
春は植物の変化があまりにも早く日々目まぐるしく刻々変わっていくので、本当は旅の話など書く暇がないのだが、ぐぐっと堪えて今日からポルトガルの話を始めようと思う。
・・・と言っても、整理がついたのはポートワインのことだけなんだけど。なにしろ旅のテーマはポートワイン、目的もポートワイン。今回ジャーマンウィングの直行便(デュッセルドルフからポルトへ飛ぶ直行便)を予約したのだが、一人23キロまでの荷物を預けられるという。好きなだけポートワインを買えるね~と冗談を交わしながら旅立った。往路の荷物は二人あわせて17キロしかなかったので(一週間の旅なのでたいした荷物はないし、最も重いカメラとレンズは全て機内持ち込み)、本当にいくらでも買える・・・といってもそんな安いモノではないので(安物もいっぱいあるが、ポルトガルまで来て安物をわざわざ買って帰ろうとは流石に思わない)それなりに吟味して購入し、他にもジャムやらハムやらバカラオやら結構な重さのものを「これ以上買ったら重量オーバーが・・・」などと気兼ねすることも全く無く購入し、ポートワイン8本を楽々持ち帰ったのだった。ちなみに帰りの重量は二人合わせて35キロ程度で、さらに10本買っても持ち帰れたということになる。ま、予算はもうすっかり使い果たし、無理だったけど。
旅の初日、ポルトに着いたのは午後6時過ぎ。それから夕食を食べに出かけ、アップダウンの激しい石畳のポルトの町をあちこち歩き回り・・・

ホテルに戻るときにワインショップがあちこちにあったので、覗き込んでみた。ポートワインがいっぱい並んでる。

1977年のヴィンテージ物が299.5ユーロ(約3万8千円、このときの為替レートは1ユーロ126円くらい)。

1本60~350ユーロのヴィンテージ物が上の方の棚にびっしり並んでいた。めぎ家がいつも日常飲んでいるワインは一本2ユーロ程度のもので、誕生日やクリスマスなど特別の時に飲むのだって高くても10ユーロ程度まで。350ユーロなんてとんでもないし、60ユーロもちょっと・・・むむむ。

どこでどのくらいの値段の何を買う?ヴィンテージ物って、300ユーロのと50ユーロのとでは何が違うの?見たところ古ければ古いほど高いという訳でもなく、また、30年とか40年という年数が書いてあるものより、80年代や90年代のヴィンテージ物より、若い2000年代のヴィンテージ物の方が高かったりもする。これって、どういう違い?一応ポートワインについてインターネットで調べてきたものの、あまりにも種類が多く説明も複雑でイマイチよく分からない。
・・・と、そこに、よさげな店を発見。Vinologiaだって~~~♪(訳すとワイン学)ここ、入ってみようか。このとき10時過ぎ。

先日もご紹介したように、ここにはメニューが2つ。1つは飲みたいポートワインを指定してそれを飲む普通のワインバータイプのメニュー。ちらっと見たが、種類が豊富すぎて何が何だか。我々はポートワインに関してはド素人で、ルビーとトウニーの違いもイマイチ分かっていなかった訳で、試飲タイプのメニューから選ぶことにした。しかし試飲メニューも多様過ぎて何が何だか。ホワイトとルビーとトウニーを1つずつとか2つずつとか、ヴィンテージ物を3種類とか、トウニーばかりまたはルビーばかり色々な等級を3種類とか6種類とか、お値段も多様。お店の人と相談し、10分くらいかけてようやく注文する試飲コースを決定。すると、テーブルの上にこんな用意が。あら、素敵なコースターね~

そしてポートワイン6種類の瓶とグラス6つが並べられ、こんな風に準備された。この写真は先日ご紹介したのと同じ。左3つがトウニーで左から7年物のレゼルヴァ、10年物、30年物、右3つがルビーで、どれもレイト・ボトルド・ヴィンテージ(2011年物で2015年に瓶詰めされたもの)。

