Rietty
『鍛冶屋』に憧れ続ける『かじや』 (有)藤鉄工 代表取締役 加藤耕平氏
「子どもの頃から親父に仕事を手伝わされていました。でも、この仕事が嫌だったので継ごうとは思っていませんでした。」
加藤耕平さん58歳。
来年で創業50年になる(有)藤鉄工の二代目 代表取締役です。
お父様から事業を引き継いだのは2005年のこと。
高校卒業後、専門学校の建築科に進学した耕平さんは、卒業後、某建築会社に就職をし、大工からの修行を始めました。
けれども1年で退社。
家業を継ぐ決心をして伊達に戻ってきました。
お父様との子弟関係の始まりです。
お父様が事業を興したのが1973年。
そのお父様の下で働き、50年目を迎える佐藤さん。
この日も黙々と仕事をされていました。
「創業当時は、バルコニー・煙突のエント梯子・住宅関連の仕事の受注が多かったです。けれども時代の流れでアルミやステンレスが主流となり、仕事の依頼に変化がありました。ちょうどその頃、伊達市内の拡幅工事が始まり、店舗などの重量鉄骨鋼造物の仕事が多くなったのです。ところがそれも終わった15〜20年前になると受注がめっきり少なくなりました。製缶といって、建物以外の工事の依頼が来るようになりました。例えば週末処理場の汚水菅や製鉄所の設備工事の仕事です。さらに大打撃だったのは、東日本大震災をきっかけに原子力発電所の仕事が無くなったことでした。」
どんどん減っていく仕事…。
2012年に大きな転機が訪れます。
その年の年末にお母様が亡くなり、その翌年から仕事もすっかり無くなってしまいました。
「この時、家族とも相談し、佐藤さんにも相談し、廃業をする決心をしました。」と耕平さん。
意を決し、信頼を寄せている会社様のところへ行き、「廃業をするので佐藤さんと自分を使ってください。と頭を下げに行きました。」
結果として、廃業は思い留まることになりますが、そこから厳しい修行が始まりました。
加藤さん48歳、佐藤さん60歳の時です。
「相談先の社長の提案で、私は、その会社様の仕事を受注するために2年間修行に通うことになりました。修行をさせていただきながら仕事も作っていただき、佐藤さんには弊社工場で作業をしていただいていました。お陰様で新たな技術を習得することが出来、それまで受注をしたことがなかった漁業機具や船の仕事を請け負うことができるようになったのです。」
新たな技術習得のためとは言え、力仕事をするための片道50km以上の毎日の通勤は、さぞかし体にも堪えたことと思います。
「修行はなかなか大変なものでした。それまでは常に水平と垂直を確実に測りながら行う仕事だったからです。ですから、湾曲が多い船の仕事はとても戸惑いました。また、「鉄」一筋で来たため、ステンレスでできた漁業機具を扱う仕事にも戸惑いました。何もかも初めてのことばかりの修行でしたが、あの時お世話になったお陰で今があるので本当に感謝しています。」
それでも、時代の流れは安定をさせてくれません。
再び、ここ2〜3年の厳しい状況を経て、いままた少し仕事が戻ってきたそうです。
浮き沈みの激しさの辛さについては、筆者とは業種は違いますがとても理解できます。
「ところで、社名の由来を教えてください。どうして「加藤鉄工」ではなく「藤鉄工」なのですか?」
「親父が付けた社名なのですが、“加藤”と“佐藤” の共通文字 “藤” を採ったのだそうです。」
なるほど!
お父様が佐藤さんを大切に想っていらっしゃった気持ちがよく分かります。
その先代の想いも引き継いだ耕平さん。 だからこそ、佐藤さんは50年も勤めておられるのですね。
さて。
空前のキャンプブームの昨今ですが。
実は、耕平さんは40年来の筋金入りキャンプ好きです。
しかも長年のコールマン製品コレクターでもあります。
そんなバックボーンを持つ耕平さんが、今ライフワークにしていること。
それは『kokoperi iron』というアウトドアガレージブランドの運営です。
↓ショップはこちら。
こちらの焚き火台ほかの鉄製品は、全て耕平さんの作品です。
鉄を使い、一つ一つに時間をかけ、丁寧に叩いて叩いて作られた本物が並びます。
鋳造ではありません。
「鍛冶屋」の仕事です。
もう本当に素敵です。
もちろん、オール鉄なので重量感もあります。
「重いですが、自分が使いたいものを作りました。」
「ところで、何故、そこまで鉄にこだわるのですか? 大好きなコールマンも鉄ではないのに…。」
「焼き入れをする鍛冶屋への憧れです。これら商品は確かに叩いて作っています。でも、絶滅危惧種的に刃物などを作っている人もいらっしゃる中で 漢字の “鍛冶屋” は名乗れないです。だから僕の場合は、“鍛冶屋” に憧れる ”かじや” です。」
「なるほど…そういうことでしたか。でもそういう謙虚なところが耕平さんの魅力だと思います。」
「それでも憧れを追っています。漢字の “鍛冶屋” に少しでも近づきたくて。自分なりに価値感を見出しながら、必要とされる存在になりたいと思っています。」
『鍛冶屋』に憧れ続ける『かじや』。
どこまでも謙虚で熱い加藤耕平さん。
その仕事への想いと姿勢に心打たれた筆者です。
編集部のライターとして月に2~3回ほど、皆様のお目にかかることになりましたRiettyです。
この場では、私が出会った「好き」や「楽しい」や「いいね!」を皆様におすそわけさせていただきたいと思っています。
いろんなモノ。
いろんなコト。
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楽しむための情報の一つとして。
どうぞ末長くお付き合いくださいね ♡
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