紋認証に失敗することが多いというユーザーでも、どちらでも対応できるのがAQUOS sense7の魅力です。
アプリをたくさん動かせる、写真もたくさん残せる
スマートフォン業界において、メモリー(RAM)とストレージ(ROM)は徐々に大型化する傾向にあり、AQUOS sense7ではRAM6GB+ROM128GBが標準となりました。ドコモモデルではsenseシリーズ最大の組み合わせです。
メモリーが大きいほどたくさんのアプリを同時に動作させてもスムーズに動き、ストレージが大きいほどアプリや写真などを本体の残しておくことが出来ます。
今の時代は初心者向けでも64GBでは足りず、128GBが標準的・最低ラインになりつつあります(iPhoneでも2022年モデルは64GBはなく、128GBが最小容量です/SEシリーズを除く)。
初めて使うスマホならメモリーが64GBでもしばらく容量がいっぱいになることなく使えると思いますが、旧機種から機種変更する場合にデータをまるごとコピーしたい・引き継ぎたいのなら、本体空き容量はたくさん必要です。
AQUOS sense7よりもさらに安価な「AQUOS wish2」というスマホもありますが、そちらはRAM/ROMともにsense7より小さくなっています。
AQUOS sense7のゲーム性能
AQUOS sense7にはCPUとして「Qualcomm Snapdragon 695 5G」というチップが使われています。このチップは2022年春頃のモデル以降、多くの格安スマホに搭載されてきたチップと同じものです。
Snapdragon 695 5Gの処理性能は、軽いゲームアプリなら十分に動く・激重系の3Dリアルタイムシミュレーションが必要なアプリだとカクつき・遅延が出る可能性がある、という程度です。
AQUOS sense7の処理性能を数字(Antutu Benchmarkという性能測定アプリで実測したもの)で表すと、以下のような水準です。
Antutuスコア(ver.9.x) | 搭載CPU/目安 |
90万点~100万点前後 | Snapdragon 8 Gen 1 /2022年の最高峰機種 |
70万点~80万点前後 | Snapdragon 888 /2021年のハイエンドクラス |
60万点~70万点前後 | Snapdragon 865 /2020年のハイエンドクラス |
50万点~55万点前後 | Snapdragon 855 /2019年のハイエンドクラス |
【AQUOS sense7はココ】 35万点~40万点前後 |
Snapdragon 765 5G・ Snapdragon 695 5Gの水準 /2021-2022年のミドルクラス |
30万点~35万点前後 |
Snapdragon 690 5G /2021年のミドルクラス |
25万点~30万点前後 | Snapdragon 480 /2022年のエントリーモデルクラス |
処理性能でいうと、AQUOS sense 7のスコア(実測39万点強)は最新・最上位モデルの半分以下です。3年くらい前の高性能機にもやや劣りますが、RAMの大容量化・最適化によって一般的なゲームアプリならスムーズに動く程度の性能を持っています。
AQUOS sense7は電池持ちが良いスマホなので、ソーシャルゲームをたっぷり遊びたいというユーザーには向いています。逆に、ゲーム性能にこだわりたい・eスポーツ用にスマホを使うという場合にはより高性能なゲーミングモデルを選ぶほうが無難でしょう(ただし高性能な新型スマホは当然値段も跳ね上がります)。
やっぱりカメラの進化が凄い AQUOS sense7
かつてのAQUOS senseシリーズのカメラは必要最低限、初心者向けの機能しかありませんでしたが、AQUOS sense7は上位モデルと同じようにオートモードからマニュアルモードまで多機能化・高性能化を果たしました。
具体的にどれくらい変わったかというと、4世代前の大ヒット作 AQUOS sense3比率で、
・センサーサイズが約2.8倍にアップ(たくさん光を集められる)
・オートフォーカスが最大4倍高速化
・ノイズや画質向上を行う「ProPix4」エンジン搭載
といった違いがあります。
実際にAQUOS sense7で写真撮影をしてみると、明確に進化が感じられる写真が撮れます。
ナイトモードで明るい写真が撮れる
AQUOS sense7で劇的に写真の写りが良くなったと感じられるのは、薄暗い場所での撮影に利用できる「ナイトモード」の追加です。高級なスマートフォンやiPhoneなら比較的多くのスマホが使えるナイトモードですが、AQUOS sense7には20万円級スマホ「AQUOS R7」と一部同じナイトモードの画像処理技術が使われています。
実際にナイトモード・標準モードで撮り比べたのが以下の写真です。
AQUOS sense 7のナイトモード | 標準モード |
右と左は、全く同じ場所で撮影したものです。
肉眼ではかなり暗い場所での撮影でありながら、ナイトモードをオンにするとフラッシュを点けたような明るさになります。極端に暗い環境ではやや色使いが不自然なほどに強調される傾向もありますが、SNS映えする写真が簡単に撮れるはずです。
素早いオートフォーカス
上記は2世代前のAQUOS sense5GとAQUOS sense7を並べて、手前と奥にあるおもちゃにピントを交互に合わせて比較したところ、同時にフォーカスを合わせるために画面をタッチすると、確実にワンテンポ早くsense7のほうが焦点が合う様子が確認できました。
