存在しない音を計測する際に
存在しない音を存在する音に変化させるためには、
存在しない音を、少しでも、計測可能なものにしていかなければならない。
まず、まだ存在していない音を思い浮かべる。
それを脳内で鳴らした瞬間にストップウォッチを押し、
それが脳内で鳴りやんだ瞬間にストップウォッチを押す。
これを何度も繰り返していくうちに、
ああ、この音は1.5秒ぐらいの音なのだな、
などと、ある程度数値化のとっかかりにはなる。
実は、「無音」も同じ。
曲と曲の間の「無音」がどのぐらいの長さが適切なのか、
目を閉じて、曲の終わりから通して聴き、
鳴りやんだ瞬間にストップウォッチを押し、
ここだ、この瞬間にこそ次の曲が始まるべきなのだ、
という瞬間に、ストップウォッチを押す。
CDアルバムの曲間などはこのようにして作られていたし、
現在でも、複数の曲を通して鳴らさなければならない
状況下での無音制作は、概ねこのようなものである。
波形を移動したって、適切な『間』は作れない。
まだ存在していない音であろうが、無音だろうが、
結局は渾身で聞き取って、
ストップウォッチにタイミングを、いわば「体から放出」し、数値を計測する。
------------------------
諸事情あって、
30年以上愛用していたストップウォッチを、手放した。
目を閉じて、「体からタイミングを放出する」必要があるので、
もちろん、スマホは代用できない。
せっかくだからいいものを買おう、
と思ったのがいけなかったようで、
新しく買ったストップウォッチが、ひどく使いづらい。
操作も複雑だし、何より、ボタンが固い。
そのボタンも、何やら2段階にクリックが来るように(おそらくは意図的に)作ってあって、ひどく押しづらい。
スポーツの計測には、この固いボタンと2段階クリックが便利なのだろうか。
(検索しても出てこなかった)
目を閉じてスイッチを押し、もう1回押しても、
スイッチを押し損ねて、計測できないことが増えてしまった。
考えてみれば、
「存在しない音や、無音を全身で計測する」
というニーズをメーカーも店員さんも把握するはずもなく、
思い返せば、手放したストップウォッチだって、
30年以上前、まだオタクの街に変貌する前の殺伐たる秋葉原で、
今はもうないビル内の、今はもうない店の店員さんに、
マウントされ、あしらわれ、怒鳴られながら、
貧しい中、何台か買い損した末に、
ようやくたどり着いたものであった。
ボタンが軽くて反応が良いこと。
操作音が切れること。
近年は操作音が切れるかどうか表示されていることが多くなったが、
実店舗に行ってもボタンの押し心地まで試せることはまずない。
(どこかにはあるかもしれないが、今となっては交通費とストップウォッチ購入代は、大差ないと思える)
とりあえず、30年以上使ったストップウォッチを手放し、
次に購入した自分の用途には使いづらかった、
「かなり高価なストップウォッチ」も手放し、
最近購入して使い始めたのは、
SEIKO ADMD008。
操作音も(ストップウォッチ用途としては)切っておけるし、
一つ前に手放した高級ストップウォッチよりボタンも軽い。
文字も大きく老眼にやさしい。
これでもまだ若干ボタンが固いのと、
操作音は消せるものの、
スイッチ自体の物理音が結構カチッと鳴ってしまうので、
「存在しない音や、無音を全身で計測する」、
という用途に完全一致とまではいかないが、
しばらくはこのまま行って、
体がこのストップウォッチに慣れなければ、
また買い替えることにしよう。(贅沢な話だ)
30年以上使ったものよりさらに前、
40年近く前に一時期使っていたストップウォッチは安物で、
動作音を設定で消すことができなかったが、
中を開けてスピーカー自体を取り去ることができた。
ボタンも軽く、用途に極めて適してはいたが、
数年で壊れた。
ひょっとすると、安物の中に、
自分の用途に適したストップウォッチがあるのかもしれない。
だが、しばらくは、このストップウォッチで行く。
存在しない音を、少しでも、計測可能なものにしていかなければならない。
まず、まだ存在していない音を思い浮かべる。
それを脳内で鳴らした瞬間にストップウォッチを押し、
それが脳内で鳴りやんだ瞬間にストップウォッチを押す。
これを何度も繰り返していくうちに、
ああ、この音は1.5秒ぐらいの音なのだな、
などと、ある程度数値化のとっかかりにはなる。
実は、「無音」も同じ。
曲と曲の間の「無音」がどのぐらいの長さが適切なのか、
目を閉じて、曲の終わりから通して聴き、
鳴りやんだ瞬間にストップウォッチを押し、
ここだ、この瞬間にこそ次の曲が始まるべきなのだ、
という瞬間に、ストップウォッチを押す。
CDアルバムの曲間などはこのようにして作られていたし、
現在でも、複数の曲を通して鳴らさなければならない
状況下での無音制作は、概ねこのようなものである。
波形を移動したって、適切な『間』は作れない。
まだ存在していない音であろうが、無音だろうが、
結局は渾身で聞き取って、
ストップウォッチにタイミングを、いわば「体から放出」し、数値を計測する。
------------------------
諸事情あって、
30年以上愛用していたストップウォッチを、手放した。
目を閉じて、「体からタイミングを放出する」必要があるので、
もちろん、スマホは代用できない。
せっかくだからいいものを買おう、
と思ったのがいけなかったようで、
新しく買ったストップウォッチが、ひどく使いづらい。
