「電熱グローブ」と「グリップヒーター」のどっちを選べばいいの!? メリット&デメリットを解説!

【文:沼尾 宏明】

冬の冷たい手を暖めてくれる「電熱グローブ」と「グリップヒーター」。どちらを選べばいいのかわからないビギナーも多いことでしょう。そこで両者のメリットとデメリットを比較し、どんな使い方をすればいいのかレクチャーします!

寒い冬の特効薬、それぞれの長短を並べてみました

バイクの走行中、風を受け続ける手は最も冷えやすい部位の一つです。どんなに厚手のグローブでも極寒時は熱を奪われ、冷えてしまいがち。そんな時に有効なのが自ら熱を発する「電熱グローブ」と「グリップヒーター」です。

電熱グローブ

電熱グローブは発熱体を内蔵し、主に手の甲側と風が当たる指を暖めます。


電熱グローブは、グローブに電熱線などを仕込み、内部から手を暖めるアイテム。以前は車体のバッテリーから電力を供給していましたが、近年は充電式の専用モバイルバッテリーを用いたタイプが主流です。車体との配線などがないため、お手軽に使えます。

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グリップヒーター/ホットグリップ

グリップヒーターは、バイクのグリップが発熱。グリップ自体が暖まるタイプが主流ですが、通常のグリップに巻き付けるシートタイプもあります。


グリップヒーターは、バイクのハンドルグリップを発熱体で暖める装備。車体のバッテリーから電力を供給するため、装着する手間やコストがかかりますが、電源の心配は要りません。以前はグリップ径が太くなり、握り心地に違和感がありましたが、現在は通常のグリップ並みに細くなっています。

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まずはそれぞれのメリットとデメリットを挙げてみます。

■電熱グローブ
◯メリット ・指先と手の甲側が暖かい
・モバイルバッテリー式なら装着や配線の手間がない
・複数のバイクに使える
・バイク以外の用途にも使用OK
△デメリット ・グローブが分厚くなりがち
・稼働時間が短い(モバイルバッテリーの場合2~7時間)
・車両バッテリー式は配線の手間がかかる。運転時にコードがジャマ

 

■グリップヒーター
◯メリット ・薄手のグローブが使えるので操作性に優れる
・長時間稼働できる(車体のバッテリーから電力が供給されるので)
・出先での急な寒さに対応できる
△デメリット ・手の甲側&指先が冷たい
・装着の難易度が高い
・ショップに取り付けを任せると工賃がかかる

 

<暖かさ>手の甲が暖かい電熱グローブが優位!

純粋な「暖かさ」に関しては、電熱グローブに軍配が上がります。グリップヒーターはグリップが暖まるので手の平側は暖かいのですが、手の甲側は冷えてしまいます。本格的な厳寒時は手の平だけポカポカで風が当たる側は冷えるという現象が起きます。

また、ブレーキ&クラッチレバーやウインカーなどを操作すると指がグリップから離れるため、特に頻繁にこれらを操作する街中では指先が冷えがちです。ただし、ハンドルカバーやナックルガードを組み合わせることで、この問題は解決できます。

その点、電熱グローブは手の甲側と指先が暖まりますし、グローブの内側に熱が蓄積されるので全体が暖かいです。なお、手の甲側だけ暖めるタイプのほか、手の平も暖めるグローブもあります。

ハンドルカバーを併用

グリップヒーターに写真のようなハンドルカバーを組み合わせると、グリップヒーターの弱点である手の甲の冷えを解消でき、カバー内も暖まるのでオススメです。

<操作のしやすさ>薄手グローブが使えるグリップヒーターの勝ち

アクセルやレバーなどの操作性に関してはグリップヒーターが優秀です。電熱グローブは電熱線や発熱体が内蔵されている上に、冬用グローブとして中綿が採用されているので、モコモコしています。中には手の平側をやや薄くして操作性を向上させたモデルもありますが、やはり厚手です。

