今井正「あれが港の灯だ」 : 昔の映画を見ています
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今井正「あれが港の灯だ」

 京橋にて。「生誕百年 映画監督 今井正」特集。61年、東映東京。あと1回の上映。
 いかにも今井映画らしい<政治と青春>快作。原作・脚本は水木洋子。
 タイトルが、超有名映画のパクリというところから、わかる通り?、テーマ?は、かの<捏造ひとすじ半万年>の国だ。韓国のでっち上げ数あるうちの、もっとも悪質なもののひとつ、かの初代大統領時代、勝手にでっち上げた、いわゆる李承晩ライン
 海に勝手に線を引き、このラインを越えて、韓国側で漁をしているものを密猟者扱いし、日本人漁民船に、勝手に銃撃、勝手に船没収、勝手に漁民を拉致して、数年に及ぶ裁判沙汰。その過程で拷問虐待、数年後日本に返されても、半病人の有様。もちろん、丸腰の舟を銃撃されて、死者多数。 
 さらに、韓国は自分ででっち上げた<ゲームの規則>(それ自体が国際法違反、人道に対する罪なのに)を、守ることすらできない。ラインの日本側にも勝手に<越境>して、日本船を銃撃、殺傷、拿捕。拉致。元々でっち上げのラインだから、それを守るべき正当性すらないといわんばかりに。
 この公海上の、いわば国立海賊船、彼らがバンバン銃撃してくるのに、日本側カウンター・パートナーの海上保安庁は、銃撃なし。韓国側の銃撃に、その側面を見せつつ、韓国国立海賊船の前を横切って、身を挺して、日本船を守るしかないのだ。
 韓国側ははっきり、戦争を仕掛けているのも同然。戦う事を禁じられた戦後日本が、手も足も出せないことを承知の上で。なんという卑劣か。

 という状況(政治・戦争)で、僚船・第二日乃丸、その乗組員を韓国に取られ、死者も出しながら、また再編して、出漁する第一日乃丸(船名が、ナイス)。船長が山村總というのが、にんまり。
 山村は趣味の釣りが高じて、釣りドキュメント映画(フィルムは行方不明らしいが、ぜひ見たいもの)まで監督・製作してしまった。「本職」の漁民を演じる、興奮?も推測される好演。
 その船に乗り込む若い衆(青春)に江原真二郎。彼は実は、在日で、日本人に擬態している。擬態しつつ、日本人・外国人のボクシング戦TV中継では、ごく自然に日本人ボクサーを応援。対韓国国立海賊船との戦いでは、素晴らしい働きをする。
 でも、女相手の(だから、私的な、非公式な)会話では、ひそかに韓国側を擁護。優秀な日本船・日本人漁民に、ボロ舟・粗末な漁猟技術の韓国は、そのままでは、太刀打ちできない。だから、李承晩ラインなるものを捏造してまで、日本船を殺傷、略奪拿捕、拉致するのだ、と。盗人にも、一分の利か。そういいつつ、それでも高みの側の日本に擬態している矛盾。
 その矛盾も含めての、政治と青春像を、今井正は、ぐいぐい描いていく。

 友達に誘われるがまま、夜の街に繰り出した江原は、成り行きで女を買う。その女・岸田今日子は、最初から「あなた、北、南、とっち?」と直球勝負。「日本人たませても、同胞なら、すぐわかるよ」
 この岸田今日子が、また不思議な女優で、本作でもどの映画でも、日常会話・しぐさは、きわめて独特なセクシーさ。ところがことを及ぶシーンとか、ベッドシーンになると、とたんにフェロモンがウサン霧消。日本一のやらずぼったくり女優だ。

 彼らが目撃する、北朝鮮帰国事業で、帰国する一家の、送別行進。これも<北は地上の楽園>と、でっち上げ捏造で、同胞と世界を欺いたもの。北も南も、どっちもどっちの、さすが<捏造ひとすじ半万年>だ。

 新人とクレジットされる、幼馴染・高津住男、船友・岡本四郎、江原を慕う果物屋の娘・安田千永子が、実に好演。高津以外は、その後、見かけないが、安定した今井演出の好演技。
 江原が在日と知れたあとも、日本人船友たちは、難なく受け入れる。ここら辺も、何だかなあの、日本的あいまいさ。
 もちろん、当然(笑)、朴訥すぎる差別主義者・山本麟一、つるっぱげの小笠原章二郎あたりは、けちをつけるのだが。
◎追記◎今年刊行された「今井正映画読本」本作紹介の項に、「当時の日本には韓国を思いやる感覚はなかった」。なに、この現在の視点から、過去を断罪するような上から目線は。
もちろんこの言葉は、当時日本の漁業技術が優秀すぎて、韓国漁民は、力負けしていた、という文に続くものだが、だからといって、韓国国立海賊船の、殺傷テロをしていい、といういいわけには、ならんだろう。当時、韓国は貧しかった、かもしれんが、日本人も、日本の漁民も貧しかったのだ。
 そんなに思いやりが大事なら、韓国の日本人漁民への、銃撃、殺傷、虎の子の漁船没収拿捕、拉致拷問の、どこに思いやりが、あるのか。
 日本の優秀な漁猟技術は、悪い弱肉強食で、丸腰の日本人漁民への、銃撃、殺傷、虎の子の漁船没収拿捕、拉致拷問は、いい弱肉強食なのか。左翼人権派の典型的ダブル・スタンダードでは、ないか。
 韓国への思いやりがない!という理由で、殺傷テロの被害者を貶め、殺傷テロの加害者を擁護する。今に至る、左翼脳内お花畑のいつもの手口だ。
◎再追記◎当時の日本には韓国を思いやる感覚はなかった」と、わざわざ、当時は、と限定しているということは、「現在の日本には韓国を思いやる感覚はある」ということか(笑)。韓国・北朝鮮に、日本人が犠牲を払ってでも、さまざまなサーヴィスをしている、という「感覚」はあるのね、左翼には。もう、笑うしかないよね。
 今井正自身は、右・左に対して、可能な限り公正であろうとした「感覚」があるかに思うが、今井ファンの左翼諸君の中には、どうしようもないのが、いるんだなあ。

◎追記◎2013/02/02に公開 予告篇:「あれが港の灯だ」キネ旬ベストテン(1961年)7位監督:今井正

 なぜ、中国・台湾人、その他は、出自を隠さずにいたのに、朝鮮人のみが出自を隠したのか。そこらへんが「不思議」でならない。


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by mukashinoeiga | 2012-07-05 02:49 | 今井正 青い左傾山脈 | Comments(0)

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