御蔵島では自然公園法や村の自然保護条例などによって、山野への立入りや動植物の採取が制限されています。ただし、学術研究等の理由により特に必要と認められる場合は、村長の許可により可能となります。 また、島のほとんどが村有地や民有地のため、道路脇であっても個人所有の土地であることが少なくありません。御蔵島観光協会では、調査研究目的で来島される方がスムーズに仕事を行えるよう、情報提供に努めております。
本HP内「御蔵島基本情報」と併せて、ご来島時の参考にされてください。

御蔵島をフィールドに研究を進めるガイドライン

全文と申請書をダウンロード

平成18年7月  御蔵島観光協会作成
平成20年10月 一部改訂
平成22年6月  一部改定
平成23年6月  一部改定
平成24年8月  一部改定
平成25年7月  一部改定

本ガイドラインでは、御蔵島をフィールドに動植物等の調査がスムーズに行えるよう、そして、調査結果が島にフィードバックされるよう、必要な諸手続や注意点、お願いなどをまとめています。

Ⅰ.御蔵島の自然を取りまく関係法令

御蔵島は、昭和39年7月7日から富士箱根伊豆国立公園に指定されているため、自然公園法により立ち入りや行為が制限されている場所があります。また、「東京都自然公園条例」、「東京都の島しょ地域における自然の保護と適正な利用に関する要綱」、「御蔵島村自然保護条例」、「御蔵島動植物の保護に関する条例」などによっても立ち入りや行為の制限が定められています。

1)自然公園法
御蔵島は、「普通地域」である集落をのぞく全ての陸域と沖合1kmまでの海域が自然公園区域として指定されており、場所によって「特別保護地区」「第1種特別地域」「第2種特別地域」「第3種特別地域」と4種類の分類がなされています(地図pdf参照:環境省のHPにジャンプします)。「特別保護地区」においては全ての(魚介類は除く)、「各種特別地域」においては指定された動植物を採取、捕獲する際には環境大臣の許可を受けなければなりません(自然公園法第十三条第3項、同第十四条第3項)。違反した場合、六ヶ月以下の懲役又は五十万円以下の罰金刑があります(同第七十条第1項)。「普通地域」では、開発や建設に制限があるものの、動植物の採取に関して特に制限は設けられていません。

2)東京都の島しょ地域における自然の保護と適正な利用に関する要項
集落、自動車道などをのぞく陸域全域及び沿岸海域1000m以内で「自然環境保全地域」を指定しており、観光目的の立ち入りの際にはガイドの同行が義務づけられています(同要綱第7条)。ただし、学術研究目的の場合は、御蔵島村長(または東京都知事)への申請により、ガイドの同行が無くとも立ち入りが許可されます。

3)御蔵島村自然保護条例および御蔵島動植物の保護に関する条例
村長が指定した保全地域内での行為を規定しています。この条例によって、保全地域における動植物の捕獲、又は島外への持ち出しが禁止されています(御蔵島自然保護条例第十一条第一項)。また、保全地域外であっても、指定されている動植物の無許可での捕獲、持ち出しは禁止されています。ただし、学術研究等の理由により特に必要と認められる場合は、村長の許可により可能となります(御蔵島動植物の保護に関する条例第八条)。その際、原則として一週間前までに村長への申請が必要です(御蔵島自然保護条例施行規則第四条第二項)。違反した場合、氏名公表とともに5万円以下の罰金に処せられることとなります。

4)その他の法令
御蔵島の全森林面積の5%が森林法によって保安林に指定されています。保安林内では立木の伐採や土地の形質を変更する行為等が制限されています。御蔵島全体の約30%が、いわゆる鳥獣保護法により、都設鳥獣保護区に指定されています。文化財保護法では、国指定の天然記念物としてカンムリウミスズメ、アカコッコ、イイジマムシクイ、カラスバトなどを指定しています。
また、植物群落として、鈴原湿原の湿性植物群落、御代ケ池周辺のツゲの巨木が都の指定天然記念物となっています。