操作も複雑だし、何より、ボタンが固い。
そのボタンも、何やら2段階にクリックが来るように(おそらくは意図的に)作ってあって、ひどく押しづらい。
スポーツの計測には、この固いボタンと2段階クリックが便利なのだろうか。
(検索しても出てこなかった)
目を閉じてスイッチを押し、もう1回押しても、
スイッチを押し損ねて、計測できないことが増えてしまった。
考えてみれば、
「存在しない音や、無音を全身で計測する」
というニーズをメーカーも店員さんも把握するはずもなく、
思い返せば、手放したストップウォッチだって、
30年以上前、まだオタクの街に変貌する前の殺伐たる秋葉原で、
今はもうないビル内の、今はもうない店の店員さんに、
マウントされ、あしらわれ、怒鳴られながら、
貧しい中、何台か買い損した末に、
ようやくたどり着いたものであった。
ボタンが軽くて反応が良いこと。
操作音が切れること。
近年は操作音が切れるかどうか表示されていることが多くなったが、
実店舗に行ってもボタンの押し心地まで試せることはまずない。
(どこかにはあるかもしれないが、今となっては交通費とストップウォッチ購入代は、大差ないと思える)
とりあえず、30年以上使ったストップウォッチを手放し、
次に購入した自分の用途には使いづらかった、
「かなり高価なストップウォッチ」も手放し、
最近購入して使い始めたのは、
SEIKO ADMD008。
操作音も(ストップウォッチ用途としては)切っておけるし、
一つ前に手放した高級ストップウォッチよりボタンも軽い。
文字も大きく老眼にやさしい。
これでもまだ若干ボタンが固いのと、
操作音は消せるものの、
スイッチ自体の物理音が結構カチッと鳴ってしまうので、
「存在しない音や、無音を全身で計測する」、
という用途に完全一致とまではいかないが、
しばらくはこのまま行って、
体がこのストップウォッチに慣れなければ、
また買い替えることにしよう。(贅沢な話だ)
30年以上使ったものよりさらに前、
40年近く前に一時期使っていたストップウォッチは安物で、
動作音を設定で消すことができなかったが、
中を開けてスピーカー自体を取り去ることができた。
ボタンも軽く、用途に極めて適してはいたが、
数年で壊れた。
ひょっとすると、安物の中に、
自分の用途に適したストップウォッチがあるのかもしれない。
だが、しばらくは、このストップウォッチで行く。
- [2023/08/18 10:25]
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さよならCD3000
SONYのヘッドフォン、MDR-CD3000。
いつから使い始めたのか、もう覚えていない。
確か定価が5万ぐらいで、
「こんなに高いヘッドフォンがあるのか」
と思いながら、若い頃、相当な覚悟というか、
ほとんど破れかぶれで買ったことを覚えている。
このヘッドフォンの音の良さ、
かけ心地の良さをすっかり気に入ってしまい、
相当に使い込んだことも覚えている。
このヘッドフォンの最大の難点は、
非常に感触の良いイヤーパッドが、
経年とともに黒く剥がれ落ちてくることで、
出先でなんとなく他人の目線が冷たいな、
と思って家に戻って鏡を見たら、
イヤーパッドが剝がれた黒い破片が、
頬に点々とくっついていた、
なんてこともしばしばであった。
交換イヤーパッドも純正で6千円ぐらいしたと思う。
「こんなに高い交換部品があるのか」
と思って、1度交換したように思う。
覚えているのは、イヤーパッドを1回交換したこと、
それが高価な上に交換作業が大変だったこと、
その後、4~6年おきにCD3000本体を買い替えるようになったこと、
おそらくそのペースで2度ぐらい買い替えたこと、
最後に買った時にはかなり売値が下がり、
3万円台であったこと。
これほど音の良いヘッドフォンのことだ、
そう簡単になくなりはしないだろう、
なくなるころには、
次世代の高音質ヘッドフォンが、
同じ価格帯で出ることだろう、
次世代のCD3000が出るまでこれを使い続けよう、
そう思い続けていた。
そして、そう思い続けていること自体も、
いつしか、忘れてしまっていた。
------------------------
コロナ禍で自宅作業をしている最中、
「毎日風呂に入っているのに、
作業してるとまるで頭を洗っていないような
においがしてくるのはなぜだ?」
と思って、ふと気づけば、
CD3000のイヤーパッドは、
たいそう汚いことになっていた。
もうイヤーパッドの黒い表面は殆ど剥がれ落ち、
灰色の生地がむき出しになっている。
最後に買い替えてから、
考えてみれば10年以上は経っているだろうか。
こりゃだめだ、買い替えよう、
と思ったが、
CD3000はとっくに生産終了になっている。
次世代機とおぼしき型番もないし、
中古でもかなりの価格、
交換用のイヤーパッドも、
どれが純正でどれが互換品なのかよくわからないし、
純正品であれば黒い剝がれ落ちが気になるし、
純正品でなければ同じ音質が保証できない。
(ネットを見回すと、ヘッドフォンはイヤーパッドで音質が激変するのはもはや常識となっているようだ)
もう駆動部分も老朽化してるだろう、
よく見ればイヤーパッド以外もボロボロじゃないか、
これを維持しながら年を取って生涯を閉じる、
そういうわけにもいかないだろう、
そう思うに至った。
決めた。
捨てるっ。
CD3000、不燃ごみとして捨てた。
(あまりにも汚いイヤーパッド部分は公開自粛)
