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大化の改新の策源地=南淵塾

月刊日本2021年6月号」ケイアンドケイプレス、 2021

月刊日本2021年6月号」

南淵塾についての2頁の文章を読むために本号を入手した。結論から言えば、その価値はあった。

渡来系の学僧、南淵請康 (みなみぶち の しょうあん) は第一回遣隋使で留学する。その期間が32年。留学といえば、現代の常識だとせいぜい数年間というところだろうか。それがなんと32年間。帰国は640年のこととされる。

戻ってから飛鳥の知識人、政治家、有力者に歴史、孔孟、四書五経などの学問を教えた。南淵塾には中大兄皇子中臣鎌足が通っていた。塾のあった場所は桜井の談山神社の宏大な敷地のどこかである。

大化の改新の密談の場所は談山神社といわれる。その目指すところが、農村共同体の再現であったとすれば、その思想的淵源は南淵請康だろうと、筆者の宮崎正弘は述べる。乙巳の変に影響を与えたのは彼だったのだ。

〈いまは名前さえ知る人は少なく、そういう古代との考察をしたのは権藤成卿くらいだ〉と宮崎は指摘する。

その権藤成卿 (ごんどう せいきょう)について、三浦小太郎が本号に書いている。正確には、権藤を補佐するように活動していた長野朗の思想を掘下げている。長野が推進した農村救済運動における思想は、ひとつには〈共存の経済〉であり、もうひとつは〈搾取の排除〉であった。

このうち、前者は、経済界における共存、政治界における自治、精神界における純情 (虚偽に対立する概念) を原則とする。彼は、〈経済政策とは何よりも生存、生活の基盤を守ることであり、だからこそ農業の重要性〉を説いたのである。〈経済とは、各人が生活上の要件である「衣食住及び男女の要求」を充足させることが目的である〉と説く。「男女の要求」とは、家庭を持てるだけの経済的安定のことである。

この長野の経済思想と、最近世界で話題の UBI (Universal Basic Income) とは案外距離が近いのではないか。

南淵塾は古代以来の日本思想の源流のひとつとして、今後脚光を浴びるのではないかという予感がする。

 

 

月刊日本2021年6月号

月刊日本2021年6月号

  • ケイアンドケイプレス
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知る限りでは日本語で書かれたNESARAに関するたった2つの本のうちの1つ

笹原俊『NESARA/GESARA: 来るべき世界の新たな経済システムとは? (笹原シュン☆これ今、旬!!)』(2021)

笹原俊『NESARA/GESARA: 来るべき世界の新たな経済システムとは?』

NESARAについて日本語で書かれた本は、知る限りで2つしかない。今回取上げる本書以外には、ケイ・ミズモリ『世界を変えるNESARAの謎―ついに米政府の陰謀が暴かれる』(明窓出版、2004) しかない。しかし、その本は2004年刊とやや古い。新しい世界情勢をふまえたものとしては2021年3月刊の本書しかない。その本書にしてもブログ記事をまとめたもので、データは2020年11月時点のものだ。

結論からいうと、NESARAの歴史的経緯について知りたい人は、本書を読んで損はない。というか、すべての日本人が知っているべき内容であるともいえる (今後、NESARAの世界的展開GESARAは日本にも大きく関る)。ただし、ブログ記事のままなので、誤字や誤変換が残っており、目次から各章へのリンクもない、Kindleを持っている人しか利用できない、といったことは予め了解の上であれば。



海のものとも山のものともつかぬものとしてNESARAを捉えている人は、NESARA関係諸法(100本以上ある)が米国ですでに議会を通過したと本書で指摘されていることだけでも知っておいたほうがよい。

その「通過」(2000年)までには、1978年以降の米国内での紆余曲折がある。法律の条文としてまとめる作業が開始されたのは1992年頃だ。条文化を行なったのは、ハーヴィ・バーナド博士 (Harvey Barnard, 1941-2005)。博士はその法案群をNESARA (National Economic Stabilization and Recovery Act) と命名した。

NESARA諸法が通過したと主張しているのは、そのバーナド博士による元々のNESARAとは違うNESARAを支持する人びとであることに注意が必要だ。そのもう一つのNESARAはNational Economic Security and Recovery Actの略で、今やウィキペディアなどでも、こちらを使って説明している。つまり、Sの部分がStabilizationであるのがオリジナル、Securityが別の版だ。



