映画『花腐し』公式サイト|11月10日(金)テアトル新宿ほか全国公開
東映ならぬ東映ビデオのあっさりした三角マークで始まったかと思うとその東映のお馴染み海岸の波飛沫ロゴタイトルと見紛う風景へとパンダウンする、そして波打ち際の心中死体。ビデオの時代になってしまった、俺は映画と心中したんだよ、というメタファーか。
ことほど左様に散りばめられた少し前の時代、それも映画にまつわる時代へのレクイエム。心中の片割れ、ピンク映画監督の葬儀に集まっている面々、個人的に知っている同業者がちらほら。酒呑んで掴み合い、まだやっている。
そして宇崎竜童メドレーが雨そぼる新宿界隈にしっくり馴染んで行く。
もう恥も外聞もなくわたくし映画、遺作なら本望だと言わんばかりの自己模倣。
月刊シナリオ、監督ご自身の写真が示され思わず吹き出した。そして自身を投影したかのような奥田瑛二扮するベテラン脚本家。
ピンク映画、ロマンポルノと官憲によって不自由な性表現を強いられている日本映画の歴史をそのまま踏襲、相変わらずの不自由はもはや成人映画「様式」であり「見せられない」仕様をこう延々見せられると嘆息する。
後半の女二人と柄本佑の絡みは既視感あり、荒井晴彦脚本の「母娘監禁・牝」('87)由来じゃないだろうか。更には「Wの悲劇」('84)の台詞まで。
本望でしょう、素敵ですこの映画いや「少し前の日本映画業界」への耽溺ぶりは。
なぜか酔生夢死という言葉を思い出したエンドロール。
お客さんよく入っているテアトル新宿を出ると雨、そのまま道を亘ってゴールデン街へと、誰か行っただろうか。