代わりは今のところ2台あって、
SONY MDR-Z7MK2とCD900ST。
ずいぶんとサウンドキャラクターの違う2台だが、
場合によって使い分けて様子を見る。
CD3000は、この2台の中間ぐらいの音であった。
「上記2台の能率―音量差は大きすぎないか」とか、
「あのメーカーのあの機種をお前はなぜ使わないのか」とか、
「あのメーカーのあの機種をお前は知らないのか」とか、
人によって色々ご意見はあるかもしれないが、
この2台ぐらいの音質があれば、
あとは脳で補正して何とかしていくつもりでいる。
いつから使い始めたのか、もう覚えていない。
確か定価が5万ぐらいで、
「こんなに高いヘッドフォンがあるのか」
と思いながら、若い頃、相当な覚悟というか、
ほとんど破れかぶれで買ったことを覚えている。
このヘッドフォンの音の良さ、
かけ心地の良さをすっかり気に入ってしまい、
相当に使い込んだことも覚えている。
このヘッドフォンの最大の難点は、
非常に感触の良いイヤーパッドが、
経年とともに黒く剥がれ落ちてくることで、
出先でなんとなく他人の目線が冷たいな、
と思って家に戻って鏡を見たら、
イヤーパッドが剝がれた黒い破片が、
頬に点々とくっついていた、
なんてこともしばしばであった。
交換イヤーパッドも純正で6千円ぐらいしたと思う。
「こんなに高い交換部品があるのか」
と思って、1度交換したように思う。
覚えているのは、イヤーパッドを1回交換したこと、
それが高価な上に交換作業が大変だったこと、
その後、4~6年おきにCD3000本体を買い替えるようになったこと、
おそらくそのペースで2度ぐらい買い替えたこと、
最後に買った時にはかなり売値が下がり、
3万円台であったこと。
これほど音の良いヘッドフォンのことだ、
そう簡単になくなりはしないだろう、
なくなるころには、
次世代の高音質ヘッドフォンが、
同じ価格帯で出ることだろう、
次世代のCD3000が出るまでこれを使い続けよう、
そう思い続けていた。
そして、そう思い続けていること自体も、
いつしか、忘れてしまっていた。
------------------------
コロナ禍で自宅作業をしている最中、
「毎日風呂に入っているのに、
作業してるとまるで頭を洗っていないような
においがしてくるのはなぜだ?」
と思って、ふと気づけば、
CD3000のイヤーパッドは、
たいそう汚いことになっていた。
もうイヤーパッドの黒い表面は殆ど剥がれ落ち、
灰色の生地がむき出しになっている。
最後に買い替えてから、
考えてみれば10年以上は経っているだろうか。
こりゃだめだ、買い替えよう、
と思ったが、
CD3000はとっくに生産終了になっている。
次世代機とおぼしき型番もないし、
中古でもかなりの価格、
交換用のイヤーパッドも、
どれが純正でどれが互換品なのかよくわからないし、
純正品であれば黒い剝がれ落ちが気になるし、
純正品でなければ同じ音質が保証できない。
(ネットを見回すと、ヘッドフォンはイヤーパッドで音質が激変するのはもはや常識となっているようだ)
もう駆動部分も老朽化してるだろう、
よく見ればイヤーパッド以外もボロボロじゃないか、
これを維持しながら年を取って生涯を閉じる、
そういうわけにもいかないだろう、
そう思うに至った。
決めた。
捨てるっ。
CD3000、不燃ごみとして捨てた。
(あまりにも汚いイヤーパッド部分は公開自粛)
代わりは今のところ2台あって、
SONY MDR-Z7MK2とCD900ST。
ずいぶんとサウンドキャラクターの違う2台だが、
場合によって使い分けて様子を見る。
CD3000は、この2台の中間ぐらいの音であった。
「上記2台の能率―音量差は大きすぎないか」とか、
「あのメーカーのあの機種をお前はなぜ使わないのか」とか、
「あのメーカーのあの機種をお前は知らないのか」とか、
人によって色々ご意見はあるかもしれないが、
この2台ぐらいの音質があれば、
あとは脳で補正して何とかしていくつもりでいる。
- [2021/01/16 22:20]
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FM音源の維持移行
技術的な話です。
興味のない方にはわけがわからず、
詳しい方には粗雑で、断片的な文章に見えるかと思います。
予めご了承ください。
興味のない方にはわけがわからず、
詳しい方には粗雑で、断片的な文章に見えるかと思います。
予めご了承ください。
- [2019/01/06 16:56]
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自作ケーブルひとつかみ廃棄
ケーブルは自分で作るもの、と思っていた。
非常に大きな代償と引き換えに覚えていった、かけがえのない知識。
この会社のこのケーブルが、最も音質と価格のバランスが良い。
この会社のこのプラグが、最も接触不良が起きにくく、ハンダ付けもしやすい。
このケーブルは、必要な分だけメートル単位で買うと、
ケーブル屋の店主がものすごく嫌そうな顔をする。
100m巻をまとめて買えば、嫌な顔もされず、値段も一気に安くなる。
MTR(マルチ・トラック・レコーダー)のケーブルであれば、
8chのアウトだけでも8本。パッチベイに出すのであれば、16本。
楽器類と使い回すためにはモノラル・フォンプラグが良く、
パッチベイの背面はRCAピンが良い。(接触不良が少なくて済む)