本書を読んだあと、公開された典拠に基づいて、自分なりに考えてみたいひとは、例えば、Jay Jericho氏 (社会学博士) による批判的検証の文書などを読んでみるとよいだろう (ウェブサイトJournalist Ethicsの'NESARA'という2019年の無料電子書籍)。

 

 

 

 

世界中の多くの指導者は命令を受けて動く〝役者〝にすぎない

ベンジャミン・フルフォード『分断される世界経済 「闇の支配者」が目論むポスト・コロナ時代の新世界秩序』(清談社Publico、2021)

ベンジャミン・フルフォード『分断される世界経済 「闇の支配者」が目論むポスト・コロナ時代の新世界秩序』

 

結局、パンデミック騒動が始まったあとの言動から、G7加盟国の指導者、ロシアのプーチン大統領、国連などがみんな同じ勢力の命令で動いていることが露呈した。(217頁)

著者がとらえる世界の支配構造は、不断に更新されている。それでも、上の「勢力」は、数千年間の長きにわたって人類を管理してきたという。

われわれにとっての朗報は、今やその「勢力が失脚し、滅びようとしていることは明白」であることだ (235頁)。なんという歴史的瞬間に居合わせたことか。



「東西の結社や軍当局が和解して新体制を発表するかどうか」が2021年の最大のポイントだという (239頁)。

ヨーロッパの内部分裂 (対EUの同盟を水面下でイギリスとロシアが組む)や、オランダ、イタリア、ミャンマーなどの激しい政権変化が現在みられるが、今後は、タイ、アルバニア、モンゴルなどで同じような動きが起こるといわれているという。

これらの激しい動きを経て、分断された世界が新体制に向かってゆくというのが、著者の見取り図である。



ジャーナリストである著者は、信頼できる情報源の探し方についてもアドバイスしてくれている。関係者に直接会って確かめるなどの方法は一般人には難しいとしても、われわれでも出来る方法もある。

たとえば、大手メディアで次のような 記事 を読んだとする (2020年10月7日)。

チューリヒ 7日 ロイター] - UBSとPwCのリポートによると、世界の富裕層の保有資産が過去最高に達し、10兆ドルの大台を突破した。株価の上昇のほか、ハイテクやヘルスケアセクターの富の拡大が背景にある。
同リポートによると、富裕層全体の富のおよそ98%を占める2000人強の保有資産は、7月時点で10兆2000億ドルとなり、新型コロナウイルスパンデミック(大流行)のさなかに25%超拡大。これまでの過去最高だった2019年末の8兆9000億ドルを抜いた。

今回のパンデミック騒動で、一般市民や中小企業は苦しんでいる。その一方で、世界の大富豪が富を増やしたとは、いったいどういうことか、とふつうの人なら思うだろう。

著者によると、〈(パンデミッック騒動)をしかけた勢力の目的のひとつは「騒動に乗じてインサイダー取引で利益を得ること」だったとMI6筋は伝えた〉とのことだ。



ここには、2つの層がある。ひとつは大手メディアに出ている表の情報。もうひとつは情報機関などが伝える裏の情報だ。

ロイターなら、だれでもアクセスできる。しかし、MI6 (英軍の海外情報局) はどうか。一般人には無理だとあきらめるのは早い。



MI6 そのものではなくても、当局や軍事筋が作成している情報サイトは一般人でもアクセスできる。それらを複数みることで、同じ内容を2つ以上のソースが伝えている場合には確度が高いと見なすことができる。

ただし、注意が必要なことがある。それは、それらのサイトは、(わざと) 真偽をとりまぜてあることだ。真実の情報と虚偽の情報とが混ざっている。ひとつの記事の中で9割が本当で1割がウソのことも、1割が本当で9割がウソのこともあるという (46頁)。

その理由について著者は「他者に誤報をわざと読ませるために本当の情報を少しだけ混ぜるという手法」であると書く。戦略的に読ませているというわけだ。

著者は「これまでの経験から、どこまでがウソか本当かを判断している」というのだが、それには年季が必要だろう。



興味がある人のために、著者が挙げる、そうしたニュースサイトを次に掲げる。

英米の海軍筋が出している「SORCHA FAAL」。ここは一昔まえのウェブ記法で書かれており、見にくいことこの上ない。ただ、ページの下のほうにある各国の情報の一覧は参考になる。

イスラエル軍の参謀が運営している「DEBKA.com」。当然のことながら、イスラエル関係もくわしい。[創設者 Giora Shamis の死去により、サイトは閉じられた 20250203現在

