昔の映画を見ています

月丘夢路ゴージャス。北原三枝のバースデーパーティーという体で、多数の日活スタアがカメオ出演。
　渋谷にて「あなたは猪俣勝人を知っているか」特集。５６年、白黒、日活。デジタル上映。イノマタ猪俣勝人はイノウメとの共同脚本。

　映画と新劇を往還する美人女優と、それを利用する、新劇と学生演劇の者たち。
　ここで安倍徹プロデューサーと、金子信雄監督が、普段悪役役者なのに、妙に紳士的。普通なら、新興勢力の映画が、悪辣な手口で金にあかせて手籠めするように、旧勢力・新劇(新劇という名の旧勢力)を、いぢめるのが、定番だろう。
　なのにツキユメ月丘夢路に、やさしい映画人。
　ツキユメ月丘夢路は、この映画の翌年、イノウメ井上梅次と結婚するという。そういえば金子信雄監督が、妙にイノウメ井上梅次ライク。この映画、公開プロポーズか、と(笑)。
　この映画では、ツキユメがシャワーシーンもお風呂シーンも充実(笑)。もちろんバストはぎりぎり見せないのだが、この時代にあっては、珍しい。ネットで誰かが言っていたのだが、これはイノウメの、ツキユメは俺のものだぜ、というイノウメ宣言？だとか。

「ねえ明日の撮影、大坂志郎とリビングで会話する脚本なんだけど、大坂はリビングのまま、君はバスルームで、会話してほしいんだけど」
「えーじゃあ、あたしははだかー」
「まあ、そういうことに、なるかなっ」
「もーえっちー」
「ははは」
「もーむふふふ。やだー」てな感じかな(笑)。

　撮影所試写室に、川島雄三がエキストラ。相変わらず口を突き出している。あれは癖なのか、なんなのか。

　おちょぼ口といえば、これが映画デヴューという珍優(笑)仲代達矢の珍演は、今回もあり。
　ツキユメとの初キスで、抱き合い、唇を近づけるショットで、なんと、10秒前から、唇をタコぐちに突き出して、キスやる気満々状態(笑)。こういうところで、演技的油断か、日ごろの行いが露呈しちゃうだよなあ(笑)。


井上梅次「火の鳥」(シネマヴェーラ渋谷HPより)　
出演：月丘夢路、伊達信、三橋達也、仲代達矢、中原早苗、山岡久乃、大坂志郎、植村謙二郎、金子信雄
劇団のスター・エミが映画に進出、主演作『火の鳥』の相手役に新人の敬一を抜擢する。二人は愛人関係になるが、映画出演を劇団から批判され、敬一にも利用されたことを知り…。仲代達矢のデビュー作でもある。中原早苗、三橋達也、山岡久乃、大坂志郎、金子信雄ら芸達者な役者に囲まれながら、超美貌の女優を堂々と演じるは今年生誕百年を迎える月丘夢路。監督の井上梅次と公開翌年に結婚することになる。


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