「老後2000万円問題」やコロナ禍での資産形成が話題になり、個人で投資や積立をする方が増えてきています。では老後や今後の生活のために、どのようにして資産を形成・運用していくのがよいのでしょうか?
そんな悩みを解消するために、少額からの個人投資を支援する非課税制度「NISA/ニーサ(※一般NISA)」や、「つみたてNISA(積立NISA)」に加え、「iDeCo(イデコ)」とよばれる個人年金が注目を浴びています。
それぞれどのような制度なのか、どういう人を対象にしているのか、この記事では「NISA」「つみたてNISA」「iDeCo」を徹底比較し、それぞれのメリット・デメリットを説明していきます。
- NISAは短期投資(最長5年)に対しての非課税口座
- つみたてNISAは長期(最長20年)の積立投資における非課税口座
- iDeCoは年金積立を支援する制度,節税対策にも◎(ただし60歳まで解約できない)
- NISAとiDeCoは併用できる
NISA、つみたてNISA、iDeCoとは?それぞれのメリット・デメリット
まず、この NISA(ニーサ)や つみたてNISA(積立ニーサ)、iDeCo(イデコ)は 金融商品を運用していくことで 資産を形成していく口座のことです。
※そもそも資産形成って何すればいいの?という方は資産形成とは?をご覧ください。
それぞれの口座で対象の商品も変わってくるので 3つの口座を詳しく解説していきます!
NISA(ニーサ)とは?メリット・デメリット
NISA口座は、2014年にスタートした少額投資非課税制度。(つみたてNISAと比べ、一般NISAと呼ばれます。)
通常の証券口座では、株取引などを行い 利益が出た場合おおよそ20%が税金として課税されます。しかし、NISA口座で取引を行うと課税の対象外になります
一般NISA口座では年間120万円まで、最長5年間が非課税と制限があります。また購入できる商品は、国内株式(ETF・REIT含む)・外国株式(海外ETF)・投資信託などで、FXや債券、金などは対象外となります。
NISAは株式投資に対する非課税口座です。
- 最長5年、年間120万までが非課税で運用できる
- 現物株式、投資信託が購入対象(証券会社によっては海外株,IPOも対象)
- いつでも売却可能
- 通常の株式口座との損益通算ができない
- 元本保証がない
- 株の知識がある
- 短期で利益をあげたい人
※一般NISAについて詳しくはこちら ≫NISA(ニーサ)はどんな制度?|ネット証券のNISA口座 おすすめランキング
つみたてNISA(積立NISA)とは?メリット・デメリット
2018年よりスタートした長期積立・分散投資を支援する「つみたてNISA(積立NISA)」。つみたてNISAも一般NISAと同じく 非課税対象となる口座ですが購入できる商品が金融庁が定めた基準を満たす投資信託のみとなっています。
また年間40万円まで最長20年間が非課税対象枠となっていますが、いつでも保有投信の売却が可能です。
つみたてNISAは、長期の積立投資に対する非課税制度と理解しておきましょう。
少額からも始められるうえ、投資対象が投資信託なので 分散投資にもつながり リスク回避をしながら運用できる点も つみたて投資の特徴です。
※投資信託ってどんなもの?という方は投資信託(ファンド)とは|投資信託のメリット・デメリットをご覧ください。
- 最長20年、年間40万までが非課税
- 金融庁選定の投資信託なので、質の高い投資信託から選択可能
- いつでも売却可能
- ロールオーバーができない(20年後は課税口座に移すか もしくは売却が必要)
- 対象商品が特定の投資信託のみ
- 一般NISAと同じく、他の口座との損益通算ができない
- 元本保証がない
- 株の知識が少ないけど、投資を始めてみたい
- 貯金感覚で投資を始めたい
※つみたてNISAについてや、おすすめ銘柄など 詳しくはこちら ≫つみたてNISAとは?|つみたてNISAおすすめ銘柄・証券会社ランキング
iDeCo(イデコ)とは?メリット・デメリット
個人型確定拠出年金、通称「iDeCo(イデコ)」とは、公的年金とは別に、自分で年金として積立投資を支援する私的年金制度です。iDeCoは20歳以上60歳未満の方が加入でき、iDeCoでの運用利益は非課税、さらに掛金が全額所得控除となります。
購入できる運用商品としては、「元本確保型である定期預金・保険」と「投資信託」が対象となっています。
iDeCoは年金としての長期積立を支援する制度です。したがって、原則60歳までは保有商品の売却、つまり資産の引き出しができませんのでご注意ください。
- 運用益だけでなく、掛金も全額非課税対象=住民税・所得税が軽減
- 受け取り時も「退職者控除」「公的年金等控除」ができる
- あくまでも「年金」なので、原則60歳以上までは解約・資金の引き出しができない
- 元本保証がない(元本保証型の商品もあり)
また、iDeCoは20歳以上60歳未満ならほとんどがの方が加入できますが、雇用条件によって拠出限度額が変わってきますのでご注意ください。
- 基本的な貯金はあって、老後の資金として資産形成したい
- 節税対策も興味あり
※iDeCOについて、メリットやデメリットの他 加入条件など 詳しくはこちら ≫iDeCo(イデコ)とは?メリット・デメリットから加入資格・条件を簡単に解説!