自分の楽器、自分の録音機材の置き場所、パッチベイの置き場所、
それらを測って、100m巻きのケーブルから切り取り、
1本ずつ、ハンダを使って、自作していく。
必要よりも短ければ、もちろん用をなさないし、
長すぎても、作業場の後ろに余分なケーブルのたまり場が出来て、
そこがノイズ発生源となる。
このケーブルも、このプラグも、もう進化しない。
だから、長ささえ適切であれば、
ケーブル作りは、決して無駄にはならない。
そう思っていた。
やがて録音機材がデジタルとなり、
8トラックぐらいが1本の光ケーブルで送信できるようになり、
それからさらにしばらくして、録音も、ミキシングも、
ほとんどコンピューターの内部でやるようになっていった。
機材が1つデジタル化するたびに、
使わない自作ケーブルが、8本、16本と、まとめて手元に残った。
ケーブル作りは、止まった。
何本作ったかは、覚えていない。
覚えていないが、100m巻きを買うようになってから、
それを2巻買って、2巻目の残りが少し残っている。
だから、100m巻以前のものを加えれば、
長さとしては200m前後、ということか。
1本のケーブルは20cmぐらいのものも、5mぐらいのものもあるので、
一概に何本作ったかは割り出せない。
新たに必要となり始めたケーブルは、
オプティカルとか、USBとか、到底自作する気になれないものだっった。
音質の鍵を握るデジタル用ケーブルは、
自作が必要なほど大量に必要にはならないし、
作るのだってなんだか怖い。
第一、ケーブルの中を通るのが“ファイル”になったら、
音の善し悪しは、ない。
(ある、という人もおられるが、データファイルが同じであれば音も同じ、と私は信じることにしている。同期外れとか、CDのエラーとか、転送中にどこかで勝手にテキストファイルみたいな改行が入っちゃってノイズになるとか、ああいうのはまた別の話。)
そうして、必要なケーブルは無造作に買うようになっていった。
絶対に無駄にならない、という信念で作り続けていたケーブルが、
延々と壁に架かっている。
まあいつか使うかも知れないしな、と架けっぱなしにしていたが、
よくよく記憶を辿ってみれば、
もう使われることもなく、10年以上も壁に架かっているように思う。
そういうわけで、大量にあるケーブルを“ひとつかみ”、廃棄した。
捨ててしまってから、
「あれは音質は確かなのだから売れば良かったんじゃないか」
などという思いもよぎったが、
10年以上ホコリをかぶっていたケーブルをアルコールか何かで拭いて、
「音のいい自作ケーブル」として売るのも、なんだか違うと思い直した。
もうちょっと、
「ケーブルが無駄になってしまった」とか、
「絶対に正しい知識が色あせてしまった」とか、
「これを作っていた苦しい時間を他に使っていれば」とか、
「さあ、これですっきりしたぞ」とか、
何らかの感慨が出てくるか、とも思ったが、
多少は上記のような思いも抱くものの、
それほど深い感慨というわけでもない。
おそらく、深い感慨を抱かずに済むぐらいに充分な時間、
壁に架けっぱなしにしていたからだろう。
大切なものを手放すのには、時間がかかる。
かさぶたと同じ。こういうものは時間をかけて。
非常に大きな代償と引き換えに覚えていった、かけがえのない知識。
この会社のこのケーブルが、最も音質と価格のバランスが良い。
この会社のこのプラグが、最も接触不良が起きにくく、ハンダ付けもしやすい。
このケーブルは、必要な分だけメートル単位で買うと、
ケーブル屋の店主がものすごく嫌そうな顔をする。
100m巻をまとめて買えば、嫌な顔もされず、値段も一気に安くなる。
MTR(マルチ・トラック・レコーダー)のケーブルであれば、
8chのアウトだけでも8本。パッチベイに出すのであれば、16本。
楽器類と使い回すためにはモノラル・フォンプラグが良く、
パッチベイの背面はRCAピンが良い。(接触不良が少なくて済む)
自分の楽器、自分の録音機材の置き場所、パッチベイの置き場所、
それらを測って、100m巻きのケーブルから切り取り、
1本ずつ、ハンダを使って、自作していく。
必要よりも短ければ、もちろん用をなさないし、
長すぎても、作業場の後ろに余分なケーブルのたまり場が出来て、
そこがノイズ発生源となる。
このケーブルも、このプラグも、もう進化しない。
だから、長ささえ適切であれば、
ケーブル作りは、決して無駄にはならない。
そう思っていた。
やがて録音機材がデジタルとなり、
8トラックぐらいが1本の光ケーブルで送信できるようになり、
それからさらにしばらくして、録音も、ミキシングも、
ほとんどコンピューターの内部でやるようになっていった。
機材が1つデジタル化するたびに、
使わない自作ケーブルが、8本、16本と、まとめて手元に残った。
ケーブル作りは、止まった。
何本作ったかは、覚えていない。
覚えていないが、100m巻きを買うようになってから、
それを2巻買って、2巻目の残りが少し残っている。
だから、100m巻以前のものを加えれば、
長さとしては200m前後、ということか。
1本のケーブルは20cmぐらいのものも、5mぐらいのものもあるので、
一概に何本作ったかは割り出せない。
新たに必要となり始めたケーブルは、
オプティカルとか、USBとか、到底自作する気になれないものだっった。
音質の鍵を握るデジタル用ケーブルは、
自作が必要なほど大量に必要にはならないし、
作るのだってなんだか怖い。
第一、ケーブルの中を通るのが“ファイル”になったら、
