- 人材(採用・育成・定着)
超売り手市場でも人は集められる!船井総研のコンサルタントが明かす「小さな会社の採用戦略」
2018.06.25
労働人口の減少とそれに伴う人手不足が深刻となり、有望な人材を獲得することが難しくなっているという「採用戦国時代」がやってきました。厚生労働省が発表している一般職業紹介状況によると、全国の有効求人倍率は1.59倍(2018年4月末現在)と高水準。どこに求人を出しても人が集まらず、頭を悩ませている企業も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、中小企業向けの採用支援で数多くの成功事例を持つ株式会社船井総合研究所の現役コンサルタントのお二人に、超売り手市場における採用戦略についてうかがいました。
目次
採用戦線異常アリ!大手企業も人が採れない時代がやってきた
「率直に言って、現在は非常に厳しい採用環境にあると思います」。まず最初にそう話すのは、船井総合研究所シニア経営コンサルタントの山中さん。
飲食店スタッフやドライバー、介護職など、一般的に不人気とされる業界・職種はとくに人が集まりにくい状況が続いているといいます。
山中さん:これまではハローワークに求人を出せば何名か応募があったけれど、今はまったく音沙汰なしというケースも増えていますね。せっかく応募があっても、企業としては若手を求めている募集に対してセカンドキャリアを考えているシニアが来てしまうなど、アンマッチも起きています。
採用活動がうまくいかないのは中小企業だけではありません。大手企業も苦しんでいます。
一般的には、地方と比較すると都市部は求人媒体や人材サービスが集中しているため、まだ打ち手を見つけられることもあるようです。ただし、必ずしも都市部だからと言って人が集まるわけでもありません。
例えば名古屋市などは、自動車関係などの高待遇の求人が豊富にあるため、よほど条件の良い求人でなければ他の職種には人が集まりにくくなっています。
山中さん:今は、ハローワークではなかなか人が集まりませんし、数十万円のお金を使って採用広告を出しても、空振りで終わることも珍しくありません。多くの経営者は途方に暮れています。
ハローワークで応募ゼロの求人にIndeed経由で応募が殺到⁉
一方で、これほどの厳しい採用環境のなかで、採用活動を成功させている中小企業もあります。船井総合研究所で人財マネジメントコンサルタントとして活躍している倉並さんは、Indeed(インディード) というサービスの有効活用を促し、多くの中小企業の採用活動をサポートしてきました。
倉並さん:Indeedは求人広告ではなく“募集要項”の検索エンジンです。リクナビやDODAなどの求人広告のなかにある募集要項や、会社ホームページ内にある募集要項を集めて、まとめて掲載しています。無料で掲載することもできますし、有料サービスを利用する場合でも採用広告よりも費用が安く、採用単価を抑えられるところが特長です
Indeedは、リクナビやDODAといった特定の求人媒体を含むインターネット上にあるすべての求人媒体に加え、それぞれの事業会社のホームページに掲載されている募集要項までもがまとめられているので、情報量とユーザー数が圧倒的に多いことも強みです。クローラーと呼ばれる検索エンジンロボットが、インターネット上にある募集要項を自動的に集めているため、Indeedと特に掲載の契約を交わしていなくても、Indeed経由で応募がくるケースもあるのだとか。
倉並さん:例えば、ハローワークで募集をかけても応募がゼロだった福岡市内の中古車販売会社がIndeed経由で30名以上の応募を獲得できた事例や、横浜市内の3名という小所帯の税理士事務所に、同じくIndeed経由で70名の応募があった事例もあります。今一番、効果が期待できる採用ツールと言ってもよいでしょう
なぜ、応募が集まりやすいのか。IndeedはSEOに強く、インターネット検索の上位に表示されやすい上に、求人媒体と違ってエントリーシートなどの記載が不要で、求職者が気軽に応募できるからです。
もちろん、ただ単にIndeedを使えば応募が集まるというわけではありません。求職者の目にとまり、魅力的だと感じてもらえるような募集要項をつくることが大前提です。
倉並さん:募集要項は、そこで働くイメージがわくようにつくることが大切です。例えば職場の雰囲気が伝わる写真や、一緒に働く人の表情があったほうが求職者も安心しますよね。また、Indeedに掲載される募集要項ページは1職種1ページと決まっています。このようなIndeedのレギュレーションを理解したうえで作りこむことを勧めています。職種によってはじっくりPCで探す人もいますが、基本的にはホームページのスマートフォン対応はマスト。求職者がスマートフォンで見たときに読みやすいように配慮すべきです。
求職者がどのようにして仕事を探しているのか、想像力を働かせながらリクルートページをつくりこむことが成功の第一歩といえるのかもしれません。
従来の十分の一以下のコストで人材獲得も不可能ではない
求職者がいつ仕事を探すのか考えることも重要です。週末にするのか、それとも平日の夜にするか、はたまた、求人媒体の新着求人が集中する月初めなのか……ともあれ、求職者が仕事を探すタイミングを狙って募集要項を出すことが望ましいでしょう。
倉並さん:Indeedに限らず求人サイトの多くが新着の募集要項から上位に掲載される仕組みになっています。できるだけ多くの求職者に見てもらうためには、求人情報の更新タイミングが大切。Indeedの場合、情報を更新する際に申請手続きが要るため、弊社含むIndeedの代理店と連携したほうがスムーズに進められるかもしれません。任意のタイミングで情報を更新するにはコストがかかりますが、それでも費用対効果はほかの採用方法と比較して優れていると言えます。
しっかりと準備を行いIndeedを有効活用すれば、採用費用を抑えながらも魅力的な人材を獲得できる可能性が高まります。たとえば、前述の横浜市内にある3名の税理士事務所の場合は、応募単価が1000円代、採用単価は10万円以下。しかも、応募者は求めていた20代で、しかも税理士の科目合格者や、簿記などの有資格者といった優秀な人の応募が多かったとのこと。
山中さん:私たちが中小企業の採用活動をお手伝いするなかでさまざまな手法を試して、今一番効果があるのがIndeedを利用した方法です。他社で何百万円も使って一人も採用できなかったことが、数万円で採用できたケースがいくつもあります。
人が集まらないとあきらめる前に、まずはIndeedがどんなものなのかを試してみたり、求職者がどのように求人を探しているのかイメージしたりするところから、採用戦略を再考してみてはいかがでしょうか。それが史上空前の売り手市場を勝ち抜き採用を成功させ、会社を成長させるきっかけになるかもしれません。
後編はこちらから
この記事の著者
弥報編集部
弥生ユーザーを応援する「いちばん身近なビジネス情報メディア」
この記事の監修者
倉並 愛(株式会社船井総合研究所 人財マネジメントコンサルタント)
社員15名の中古車販売店における新卒採用導入プロジェクトや、社員100名規模の新車ディーラー店新卒採用支援及び新卒社員戦力化研修など、幅広い企業規模の採用コンサルティングを経験。採用支援プロジェクトにおいては、採用単価5,000円未満で中途即戦力人材を採用するなど実績を上げる。
この記事の監修者
山中章裕(株式会社船井総合研究所 シニア経営コンサルタント)
2008年船井総研入社後、士業、物流、産業廃棄物業、医療、パチンコ、広告、等様々な分野のコンサルティングを経験。会計事務所のみならず、法律事務所、司法書士事務所、行政書士事務所、社労士事務所等、あらゆる士業のコンサルティングをもっとも得意とする。
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