〜各種関係法律等の御蔵島での窓口リスト〜

これら関係法令には十分留意し、御蔵島の自然環境と調査対象種の保全を念頭に置いて調査するようして下さい。

Ⅱ.申請と研究計画書の提出

車道や里の一部を除く島全域が「自然環境保全地域」「保全地域」に指定されているため、御蔵島において動植物等の調査を行う場合は、申請と許可が必要になります。

1)採取や捕獲を伴わない調査の場合
別記様式第3号−3「調査のための立ち入り許可申請書」をご提出頂いております。ただし、村役場が立ち入り許可を出せるのは、車道沿い(地図上青ライン)や保全地域のガイドコース(地図上赤ライン)等の村有地のみとなっております。
御蔵島では、私有地が多く、また複雑に入り組んでいるため、勝手な立ち入りはトラブルとなります。あらかじめ、調査地について地図上などで示してから、協会もしくは村役場で相談するようにして下さい。 保全地域内のガイドコース(地図上赤ライン)でも学術目的であれば、ガイドの同行がなくともお入り頂けます。ただし、コースの利用人数をモニタリングしておりますので、別記様式第3号—1にて利用箇所、人数および時間をご提出下さいますようお願いいたします。(事後申請でかまいません)

2)採取や捕獲を伴う調査の場合
別記様式第3号—3と共に第4号をご提出下さい。各項目は、出来るだけ具体的に記入するようお願いいたします。 申請書でカバーされていない事項や書ききれない事項については、別添にて提出して下さい。学生の方が申請する場合には、指導教官等の推薦状を付けるようにお願いいたします。提出して頂ける資料は、御蔵島民や観光客が島の自然と科学研究の大切さを理解するための貴重な資料となります。是非ともご協力をお願いいたします。

○別添にてお教え頂きたい事項

○提出先
御蔵島観光協会へ、1部ずつお出し下さい。メール添付でも可能です。協会が窓口となって村役場へ書類をまわします、審査と許可は村役場で行います。

調査日程の2週間前までにご提出をお願いいたします。

Ⅲ.調査の実施に当たって

全島民が300名程度の御蔵島では、宿泊施設や商店などにも限りがあります。宿泊場所の確保は、最優先課題です。また多くの場合において、観光客とは違う動きをする研究者は、目立ちます。宿の方には少なくとも、研究目的であることと申請をすませて許可をもらっていることを先に伝えておくと、スムーズでしょう。

1)宿泊場所の確保
民宿が8軒とバンガローが5棟あります。5月〜9月のイルカウォッチングシーズンは、いずれもかなり混み合います。調査時期にもよりますが、できれば平日を中心に日程を組まれることをお奨めいたします。島内でのキャンプ、野宿は禁止となっております。

2)島内交通
レンタカーやレンタバイク屋さんは、ありません。島内は、自転車が禁止されていますので、基本的には徒歩での移動となります。どうしても移動手段が必要な場合は、宿などに相談して車を借りることも可能です(ただし非常に希)。しかし、観光ハイシーズンではそれも不可能だと思っておいた方が良いでしょう。東海汽船の手荷物扱いで90ccまでのバイクが積み込めますので、それをご利用になるのも手かもしれません。ただし、極端に狭い道、急な坂ばかりの島です。十二分に注意して安全運転してください。

3)その他注意点
御蔵島に到着されましたら、御蔵島観光協会までお運び下さい(営業時間8:30-17:00、3/15-11/15の期間は無休で開所、それ以外の期間は土日祝休)。許可証調査許可腕章をお渡しいたします。保全地域(本来ガイドの同行が必要な観光ルート)に立ち入る場合は、日ごとに別記様式第3号-1を御蔵島観光協会へ提出していただいております。原則3日前までとなっておりますが、調査日程の都合により仕方なく調査後になってもご提出をお願いします。 フィールドに出るときは、必ず宿の人に一声、調査場所や帰宅時間などを伝えてから出かけましょう。また、人口300人少しの島では、島民全てが顔見知りです。こんな環境ですので、「知らない人」が野山をうろうろしていると、とても不安になりやすいのです。野外での調査中に誰かにあったら、必ず挨拶はするようにしましょう。出来るだけコミュニケーションを図るようにして下さい。

4)お願い
御蔵島での調査をまとめた論文や紀要、報告書などがありましたら、どのような形でもかまいませんので、御蔵島観光協会までお知らせ下さい。出版物の場合、コピーや別刷りをいただけると、大変助かります。観光協会では、調査されたことを整理し、調査で分かった事柄を出来るだけ住民へフィードバックしたいと考えており、Mikurensis-みくらしまの科学- (ISSN-2187-0403)という研究紀要を年一回発行しています。御蔵での調査成果をまとめて、発表していただけると嬉しく思います。
また、住民を対象とした講演なども歓迎いたします。昆虫や鳥類の研究成果に関する報告会をこれまでにいくつか開いております。 ご相談下されば、会場手配や呼びかけなど、運営をさせていただきます!