音の善し悪しは、ない。
(ある、という人もおられるが、データファイルが同じであれば音も同じ、と私は信じることにしている。同期外れとか、CDのエラーとか、転送中にどこかで勝手にテキストファイルみたいな改行が入っちゃってノイズになるとか、ああいうのはまた別の話。)
そうして、必要なケーブルは無造作に買うようになっていった。
絶対に無駄にならない、という信念で作り続けていたケーブルが、
延々と壁に架かっている。
まあいつか使うかも知れないしな、と架けっぱなしにしていたが、
よくよく記憶を辿ってみれば、
もう使われることもなく、10年以上も壁に架かっているように思う。
そういうわけで、大量にあるケーブルを“ひとつかみ”、廃棄した。
捨ててしまってから、
「あれは音質は確かなのだから売れば良かったんじゃないか」
などという思いもよぎったが、
10年以上ホコリをかぶっていたケーブルをアルコールか何かで拭いて、
「音のいい自作ケーブル」として売るのも、なんだか違うと思い直した。
もうちょっと、
「ケーブルが無駄になってしまった」とか、
「絶対に正しい知識が色あせてしまった」とか、
「これを作っていた苦しい時間を他に使っていれば」とか、
「さあ、これですっきりしたぞ」とか、
何らかの感慨が出てくるか、とも思ったが、
多少は上記のような思いも抱くものの、
それほど深い感慨というわけでもない。
おそらく、深い感慨を抱かずに済むぐらいに充分な時間、
壁に架けっぱなしにしていたからだろう。
大切なものを手放すのには、時間がかかる。
かさぶたと同じ。こういうものは時間をかけて。
- [2018/08/17 18:00]
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スピーカー衰退奮闘記(2)
――前回の続きです。
------------------------
箱を開けてみたら、
ほぼ同じ形のスピーカーが出てきた。
色、形、大きさ、スイッチの位置、何から何まで、
先日音が出なくなった、¥25800のスピーカーそっくりである。
通販で購入する際には何となく、
「ああ、最近こんな感じのスピーカーが主流なのかな」ぐらいに思っていたが、
主流というより、音が出なくなった手持ちのスピーカーの、
劣化コピーというか、パチモンというか、
同じような仕様でただただコストを下げたものが、
¥4999で売っていた。それを買ってしまったらしい。
スイッチ類の位置はほぼ同じだが、
こちらは漆黒の筐体に僅かな凹凸のみの表示である。
明るい場所で凝視しないとスイッチの位置は判別できない。
これでは薄暗い、あるいは真っ暗な寝る前の環境では操作できまい。
一応電源を入れてみる。
前のスピーカーよりもさらなる爆音で、
「ラ♭ドミ♭ドーっ!」という音が三角波らしき音で轟き、
「ラーミーっ!」とBluetoothが繋がる。
音声ガイドはなさそうだが、
そんな操作音までまねしなくていいのに。
著作権避けのためか、フレーズは変えてある。
Bluetoothで音を出してみる。
「こぼー!」という音である。
価格が¥4999だったので、
音質は¥25800のスピーカーの5分の1ぐらいは覚悟の上だが、
ただ単に低音質なのではなく、強い癖のある音。
そして、音量調節が、前のものよりさらにやりづらい。
高い方よりも、明らかに音が大きいのだ。
Bluetooth使用時、最小音量にしても、
これでは音量が大きすぎて睡眠用に使えない。
スピーカーを壁面に向けて裏返してみる。
スピーカーの指向性が狭いようで、
さらにさらに「こぼー!」という音になる。
これほど癖のある音では「何となく音が鳴ってる」状態は実現不可能だ。
ライン入力に入れてみる。
おっ、歪まない。高域が大いに追加された。
それに、ライン入力なら、音量調整がかなりの小音量まで調節できる。
これなら、どうにかこうにか、
「寝る前になんとなく音楽が鳴ってる」が実現できるかもしれない。
それにしても、この「こぼー!」という音の特徴をどう表現したらいいかと思い、
一応、この文章を書いているノートパソコン内部で、
イヤホンでモニターしつつ、プラグインのEQで似たような音を作ってみた。
大ざっぱに言って、パラメトリックEQで、
・300Hzを19dB上げる
・1KHz近辺をベルカーブ2.5Octで-16dB下げる
以上がBluetooth時の音の感じで、ライン入力はこれに、
・7KHzを10dB上げる
が加わる感じとなる。
もちろん測定したわけでもないし、
「こんな感じの音」とEQでささっとやってみただけなので、
全く主観的な再現なわけだが、
音の知識が多少ある方なら、
「こぼー!」な感じがお分かりいただけるだろうか。
そして、驚くべきは「光」である。
充電中に赤いLEDが鋭く光るのは、まあありそうなことだが、
電源が入っているときに光る青いLEDが、
「キーホルダー型のLEDライト」並の明るさである。
そして、Bluetoothを使用中、その光がずっと、
点滅しているのである。
真っ暗な部屋でBluetoothを鳴らすと、
部屋全体がSF映画の緊急事態シーンのような明滅である。眠れない。
さて、ここまで出た問題を対処する。
・Bluetoothは使わない。ライン入力のみとする。
・全く見えない電源スイッチには目印に白いカバーアップテープを貼り付ける。
・充電LED、電源LED両方共カバーアップテープで目張りする。
こうして、「寝る前になんとなく音が鳴っててほしい」という用途に、
