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私たちフィッシング対策協議会 (Anti-Phishing Council of Japan) は、2005 年に、フィッシングを始めとするオンライン犯罪の増加を予見し、関係者が情報交換を行い、また被害状況に応じた対策を推進するという目的で発足し、
今年で 11 年目になります。
振り返れば Windows の普及でインターネットの商用利用が一気に広がった結果、不正アクセス禁止法や通信傍受法などが次々制定されましたが、90 年代後半はセキュリティよりインフラ整備が優先される状況であり、2000 年にようやく IT 基本法が制定されたものの、セキュリティへの言及はなく、翌年に採択されたサイバー犯罪条約も国内法の整備が遅れたことにより、発効が 2004 年、批准は 2012 年までかかっていた現状がございました。
その間、フィッシング対策協議会が活動を開始して以降もフィッシングや不正送金マルウエア等による被害は増加傾向にあります。インターネットを取り巻く環境の変化に伴い、さまざまな問題に対し、2014 年にサイバーセキュリティ基本法が制定され、2016 年に改正されており、国も危機感を持って対策推進している現状でもあります。こうした状況下で今後もサイバー犯罪はさらに進化し、国際化、組織化しており、対応するには幅広い分野の専門家や民間の事業者含め協力しつつより一層官民が連携した対応が求められていると考えています。
また、フィッシングに関する報告も毎年多数寄せられております。特に金融、クレジット、ゲームなどターゲットになるブランド業種も多岐にわたっており、対策においても事業者自らの対策のみならず、消費者保護の観点においてもフィッシング対策協議会の活動は今まで以上により重要性を増してきたといえるでしょう。
そのフィッシング対策を進める上で、大きく 3 つの課題が聳えていると私は考えています。
1 つ目は健全なインターネット利用をいかに実現するかという課題です。フィッシングやその他多くのオンライン犯罪から消費者を保護し、サービス提供側の被害を防ぐだけでなく、犯罪行為を行う者に対してどのように臨むかを考えていかなければなりません。それぞれの関係者が自ら対策を進めるだけでなく、共に助け合うことがその柱となります。フィッシング対策協議会としても消費者に向けた啓発キャンペーンである STOP.THINK.CONNECT. 普及啓発活動をより一層推進し、サービス提供者と消費者との連携促進を進めてまいります。
2 つ目の課題は適切な官民連携のあり方の模索です。フィッシングのように技術だけでは解決出来ない問題に対しては、法制度などや消費者向けの教育啓発などを政府と民間が協力し推進する必要があります。民間事業者が自主的に設立し、政府が支援を行っていた歴史のある当協議会であるからこそ、引き続き官民連携のよりよい形を求めていくことができると考えております。特に私は長年法曹に係る仕事柄こうした法制度に関連する活動しておりました関係もありフィッシング対策協議会として制度的な課題や啓発活動においても寄与して行きます。
3 つ目の課題は国際連携の充実です。フィッシングやその他多くのオンライン犯罪において、犯罪者や利用されるシステムは日本国内に存在するとは限りません。被害の拡大を防止するためには、諸外国の事業者・法執行機関・CSIRT などのセキュリティ関連機関との連携が必要不可欠です。フィッシング対策協議会ではそれらの関係機関との既存の協力関係を維持するだけでなく、新たな組織も含めた既存組織との連携強化も見据え、国際化するフィッシング、オンライン詐欺等への対応をすすめていきます。
フィッシング対策協議会は、さまざまな課題に協議会員が連携しながら取り組み、商取引のインフラとして欠かせないオンラインサービスを消費者が安全に利用できる健全な情報化社会の実現を目指していきます。
2016 年 6 月
フィッシング対策協議会
会長 岡村 久道
山口 英 前会長のご挨拶はこちら