番匠義彰「クレージーの花嫁と七人の仲間 乱気流野郎」ハナ肇、植木等、谷啓、高千穂ひづる、倍賞千恵子、伴淳三郎、山本豊三、峯京子
楽しい快作にして失敗成功相半ばの「凡庸」な「意欲的実験作」。なんだそりゃ。
阿佐ヶ谷にて「蔵出し!松竹レアもの祭 1年遅れの松竹映画100周年祝」特集。62年、松竹大船。
とにかく前半は楽しい楽しい。
倍賞千恵子ら松竹歌劇団レビュー。ミッキーカーチス、ザピーナッツらのフジテレビのヴァラエティー。ナイトクラブでの平岡精二。エンタメの楽しさ。
倍賞千恵子の胸の谷間なんて初めて見た。ダンスで体を揺らすと、ドレス越しに胸が揺れるのも珍風景。
ザピーナッツ、二人とも細い目で、黒目勝ち、といえば聞こえはいいが、白目がほとんどない(笑)。こはい(笑)。
ピーナッツが下りてくる、数段程度のミニ階段。フジテレビの資材の使いまわしなのだろうが、黒階段なのに、ところどころ白く剥げている。小さい白黒のテレビ画面なら、ボロは隠せただろうが、美麗カラーシネスコの、ニュープリでは、ボロまるわかり。
ボロだけど、勢いのあるテレビと、美麗高画質だけど、くだり坂の老舗映画、よくわかるドキュメントでもあり。
で、前半はちょこちょこ、「歌番組」挟み込みつつ、ドラマ部分も、展開。この編集が小気味よくて、クイクイ進んでいく。結構大人数が出てくる、多岐にわたるドラマも、サクサク交通整理。
逆に言えば、数々の歌をさしはさんでも、まったく問題のないのは、ドラマが薄すぎなんじゃないの(笑)。
後半は、バラエティー部分がなくなり、ドラマオンリー。途端にドラマが間延びしてくるのに、前半の実験的編集が、幽霊の正体見たり、かな。後半の「フツーの松竹映画オンリー」が、失速しているのが、前半の成功した「実験的編集」が、凡庸に見えろわけだ。俺だけか。
クレージーの花嫁と七人の仲間 1962年(S37)/松竹大船/カラー/86分(ラピュタ阿佐ヶ谷 HPより)
■監督:番匠義彰/原案:青島幸男、赤坂四郎/脚本:富田義朗、芦沢俊郎、菅野昭彦/撮影:生方敏夫/美術:逆井清一郎/音楽:牧野由多可、宮川泰
■出演:ハナ肇、植木等、高千穂ひづる、倍賞千恵子、伴淳三郎、山本豊三
クレージーキャッツと「花嫁」シリーズの融合が楽しいハイテンポな番匠義彰コメディ。寿司屋の板前・ハナ肇と見習いの谷啓、その妹・峯京子の亭主のスーダラ男・植木等が繰り広げる騒動の数々。「五万節」映画バージョンは必聴!(改題『乱気流野郎』)
※なお、実際の映写されたタイトルは「クレージーの花嫁と七人の仲間 乱気流野郎」
裏切る女・淡路恵子は、例えば、藤間紫に遠く及ばず。味気ない。もっとも藤間なら、ハナからちゃっかり百万円返さないだろうけど。
自分をお尋ね者にして、淡路に尽くして、手取りゼロの犬塚弘も、理解しずらいが。
めったに見られない、アチャラカ王子・八波むと志が、のり平との、お決まり舞台台詞のみとは、ちと寂しい。
いちばんのお手柄は、目立ち屋の指揮者・スマイリー小原の、歌手・藤木孝より目立っちゃう強烈ツイストか。もはや指揮棒なんの意味もなし(笑)。
最後、舞台となった狭い寿司屋で、登場人物を集めて、クレイジーの面々が歌う。ここが、松竹のダメなところ。
東宝のクレイジーなら、外に出るだろう。町にも出るだろう。この箱庭感が松竹。
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by mukashinoeiga | 2021-07-01 21:37 | 番匠義彰:華麗なる松竹映画への晩鐘 | Comments(0)