恵那の石場建て8 焼杉の作り方 | 水野設計室
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恵那の石場建て8 焼杉の作り方

恵那の石場建て、8月末に塗った荒壁も乾燥し、10月より大工の造作工事が始まっています。

今回の外壁は、焼杉です。
焼杉は、杉板の表面を焼いて炭化させた板材です。
炭化させることで、木の腐りや虫食いに強くなり、シロアリにも効果があると思います。

今回は20mmの厚みの杉板で、節有りの赤身の特一材を焼きました。
木の板は時間とともに痩せていくので、板は厚ければ厚いほど長く持ちます。
また、木の芯に近い赤身の部分は、防虫防腐の成分が含まれており、腐りにくく長く持ちします。ちなみに木の外側の部分は白太とよばれ、だいたい虫に食われたりカビが生えているのは白太ですね。
今回は赤身の部分だけの厚板を焼いているの、余裕で100年もたせるつもりです。

もちろん、厚い板は費用も高く、赤身の部分も費用は高い、そして焼く手間もかかります。
耐久性は、例外なく、良い材料と手間に比例するんですね。

 

そんな焼杉ですが、今回は建主さんと大工さんで作りました。

今回焼いた板は4M。
まずは、三枚の板で三角の煙突を作ります。針金で縛る。
4Mのなので、立てるとこんなに高くなります。

ドラム缶の中で火を起こし、そこに先ほどの三角の煙突をセットします。
すると、煙突効果で三角の煙突内部は高温状態になり、圧力差で炎が4M上の煙突の先まで登っていきます。
しばらく放置して、しっかり焼きます。

上の写真は、上までしっかり焼けたか確認中。

しっかり焼けたら、横に倒します。
横に倒せば、すぐに鎮火しますが、煙は凄いのです。

針金を取って、広げてみるとこんな感じです。
三角の縁の炎に触れなかったところが、焼き残しになっていますが、全体的にはしっかり焼けていますね。

焼け残しの部分や、小口の部分は、後からバーナーで仕上げ焼きです

最後はホースで洗って完成です。

この日は準備片付け合わせて、一日で150枚焼きました。
厚板の焼杉は、なかなか売っていないので、みんなで作りましょう!

今回で4回目の焼杉作りになりましたが、なぜか毎回夏にやっています・・・。
夏場の焼杉作りは暑いので、ぜひ涼しい季節に作る事お勧めします(笑

 

もう一つ、アドバイス。
以前は、バーナーで一枚づつ焼こうとしましたが、時間とガス代がとんでもない事になりますので、煙突がおすすめです。

 

 

さて現場です。
10月頃の風景。現場の隣に稲架かけ風景。
まさに、近くの自然素材で作る家。

世界中で何百年も前からされてきた家作り。
これに勝る家作りがあるのだろうか。

こちらは、壁の拡大写真。

乾いた土壁の上に、15mmの断熱材が貼っています。
断熱材といっても、杉樹皮とバージンパルプをトウモロコシのでんぷん糊で固めた自然素材の断熱材です。

おすすめのフォレストボードです。
https://shirakami-fc.co.jp/board.html

数値的には熱伝導率0.052W/(m・K)と、断熱材と比較すると勝ち目はありませんが、自然素材と比較するとトップクラスの断熱性なのです(笑
ゴミを残さない家作りをしようと思うと、これで良い。

0.083 W/m・K
茅草0.073 W/m・K
天然材木0.120 W/m・K
0.128 W/m・K
0.140 W/m・K
かんなくず0.065 W/m・K
もみ殻0.151 W/m・K
土壁0.669 W/m・K
土壁(仕上げ)0.675 W/m・K
砂しっくい0.720 W/m・K
0.675 W/m・K
フォレストボード0.052 W/m・K
ネオマフォーム0.020 W/m・K
高性能グラスウール0.034 W/m・K

こちらが、土壁の上にフォレストボードをはめ込んだ状態です。
隙間が少なくなるので、伝統工法の家の場合は、数値以上に大変効果があります。

この断熱の上に、下地を打って焼杉を貼っていきます。
家を永く持たせようと思うと、一番大事なことは家の呼吸を止めない事。
この家もいつまでも持つかわからない防水シートには頼らず、軒を1.5M出して雨がかかりにくい構造とし、乾きやすい下見板の仕上げとしました。

 

今は、足場もバレてこんな感じです。