転職はしたいのに、どうしても一歩が踏み出せない──。それは、「希望どおりの転職ができるのだろうか」「今の環境を飛び出して、本当に後悔しないだろうか」といった不安感に足止めされてしまうから。実際に、入社前に思い描いていた仕事、職場と入社後に大きなギャップを感じ、転職を繰り返してしまうケースも。
この記事では、転職経験者が「入社前と入社後にギャップを感じた点」のデータをもとに、選考中や入社前におさえておくべきポイントを専門家のアドバイスを交えてご紹介します。
転職成功のための実践的なノウハウとして、ぜひ参考にしてください。
監修者
転職先でギャップを生まないためのポイント
マイナビ転職の新入社員の意識調査(※)で「現在の仕事内容」「理想の仕事内容」を質問し、そのギャップが大きかった部分をグラフにしました。結果、「働きと報酬が見合っている」で大きくギャップが生じています。さらに辞めたいと思ったことがある退職検討経験者は「仕事内容が向いている」のギャップスコアが大きく、非退職検討経験者に比べても15pt以上差が開く結果になりました。このような入社後の理想と現実のギャップをなくすために、転職活動で気を付けておくべきポイントを、谷所さんに伺ってみました。
仕事内容のギャップを減らすための企業選びのポイント
企業選びをする前に、転職で何を叶えたいかといった転職の軸について考えてみることが大切です。その際には待遇や労働条件だけでなく、将来を見据えて何がやりたいかを検討しておきましょう。また、企業名や知名度だけで選んでしまうと、職務能力でマッチングしないことがあるので、慎重に。最近では、選考前に企業を知ってもらう目的でカジュアル面談を実施している企業があり、具体的な仕事内容や労働環境について話を聞くことができます。こうしたカジュアル面談のほか、求人情報の「対象となる人」や「求める人物像」から、どういった人材を求めているのかを見極める事が重要です。
企業のホームページや採用サイトにある社員コメントや経営者のメッセージなどから、社風や労働環境を推察することもできます。職務能力がマッチングしていても労働環境が合わなければ、仕事でストレスを抱えるかもしれません。
一番は、求められている人材として、その企業で活躍する姿がイメージできるかを考えてみてください。
仕事内容のギャップを減らすための選考段階・内定前のポイント
転職活動では、面接時に仕事内容や会社の概要について説明を受けることが多いので、それらが自分に合うかどうか考えてみましょう。仕事内容や配属で疑問点があれば、面接で質問を。選考段階だからと考えて仕事内容や配属先についての質問を控える人がいますが、仕事に関連する質問であれば、選考に影響することはありません。入社後に後悔しないために、疑問があれば確認して解消しておくべきです。
内定をもらった後は、労働条件通知書で従事すべき業務内容と就業場所をチェックしてください。疑問があれば、直接採用担当、人事担当に確認しましょう。
また、より詳しい業務内容や仕事の進め方などを確認したい場合は、内定後に配属予定部署の社員との面談を希望する方法もあります。これは、現場の社員から直接話を聞くことで、仕事内容や労働環境について理解を深めるために有効です。内定後に質問をして印象を悪くしたくないと考える人がいますが、疑問がある状態で入社するのは双方にとって良くありません。入社前に確認をすることで、「こんなはずじゃなかった」を防ぐことができるのです。
人間関係の理想と現実のギャップを埋めるには?
仕事内容以外でも「こんなはずじゃなかった」というギャップを生みやすいのは、人間関係。とはいえ、入社前に職場の人間関係を読み取るのにはコツがいるものです。ここでは、転職前に職場の人間関係を知る方法と、理想と現実のギャップを埋めるために面接でどんな質問をすれば良いかなどについて、アドバイスをいただきました。
カジュアル面談や面接を有効活用しよう
求人情報の社員のコメントやメッセージに記載されている「上司と距離が近い」、「チームワークが良い」、「活気がある」などから、職場の人間関係を読み取ることができます。面接で「配属予定部署の雰囲気はどうですか?」、「社員が協力しておこなう業務がありますか?」、「御社はどんな社風ですか?」など質問をして、職場の人間関係や社風について確認をしてみるのも良いでしょう。「人間関係は悪くないですか?」と質問をすれば、悪くないといった回答しか得られないので、面接官がワンセンテンスで回答できない質問をしてみてください。
選考前のカジュアル面談を行っている企業であれば、配属予定部署の社員が面談するケースが多いので、そこで職場の人間関係を把握することもできます。カジュアル面談を行っていない企業は、内定後に配属部署の社員と面談を希望して、人間関係を知る方法もあります。
給与に関する理想と現実のギャップを埋めるには?
求人情報で給与の額をチェックする際には、給与の内訳についても確認をしてください。実績に応じて支給される成果給やインセンティブが含まれていれば、給与が変動する可能性があります。また、残業手当に「固定残業代含む」と記載されていれば、あらかじめ固定給のなかに残業手当が含まれています。どれくらいの残業時間が固定残業代のなかに含まれるのかも、よく確認しましょう。
役職や年齢によるモデル月収や年収が記載されていれば、転職後の昇給、昇格による給与がイメージできます。面接で給与について質問をする場合は、「何か質問がありますか?」と問われたときに、仕事に関連する質問に加えて、「可能であれば、給与についてお聞かせいただけますか?」と質問をしてください。
ただし面接で給与について質問をすれば、希望年収額を問われる可能性があります。このとき選考段階だからと遠慮して低い額を伝えてしまうと、内定後に覆すことは難しいので、希望する給与額を正直に伝えるべきです。面接で希望給与を伝えていない場合には、内定をもらった段階で給与交渉を行うことは可能です。
まとめ:転職の不安を抱える方々へアドバイザーからひと言
転職では、やりたいことや叶えたいことを明確にしたうえで、企業が求める人材として発揮できる能力をアピールすることが重要です。未経験の仕事がしたい人も、例えばパソコンスキル、傾聴力、目標達成能力など、これまでの経験で汎用できるスキルがあれば、積極的にアピールしてください。現職に悶々とした気持ちで仕事をしていても良い結果にはつながりません。選考前や選考中、内定後それぞれのポイントを押さえて「自身の理想を叶えられる転職か」をきちんとチェックしていけば、「こんなはずじゃなかった」と後悔することは減らせるはずです。不安を乗り越えて、一歩踏み出す皆さんを応援しています。
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文:ミーツキャリア編集部
【出典】
※ マイナビ転職『新入社員の意識調査(2024)』