グリップヒーターは、外径が通常グリップと同等であることが条件です。また、春や秋など季節によっては薄手のグローブでも十分暖かいです。厳寒期は冬用グローブを使うことになりますが、電熱グローブより一般的な冬用グローブの方が操作しやすいモデルが多いです。

なお、「温度のレベルを変更する」といった意味での操作性についてもグリップヒーターの方がやりやすいです。ハンドルの手元に設置されたボタンを押すだけでOKだからです。電熱グローブの場合、たいていカフ(手首を保護する部分)にスイッチがあり、走行中に変更するのは難しいです。

電熱グローブのスイッチ

手首の光っている部分が電熱グローブのスイッチです。


<稼働時間>モバイルバッテリーの電熱グローブは充電切れが!

電熱グローブもグリップヒーターも車体のバッテリーやシガーソケットから給電するタイプがあり、これなら稼働時間を気にする必要はありません。

とはいえ、近頃の電熱グローブは専用バッテリーをグローブに内蔵するタイプが主流。稼働時間に限りがあり、“充電切れ”を心配する必要があります。フルパワーで暖めるとバッテリー容量にもよりますが、2~3時間で充電切れに。ただし温度設定を低くすると稼働時間が伸び、筆者が調べた範囲では最長で7時間という製品がありました。

いずれにせよ丸一日持たない計算です。なので長時間のツーリングでは予備バッテリーを持ち歩くか、暖かい日中などは途中でオフにすることが必要。なお、専用モバイルバッテリーは2個で1万円前後~となかなか高額です。

ちなみに電熱グローブは専用バッテリーを使うほか、市販のモバイルバッテリーを使える製品もあります。

電熱グローブバッテリー

電熱グローブはご覧のような充電式の専用モバイルバッテリーを使用。これを手首に内蔵します。


<気軽さ>買ってすぐ使える電熱グローブが勝ち!

使い出すまでの手間を考えると、モバイルバッテリー式の電熱グローブが断然お気軽。購入して充電済みであればすぐ使えます。
一方のグリップヒーターは通常のグリップを外して、車載バッテリーから配線を行う必要があります。接続や配線の取り回しなどがあるので、メカに自信のない人はショップに任せた方が無難です。

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<価格>どちらかと言えばグリップヒーターの方が安い

両者とも価格は様々ですが、グリップヒーターの方が安く済むケースが多いです。グリップヒーターはグリップに巻き付けるタイプや、安価な製品もありますが、しっかりしたメーカー製でグリップが発熱するタイプは実勢価格1万円前後~、別途工賃が1万円程度です。

電熱グローブも5000円以下の安価なものが販売されていますが、信頼できるバイク用品メーカー製なら2万円前後~はかかります。

ただし、複数台バイクを持っている場合、電熱グローブの方がコストは安く済みます。グリップヒーターを装着するとなると1台ごとに費用がかかってしまいますが、電熱グローブなら一双あればOKだからです。

巻き付けタイプのグリップヒーター

純正グリップに巻き付けるタイプのグリップヒーターは安価ですが、グリップが発熱するタイプより操作感はダウンします。

<まとめ>暖かさを重視するなら電熱グローブですが……!?

グリップヒーターにもメリットはたくさんありましたが、極寒時の暖かさという重要ポイントに関してはやはり電熱グローブが優位です。私の場合、バイクが複数台あり、暖かさを重視しているので、実際に使っているのは電熱グローブになります。

本格的な寒さに対応したり、高速ツーリングをするシチュエーションではやはり電熱グローブがいいでしょう。

とはいえ、グリップヒーターも速度域が低い状況や極寒時以外には大活躍しますし、操作性がいいのがポイントです。

そして突然の寒さに対応できるのもマル。電熱グローブが要らない季節に、とつぜん気温が低くなったり、雨で冷える時があります。電熱グローブが手元にない場合でもグリップヒーターならすぐに暖を取ることができます。さらにハンドガードを組み合わせると弱点を補うことができます。

最後に。さんざん比べてきましたが、電熱グローブとグリップヒーターを組み合わせるのもアリです(笑)。両方とも備えておき、状況に応じて使いわけるのが理想的でしょう。


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