島耕二「都会という港」山本富士子菅原謙二小川虎之助品川隆二 : 昔の映画を見ています
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島耕二「都会という港」山本富士子菅原謙二小川虎之助品川隆二

 阿佐ヶ谷にて。「千客万来にっぽん暖簾物語」特集。58年、大映東京。
島耕二「都会という港」山本富士子菅原謙二小川虎之助品川隆二_e0178641_7454473.png ナイス。まあ、そこそこ凡庸なコメディから出発しているのだが、お邪魔ビンラディンさん言うところの、大映そこそこコメディの素晴らしさ。
 大坂の船場の綿布問屋の長女・山本富士子の、老舗再建を描きつつ、その瓜二つの妹(山本富士子当然の二役)の、駆け落ち問題も、扱う。
 大輪の花のように華やか、かつゴージャスな美貌、そして天然コメディエンヌの生まれ持った、愛くるしいおかしみ、山本富士子の絶品。山本富士子が歩く大阪の街、その背後に「富士フイルム」のネオンサインさえ、ほほえましい(ただし、本作は絶美な大映アグファカラー)。
 有り勝ちなドラマを軽々と展開、その楽しさ。そして、ある意味予想の範囲内とはいえ、<驚きの結末>が、ドラマの<オンナ前>を、さらにアップ。そのオドロキを体現する興信所の探偵・菅原謙二も、図々しさゼッコーチョー。いいなあ。
 山本富士子の「ちんまりとした父」小川虎之助も、いつもながら楽しい。出てくるだけで、ニコニコ。
 のちのTVドラマで、近衛十四郎の相方として爆発的人気のコメディ演技とは真逆の、<暗い二枚目>時代の品川隆二。まるで監督島耕二の役者時代の木村荘十二「純情の都」 (感想駄文済み)で、自身が演じた色悪を髣髴とさせ、面白い。

 島耕二演出もゼッコーチョー。
1 山本妹の家出を菅原謙二に語る、山本姉と虎之助父の回想シーンが、世界回想シーン史上?でも、一二を争う?POPさ。タランティーノなんてメじゃないってーの。しかも、本当は山本姉の回想なハズなのに、父・虎之助に主に語らせる、という、どこまでもの、トリッキーぶり。
2 菅原の、ちんけな雑居ビルのちんけな興信所事務所、山本妹のアパートなど、別の島耕二大映映画でも特徴的だった、ほの暗いシーン、時には人物も真っ黒、顔も表情もわからないような暗さ、その演出の確かさ、華やかさ。
 そう、真っ黒なシーンでも、島演出、華やかなのだ。大映美術陣の重厚かつ華やかな美術、アグファフィルムの重厚かつ華やかな艶めいた発色。真っ黒な暗色のシーンでも、格段な華やかさは演出できるのだ。素晴らしい。
 アグファカラーのすばらしさは、小津だけじゃないぞ。大映、なかんずく島耕二のすばらしさは、どうだ。
(といいつつ、ご本家ドイツ映画のアグファカラーをほとんど見ていないのが、残念)
 ちなみにこの興信所事務所の雰囲気、何とはなしに「純情の都」の、チバサチのオフィスと、なんとなく似ているのが、にやり。

都会という港

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by mukashinoeiga | 2013-12-30 23:52 | 島耕二と行くメロドラ航路 | Comments(3)

Commented by お邪魔ビンラディン at 2013-12-31 13:17 x
しかし、昨日30日の上映では、この時期の大映のカラー作品で、エンドマークが出て来たあとにいろいろなスタッフ名が出てくるところを端折ってオシマイにしていましたな。「酒豆忌」の裏方ボランティアをやっている若い映画マニアの人が、ラピュタの人にクレームをつけていたようだが、納得の行く回答はなかったんじゃないのかなぁ。
Commented by mukashinoeiga at 2013-12-31 20:45
島耕二「都会という港」へのコメント、お邪魔ビンラディン さん、ども。
 ぼくが見た日は、ちゃんと上映していました。その日の映写技師が、サボったのか。はしょったことがわかったというのは、クレジットの途中で、ぶった切っちゃったということですかね。それはそれで、昔の映画館のいい加減な映写技師みたいで、面白い(笑)。と、その日に見なかったもののお気楽特権として(笑)。
 他社とは比較にならない圧倒的美術の大映の、スタッフ紹介を、最後にする、まるでカーテンコールみたいで、あの大映ラストクレジットは、好きですねー。        昔の映画
Commented by mukashinoeiga at 2013-12-31 21:08
「都会という港」ラピュタの困った客(笑)。書き漏らしました。ぼくが見た日は、最後列の客の頭の影が、シネスコ画面左下はしに、ほぼ終始映っていて、ちょっとアタマの位置をずらせば、みんなきれいな画面を見れるのに、自分の頭の影が画面に映り続けているのを、無神経に気づかないバカでマヌケな観客。その周囲の観客は注意すべきだし、なによりも映写技師は気がついてしかるべきだし、確かぼくの勘違いでなければ、ラピュタの受付では、画面をモニターしていたはずで、注意を払っていれば、わかるはず。あ、最近はモニターが視線に入っていないので、外されたのかな。いずれにせよ、映写上の不快を、われわれ日本の観客は、じっと我慢してしまうのが不思議。もっともぼくは、たいてい最前列がその後ろで見ているので、そういうクレームは、最後列くらいの客がつけろよ、と思うし、何より「映写上のズレ」も、楽しんでしまうヘンタイですからね。
 余りにひどい場合(簡単に修正可能なピントのボケ)は、何回かいろいろな映画館で注意していますが。今度は、堂々客席で映画館に電話して「いま、映画を見ているんだが、ピントぼけているよ」と、言ってみたい気もします(笑)。   昔の映画
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