スタージェス「レディ・イヴ」 : 昔の映画を見ています
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スタージェス「レディ・イヴ」

 渋谷にて。「映画史上の名作7」特集。41年、アメリカ。デジタル素材による上映。
 再見作。やはり、素晴らしい。
 プレストン・スタージェスらしい、クセ球ラヴ・コメディ傑作
 南米と北米をつなぐ豪華客船の金持ち客をカモにした、カードケーム詐欺師の父親たちと、チームを組む、美貌のおんな詐欺師を、バーバラ・スタンウィックが絶対のチャームで、大好演。才たけて、見目うるわしく、情けあり、の絶対の魅力のおんな詐欺師。
 そのターゲットになるのが、エール会社の御曹司(エールとビールは違うらしいが、よくわかりません)にして、南米でヘビの研究に打ち込む、オタク的科学者の、恋にはさっぱりボンクラな、ヘンリー・フォンダ。ボンクラ青年をフォンダ、好演。でも、当然、スタンウィックほど天然では、ないのかな(笑)。難しいところだ。天然のボンクラなんて、なかなか、演じられるものではないのだが、フォンダ、かなりの達成度。
 <恋愛プロフェッショナル>の女と、<恋愛童貞>の男の、恋の駆け引き。この極端な落差による、無理やりコメディ。
 だって、しょせん?ハリウッド映画なんだから、ラヴコメなんだから、ラストは、抱きしめ合って、キスして、ハッピーエンド、結末は、決まってるでしょ。そのラストに、いかにウヨ曲折して、たどり着くか。細かいギャグを連発し、しかし、細かい論理的整合性を無視した、大わざ暴虐ギャグも、ありーの、無茶ぶり。ああ、プレストン・スタージェス・スク・コメの快感。

 プレストン・スタージェスは、その昔、プレノン・アッシュが3本だけ配給して、日本に紹介しました。バブルの頃かな。そこから、日本のシネフィルのあいだでも、スタージェスといえば、ジョンではなくて、プレストンだという、悪しき?地位?逆転が。
 プレノン・アッシュ
「恋する惑星」で、大金星スマッシュ・ヒット。
 当てました。若き女社長の、独立系洋画配給会社。
 一度だけ行ったオフィスは、たぶん六本木あたり?(田舎モノには、すでに、記憶の彼方)採光も明るい、大きな窓の、ちいさなビルの1階にあり、若い、オシャレな男女の社員が働いていて、記憶では、オフィスの真ん中に、2階に通じる、小ぶりな、白い螺旋階段がありました。
 おそらく。ファッション系の店舗を、オフィスに改造したものか。ああ、絵に描いたようなバブリー。たぶん、若き女社長の背後には、パトロンがいたんだろーなー、というのは下世話なかんぐりで。
 もちろん、今は、もう、プレノン・アッシュというオシャレな配給会社は、存在していません。
 いや、そんなことはどうでもよくて、何が言いたいというかと、当時は35ミリの、ぱりぱりのフィルム上映だったものを、こんにちの渋谷シネマヴェーラでは、ヴィデオ由来の安っぽい画面ノイズが入る、画面が微妙にちらちら、ゆがむ、(35フィルムに比べれば)劣化したデジタル素材で見るという。
 はたして、技術は、進歩しているのか、退歩しているのか。
 そういえば、有楽町のミニシアターで見た、フランス映画新作「プレイ~獲物」は、デジタル素材の上映。
 シネスコ画面の右から左に、縦に、薄い線のノイズが、びっしり入り、画面を汚す。
 同様なデジタル上映でも、大手劇場では、まず、見たことのないタテセンが、びっしり、ノイズとして入っている、安いデジタル画面。ウーン、マイナー配給会社、相当デジタル素材でも、安いものを使っておるな。配給、ドコだ。
 ああ、アルシネ・テラン。かつては「仕立て屋の恋」ほか多数で、日本のミニシアター系をリードした、独立系配給会社。バブルがはじけて、落ちたなあ、アルシネ・テラン。
 「プレイ~獲物」自体は、なかなか小ぶりな快作なのだが、こんな安い素材のヴィデオを配給するとは、落ちたなあ、アルシネ・テラン。大事なことだから、繰り返しました。
 はたして、技術は、進歩しているのか、退歩しているのか。
 そして、こんなに楽しいラヴコメは、なぜ、今作れないのか。
 プロの脚本家の書いたというのか、「映画ホタルのひかり」、ストーリーだめ、エピソードだめ、セリフだめの、問題外作。いくら綾瀬はるかが、がんばっても、問題外の外の外。ホントーに、ひどい。

 はたして、技術は、進歩しているのか、退歩しているのか。
 いや、「レディ・イヴ」自体は、卑怯なまでに、面白いのだが。

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by mukashinoeiga | 2012-08-11 23:30 | 旧作外国映画感想文 | Comments(0)

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