ルシンダ・ライリーから始まり、歴史ロマンスの魅力に気付き、色々な本を読みまくっている日々です。歴史ロマンスとは一言ではくくれず、過去と現在を行き来するような時空モノ、と言うべきなのか、それとも読み進めていくうちに過去の謎が紐解かれるのでミステリーと言うべきなのか、迷うところです。
どの小説も、現在の主人公がベースにあって、何らかのきっかけで過去の秘密を探っていく、というようなストーリー展開です。ルシンダ・ライリーの『セブン・シスターズ』のように、養父の死をきっかけに、娘たちは自分の本当の親のルーツを探っていくという自分の生い立ちを調べていくパターンもあれば、自分が訪れた場所に隠された秘密を解き明かしていく、というパターンもあります。
今回は自分の生い立ちを調べるパターンの作家さんと作品(シリーズ)を紹介します。
ソラヤ・レーン Soraya Lane『The Lost Daughters』
おすすめしたい作品はニュージーランド出身のソラヤ・レーンの『ザ・ロスト・ドーターズ The Lost Daughters』シリーズです。子供の頃からの小説家になりたい!という夢を実現させた女性作家さんで、現在はニュージーランドの農場で家族と共に暮らしながら、執筆活動を行なっています。インスタの中でも書いてありましたが、ルシンダ・ライリーのファンの一人でもあります。
ルシンダ・ライリー好きの人にはぴったり!と紹介されて出会ったこともあり、このシリーズは『セブン・シスターズ』とストーリー・ラインがとても似ています。最初は微妙かも、と思いましたが、出生の秘密を探っていくストーリー展開は読んでワクワクするものばかり。ミステリー要素も隠されているので、先を予想しながら読むのも楽しいです。
『ロスト・ドーターズ』シリーズのあらすじ
ある日、主人公の女性が弁護士事務所の手紙を受け取ることから始まります。その手紙の内容は、祖母の遺品で渡したいものがあるから来て欲しいというもの。半信半疑で主人公はその場に足を運びます。すると、その場には自分と同じように呼び出された6人の女性が。そこで出会ったミーアと名乗る女性から渡されたのは小さな箱でした。ミーアはホープという女性の姪だと名乗ります。
話が読めない女性たちは困惑するばかり。ホープとは一体何者なのか?彼女たちが疑問を投げかけると、ミーアがホープについて語り始めます。
ホープという女性はかつて、身寄りのないシングルマザーを引き取り、出産のや養子縁組の手伝いをする施設「ホープ・ハウス」を経営していました。ホープの元を訪れるシングルマザーは後を絶たず、ロンドンの聖母のような存在でした。しかし、「ホープ・ハウス」を閉じた後、ホープは病気を患い、他界します。ホープの死後、ミーアが家を整理していると、名前の書かれた小さな箱が床の下からいくつか出てきました。ミーアは訳がわからないながらも、箱に書かれた名前の女性を探し、その家族宛に手紙を送ったのでした。
自分の祖母が養女であったことを知った孫たちは驚きを隠せません。ミーアによれば、箱の中には祖母の本当の母親を知る手がかりが入っているとか。主人公の女性たちは迷いながらも、自分のルーツを探る旅に一歩を踏み出すのです。
1冊目『イタリアン・ドーター』
『イタリアン・ドーター』の主人公・リリーが受け取ったのはミラノ劇場のパンフレットと、イタリア語で書かれたレシピ。これだけの手がかりから、本当に祖母の出生の秘密を知ることができるのか?リリーはた仕事で訪れたイタリアで、色々な人の助けを借りながら、曽祖母の辿った足跡を追っていきます。リリーと曽祖母の時代を行き来しつつ、なぜ、曾祖母がなぜ「ホープ・ハウス」に辿り着いたのか、祖母を養女に預けならなければいけなかったのか?という謎が解けていきます。
出だしから6人の養女、さらには7人目もいたけれども見つからなかった、というような展開で『セブン・シスターズ』の二番煎じじゃないの?という匂いがプンプンしましたが、そこはさすが作家さん!オリジナルストーリーで最後はうまくまとまりました。数冊読んで行くと、時代構成がストーリーごとに違うので、いろいろな時代を楽しめます。
