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アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)に向いている仕事の特徴とは?おすすめの職業も紹介

目次

言葉の裏の意味が分からずに失敗してしまう、複数の人から業務指示を受けると混乱してしまう。そういった困りごとがある場合、それはアスペルガー症候群の特性と、職場などの環境とのミスマッチが原因かもしれません。

アスペルガー症候群の方は、コミュニケーションや臨機応変な対応が苦手な傾向があり、そのことで悩んでしまうという方もいらっしゃいます。

アスペルガー症候群の特性は一人ひとり異なっているため、自分の特性を把握して、マッチする環境で働いていくことが大事になってきます。

この記事ではアスペルガー症候群の方が仕事で起こり得る困りごとや、向いている仕事の特徴等を紹介していきます。

※現在『DSM-5』での診断区分では、アスペルガー症候群という診断名は自閉スペクトラム症に含まれておりますが、本記事ではアスペルガー症候群として掲載しております。

アスペルガー症候群とは

アスペルガー症候群は、過去の診断名でもあり現在では自閉スペクトラム症に含まれています。対人関係や想像力に関する課題、パターン化した興味といった自閉症の特徴はありながらも、言語や知的発育に遅れがないものがアスペルガー症候群と呼ばれていました。

アスペルガー症候群の方が抱える仕事の悩み

ではアスペルガー症候群の方は、仕事の場面ではどのようなことで悩みを感じやすいのでしょうか。
ここでは、コミュニケーション、臨機応変な対応、二次障害の3つについて紹介します。

コミュニケーションがうまく取れない

アスペルガー症候群の方は相手の立場で物事を考えることが苦手な人も多いため、コミュニケーションがうまく取れないときがあります。また、会話中の流れやその場の雰囲気から察することなども苦手とするため、周囲の人から理解されないことがあります。

表面上は特に問題なく受け答えができていたとしても、曖昧な言葉の意味がうまく理解できなかったり、相手が傷つく言葉を悪気なく伝えてしまったり、対人関係に困難を感じることがあるでしょう。

臨機応変に対応することが難しい

アスペルガー症候群の方はこだわりが強い人も多く、臨機応変な対応をすることが難しい場合があります。

普段から自分の生活にマイルールを決めていたり、また、興味を持つと特定の事柄以外が目に入らなくなったり、過剰に熱中してしまったりします。

こだわっていることやルールからの逸脱を嫌がり、予想外の出来事が起こったときは混乱しやすいため、臨機応変な対応をとることが困難なケースもあります。

職場では、複数の人から仕事の進め方について指示をもらうと混乱してしまうことがあるかもしれません。

二次障害を発症するかもしれない

二次障害とはコミュニケーションが取りづらいなどの症状により生きづらさを感じることで、うつ病やパニック障害などの別の病気を発症してしまうことです。

アスペルガー症候群の方はコミュニケーションが苦手であっても、中には会話や勉強が得意な方もいます。そのため、対人関係に悩んで不眠や抑うつ状態になることもあり、場合によってはうつ病や不安障害等の疾患の発症につながったりする可能性があります。
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アスペルガー症候群の方に向いている仕事の特徴

ここまでアスペルガー症候群の方の特徴について紹介しました。
次はどのような仕事がアスペルガー症候群の方に向いているかを説明します。

本人が関心を持つ分野であり、次のような特徴がある仕事であれば向いている職業といえるでしょう。

  • 正確性が求められる
  • 1人で完結させられる
  • 記憶力を活かせる
  • 定型業務を繰り返す

苦手な分野がある一方で、高いパフォーマンスを発揮できる分野もあります。アスペルガー症候群は個人差があるため、必ずしもすべての人に当てはまるということではありませんが、可能性の一つとして確認しておきましょう。

正確性が求められる

アスペルガー症候群の方はこだわりが強く、関心のあることなら高い集中力を発揮することができる人も多く、正確性がもとめられる仕事が向いているケースがあります。

多くの人が根を上げそうなほど根気が必要な作業、細かい作業でも、アスペルガー症候群の方なら高い集中力でやり遂げることがあるでしょう。

1人で作業を完結させられる

アスペルガー症候群の方は対人関係やコミュニケーションが苦手なことが多いことから、1人で完結させられる仕事のほうが向いていると考えられています。言葉の微妙な意味の理解が難しかったり、職場で複数の指示をもらうと混乱してしてしまったりする可能性があります。

また、聴覚や視覚など程度の差はあるものの、感覚過敏もしくは鈍麻があることが多いです。独特な想像力や感性を持っていることもあるため、1人でできる仕事で自分の感性を発揮できるとより活躍できる可能性があるでしょう。

記憶力を活かせる

アスペルガー症候群の方は自分が関心を持つ分野において高い記憶力を発揮することがあります。

多くの方の場合、繰り返し見たり聞いたりして記憶する単純記憶が年齢を重ねるにつれて苦手になります。一方、アスペルガー症候群の方は成長しても単純記憶の能力が落ちないと言われています。

