本多猪四郎「宇宙大怪獣ドゴラ」円谷英二特撮
三原橋にて。「俳優・夏木陽介 風の中を走る!」特集。64年、東宝。
怪獣映画ファンではないので、このタイトルは、初めて聞いた。
それもそのはず、いわゆる正統派東宝怪獣映画から、かなり外れた、異色作なのだ。
もちろん監督は本多猪四郎だし、特技監督は円谷英二だ。
映画の半分が、怪獣映画。残り半分が、それと関係してるような、してないような、ふつうのドラマ? つまり、河津清三郎、天本英世、若林映子らの、ダイアモンド強奪犯と、それを阻止せんとする外事警察・夏木陽介の攻防、これにダン・ユマなる、怪しげな外人が絡む、というもの。
これは面白い試みだ。
まあ、この映画自体はさして成功作とはいえないので、おそらくマニア以外には、知られていないのだろうが。
たとえば、ふつうの東宝ドラマ、成瀬あたりに、怪獣が、絡んだり。成瀬映画の常連スタッフたちが「ゴジラ」第一作に起用されていて、けっしてありえない話でもない。
三益愛子「お母さん、やっぱり養老院に入るよ。だから、お前は、再婚をおし」
原節子「いいえ、お母さんを、怪獣がうろつきまわっているときに、ひとりには、できませんわ」
三益愛子「なあに、ゴジラの一匹や、二匹、ちっとも、怖くなんかありませんよ」
地響き。
小林桂樹(ラーメン屋の厨房で)「で、出たあ、ゴジラがでたぁ」
ゴジラが街を、荒らしまわりつつ、一家に迫る。
高峰秀子「お母さま、お逃げにならないと」
森雅之「そ、そうとも、母さん」
高峰秀子「あ、あなたもですよ、あなたもそんなに悠長に、お座りになっていては、ゴジラに、踏み潰されますわよ」
森雅之「い、いや、ぼくも、そうしたいのは山々なんだがね。あいにく、腰が・・・・」
団令子「あら、お兄さん、腰が抜けたの。間抜けねえ」
森雅之「黙りなさい」
三益愛子「なんです。こんな時に、兄弟げんかなんて。ああ、情けない」
題して、「娘・妻・母・ゴジラ」。
いや、このあいだも、本屋で、ある本を見て、爆笑したもので。
「プライドと偏見とゾンビ」。
かの有名な、高尚ラブコメ、映画にも何度もなっている名作「プライドと偏見」(旧名「高慢と偏見」高慢というのも、いまからすれば、やや誤訳でしたね)の、原文はそのままに使って、残り半分に、実はこの時代は、ゾンビも跋扈していて、主人公姉妹は、婚活だけでなく、ゾンビ退治にも、力を使っていました、という爆笑編。
何でも、キーラ・ナイトレイに、いまから数年前の最新版「プライドと偏見」の役を取られた、ナタリー・ポートマンが、映画化権を取ったとか、取らないとか。
あまりに「出落ち」すぎて、読む気もなかったが、アメリカあたりでは、かなり話題になったものの、翻訳で。
いやあ、これからのこの手(一発芸という面もあるが)、著作権が切れた過去の名作で、やりたい放題というのは、あるんじゃないか。原文そのまま、原画そのままを使って。
「七人の侍VS大魔神」とか。
by mukashinoeiga | 2010-10-20 09:21 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)