ヤマハ Xフォースは、排気量155ccの単気筒エンジンを搭載したスクーターです。
このクラスは現在グローバルスクーターマーケットの中において中心的な存在となっており、多くのメーカーが力を入れて開発、生産を行っているのですが、ヤマハのカタログを確認してみると、今回のXフォースのほかに、NMAX155、トリシティ155と3機種もラインアップされているのです!!
ちょっと出し過ぎ!というか、どんな違いがあるの?
疑問に思った私は、Xフォースが持つ特徴、そして他の兄妹モデルとのキャラクターの違いを探ることにしました!
目次
いかついスタイリングがウケている!?スクーターの中でも独特な存在感です!
少し前、いや2000年初頭くらいのことなのでもう結構前の話になりますが、ビッグスクーターブームというものがありました。250ccクラスを中心としたスクーターが爆発的に売れまくった時代があったのです。ヤマハ マジェスティなど当時の筆頭モデルと言っても過言ではありません。
二輪AT免許が誕生した裏側にはそのビッグスクーターブームも一因として挙げることができるほどのものだったのですが、一度燃え上がったものは終息を迎えるのは世の常。街中でも見かける機会は格段に減りました。
ただその代わりと言ってはなんですが2010年代に入ると、排気量を150cc~200ccに抑えたスクーターが出始めてきたのです。
それまでのビッグスクーターと比べコンパクトな車格なので市街地での使い勝手が良く、原付クラスのスクーターよりもしっかりと作られている。さらには高速道路を使うこともできる排気量ということなどでビッグスクーターが占めていたトップ・オブ・シティコミューターの座を奪い取ったというわけです。
特に欧州、アジア、南米などのグローバルマーケットでは日本よりも早くその動きが顕著にみられたものでした。
その流れは現在も続いており、Xフォースは2022年に誕生したニューカマーとなっています。
その一方で実はそれまでヤマハから販売されていたマジェスティSの実質的な後継モデルでもあるのです。
まずワイルドな見た目にぞっこん!内容はそれ以上に魅力的だったりします!
年中大排気量クルーザーから原付一種モデルまで様々なバイクに乗っているのですが、Xフォースは乗る機会が無く、今回初めて触れることとなりました。
ワイルドなフェイスマスクやシート下に添えられたオレンジの差し色などスタイリングからしてインパクトがあります。とても目立つので街中で見かけても「あれ、なんというモデルだろう!」と興味を惹くこと間違いなしです。
一方でそんな見た目とは裏腹に実用性もしっかりと考えられています。まず、スクーターファンとしてはフラットタイプのフットボードであることが大きなポイントだと思います。
小型自動二輪クラス以上のスクーターの場合、剛性力や燃料タンク容量の問題から車体中央にアーチ状のふくらみが持たされることが多いのです。
これの何が便利かというと、ちょっとした荷物を置くことができることやハンドル下に用意された通称コンビニフックもストレスなく使用することができるのです。
それとUSB電源ソケットや、ヘルメットも収まるサイズのシート下トランクスペース、ABSやトラクションコントロールなどの安全装備も充実。
さらにスマートフォンにインストールした専用アプリと連携することで、着信通知やバッテリー残量をメーター内に表示することやスマートフォン画面をサブディスプレイとすることもできてしまうのです!
足つき性は若干良くない?でも車体が軽いので不安はありません!
今回の試乗テストのためにお借りしたXフォースはオプションで設定されているローダウンシート(2万1450円)が装着されていました。これは乗車時に約30mmの足つき性を向上してくれるということです。
スペックシートを見てみるとノーマル状態でのXフォースのシートは815mmです、これはNMAX155と比べて50mm高い数値です。
このことからシートの高さに躊躇してしまうという話も耳にしていたのですが、先述した通りフラットタイプのフットボードであることから体を前後左右にずらす自由度が高く、日常的に使っていても足つき性は気になりませんでしたし、特に今回の車両はローダウンシートなので快適に使うことができました。
それよりも車重が130kgと軽量なので、どんな状況でも安心感があり気軽に扱うことができると感じました。
見た目からして”走りそう”な予感!!ハンドリングのヤマハのDNAはあるか!?
