山下耕作「大奥絵巻」佐久間良子大原麗子田村高広桜町弘子淡島千景
神保町にて。「春よ! 映画よ! 女たちの饗宴」特集。68年、東映。
本特集で先週上映中島貞夫「大奥㊙物語」67年、東映が、現在まで続く、いわゆる「大奥」ものの、原点なのだという。この中島作品は見逃したが、翌年製作の本作は、明らかにそのヒットを受けたものだろう。脚本・成澤昌茂は、うん、そうだろうなあ、と。
十一代将軍・徳川家斉(田村高広)の御世、大奥では、三益愛子・小暮実千代の両お局が権勢?を振るっている。ふたりの背後には、家斉の正室・桜町弘子が、控えている。
やや劣勢のお局・淡島千景は、実の妹でもある自分の部屋子・佐久間良子が、将軍のおめがねにかなって、愛妾になったのを幸いに、大奥内勢力を伸ばしていく。
末の妹・大原麗子も、吸い寄せられるように、大奥に引き寄せられていく。しかも、姉・淡島、佐久間のライヴァル小暮の部屋子として。淡島・佐久間姉妹の追い落としに、その末妹を利用する陰謀として。
大勢の女たちの集団のドラマを、三姉妹に収束していく。
「大奥」ものというと、なんだか「女囚」ものと同じ扱いの、エログロ路線になっていったイメージだが、さすが溝口健二の弟子スジに当たる成沢脚本だけあってか、エロほとんどなし。しかし、本格ドラマというには、いささか、甘い。
淡島の、人を殺してもの、権勢欲も、描写として、いささか弱いし。佐久間と、将軍田村の「うそから出た純愛」も弱い。純情小娘・大原も、純情というより、ぶりっ子感が漂う。
三姉妹女優の、三方一両損感が、漂うぞ。
まあ、見ている分には、楽しい。
淡島千景の、どんな悪の限りをつくしても、大奥での自分の地位を守るぞ、というピカレスク・ロマンと、純愛・佐久間良子と、純情・大原麗子の、それぞれの対立のすわり心地の話さ。
大奥政治・人間ドラマなら、いっそ山本薩夫で見たかった、とは、ちと、懲りすぎか。ヤマサツなら、白黒映画になっちゃうか。
なお、ドスの利きかけた声、妙に据わった目の、大原麗子に、純情ぶりっ子小娘は、似合わず。あの声での、妙に小娘を意識した、作り声の、猫なで声にしか、聞こえない。
逆に、桜町弘子の、インケン女ぶりは、絶品で(笑)。
姉の淡島、妹の大原に挟まれた、佐久間良子の、無個性が、弱いか。うーん。
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by mukashinoeiga | 2013-04-26 00:23 | 旧作日本映画感想文 | Comments(1)
こんなことをしていると、とても安全なサイトとは思われないのでは 昔の映画