第二次大戦において、苦戦を強いられた日本軍が「一億玉砕」「生きて虜囚の辱めを受けず」などと標榜し、戦地から生還する兵隊が負い目や罪悪感を持たざるを得ない状況にあったことは戦時を体験した世代や戦後間もなく生まれた世代にとっては極めて常識的な事柄である。また、沖縄戦においては、方言で応答した県民をスパイ容疑で惨殺したり、県民を避難壕から追い出し、壕を軍隊が占拠したり、泣き声が敵に聞こえるということで赤子を殺させたり等々の軍の暴虐があったことは、当時の県民はもとより、大半の県民にとっても極めて常識的な事実といえよう。
そのような日本軍が駐留した島々で住民に手榴弾が配られ、集団自決の悲劇が起こった。その数は千名を越すといわれている。それに対して、政府は「軍隊の強制はなかった」として教科書検定意見の撤回を拒否したのである。 それならば、軍隊の武器である手榴弾が隊長の関知しないところで大量に持ち出され、住民に配られたということになる。果たしてこのようなことが起こりうるものであろうか。 本日付の地元紙には、集団自決の場から生き残った関係者の無念の声が掲載されていた。 更には、今回、教科書出版社の訂正申請を審議するため、教科用図書検定調査審議会が沖縄史や沖縄戦研究、軍事史などの専門家八人から意見聴取をした内容も掲載されていたが八人中、軍の強制は無かったと断言しているのは二人でしかない。 国は、11万余の県民が参加した大会の「集団自決は軍の強制によるもの」と抗議した声や自らが審議の参考にするために聴取した多数の専門家の意見にさえ耳を傾けることなく『軍の強制はなかった』という態度に固執し続けている。
by mhidehide
| 2007-12-27 23:03
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