まあ使えないこともないが、何となく納得いかないスピーカー、
が出来上がった。
黒い筐体が白いカバーアップテープまみれで、
見苦しいことこの上ない。
------------------------
実はもう一つ、スピーカーを同時に購入した。
電源を使わないパッシブスピーカーで、
スマホのアウトに挿して、そのまま鳴らすもの。
電源を使うアクティブスピーカーだからこんな目に遭うのではないか、
という予測もあって調べたら、安価なものがネットにあったのだ。
500円玉ぐらいの口径のスピーカーが2個並んで、
一つの薄っぺらい筐体に入っており、
その筐体からケーブル無しで直接端子が出ている。
枕元のスマホの位置とスピーカーの位置を調節するため、
延長ケーブルも同時購入した。
スピーカーは¥953。延長ケーブルも似たような値段。
こういうものがちゃんと鳴れば、
アンプ回路がないのだから、末永く鳴らしていけるだろう、
と思ったのだが、だめだった。
どうだめな音なのか、描写する気にもなれない。
使用しているスマホのスピーカーが、
じつはあれでも相当に(もちろんイヤホン分岐後に)、
EQ等で調節されていることがわかる。
普段、「鳴ってるうちに入らん」と思ってるスマホのスピーカーだが、
実はあれはあの体積の中で極限までいい音であろうとした音なのだ、
ということがよくわかる。耐久性も含め、原価も相当なものなのだろう。
通販サイトで目にした「スマホのスピーカーのほうがまし」という評価は、
知ったかぶりの誤評価などではなかったのだ。
------------------------
と、2種類のスピーカーを試行錯誤し、一段落した後に、
鳴らなくなった方のスピーカーメーカーから、
バッテリー交換依頼メールの返信が来た。
長文のテスト手順である。
・無充電で48時間放置
・再起動(◯ボタンと●ボタンを同時に長押ししながら
電源ケーブルを抜くなど、両手を使っても難しい手順が含まれる)
・初期化の方法(×ボタンを10秒長押しなど)
・ファームウェアのアップデート(専用アプリをPCにインストール)
これらを全部やってダメだったらもう一度メールをくれ、との事。
有償でもいいと言っているのだが、バッテリーは交換させたくないらしい。
音すら出ないものを、
ネットオークションで“ジャンク”として売るのは、
ジャンクと明記したって気が引けるし、手間もかかる。
仕方なしに、上から順に作業をしていいく。
再起動後だったか、初期化後だったか、忘れてしまった。
音が鳴り出した。
何とライン入力の歪みも相当に改善している。
ファームウェアアップデートまで行かずに、
ライン入力の歪みまでが改善されてしまった。
(でもまだ低音がだいぶ歪んでいるけれど)
これはどういう仕組みなのか?
バッテリーの寿命ではなかったのか?
試しに、フル充電してから、AC給電をしない状態で、
2日間寝る前に鳴らしてみたが、
バッテリーはまだ100%である。
(初期化によって復活した音声ガイドが「バッテリーは100%です」と叫んでいる。この言葉は本当なのか。)
要するに、どういうわけだか、あらかた治ってしまった。
新しいスピーカー2種類の購入と格闘は、
無駄になってしまったらしい。
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パッシブスピーカーは一聴して駄目だったので、
枕元から早々に引き上げてしまったが、
今、宿泊先の私の狭い枕元には、
・一応治ったがいつまた壊れるかわからない高価なスピーカー
・そのACケーブル。(今後は普段は繋がないこととする)
・「こぼー!」という音で、白いテープが沢山貼り付けてある新品スピーカー
・そのACケーブル。(こちらも普段は繋がないこととする)
・ラインケーブル。(新しいスピーカーはライン入力でのみ使うこととする)
という品々が散乱している。
実に見苦しいし、煩雑である。
「寝る前に、小音量でなんとなく音楽が鳴っててほしい」
という軽い希望には見合わない時間と労力である。
当分この散乱状態で、高い方のスピーカーを使い続け、
バッテリーが再びおかしくなったら、
すぐにその場で「こぼー!」のライン入力に乗り換える、
という計画でいる。
高い方のバッテリーが再びおかしくなり、
新しい方の「こぼー!」に耐えられなくなったら、どうするか。
先週ぐらいまではなんとなく、
「秋葉原にスピーカーユニットを買いに行って、
百円ショップのタッパーにでも取り付ければ、
用途には充分な音が出るのではないか」、などと思っていたのだが、
パッシブスピーカーではスマホはうまく鳴らないらしい、
という経験をしたので、この計画の実現性は低い。
まあ、今のもの、その次のものが駄目になってからという、
3手先の話なので、まだまじめに考える時期でもなかろう。
第一、スマホの機種変をする頃には、
スマホにイヤフォンアウトがなくなってる可能性だって、
無いとは言えない気配になってきた。
(有線のイヤフォンが使えないスマホなど荒唐無稽に思っていたが、
現にあるので先のことはわからないものだ。
無線転送だとヘッドフォン・イヤフォンの駆動に電源が必要となる。
このことは改善されまい。
ということは、スマホからイヤフォンがなくなっていく代わりに、
イヤフォンアウトがついてそれなりのDAコンバーターを搭載した
携帯音楽プレーヤーが再興し、スマホと同期可能となる、
などという可能性も想像してしまう。
Bluetoothだって、必ず音質劣化する仕様なのだから、
