芸人・やす子|自衛隊を辞めて、ピン芸人になったひょんなキッカケ - ミーツキャリアbyマイナビ転職

失敗は自分が素敵になるためのステップ。元自衛隊芸人・やす子さんの「仕事のやりがい」

自衛隊の芸人のやす子さん
「仕事のやりがいとは?」社会人であればきっと誰もが、特にまだ模索の時期である社会人数年目の頃はこのような悩みにぶつかることが多いかもしれません。

今回は、元自衛官というキャリアを持った芸人のやす子さんにインタビュー。やす子さんは自衛隊を辞めた後に芸人の道へ。そこから1年程度でテレビに出演するようになり、現在ではさまざまなバラエティ番組で顔を見かける存在となっています。そんなやす子さんに仕事のやりがいについて伺いました。

PROFILE

元自衛隊の芸人のやす子さん"

やす子
1998年生まれ。高校卒業後に自衛隊に入隊する。2年間勤務した後に退官し、清掃員の仕事をしながらお笑いの活動を始める。特に元自衛官の経歴を生かした「自衛隊あるある」のネタが人気。 Twitter:@yasuko_sma

軽い気持ちで入ったお笑いの世界

――自衛隊員からお笑い芸人に転身した経緯を教えていただけますでしょうか。

自衛隊に入ったのは、これから社会経験をするうえで、一番厳しい仕事をしてみたいと思ったからです。

自衛隊では「交通小隊」という部隊に所属していました。ブルドーザーを運転して道を作るのが主な仕事です。平時では駐屯地の中の道を整備したり、災害派遣では瓦礫などの除去をしたりします。

自衛隊では交通小隊に所属していたやす子さん
仕事の他に自衛官としての訓練もあります。毎日10キロ以上は走っていました。半日かけて厳しい自然の中を行軍したこともあります。充実はしていたのですが、ある日突然、自衛隊を何も考えずにフラっと辞めてしまいました。

お笑いを始めたのは、自衛隊を辞めて清掃の仕事をしていた時に、友達から誘われたからです。「漫才をやりたいけど相方になってくれない?」って。その時はお笑いに興味はなかったのですが、仲のいい友達からの誘いだったのでやってみようかなと思ったんです。

この時点では軽い気持ちでした。仕事の合間に趣味のような形で、やっていくんだろうなと思っていたんです。プロを目指してはいませんでしたし、テレビに出られるなんて思ってもみませんでした。

「この舞台に自分は相応しいのか?」と悩むことも

――日々働いていると、ふと「このままでいいのだろうか」と不安になり、日々向き合っている仕事のやりがいやモチベーションの維持が難しくなった経験を持つ人は多そうに思います。やす子さんは仕事の何にやりがいを感じますか? また過去に不安になったエピソードなどがあれば教えてください。

やす子さんは意外なことからピン芸人になった

私を誘ってくれた友達なのですが、私たちが出るライブ当日に連絡が急に取れなくなってしまったんです。急遽、漫才用のネタをピンのネタとして作り替えて、出場しました。めちゃくちゃな話ですよね(笑)。でも、それが予想外にウケたんです。びっくりしましたね。この日からピン芸人としてやっていくことになりました。

なんとなく始めたお笑いですが、いまの私の仕事のやりがいはお客さんを笑わせることです。日本で一番元気で、アホな人になりたい。そして世界中の人を笑わせたいですね。

テレビではあまりやりませんが、個人的なネタ披露の場ではかなりとがったネタを出すのが好きです。唐突に「報告があります! 実家を爆発させました!」と言ってみたり(笑)。尊敬している芸人は事務所の先輩のハリウッドザコシショウさん。その影響もあると思います。

ただ、私がピン芸人として活動を始めたのが2019年。そこから1年ほどですぐにテレビのお仕事が入ってくるようになりました。これは想像よりもずっと早くて、正直心の準備ができていない状態でしたし、お笑いのスキルについては素人同然だと思います。こんな華やかな場所に自分がいていいのか、とずっと悩んでいました。

仕事がうまくいかなくて、落ち込むこともあります。「元自衛官のピン芸人」ということで、山の中に一人で入っていくようなロケがあったんです。この状況で場を繋ぐのって、すごく難しいんですよね。山の中はなにもないですし、一人だから話しかける相手もいない。せめてコンビなら、会話が自然に発生することもあると思うんですが……。

ロケがあまりにもうまくいかなくて、番組のスタッフさんに手紙を書いたこともあります。「うまくリアクションがとれなくて本当にすみませんでした」と……。あの時は、これでお仕事がもうなくなってしまうんじゃないかと思ったんです。

周りの人の助言で「自分に何が求められているか」を理解した

――その時、どのようにしてその状況を打破しましたか? 当時のアクションを教えてください。また、それによりやす子さんご自身にどのような変化がありましたか。

事務所のマネージャーさんに助けられました。「以前のやす子さんはポジティブでした。そのやす子さんの雰囲気がよくて番組から声がかかっているのだから、そのやす子さんに戻ってほしい」と言っていただいたんです。

それを聞いて次からは「今回の収録は100点だった」と思うようにしよう、と考え方が変わったんです。正直なところ、本気で心の底から「100点」と思えることは多くはないのですが、まずはそう考えて前向きになってみる。

その結果、落ち込んでいる状況から脱出して冷静になれました。そして「自分が求められていること」が理解できたかもしれません。自分の中で努力がしやすくなりました。

例えば、私はバラエティ番組のひな壇の場にいるときだったら、大声で笑って盛り上げたり、唐突なボケを入れて話にオチを付けるタイプの人間だと思うんです。それなのに、うっかり真面目な返しをしてしまうこともあります。これは違うと思うんですよね。

求められていることをちゃんと理解していれば、正しい選択が迷いなくできて、さらに自分の中で工夫ができます。120%が目指せると思うんです。

失敗しても落ち込まないで、前向きに

――同じように仕事へのやりがいやモチベーション維持に悩む社会人に向けて、最後にメッセージをお願いします。

新しい仕事をしていると、失敗すること、うまくいかないことってたくさんあると思うんです。でも失敗しても落ち込まないで「自分が苦手なことを把握できた」と捉えればいいのではないでしょうか。

それはできるだけ早いうちに分かったほうがいい。だから、最初はどんどん失敗してもいいくらいなんじゃないかなって思いますね。

逆に「失敗していないな」なんて思っていたら、そっちのほうが危険ですよね。自分が見えていないわけですから(笑)。失敗は自分が素敵になるためのステップと思ってみるのはどうでしょうか。


失敗は自分が素敵になるためのステップと語るやす子さん

(MEETS CAREER編集部)


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