歌う銀幕スター夢の狂宴・再び
歌う銀幕スター夢の狂宴
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数年前の某日、新宿の『鼎』という居酒屋に懐かしいメンバーが集結した。
映画評論家の植草信和(元キネマ旬報編集長)、フリーライターの邨野継雄(元週刊朝日記者)、元文化放送アナウンサーのいぬいみずえ、CM制作会社を経営するプロデューサーの横田栄三、それに私の五人。
ここに元TBSアナウンサーの林美雄さんが加われば、その名もシャレのめした『映画スターファン倶楽部』の勢ぞろいである。だが、残念ながらその林さんの姿はない。
早すぎた彼の死からしばらくした夜の、それはささやかな追悼飲み会だった。
1975年、今から三十五年前の1月19日、場所は新宿厚生年金会館大ホール。そこでこの六人のメンバーは、『歌う銀幕スター・夢の狂宴』と銘打った、たった一夜かぎりの祭りの花火を打ち上げた。
これは、当時まだ二十代の若者だった映画ファンたちが、愛する銀幕スターに捧げたオマージュの、汗と涙の物語である。と、往年の田口トモロヲ氏風にパロってみたところで……。(笑)
林美雄さんに初めて会ったのは、前記の笠原さん同様、当時レギュラーで執筆していたスポニチのコラム、『キャンバスNOW』の取材でだった。
その頃、日本映画への偏愛を方々に書き散らしていた私に、一番気にかかる存在が林美雄という人物だった。
TBSの深夜放送、『パック・イン・ミュージック』で、藤田敏八監督の『八月の濡れた砂』を絶賛し、『無頼シリーズ』の渡哲也に心酔し、『野良猫ロックシリーズ』の原田芳雄に熱狂する彼の趣味嗜好が、私の好みと見事に一致していたからである。
赤坂一つ木通りの、旧TBS前にあった喫茶店で待ち合わせた林さんは、嬉しいことに私の書いたものを逐一読んでくれていた。
彼もまた、同じような独断と偏見に満ちた奴がいるものだと呆れ、いつか会いたいと願っていたというのである。
たちまち意気投合して、数時間におよんだ映画談義の最後に、その林さんが思いがけないことを口にした。
毎月一度、彼が担当する『パック……』に出演して、映画についてのあれこれを喋ってくれないかというのだ。
ギャラは只なのが申し訳ないが、送りのタクシーだけは出すようにするからという条件に、一も二もなく頷いた。
九州の片田舎で、大学受験のための不毛な勉強を続けている頃から、同世代者の多くがそうであったように、深夜放送は私の心の糧だった。
オールナイト・ニッポンの亀渕昭信、斎藤安広氏に始まり、TBSの那智チャコパックに笑い転げ、無事上京してからも、セイヤングというよりは“走れ歌謡曲”の落合恵子、いぬいみずえさんといった局アナたちのDJに聴き入り、そして林さんの“緑ブタパック”に到達した。
余談だが、敬愛する先輩のかぜ耕士さんや、WAHAHA本舗の喰始さんは、同じ頃“走れ歌謡曲”でレコード回しのアシスタントをやっていたのだが、これはまた別の話として。
その林さんとマイクを挟んで喋れるのだ、何の異存があるだろうか……。
月一の水曜日(だったと思う)の深夜、TBSのラジオ局舎に顔を出した私は、まず名物コーナーの“下落合緑ブタ本舗”提供のパロディCM録音に駆り出された。
もはや記憶は遠いが、“タマ下駄”、“仁義なき肩たたき”等、抱腹絶倒のリスナー投稿作品に、大乗りでCMナレーションを務めた光景がよみがえる。
後年になって、その時の放送を聴いていたという業界の後輩に何人も出会い、面はゆい思いをしたのも、今となっては誇らしいような恥じ入るような、若き日の一コマだ。
その林さんがある日、帰り際の私を引き止めて話があると言う。
「渡哲也さんとか菅原文太さんとか、好きな役者さんたちに出演をお願いして、歌を歌ってもらうイベントをやりたいんだけど、Tさん手伝ってくれないかな」
それが伝説の一夜かぎりの祭り、『歌う銀幕スター・夢の狂宴』の始まりになった。
1974年の初夏の早暁だったと記憶している……。
以下2に続く。
※写真は三十数年前の旧TBS前を歩く私と林美雄さん(背景のマークⅡといかにもな長髪が笑える)
この写真は『某林美雄系コミュニティ』に、あろうことか私の姿をトリミング(@_@)した上で、無断使用されているそのオリジナルですが、N氏というれっきとしたプロのカメラマンが撮った一枚で、きちんとした著作権の下に管理されていることを付記しておきます。
しかし「長い間役者をやって来たが、○○より下に名前が載せられたのは初めてだ」と、クレームをつけた役者は誰なんだ(笑)。
順当に考えれば、キャリアは長いが、より人気の出なかった役者ということになるが・・・・。
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何度もいうが、たかが(笑)ラジオ・アナウンサーとはいえ、メディアの人間がかかわっていたのに、正式の録音、映像を残していないとは、なんて不器用なんだ(笑)。
◎追記◎ぼくも、当時林美雄パックは、聞いていました。しかし、ぼくの当時の関心は、パック1部の那智チャコパックで爆笑することにあり、そのあとの2部は、ついで聞き。ついでに聞いていて、眠くなったら、そのままフェイドアウト。途中でラジオを消して、むにゃむにゃ。
だから「緑ブタ本舗」や「苦労多かるローカルニュース」なんてパロディものは、印象にあるですが、コドモすぎて日本映画への関心もそれほどなかった身としては、林美雄の日本映画応援パートについては、まったく記憶になし(笑)。
いや、当時、そういう部分も聴いていたとは思うのですすが、今の印象記憶は、まったくの皆無(笑)。うーん、もったいなさすぎだぁ。
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by mukashinoeiga | 2015-04-14 23:28 | 旧作日本映画感想文 | Comments(4)
おお、そうでしたか。その辺の事情には、まったく詳しくないのですが、引用もとの方は、ちょっと間違えちゃった、というところですか。御指摘ありがとうございます。 昔の映画
うーん。最近でも、芸人さんは、先輩後輩に異様に気を使っていますよね。
日本人はギャラなど金の話は、遠慮する傾向がある?
その代わり、代償的?に俳優序列には、こだわる。
性格の良し悪しと別に、そういうところに「異常」に、こだわるのかもしれませんね、日本の芸能人は。
ツルコウも、ある種、親分になって、親分というのは、だいたい嫌われますからね(笑)。 昔の映画