そのうち44.1KHz/16bit、2Trackぐらいのデータ量なら
非圧縮での近距離無線規格だって、できないとも限らない。
なんとなく鳴らしておくだけでも、音質を気にしなくても、
BluetoothとCDの非圧縮では、はっきりと体調まで違ってくる。
要するに、この混迷はまだまだ続くはずだ。)
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いずれにせよ、私たちはついつい、
テクノロジーの進化をどう生きるかを話しがちだが、
テクノロジーの退化をどう生き抜くかが切実だ。
必要なものごとははっきりしている。
そのはっきりしたもの、当たり前にできていたことが、
マジョリティーの消費行動によって、できないことになっていく。
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箱を開けてみたら、
ほぼ同じ形のスピーカーが出てきた。
色、形、大きさ、スイッチの位置、何から何まで、
先日音が出なくなった、¥25800のスピーカーそっくりである。
通販で購入する際には何となく、
「ああ、最近こんな感じのスピーカーが主流なのかな」ぐらいに思っていたが、
主流というより、音が出なくなった手持ちのスピーカーの、
劣化コピーというか、パチモンというか、
同じような仕様でただただコストを下げたものが、
¥4999で売っていた。それを買ってしまったらしい。
スイッチ類の位置はほぼ同じだが、
こちらは漆黒の筐体に僅かな凹凸のみの表示である。
明るい場所で凝視しないとスイッチの位置は判別できない。
これでは薄暗い、あるいは真っ暗な寝る前の環境では操作できまい。
一応電源を入れてみる。
前のスピーカーよりもさらなる爆音で、
「ラ♭ドミ♭ドーっ!」という音が三角波らしき音で轟き、
「ラーミーっ!」とBluetoothが繋がる。
音声ガイドはなさそうだが、
そんな操作音までまねしなくていいのに。
著作権避けのためか、フレーズは変えてある。
Bluetoothで音を出してみる。
「こぼー!」という音である。
価格が¥4999だったので、
音質は¥25800のスピーカーの5分の1ぐらいは覚悟の上だが、
ただ単に低音質なのではなく、強い癖のある音。
そして、音量調節が、前のものよりさらにやりづらい。
高い方よりも、明らかに音が大きいのだ。
Bluetooth使用時、最小音量にしても、
これでは音量が大きすぎて睡眠用に使えない。
スピーカーを壁面に向けて裏返してみる。
スピーカーの指向性が狭いようで、
さらにさらに「こぼー!」という音になる。
これほど癖のある音では「何となく音が鳴ってる」状態は実現不可能だ。
ライン入力に入れてみる。
おっ、歪まない。高域が大いに追加された。
それに、ライン入力なら、音量調整がかなりの小音量まで調節できる。
これなら、どうにかこうにか、
「寝る前になんとなく音楽が鳴ってる」が実現できるかもしれない。
それにしても、この「こぼー!」という音の特徴をどう表現したらいいかと思い、
一応、この文章を書いているノートパソコン内部で、
イヤホンでモニターしつつ、プラグインのEQで似たような音を作ってみた。
大ざっぱに言って、パラメトリックEQで、
・300Hzを19dB上げる
・1KHz近辺をベルカーブ2.5Octで-16dB下げる
以上がBluetooth時の音の感じで、ライン入力はこれに、
・7KHzを10dB上げる
が加わる感じとなる。
もちろん測定したわけでもないし、
「こんな感じの音」とEQでささっとやってみただけなので、
全く主観的な再現なわけだが、
音の知識が多少ある方なら、
「こぼー!」な感じがお分かりいただけるだろうか。
そして、驚くべきは「光」である。
充電中に赤いLEDが鋭く光るのは、まあありそうなことだが、
電源が入っているときに光る青いLEDが、
「キーホルダー型のLEDライト」並の明るさである。
そして、Bluetoothを使用中、その光がずっと、
点滅しているのである。
真っ暗な部屋でBluetoothを鳴らすと、
部屋全体がSF映画の緊急事態シーンのような明滅である。眠れない。
さて、ここまで出た問題を対処する。
・Bluetoothは使わない。ライン入力のみとする。
・全く見えない電源スイッチには目印に白いカバーアップテープを貼り付ける。
・充電LED、電源LED両方共カバーアップテープで目張りする。
こうして、「寝る前になんとなく音が鳴っててほしい」という用途に、
まあ使えないこともないが、何となく納得いかないスピーカー、
が出来上がった。
黒い筐体が白いカバーアップテープまみれで、
見苦しいことこの上ない。
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実はもう一つ、スピーカーを同時に購入した。
電源を使わないパッシブスピーカーで、
スマホのアウトに挿して、そのまま鳴らすもの。
電源を使うアクティブスピーカーだからこんな目に遭うのではないか、
という予測もあって調べたら、安価なものがネットにあったのだ。
500円玉ぐらいの口径のスピーカーが2個並んで、
一つの薄っぺらい筐体に入っており、
その筐体からケーブル無しで直接端子が出ている。
枕元のスマホの位置とスピーカーの位置を調節するため、
延長ケーブルも同時購入した。
スピーカーは¥953。延長ケーブルも似たような値段。
こういうものがちゃんと鳴れば、