お店の人は、ポートワインのことを1から順々に、発酵途中でブランデーを入れて発酵を止めて糖分を残すとか、年数の表示されたヴィンテージ以外は異なる年次のワインを調合して作品として仕上げるのだとか、葡萄も一種類じゃなくて数種類をミックスしているとか、そういうところから分かりやすくとても親切に説明してくれた。綺麗な英語で、物腰も柔らかく、素敵な人だった。なんと言ってもその人は本当にポートワインが大好きで、否、たぶんきっと愛していて、その良さを是非知ってもらおうと心を込めて話してくれている感じがした。売ろうとする感じではなく、味わって欲しいという感じなのだ。とても若い人なのだが、プロフェッショナルで、よく勉強しているなあという感じもした。質問にも、忙しくとも嫌な顔をせず的確に親切に時間をかけて答えてくれて、めぎたちはすっかりこのお店とその人が気に入ったのだった。めぎたちはこのお店をワイン学の店と呼び、そのお店の人をプロフェッサーと呼んで旅の間に何度も話題にした。
そのプロフェッサーに、トウニーを飲み終わってからルビーに移るように、と言われたので、まずはトウニーをゆっくり味わった。思いの外7年物のレゼルヴァが美味しく、10年物は熟成を止めたアルコールの味が残っているように感じた。30年物はそのアルコール感がすっかり無くなってて、風味と香りに深みがあり、味はまろやかだった。

もうすっかり出来上がった感じで次にルビーに移った。このときはまだ知らなかったが、これは当たり年の・・・それもここ10数年来の当たり年だという2011年ヴィンテージだった。トウニーと違ってタンニンが舌に残り、歯が黒っぽく染まる。非常に濃く、甘く、でもフレッシュでフルーティ。もうどれがどういう味だったかは思い出せないが、同じ2011年のレイト・ボトルド・ヴィンテージでもメーカーによって全く味わいが異なった。本当に絶妙な味だ。ルビーはポートワインとしてはあまり知られておらず・・・というのは、開けたら酸化するのですぐに飲まなきゃいけないし、安いのはお土産に買うほどのものではないし、ヴィンテージ物はワインセラーで10年以上寝かせないといけなくてお土産にするにはちょっと敷居が高いのだろう。

6種類のポートワインを試飲して、たしか30ユーロくらい。試飲しただけで終わっても問題はないが、めぎたちは最初に口にしたこのトウニーの7年物レゼルヴァが大いに気に入って購入した。17ユーロくらいだったと思う。めぎ家的には相当に奮発した訳だ。

実はこのとき、30年物のトウニーも買おうかとうちのドイツ人と議論した。それほど美味しかったというか、トウニーの魅力的な深い香りにすっかり魔法にかかってしまったというか。お店の人に値段を聞くと、99ユーロだという。そんな高いのは買えない、とうちのドイツ人が言う。さすがにめぎもそれは高すぎと思う。でも、とーーーっても美味しい。うーむ・・・もうすぐ還暦なんだから、そのお祝いにというのはどう?それはいいかもね、というところまで盛り上がったのだが、この日はまだ旅の初日だったし、もう少しあれこれ試してみてから最後に決めよう、ということに落ち着いたのだった。

お店を出たのは夜中の12時過ぎだった。初日からもうもう大満足♡

美味しく飲んで、たくさん学んで、もうポートワインのことが分かったような気分だっためぎ。しかし、実はこのときはまだ何も分かっていなかったのだった・・・
つづく。
撮影: D600 + 24-70mm(F2.8)、Nikon 1 V3 + 30-110mm(F3.8-5.6)
この記事へのコメント
Baldhead1010
特にアメリカは荷物の扱いが荒っぽいです(/_;)
娘から借りたトランクもとても半端じゃない壊れ方していました。
YAP
あれこれ飲み比べていたら、だんだんと分からなくなってきそうで、余計に迷いそうです。
ナツパパ
拝見していて、ワクワクしています。
最後の、じつはまだなにも分かっていなかった...なんて、
すごい好き!こういう展開。
おじゃまま
なんとなく、イギリスっぽい感じが。。ポルトガルなのにね。。
お魚、特にイワシが絶品だったのを覚えてます。
その時は、超・辛口の赤ワイン飲みました〜
テリー
最近は、お酒類は、あまり、飲まなくなりましたので、
お酒には、あまり、金を使わず、カメラ、レンズ類に回っています。
engrid
ぜひ良さを知ってもらいたい、、プロフェッショナル
ほんとね、素晴らしい出会いがありましたのね、
でも、続きが、、、展開が楽しみ
Inatimy
30年の、凄そうだなぁ・・・我が家は長いもので10年のしか飲んだことなく。
レイト・ボトルド・ヴィンテージは2009年のだったし、あとはコリェイタやロゼ。
ポートワインの詳しいことは全くわからず、
近所の酒屋さんで手に入るものだけ^^;。
mimimomo
そうそ、↑Baldhead1010さんが書いていらっしゃいますが、わたくしもどうも割れ物を入れるのは苦手。今までバターの瓶詰を入れたことがあるだけ。