ハプスブルク家フリーメーソンの「The Rumor Mill News」。ここは米CIAも介入している。前にサイトを訪問したときからどれだけ新しい記事が出たかを表示してくれるので、見やすい。



こうした当局の正式報道と、大手メディアとを照会することで、真偽がわかるという。

また、著者が大事にしているのは、直接会ったことがある人だ。各情報機関と連絡を取るときは、信頼関係のある人物を頼るという。手書きの手紙を交換することもあるのは、AI には手書きの手紙を書いて投函することはまだできないからだ。

いずれにしても、「自分が信頼できる情報源の順序をしっかり決め」ることを著者は勧めている。

知る限りでは、著者は本の形では日本でしか出版していない。ただ、英文の週刊レポートは海外で広く読まれている。[月間読者数は5000万人——追記 20250203]

 

 

[Kindle版]

 

私の最近の愛用品(202502)

日頃の愛用品を紹介したい。靴以外は、いづれも、最近知ったものばかりで、まだ手に入ると思う。毎日の暮らしを支える柱になったものたちだ。(2025年2月1日現在)

 

[目次]

 

[本文]

ドラッグストア

▶︎(株)CMC総合研究所 電磁波対策 電磁波カット 電磁波防止 α波 集中 リラックス 妊婦 赤ちゃん 健康 水素水 食の安全 ゼロ磁場 [CMC正規店 健康屋アルファ] (1.CMC健康クロス/AM-3)

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シェディング対策のために購入したが、多方面に優れていることが分り、今ではほぼ一日中使っている。電子レンジでチンした後にこのクロスの上に一旦載せて身体に合う波動に変調させるのを始め、体の痛い所に宛てるだけで痛みが消える。さらに、生命体だけでなく無機物にも効果がある。長年故障しており再起動もできなかったKindleリーダの名機Voyageがこのクロスの上に置くことで蘇ったのは嬉しい驚きだった。他にも、電源の入らなくなった電子辞書やFire TVリモコンなども、このクロスの上に置くことで復活した。大学発のヴェンチャーゆえ、ほとんど宣伝もしていないが、本物の優れた発明であると思う。半永久的に使える。

 

▶︎(株)CMC総合研究所 電磁波対策 電磁波カット 電磁波防止 α波 集中 リラックス ゼロ磁場 地磁気アップ 家族健康 [CMC正規店 健康屋アルファ] (05型(白色))

https://www.amazon.co.jp/dp/B09HNSSYKP

 

【20250221 追加】CMC の良い製品をもう一つ知ったので追加する。スタビライザーというもので、家の中に置くと、半径50mの範囲で効果を発揮する。携帯もできる。上のリンクの店の場合、資料集をつけてくれるが、これがぶっ飛ぶ内容で驚く。簡単にいうと、いやしろちの効果を高めるというのである。

 

▶︎くま笹珪素ウィルプラス【くま笹珪素(植物性シリカ)に還元発酵乳酸菌をプラス 全成分天然由来 くま笹 ドクダミ 赤紫蘇 稲若葉 スギナ びわ葉 風化貝Ca 化石サンゴCa 還元発酵乳酸菌 配合 35g】

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赤松瞳さんの発明品。「加薬」的に食品に使える。外で買ってきた食品には必ずこれをかけている。還元発酵乳酸菌入り(入っていないタイプもあるが、そちらは試していない)。体内のソマチッドがよろこぶ(?)約1800万年前のカミオニシキ貝の化石も含まれている。なくなったら困るので、いま手許に2本備えてある。1本に35gぽっちなので、すぐ無くなるかと思いきや、毎日使ってるのに3か月以上もっている。パラパラと振りかけるだけなので、意外に経済的なのかも。購入時点から賞味期限まで1年9か月あったが、それまでには無くなると思う。

 

赤松さんといえば、本が知る限りでは1冊ある。ただ、本のデータとして赤松さんの名前が出ていないようなので、見つけにくい。知る人ぞ知る本かも知れず、赤松さんに興味がある人は手に入るうちに手に入れたほうがよいかもしれない。赤松さんのDVDは米国で発禁みたいになった。

 

本のタイトルは『「あなた」という存在は「無限大の可能性」である』というもの。著者名は、ヒカルランド編集部となっている。


 

