佐々木康「きさらぎ無双剣」市川右太衛門松方弘樹里見浩太郎大川惠子高田浩吉近衛十四郎若山富三郎東千代之介筑波久子青山京子
京橋にて。「日本映画史横断⑥ 東映時代劇の世界Part 2」特集。62年、東映京都。
ヒーローが多すぎる(笑)。
御大・右太衛門を主役とし、若手成長挌・松方弘樹、里見浩太郎を顔見世としてフィーチャー、戦前からの高田浩吉、近衛十四郎を「重厚な脇役」として遇し、若山富三郎、東千代之介にも、アシストさせる。
全盛期東映時代劇ならではの、贅沢三昧。
これが、盆暮れでもゴールデンウィークでもない4月8日公開というのだから、贅が過ぎるというもの。もっとも二番館、三番館では、ちょうどゴールデンウィークか。
これが全盛期の勢いというものであろうか。もちろん、いかにも東映時代劇ならでの華やかさで、グッド。
きさらぎ無双剣 (93分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
京都新聞の連載小説を原作に、江戸の町に大混乱を起こし、江戸城を襲おうとする者たちの陰謀に立ち向かう男たちの姿が描かれる。立ち回りの鮮やかな近衛十四郎を相手に、右太衛門もキレの良い殺陣を披露しており、本人も特に気に入っていたという。
1962(東映京都)(監)佐々木康(原)五味康祐(脚)結束信二(撮)わし尾元也(美)吉村晟(音)阿部皓哉(出)市川右太衛門、松方弘樹、里見浩太郎、大川惠子、高田浩吉、近衛十四郎、若山富三郎、東千代之介、筑波久子、青山京子
とはいえ、右太衛門の相方ヒロインに大川恵子というのは、まあ、いいとして(といっても、あまりにお年が離れていて、大川の右太衛門ラヴの熱演も、おかわいそう)、松方弘樹の相手役は日活で芽がでなくて流れてきた筑波久子、里見浩太郎の相手役は、東宝から落ち目で流れてきた青山京子、という女優陣は、いかがなものか。
1950年代の東宝で、輝かんばかりのオーラを放つティーンアイドル女優だった青山京子が、二十代になると、なぜか地味なオーラなき若手女優になりおおせ、東映に流れてきたのは、今回の特集1&2で、初めて認識したが。
筑波久子は日活時代よりダンゼンキュート、さらにハリウッドへ流れ、ジョー・ダンテ「ピラニア」のプロデューサーになるだけあって、のちにピラニア軍団をフィーチャーする東映の水に、あったか。
ということで、本作の青山京子は、筑波久子にすら、完負け。
なお、敵役ゆえ最終的には右太衛門に、斬り倒される近衛十四郎、毎度おなじみ絶品の剣捌き。引いた刀を、瞬時に手のひらを返して、整える、などの、剣捌きにエクスタシー。
ちゃんばらスタア数あれど、豪快かつ繊細な剣捌きで、エクスタシーすら感じさせるは、この人だけ。近衛十四郎。
この近衛が、相対する盗賊・五つ目小僧に、キュートな松方弘樹。「下手な侍より、よっぽどいいぜ」と近衛。でも、近衛がまじめすぎて、ギャグにならないんだけども。
また、若山富三郎は、ぴょんと空中に高く飛び上がり、くるっと回転、斬る。
ああ、重厚かつ豪快かつ早業の近衛十四郎と、軽快かつ早業な若富の、延々ガチンコちゃんばらも、見てみたかったなあ。
どこかに、ないか知らん。
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by mukashinoeiga | 2015-05-10 22:15 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)