アンプ回路がないのだから、末永く鳴らしていけるだろう、
と思ったのだが、だめだった。
どうだめな音なのか、描写する気にもなれない。
使用しているスマホのスピーカーが、
じつはあれでも相当に(もちろんイヤホン分岐後に)、
EQ等で調節されていることがわかる。
普段、「鳴ってるうちに入らん」と思ってるスマホのスピーカーだが、
実はあれはあの体積の中で極限までいい音であろうとした音なのだ、
ということがよくわかる。耐久性も含め、原価も相当なものなのだろう。
通販サイトで目にした「スマホのスピーカーのほうがまし」という評価は、
知ったかぶりの誤評価などではなかったのだ。
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と、2種類のスピーカーを試行錯誤し、一段落した後に、
鳴らなくなった方のスピーカーメーカーから、
バッテリー交換依頼メールの返信が来た。
長文のテスト手順である。
・無充電で48時間放置
・再起動(◯ボタンと●ボタンを同時に長押ししながら
電源ケーブルを抜くなど、両手を使っても難しい手順が含まれる)
・初期化の方法(×ボタンを10秒長押しなど)
・ファームウェアのアップデート(専用アプリをPCにインストール)
これらを全部やってダメだったらもう一度メールをくれ、との事。
有償でもいいと言っているのだが、バッテリーは交換させたくないらしい。
音すら出ないものを、
ネットオークションで“ジャンク”として売るのは、
ジャンクと明記したって気が引けるし、手間もかかる。
仕方なしに、上から順に作業をしていいく。
再起動後だったか、初期化後だったか、忘れてしまった。
音が鳴り出した。
何とライン入力の歪みも相当に改善している。
ファームウェアアップデートまで行かずに、
ライン入力の歪みまでが改善されてしまった。
(でもまだ低音がだいぶ歪んでいるけれど)
これはどういう仕組みなのか?
バッテリーの寿命ではなかったのか?
試しに、フル充電してから、AC給電をしない状態で、
2日間寝る前に鳴らしてみたが、
バッテリーはまだ100%である。
(初期化によって復活した音声ガイドが「バッテリーは100%です」と叫んでいる。この言葉は本当なのか。)
要するに、どういうわけだか、あらかた治ってしまった。
新しいスピーカー2種類の購入と格闘は、
無駄になってしまったらしい。
------------------------
パッシブスピーカーは一聴して駄目だったので、
枕元から早々に引き上げてしまったが、
今、宿泊先の私の狭い枕元には、
・一応治ったがいつまた壊れるかわからない高価なスピーカー
・そのACケーブル。(今後は普段は繋がないこととする)
・「こぼー!」という音で、白いテープが沢山貼り付けてある新品スピーカー
・そのACケーブル。(こちらも普段は繋がないこととする)
・ラインケーブル。(新しいスピーカーはライン入力でのみ使うこととする)
という品々が散乱している。
実に見苦しいし、煩雑である。
「寝る前に、小音量でなんとなく音楽が鳴っててほしい」
という軽い希望には見合わない時間と労力である。
当分この散乱状態で、高い方のスピーカーを使い続け、
バッテリーが再びおかしくなったら、
すぐにその場で「こぼー!」のライン入力に乗り換える、
という計画でいる。
高い方のバッテリーが再びおかしくなり、
新しい方の「こぼー!」に耐えられなくなったら、どうするか。
先週ぐらいまではなんとなく、
「秋葉原にスピーカーユニットを買いに行って、
百円ショップのタッパーにでも取り付ければ、
用途には充分な音が出るのではないか」、などと思っていたのだが、
パッシブスピーカーではスマホはうまく鳴らないらしい、
という経験をしたので、この計画の実現性は低い。
まあ、今のもの、その次のものが駄目になってからという、
3手先の話なので、まだまじめに考える時期でもなかろう。
第一、スマホの機種変をする頃には、
スマホにイヤフォンアウトがなくなってる可能性だって、
無いとは言えない気配になってきた。
(有線のイヤフォンが使えないスマホなど荒唐無稽に思っていたが、
現にあるので先のことはわからないものだ。
無線転送だとヘッドフォン・イヤフォンの駆動に電源が必要となる。
このことは改善されまい。
ということは、スマホからイヤフォンがなくなっていく代わりに、
イヤフォンアウトがついてそれなりのDAコンバーターを搭載した
携帯音楽プレーヤーが再興し、スマホと同期可能となる、
などという可能性も想像してしまう。
Bluetoothだって、必ず音質劣化する仕様なのだから、
そのうち44.1KHz/16bit、2Trackぐらいのデータ量なら
非圧縮での近距離無線規格だって、できないとも限らない。
なんとなく鳴らしておくだけでも、音質を気にしなくても、
BluetoothとCDの非圧縮では、はっきりと体調まで違ってくる。
要するに、この混迷はまだまだ続くはずだ。)
------------------------
いずれにせよ、私たちはついつい、
テクノロジーの進化をどう生きるかを話しがちだが、
テクノロジーの退化をどう生き抜くかが切実だ。
必要なものごとははっきりしている。
そのはっきりしたもの、当たり前にできていたことが、
マジョリティーの消費行動によって、できないことになっていく。
- [2017/10/21 14:30]
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