心の伊達市民 第一号
朝起きて行くところが無いと、私は浅草に行く。
浅草へは都バスで「東銀座」に出て、そこから都営「浅草線」で行けるので、シルバーパスが使える。
だから行くところが無い時は、交通費の掛からない浅草になるのである。
最近は地下鉄で浅草駅で降りる人が増えて来た。観光客が増えて来たのを実感する。
「話神」と「踊神」の顔ハメ
浅草のことは何回も書いたので、今回は違う視点で浅草を徘徊してみた。
それは観光客用の「顔ハメ」の写真を撮ることである。
地下鉄駅を出て地上に出ると、コロナ全盛期にはガランとしていた町が見違えるほど元気になっている。
先ず目に付くのが、歩道に出来ている長い行列である。
これは和菓子屋の「丸十」という店で、その店の名物「どら焼き」を求める人達である。
「フーテンの寅さん」の顔ハメ
いつも見掛ける「顔ハメ」を改めて探すと、どこにでもあるわけではない。
雷門から仲見世通りを通り浅草寺まで行ったが、その通りには無かった。
仲見世通りを少し戻り、新仲見世通りを六区の手前まで行ったがそこにも無い。
以前は気にもしていなかったので、どこにでもあるように思っていた。
「六芸神」の顔ハメ
やっと見付けたのは「六区」で、そこには演芸場や大衆演劇場があり、その辺りにかたまってあった。
昔の「顔ハメ」は1人用が主で、時々、2人用がある程度だった。
ところが浅草の「顔ハメ」の中には三社祭のものがあり、大勢で神輿を担ぐ中に3人で入って「顔ハメ」をするものまであるのが面白い。
その辺りを「顔ハメ」を探してウロウロしたが、結局は5つしか見付けられなかった。でも人は出ているが、誰も「顔ハメ」はしていなかった。今では日本人はこんなことをしなくなり、外国人観光客用なのかもしれない。
「三社祭」の顔ハメ
「顔ハメ」探索が終り、次に「なにか面白いものはないか?」と思ってアチコチと歩き廻ってみた。私が割合に好きなのは、店が閉まった後にシャッターを下ろすと現れるシャッター絵である。
江戸を意識した絵が多く、見た廻るだけで面白い。
しかしこれは営業中は分からないで、店が閉まった後でないと見ることが出来ない。いまでもコロナの影響で閉店か廃業した店のシャッターが閉まっているところもあるので、少しなら見ることが出来る。
歌舞伎の演目「め組の喧嘩」のシャッター
六区の通りには面白いものがある。それは「六芸神」という6人の芸人のブロンズ像である。
その6人とは「唄神」の東海林太郎、「奏神」の田谷力三、「話神」の古今亭志ん生、「戯神」の大道芸人、「演神」の榎本健一、「踊神」の水之江瀧子である。しかしこの6人で実際に浅草と縁が深かったのは、榎本健一だけのようだ。それなら、渥美清、浅香光代、内海桂子、大宮敏光、八波むと志、
伴淳三郎、坊屋三郎、ビートたけし、益田キートン、美空ひばり、淡谷のり子、藤山一郎、林家三平、梅沢富美男など浅草から出た芸人は数え上げたらキリがない。いまやお笑いは大阪の吉本に移ってしまったが、昔は浅草だったのである。
「六芸神」のブロンズ像
浅草では多くの観光客は時間の制限もあり、仲見世通りを進み浅草寺にお参りする。その後は中にはロック方面に行く人も少しはいるが、多くは伝法院通りに行く。
そしてネットに出ているメンチカツや、台湾のから揚げなどを立ち食いして満足そうに帰って行く。
予算に余裕のあるカップルなどは、人力車で遊覧している。
私は裏通りで面白いものを見付けた。最初はなんだか分からなかった。
近付いてみたら、それは自動販売機だった。それにしても浅草には派手な自販機がある。
葛飾北斎の浮世絵の自動販売機
(おまけの話)
浅草へ行った時に、私がよく行く店の紹介である。
昼飯は色々な店に行くが、一番多いのが「ひさご通り」のラーメンの「めんまる」である。1ヶ月ぶりに行ったら、自動販売機の値段が330円から20円値上がりして350円になっていた。
いつものように店内ではなく、店の外に並べられたテーブルで道行く人を見ながらラーメンを食べた。
歩いている人も地元民なので、誰も私のことなど気にしていない。そこだけがアジアの雰囲気があり、なんとも面白い。
「めんまる」のラーメンは20円の値上がり
ラーメンを食べ終ると、六区の中心に戻り「サンマルク」に行く。
ここで「コーヒーゼリー」を食べながら、持参した本を読んで静かに流れる時間を過ごす。前回の値段をハッキリとは覚えていないが、コーヒーゼリーが540円で値上げになっているように感じた。
本を読み終えて同じビルにある地下一階の「西友」のトイレに行った。
そこに怪しげな男がいて、洗面台の上に食パン2つと菓子パンいつが裸のままで置いてあった。男はなんとなくソワソワしているように感じたので、もしかしたら万引きかもしれない。
サンマルクのコーヒーゼリー(540円)
帰り道には新仲見世通りを通ると、以前によく買ったマスクを売る店がある。
値札を見たら、全く同じマスクが90円の値上がりで190円となっていた。
その先の左側の角に「鳴門天然鯛焼き屋」がある。
ここで鯛焼きを1個買い、店の横のベンチに腰掛けて食べる。
最初の頃は100円台だった鯛焼きは、この日は240円になっていた。
私の周りにも、値上げの波が押し寄せて来ている。
「鳴門天然鯛焼き」(240円)
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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