Xフォースは加速力が強く走り出した瞬間から「これは速いスクーターだ!」と感じました。プーリーの設定が良いことと、軽量な車体であること、さらにコンパクトなライディングポジションがそう思わせることもありますが、実際のところスタートダッシュで他車に負けることはありませんでした。
エンジンも静かでシュイーンとまるでモーターのような回転上昇をしてくれるので、少なくとも動力性能的にはストレスフリーです。
コーナーリング性能に関しては、このクラスのスクーターの中ではホイールベースが短めの設定であることからかなりクイックな印象で、抑えの効く位置にセットされたバーハンドルと、コンパクトながらも自由度の高いライディングポジションから、わざとABSやトラクションコントロールを作動させてみたくなるようなエクストリーム的な走らせ方を誘います!
見た目が良くて機能的、さらにスポーティな走りなのです
Xフォースにしばらく乗って感じたのは、NMAX155やトリシティ155とはそもそも方向性が違うものとして作られているということです。
NMAX155はどちらかと言えば柔らかな乗り心地のラグジュアリーなイメージを持たされており、トリシティ155はスリーホイーラーらしい地を這うような走りを楽しめるのに対して、Xフォースはピュアなスポーツスクーターとして仕上げられているのです。
車格からしてコンパクトにまとめられているのは”イマドキサイズ感”と思えましたし、コストを抑えつつなかなかの質感を持たせているために、所有欲も満たしてくれます。
独断と偏見で伝えたい”勝手にGood&Bad!!”
テストライダー小松男が独断と偏見で決めるグッド&バッド
Xフォースの最大の魅力と思えるのはなんといってもスタイリング、これ好み、カッコ良い!!
顔つきからして尖っていますし、豊富なカラーバリエーションも嬉しいところ。ストリートを走る他のスクーターとしっかり区別ができるはずです。
主観ですがナイケンやMT-10など上位のトガッタモデルたちと並べても遜色のないデザインだと思います!
対してバッドポイントはシューズによっては結構滑るステップボードです。スポーティなライディングをしていると足元にも力を入れなければならない場面もありますが、靴底のタイプによっては滑る印象がありました。
ただ、一週間乗っているうちにだんだんとその感触が薄れていきました。もしかすると、私が借り受ける前にワックス的な保護剤などを使用していたのかも!?
ストリートユースがメインならば、これに敵う者はないかもしれません!!
ここだけの話、試乗テストの際にはハンドルをこじるような曲がり方をしたり、急ブレーキやトラクションコントロール機能の効き具合の確認など、結構意地悪な乗り方もするのですが、Xフォースは全体的に走行面に関して真摯に作られていると思えるものでした。
普通に乗っていてサスペンションの動きが硬いと感じられるのは、その速度以上で曲がっても大丈夫だという限界の高さの裏返しだということが分かりましたし、高速道路を走らせても十分速く、不安感もありません。
ただそれでもどちらかと言えば込み合った市街地向けだとも感じます。片道50kmを超す通勤通学に使うならば、NMAX155やトリシティ155の方に軍配を挙げます。
逆に高速道路は都市部だけ、メインは下道という使い方であれば、Xフォースは最高に気持ちよく、楽しいマシンです。そうですね、感覚的にはヨコノリスポーツのそれに近いものです。だから少し走っただけもスカッと爽快な気持ちになります!
燃費に関しては、走行137.6km走行で4.6L、72.8kmで1.97Lを給油したので、実質約32km/Lと優秀! 高速道路全開シーンも多かったことを考えるとかなり良い方なのではないでしょうか。
MAX系とはまた違う路線であり、日常的に便利に使えるスーパースポーツスクーターとしてXフォースに太鼓判を押します!
Xフォース[2024]主要諸元(メーカーノーマル)
- 全長×全幅×全高:1,920×760×1,120mm
- ホイールベース:1,340mm
- シート高:815mm
- 車重:130kg
- エンジン:水冷4ストローク単気筒SOHC 155cc
- 最高出力:15PS(11kW)/8,000rpm
- 最大トルク:14Nm/6,500rpm
- 燃料タンク容量:6.1L
- 変速機:Vベルト式無段階変速
- ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
- タイヤ:F=120/70-13、R=130/70-13
- 価格:40万7000円
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