次は、横河サラさんの本『ホワイトハット全解剖』で知ったことをもとに手に入れたもの。その本に、かつては歯ブラシは馬や豚の毛を使い、歯磨きはニームを使ったと書いてあったのだ。今のように皆がプラスティックの歯ブラシを使うようになったのはデュポンが入ってきてからのことだと。それを知って以来、せっせと脱プラスティックを目指して試行錯誤しているが、今のところ、次の組合せが最高に気持ちがよい。

▶︎エビス 弱った歯ぐきをやさしくいたわる 軟毛 350ハブラシ 3本組

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[追記 20250203]上の「エビス 弱った歯ぐきをやさしくいたわる 軟毛 350ハブラシは素晴らしいが、やや大きく、口の中で頬張る感じになる。もう少し小さく、使い回しが しやすいものとして(価格は倍くらいになるが)次のものがある。これは名品。

 

▶︎かなや刷子 馬毛歯ブラシ小(3本入り) なし 3個 

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シューズ&バッグ

▶︎[リーボック] ウォーキングシューズ レインウォーカー ダッシュ DMX エクストラワイド JLL35 メンズ

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歩き心地が良いので2足そろえてローテーションしている。撥水加工。靴底の厚みがつま先で薄く、蹴り出しがしやすい。坂道のような傾斜面で立つのが楽なのが最高に気に入っている。散歩道に坂が多いひとにお勧め。

 

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軽量。甲内側のファスナーで着脱容易。このシリーズは完成度が高く、長年愛用している。



▶︎『「あなた」という存在は「無限大の可能性」である』

https://www.amazon.co.jp/dp/4867423874/

 

▶︎横河サラ『ホワイトハット全解剖』

https://www.amazon.co.jp/dp/4867424374/

[Kindle版]

 

2012年12月22日に迎えたといわれるある変化の前後を活写する類稀な書 + お知らせ

保江邦夫『予定調和から連鎖調和へ』(風雲舎、2013)

保江邦夫『予定調和から連鎖調和へ』

十年以上前の話だけど、今でも話題に上ることがある、ある日付をめぐる書。

 

 

あらすじ
 世界が新しい段階へ移行したといわれる2012年12月22日。それを超えて、まわりに変化があったかどうか、探しだそうと著者はあちこちに行き、いろんな人に会う。しかし、その変化は想像を超えていた……

 保江邦夫の風雲舎からの本は、『愛の宇宙方程式』(2012年9月27日)、『人を見たら神様と思え』(2013年3月7日) に続く3冊め。これらに共通する特徴は、黒地に黄色の図の表紙、Kindle でも読めること。保江氏の著作には Kindle 版が出ていないものもあるので、この点は貴重だ。

 この本によると、当時、世間は「12月21日から22日にかけて切り替わるというアセンションの瞬間に何が起こるのだろうと夜空を見上げていた人たちがけっこういた」とのこと。その日付けはマヤ暦の終りであり、古い地球が滅びて「次元上昇」(アセンション) すると、周りの人々が興奮するなか、著者は「どこ吹く風とのんびり生きていた」という。

 風雲舎から出た次の本『神様につながった電話』(2014年7月28日) によると、旧世界から新世界への移行期間は2014年までだったようだ。それまでは「混じりあっていた状態が、旧世界と新世界に画然と分離する」と、「新世界に移った僕は、僕の側に移った人しか見えなくなる」という。

 そんな時期がすぎさった今、この本を読んでも面白いのだろうか。結論からいえば、ワクワクするくらい面白い。著者といっしょになって新しい世界への移行を肌で感じとれる気がする。

 どのへんでそれが感じられるかというと、著者のまわりで起きるさまざまな出来事の連鎖のしかただ。不思議なくらい、調和的な出来事が続けて起きる。偶然というにはあまりに不思議なつながりと展開とが、波紋のように広がってゆくのだ。特にルルドへの旅の際には集中的にそんなことが起きる。

 物理学者が書いた本らしいのは、こうした世界の変化が、物理的に説明されていることだ。世界がどう変わったかを一言でいうと、〈現在この世界は古典的な数学の複素関数論に登場する「リーマン面」の構造を持っていることになる〉のだという。という具合になるのだが、本書の多くの話題 (UFO、チャクラ、超能力、ルルド、祝之神事、ミカエル、シュタイナー本部、ダンサー、花崗岩、水、ピラミッド、アトランティス、ホピ、遠藤周作、末久和男など) のどれか一つにでも関心があれば、一読の価値があるかもしれない。