シャープによれば、さらに古いAQUOS sense3と比較した場合、明るい場所で約2倍・暗い場所では約4倍もフォーカス速度がアップしているとしています。
5000万画素モードも選べる
AQUOS sense7のメインカメラは5000万画素の高画質センサーを搭載しています。買ったままの標準状態だと1250万画素モードでの撮影となりますが、設定画面から5000万画素モードに切り替えることも出来ます(メインカメラのみ)。
1250万画素モードでは”4つの画素を1つに合わせる”という技術で暗い場所でも明るい写真が撮れるという処理をしていますが、十分に明るい場所での撮影であれば5000万画素モードのほうがより精細な部分まで写し撮ることが出来る場合があります(もともと画像は撮影時に処理されているため、50MPモードにしても画質の改善は見られない場合もあります(2022年12月初旬時点のソフトウェアで確認)。
詳細設定が出来るマニュアルモード対応
専門的なカメラ撮影知識があるユーザーに嬉しい、AQUOS sense7にはマニュアル設定モードもあります。
旧来のAQUOS senseシリーズでも比較的新しいモデルならマニュアルモード自体は対応するモデルもありますが、AQUOS sense7ではシャッタースピードを最大30秒まで長く設定可能です(旧モデルは最大でも1秒までだったはず)。
マニュアルモードではシャッタースピード(1/10000~30秒)・ISO(50~3200)・オートフォーカス/マニュアルフォーカス・ホワイトバランス・明るさ調整など、さまざまな設定が可能です。
マニュアルモードを使うと、デジタルカメラで撮影したような光の軌跡が残った写真をAQUOS sense7でも撮れます。
また、標準カメラのAIでは対応しきれない状況でも、写真撮影の知識があればマニュアル設定で対応出来る場合があります。例えば、満月を撮影するとオートでは真っ白な丸にしかならないところ、手動で設定を調整すると・・・
望遠はなくても高画質なメインカメラによって月面模様をAQUOS sense7でも写すことが出来ます。
もちろんAQUOS sense7のカメラが性能が良くなったと言っても、10万円~20万円クラスの最先端・最高クラスのスマホには写真性能では勝ち目がないながら(上位モデルはAQUOS sense7の大きくなったセンサーより、さらに一回り大きいため)、高画質モード/詳細マニュアル設定/ナイトモードの追加により、中級者以上のユーザーでもそれなりに満足できるカメラ性能があるという評価です。
nano SIM+eSIMのデュアルSIM仕様
AQUOS sense7 SH-53Cは、ドコモモデルではsenseシリーズで初めてデュアルSIM・eSIMに対応しました。
AQUOS sense7 SH-53Cには物理的なnano SIMカードを差し込んで機種変更するほかに、「eSIM」と呼ばれるオンライン・ダウンロード型の料金プランを追加することが出来ます。
昨今では通信障害に備えて個人でも複数の携帯プランを1台のスマホに入れておくのが常識になりつつあり、初心者~中級者でもデュアルSIMによるプラン・サービスの選択が出来るAQUOS sense7が便利です。
☆「ドコモ公式サイト AQUOS sense7の割引・詳細をみる」
価格で選べるシャープの2022年3モデル
前項までに述べたとおり、AQUOS sense7は古い低価格スマホに比べて処理性能・カメラ性能などがグッとアップグレードされており、初めてのスマホユーザーではない中級者くらいの利用者でも満足できる多機能化・高機能化が適用されました。
一方で、”性能が上がった”とはいっても、スマートフォン業界では”ハイエンド”と呼ばれる最高・最先端の機能を盛り込んだスマートフォンは、さらにずば抜けた性能・機能を搭載し始めていたり、逆に”機能はアップはどうでもいいから安くスマホを買いたい”というユーザーには、もっと安いスマートフォンもシャープは選択肢を用意しています。
こだわりのユーザー向け [AQUOS R7] |
中級者向け [AQUOS sense7] |
初心者向け [AQUOS wish2] |
ドコモ価格 約20万円 |
ドコモ価格 5万円台 |
ドコモ価格 2.2万円 |
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本ページで紹介 |
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このように機能にも、価格にも極端な差があります。
予算を気にしないというユーザーは、最高峰のAQUOS R7を買えばAQUOS sense7よりもさらに次元が違うきれいな写真を撮ることも出来ます。しかし、AQUOS sense7を3台買えるお金を用意してもR7の価格1台分にも届きません。
逆に、AQUOS sense7の機能・性能を見て「使いこなせそうもない」と感じる初心者には、AQUOS sense7の半額以下で買えるAQUOS wish2という選択肢もあります。
AQUOS sense7は高すぎず、安すぎず、バランスのよいスマートフォンというポジションにあります。”スマホのことは詳しくはないけれど、初心者でもない”という人は、AQUOS sense7を選んでおけば失敗は少ないという評価です。
あとは予算と希望に合わせて、自分が納得できるAQUOS スマホを手に入れてください。
各モデルの機種変更価格・プラン料金はドコモ公式サイトを参照ください。
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