多くの知識を覚える必要がある仕事など記憶力が武器になる職業に就くと、より活躍できる可能性があるといえるでしょう。

定型業務を繰り返す

高い集中力を発揮でき、正確に作業をこなせることから単純作業を繰り返す仕事にも適性があると言えます。

単純な作業であれば周囲の人と接することも少なく、コミュニケーションで悩む必要も少ないです。ルールをしっかりと守る、同じ動作を繰り返すといった特徴がある人も多いため、単純作業を繰り返す仕事で成果をあげることができそうです。

アスペルガー症候群の方に向いている仕事5選

ここでは具体的な職種を例に挙げていきます。すべてのアスペルガー症候群の方にあてはまるわけではありませんが、判断材料の一つとしてご確認ください。

  • 事務職
  • プログラマー
  • Webデザイナー
  • 機械設計
  • 校正者

事務職

事務職の仕事内容は多岐にわたりますが、ルーティン作業もあります。

書類整理やデータ入力など、正確性が求められる単純作業が多いため、アスペルガー症候群の方の特徴を活かせる仕事だといえるでしょう。

想定年収 約250万~450万
雇用形態 契約社員、正社員

プログラマー

プログラマーはパソコンでプログラム言語を使ってソフトやシステムを作る仕事です。
アスペルガー症候群の方はルールや規則性などへのこだわりが強い傾向があり、高い集中力を発揮して良いプログラムを組むことができるといえるでしょう。

想定年収 約300万~750万
雇用形態 正社員、契約社員

Webデザイナー

WebサイトやWeb広告のデザインを手がける仕事です。デザインの勉強やセンスが必要となるため、独特の感性を持つアスペルガー症候群の方には適職といえるでしょう。

デザインだけでなくコーディングといったプログラミングの作業を行なう場合もありますが、アスペルガー症候群の方はプログラミングへの適性も期待できます。

想定年収 約300万円〜600万円
雇用形態 正社員、契約社員

機械設計

CAD(キャド)とよばれるパソコン上で機械の設計図を書けるツールなどを使って、自動車や建設機器などの機械を設計する仕事です。

ものづくりに興味があり、細かく正確さが求められる作業や強い集中力を発揮できる傾向のあるアスペルガー症候群の方に向いている職業といえるでしょう。

想定年収 約300万円〜800万円
雇用形態 正社員、契約社員

校正者

校正者は文章の誤字脱字や統一されていない言葉遣いを直し、接続詞の使い方に間違いがないか、また文脈に矛盾がないかを確認する仕事です。

作業が緻密であるため集中力が必要であり、文章に関する知識を覚えておく記憶力なども必要なため、アスペルガー症候群の方は校正者に向いている可能性があります。

想定年収 約300万円〜550万円
雇用形態 正社員、契約社員

 

アスペルガー症候群の方に注意が必要な仕事の特徴

臨機応変な対応を苦手とすることが多いアスペルガー症候群の方は、次の特徴がある仕事に注意が必要です。

  • 予測できない問題に対応しなければならない
  • 柔軟な対応が求められる

予測できない問題に対応しなければならない

お客さんの要望に応えるような、予測できない問題に対応しなければいけない仕事は難しい仕事だと考えられます。こだわりやルールに厳しいアスペルガー症候群の方にとって、業務で急な予定変更に対応しなければいけない場合などはストレスが多くなるといえるでしょう。

【注意が必要な仕事例】

  • 旅行代理店
  • 車のディーラー
  • コールセンター業務

柔軟な対応が求められる

アスペルガー症候群の方は、言葉に隠された意味などを読み取ることが苦手なため、空気を読んだり相手の立場に立った発言を多く必要とする仕事では、悩む場面が多いかもしれません。

また、複数の指示や作業を並行して処理していく仕事も、混乱してしまう場面が生じやすく注意が必要な仕事と考えられます。

【注意が必要な仕事例】

  • 営業
  • 接客業
  • 料理人

まとめ

アスペルガー症候群について、仕事上で感じやすい悩み、向いている仕事、注意が必要な仕事について紹介しました。作業や勉強が得意な方も多い反面、コミュニケーションにおける言外の意味を読み取ることや、臨機応変な対応が難しいなどの特徴があります。

一方で関心のあることには集中力が高い、正確性の高い動きができる、記憶力が良い、単純作業が苦にならないといった強みを持つ方もいます。仕事を選ぶときは一人で完結させられるものや、正確性が求められるもの、集中力が活きるものに適性があるという観点で選ぶと良いでしょう。

自身の特性を理解して、どのような仕事に適性があるかを理解したうえで仕事に取り組むとさらなるスキルアップが可能になります。

マイナビパートナーズ紹介

【本記事監修者】
佐々木規夫様        

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

 

 

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