例えば2冊目の『キューバン・ドーター』ではキューバ革命の時の話なので、1950年代、『ロイヤル・ドーター』ではギリシャのクーデターの話で1970年代と、時代背景はばらばらです。全体的に軽めの話なので、サクサクと読めるハーレクイン小説といった感じでしょうか。それでも、ラブストーリーだけでなく、ミステリー要素、歴史フィクションがうまく絡んでいるところが面白い理由です。
『サファイヤ・ドーター』はスイス、『パリ・ドーター』ではパリが舞台でした。少しずつホープの秘密も明かされていき、この先はどのようになるのか楽しみなところです。6冊目の『スパニッシュ・ドーター』は2025年3月に、そして7人目の娘やホープの秘密、と話は続いていくのかな、という感じです。世界各国へ旅行気分を味わいたい、軽めの歴史ロマンスが読みたい!そんな方にはおすすめのシリーズです。
『ロスト・ドーターズ』シリーズの購入はこちら
『ロスト・ドーターズ』シリーズが気になった方はこちらから購入が可能です。Amazonでは比較的リーズナブルに手に入るので、今回はAmazonアソシエイトをメインに紹介します。
1冊目を読んで、興味が湧いた方、2冊目以降はこちらから購入可能です。個人的には2冊目以降がおすすめ!
こちらはキューバが舞台の物語です。砂糖で財を築いてきた一家がキューバ革命によって翻弄され、祖国を追われます。革命後の市民の生活は豊かになったのか?という疑問も投げかけている作品です。貧しい生活の中でも生き生きとした人々と過ごしながら、主人公・クラウディアも自分らしさを見つけていきます。キューバからなぜロンドンの「ホープ・ハウス」にまで辿り着いたのか?謎が解けていきます。
こちらは映画『マンマ・ミーア』の舞台となったギリシャのスコペロス島の物語です。ギリシャ王室の亡命により祖国を離れロンドンの叔母のもとに引き取られた娘は、音楽の才能を開花させます。話は現代に戻り、主人公・エッラは祖母の手がかりにスコペロス等で撮った家族写真と楽譜を受け取ります。写真に導かれ、ギリシャを訪れたエッラが手にした真実とは!
主人公・ジョージアが受け取った祖母の出生の秘密はピンク・サファイアでした。祖母との良い思い出のない彼女はサファイアをオークション・ショップに売ろうとします。しかし、そこでわかったのはそのピンク・サファイアはイタリア王室のティアラのピンク・サファイヤの一つだということ。そして、そのティアラの持ち主が長年に渡ってサファイヤを探しているということでした。彼に会うためにジョージアはスイスに行くことを決意します。
戦前の激動の時期に活躍したパリのデザイナーの物語です。シャネルがに憧れ、パリでデザイナーとして活躍したいという夢を胸に抱えた女性がどのように成功していったのか?現代の主人公はブレーク、母が体調を崩してからは母親がわりとして一家を支えてきました。そんな彼女が受け取ったのはデザイン画と一枚の布切れ。そこから始まった祖母のルーツを探る旅は、彼女の人生を全く違った方向に変えることになります。
といった5冊の内容です。途中でそれぞれの主人公が絡んできたり、ホープの過去が明らかになりつつあったり、と先を予想しながら読むとさらに楽しめます!
今回は、『セブン・シスターズ』が好きでちょっと軽めの歴史ロマンスが読みたい方へ向けて、おすすめの作家さんソラヤ・レーン『ザ・ロスト・ドーターズ The Lost Daughters』を紹介しました。ノンフィクションも絡めたズシンと重めの歴史ロマンスが好きな方には次のブログで紹介するローナ・クックがおすすめです。この作家さんの書く文章にはぐんぐんと引き込まれ、読んだ後もどっぷり浸かった情景の中で余韻を楽しめます。
本日も最後までお付き合いいただいた皆さま、ありがとうございました。このブログをきっかけに洋書の魅力を届けることができれば、とても嬉しいです!
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