率直に言う 陸上自衛隊の戦車は「全廃」すべきだ
60~70t戦車の現実
10式戦車は陸上自衛隊の他の装備と同様に、将来的な冗長性が見込まれていない。防衛省は2024年、10式の近代化に向けた情報提供を募集したが、実現できる近代化は非常に限られるだろう。
10式は戦闘重量を44tに抑え、増加装甲や弾薬、燃料を取り外すことで40tまで減らし、40tトレーラーでの運用を可能にする「設定」とされている。しかし、実際には陸自は40tトレーラーを大変不足しており、機甲部隊は
「中隊レベルの運用」
しかできないだろう。さらに、近代化によって重量が増すと、その「設定」も崩れてしまう。
既に他国の3.5世代戦車は、生存性を高めるために増加装甲の強化やRWS、ASP(積極防御システム)などを搭載しており、重量は60~70tに達している。特にウクライナ戦争では、ドローンや長射程化した携行型対戦車ミサイルに対抗するため、これらの装備を搭載する傾向が強まっている。
2024年6月に開催された世界最大規模の陸戦兵器見本市、ユーロサトリでは、最新型の戦車の実証車両が多数展示された。そのなかで最も新しいものは、砲塔の重量を軽減するために無人砲塔を搭載していた。
ラインメタル社は、レオパルト2A4の改造車体にCUT(Concept Uncrewed Turret)を搭載して展示し、独仏合同のKNDS社もEMBT-ADT 140を展示した。この車両もレオパルト2の車体を流用している。
通常の砲塔には車長と砲手が搭乗するが、無人砲塔の場合、搭乗スペースが減るため、砲塔を小型軽量化できる。乗員は全員車体に収容される。砲塔は高い位置にあるため被弾の可能性が高いが、無人砲塔であれば砲塔が被弾しても人的被害が出る可能性は低くなる。
このような無人砲塔のインストールが、今後10年程度の間、戦車の近代化の主流になるのではないだろうか。