NISA,つみたてNISA,iDeCoの違いは?
まずは、それぞれの制度の違いを比較してみましょう。NISA、つみたてNISA、iDeCoでは運用方法の他、非課税枠・期間・購入できる対象商品などが異なります。
「NISA」,「つみたてNISA」,「iDeCo」比較 | |||
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NISA | つみたてNISA | iDeCo | |
運用方法 | 通常買付・積立投資 | 積立投資 | 積立投資 |
対象者 | 国内居住の20歳以上 | 国内居住の20歳以上60歳未満 | |
非課税投資枠(年間) | 120万円 | 40万円 | 14.4万円~81.6万円(加入条件によって異なります) |
非課税期間 | 最長5年間 | 最長20年間 | 70歳まで(新規投資開始は60歳まで) |
非課税・控除対象 | 運用益 | 運用益 | 運用益・所得税・住民税 |
投資対象商品 | 上場株式(ETF・REIT含む)・投資信託 | 金融庁により定められた基準を満たした投資信託 | 投資信託・定期預金・保険 |
口座開設期間 | 2023年まで(2024年以降は新NISA) | 2042年まで | 60歳まで |
保有口座数 | どちらか1口座のみ | 1口座のみ | |
資産引き出し(解約) | いつでも引き出し可能 | 原則60歳まで引き出し不可 | |
金融機関の変更 | 年に一度のみ変更可 | 変更可 |
NISA(一般NISA/つみたてNISA)とiDeCoはどっちがおすすめ?
NISAは株式や投信での投資に対する非課税制度、つみたてNISA・iDeCoは長期積立に対する非課税制度となっています。
今現在 手元に資金があって、株取引を始めたい!という方には一般NISAが向いていると思います。
一般NISAでは 国内外の企業の株や上場前の株に応募できるIPOなど 幅広い投資ができる=非課税で 短期運用しやすい口座です。つみたてNISAに比べて 年120万円まで投資枠があるのもメリットの一つです。
※ただし証券によってNISA対象の商品が異なるので注意。詳しくはネット証券のNISA比較をご覧ください。
長期の積立としては住民税・所得税も控除されるiDeCoがおすすめですが、60歳まで資金を引き出せないのが唯一のデメリットだと思います。冠婚葬祭や急病など、急なお金が必要になった時に、余分な貯蓄がないと困ってしまうかもしれません。そういう方には、いつでも引き出しができる つみたてNISAの方をおすすめします。
長期で資産運用を考えているのであれば つみたてNISAを使っても まだ貯金として余剰資金がある場合は更にiDeCoを など併用するのもベストだは思います。
どちらかの方がお得!というわけではないので 無理なく 自分の資産・スタイルにあわせて、これらの制度を利用しましょう。
また、これらの制度はあくまでも金融商品を運用していく投資になるため元本割れのリスクも当然存在する という事は理解しておく必要性があります。
資金の引き出しがNISAやつみたてNISAではいつでもできますが、iDeCoでは60歳にならないと解約(資金の引き出し)ができない点が注意!
また、NISAとiDeCo もしくは つみたてNISAとiDeCoの併用はできても NISAと積立NISAの併用はできません。
NISAやiDeCoを始めるには
NISAやiDeCoは証券会社や銀行などの金融機関で口座開設することができます。
どこで口座を解説しても制度に変わりはありませんが、大きな違いとしては「運用商品数」が異なります。
例えば銀行や大手総合証券会社では つみたてNISAの取扱商品(投資信託)は約5~20銘柄程度(各機関によって異なります)ですが、ネット証券である SBI証券 や 楽天証券 では約170銘柄の取扱と、大きな差があります。
銀行や総合証券では担当や営業員がサポートしてくれる反面 自由な取引がしづらい というデメリットがあります。自分で好きな銘柄を探したり 取引したいといった場合はネット証券で口座開設してみましょう!