 

 

【お知らせ】

近日中に、私の日頃の愛用品を紹介する記事を書きます。

お楽しみに。

 

Kindle版]

[単行本]

 

知る人ぞ知る歴史の奇書

KAZUKI歴史の時間―時空を超えた暴れん坊 KAZUKI説〈3〉 (時空を超えた暴れん坊KAZUKI説 (3))ジーオー企画出版、2008

KAZUKI『歴史の時間―時空を超えた暴れん坊 KAZUKI説〈3〉 (時空を超えた暴れん坊KAZUKI説 (3))』

KAZUKI説の第3弾。知られざる日本史と世界史を語る。



物語は三人の仲間が大阪府南部のある市に行くところから始まる。そこで、マンション住民らが経験した数々の怪奇現象を調査するうちに、一行のひとり SIZUKU が気を失う。主人公の KAZUKI は SIZUKU を救おうとする。

ところが、SIZUKU を救うためには、信長が出した謎を解かなければならないことが分った。そこで、残された二人 KAZUKI と みぞっち とは、あちこち奔走しつつ、謎解きに挑む。その過程で知られざる日本史や世界史の諸相があぶり出される。



KAZUKI は「天の声」が聞こえる。聞いているあいだ、本人が知るはずもない驚愕の事柄が次々に口をついて出る。それを相棒の みぞっち がメモし、文章にまとめる。そうして出来上がったのが本書というわけだ。



序章以下7章あり、そのうち2〜6章で、歴史好きなら たまらない「真相」が明かされる。知る限りでは類書に殆ど記されていない、本書でしか読めない事柄が多い。次の人物などのいずれかに興味があれば、一読の価値があるかもしれない。

2章の KAZUKI 説は 応神天皇仁徳天皇雄略天皇、仲姫命 を扱う。

3章は ヌエ、明智光秀、天海、坂本龍馬中岡慎太郎、竜宮城。

4章は 卑弥呼武田信玄上杉謙信

5章は 天草四郎、クリスマス、バベルの塔、モーゼの奇跡、ナスカの地上絵、モアイ像、UFO、ネッシージャンヌ・ダルク源義経、チンギスハーン。

6章は 聖徳太子法隆寺かぐや姫宮本武蔵シェイクスピア



上の名前を見ると、有名な歴史上の人物や事柄ばかりだ。これらについてなぜ「天の声」が降りてくるかというと、歴史に間違って記録されたことを訂正し、後世にのこしてほしいという希望があるからだ。KAZUKI はその使命を託されている。



歴史学の立場からはいろいろと突っ込みどころが満載だろうが、定説となっていない部分、資料で裏づけられない部分は、どうしても残るわけで、そのあたりに関心があるひとにとっては、KAZUKI 説は興味深い。

なお、KAZUKI は本書の筆名であり、最近はラジオのパーソナリティやミュージシャンとしては GOD 名で活躍している。



類書にはない本書ならではの事柄を少しだけピックアップしておこう。

卑弥呼の本名は、本書によると、JABARIVI-PAGOS-HIMEKI という。父オンミ (医師) はインドネシア系、母 (武帝の血を引く) はシナ系。このあたりはネットにもたぶん出ていないだろう。

卑弥呼の妹の「壹与」(いよ) は、ある程度、他の資料に出てくる。



評者が一番興味を惹かれたのが、ジャンヌ・ダルクだ。

一般には、ジャンヌがまだ19歳の1431年5月30日に、フランス北部のルーアンで、異端の罪により火刑に処せられたことになっている。この処刑の場面を描いたのがボブ・ディランの 'Changing of the Guards' (1978) であるといわれている。

ところが、本書によると、ジャンヌ・ダルクは処刑されておらず、後のジャンヌ・デ・ザルモアーズ (Jeanne des Armoises) であるという。一般には、その女性は「偽ジャンヌ・ダルク」であるとされる。が、本書によれば、その前に「リス」という変名を使っており、面会した兄のピエールとジャンは、その女性をジャンヌと認めたという。

ジャンヌが助けて王位に就かせたシャルル七世は、処刑に替え玉を使ったのは自分ではないし、リスはジャンヌでないと、最後まで主張したと、本書には書かれている。替え玉工作を認めリスがジャンヌだと認めることは〈男の嫉妬〉(国民の人気が国王である自分より英雄ジャンヌ・ダルクのほうに集まったこと) を認めることになるから、それは出来なかっただろうと思われる。

本書174頁の「一四五二年の夏、初めて ”天の声” を聞いた」は、〈一四二四年〉の誤りだ。



上のジャンヌ・ダルクの話は、KAZUKI天草四郎と話をしているときに出てくる。四郎は、自身の信仰から、KAZUKI に〈主イエス様には奥様やご子息はいらっしゃったのですか〉と訊く。

KAZUKI が天から導き出した答えは

妻子はいたよ。奥さんの名前はマリア。母と同じ名だ。そして、どういうわけかイエスは、わが子にユダという名をつけている。ユダという名には特別な思いがあったようだね。でも、実子のユダは信者にならずに人生を送っている

というもの (148頁)。この「マリア」というのは、「マグダラのマリア」のことだろう。『フィリポによる福音書』には「彼の伴侶と呼ばれていたマグダレーネー」の記述がある。

英訳で引用しておく (Marvin W. Meyer, ed., 'The Nag Hammadi Scriptures', 2007)。

Three women always walked with the master: Mary his mother, sister, and Mary of Magdala, who is called his companion. For "Mary" is the name of his sister, his mother, and his companion.

ここで 'Mary of Magdala, who is called his companion' がそれに当たる。

エスの子については諸説あるが、Simcha Jacobovici と Charles R. Pellegrino とが「ユダ」(英訳 'Judah, son of Jesus') の名を挙げている (TVドキュメンタリ 'The Lost Tomb of Jesus' [2007] および二人の共著 'The Jesus Family Tomb' [2007, 下])[同じトピックを客観的立場から描いた 'Unearthed: The Talpiot Tomb' (2007)というフィルムもある]。その後、その説は聖書学者の James Tabor が支持し、Jacobovici との共著 'The Jesus Discovery' (2012) を著している。

 

 

 

 

新しい世界体制に移ろうとしている今、正しい選択をするために

ベンジャミン・フルフォード『バイデンはなぜ、アメリカ最後の大統領になるのか? 日本人が知るべきアメリカ崩壊の真実』(かや書房、2021)

ベンジャミン・フルフォード『バイデンはなぜ、アメリカ最後の大統領になるのか? 日本人が知るべきアメリカ崩壊の真実』

2020年12月末の時点での世界情勢をある結社の立場から読み解いた本。情報源は、その結社 (White Dragon Society) だけでなく、世界の情報機関や結社などが多い。世界を動かしている隠れた組織や集団や人脈の力学として世界を捉えるという意味では、共同謀議 (conspiracy) を読解の基礎にしており、加えて、著者自身が取材し、体験した内容を判断の材料にしている。



このように、世界を、国ではなく組織や集団の力学として捉える場合、それらの組織名・集団名を正確に理解しないと、構図を見誤ることになる。

大きな見取り図でいうと、本書は「13血族」と「グノーシス派」との対立を基本軸と見る。

これらについては、膨大な研究が出ているが、ごく簡単にいうと、〈13血族は血統を重視して世襲であることの優位を主張してきたが、グノーシス派は世襲制に反対し、能力主義を主張してきた〉(246頁)。



本書の題は、〈誰が大統領に就任しても、アメリカの「最後の大統領」となる〉との著者の考えから来ている (5頁)。なぜ、著者がそう考えるかというと、〈アメリカは国家として、すでに倒産している〉からという (4頁)

その「倒産」については第4章で詳述されている。2020会計年度のアメリカの財政赤字は3兆3千億ドルで、過去最大になる見通し (CBO [Congressional Budget Office])。2021年度の財政赤字の予想は2兆1千億ドルという。



著者の文章に頻出する「ハザールマフィア」(Khazarian mafia) について第5章で触れられている (ハザールマフィア勢力の最高位に位置づけられるのが13血族)。が、この用語について、今後は 'Chabad death cult' の語を用いるつもりであると、著者は表明している (2021年4月9日)。このような 'cult' による人類奴隷化から人びとを解放するために著者は闘っているのであると、評者は受取った。

この 'Chabad' は、ユダヤ教の正統派ハシディズムの世界最大の集団の名前だが、これについては本書で説明はまだない。今後の著作に出てくるかもしれない。



本書は、校正が不十分である点が残念だが、情報が圧倒的な質と量で詰まっており、ずっしりした読後感がある。情報の相互関係を十分に理解するためには、あるいは電子書籍版のほうが便利かもしれない。

 

 

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