NISA・つみたてNISAの場合は 証券会社での株取引に使用される総合口座の解説が必須となっています。iDeCoの加入はiDeCo口座のみの開設で加入する事ができます。
ネット証券の口座状況比較
最後に、当サイトで紹介している証券会社のNISA、つみたてNISA、iDeCo口座状況の比較です。証券会社によって、すべてのサービスを行っているところと、そうでないところがあります。
証券会社 | SBI証券 | 楽天証券 | auカブコム | マネックス証券 | 松井証券 | GMOクリック | ネオトレード | 岡三オンライン | DMM株 |
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NISA | 〇 fa-starNISAランキング:1位 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
つみたてNISA | 〇 | 〇 fa-star積立NISAランキング:1位 |
〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 | × | × |
iDeCo | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | × | 〇 ※運営管理は岡三証券 |
× |
詳細 | SBI証券 ≫詳しく見る |
楽天証券 ≫詳しく見る |
auカブコム ≫詳しく見る |
マネックス証券 ≫詳しく見る |
松井証券 ≫詳しく見る |
GMOクリック ≫詳しく見る |
ネオトレード ≫詳しく見る |
岡三オンライン ≫詳しく見る |
DMM株 ≫詳しく見る |
それぞれの証券会社でのNISA・つみたてNISAサービスの比較は以下で紹介していますので、口座開設の際に ぜひ参考にしてみてください。
「NISA , つみたてNISA , iDeCo」に関するQ&A
NISA+iDeCo もしくは つみたてNISA+iDeCo の組み合わせで併用は可能です。
NISA・つみたてNISAはどちらか1人1口座となっているので NISAの併用はできません。
これが一番おすすめです!というのはありません。目的別にそれぞれメリットやデメリットがありますので、違いをよく理解しましょう。
また、NISAやイデコ以外にも 1株から始める株取引 や ポイントを使った投資 など、少額から始められる株取引もあります。ご自分の資金に適したものも選択肢にいれてみましょう!※参考:資産運用おすすめランキングTOP5|初心者でも失敗しないコツも合わせて解説
SBI証券 もしくは 楽天証券をおすすめします。
SBI証券では NISA口座ではIPO銘柄や米国株も対象、つみたてNISAでは購入できる対象銘柄数が楽天証券と並ぶ最多数という点でオススメです。また、投資信託の積立を三井住友カードのクレカ決済で行うとVポイントがついてくるうえ 投信の保有によってはTポイントも付与される点でもおすすめです!
楽天証券でも同じく 積立投信の楽天カード決済でポイントが付き、投資信託の取扱数も多く つみたてNISAおすすめ証券会社ランキングで1位 として紹介しています。
※各サービスの証券会社比較を下記のページでで行っています。おすすめの理由を詳しく知りたい方は つみたてNISAおすすめ証券会社ランキング もしくは 一般NISAおすすめ証券会社ランキング を参考ください。
この2社は おすすめ証券会社ランキング で1,2位を争うほどのサービスを展開しているので 今からNISAを始めたい!という方にももちろん NISA以外のサービス面でも人気の証券会社です!
■ 齋藤 正勝(さいとう まさかつ)
- 株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド 取締役副社長 兼 COO
- 株式会社ミンカブアセットパートナーズ(金融商品仲介業 登録申請中) 代表取締役社長
- 株式会社ミンカブ Web3ウォレット 取締役会長 兼 CEO
- 一般社団法人 新経済連盟 幹事
- 一般社団法人 日本デジタル空間経済連盟 理事
銀行代理業許可:関東財務局長(銀代)第8号の「カブドットコム証券株式会社(現・auカブコム証券株式会社)」の創業者で長く代表取締役社長を歴任。退職後は当社取締役副社長 兼 COOに就任。これまで培った金融関連事業に加え、メタバースやWEB3など新事業にも精力的に取り組む。また個人投資家としても市場に積極的に参加。著書は「本気論―フリーターから東証一部上場企業の社長になった男の成功法」「カブドットコム流 勝ち残り法則80ヵ条 (講談社+α文庫)」など。