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物事が進む!決まる!トップ5%リーダーの会議術

2024.05.17

著者:弥報編集部

監修者:越川 慎司

会議をしても期待するように意見が出ず、社員のやる気が感じられないことはありませんか。また、せっかく会議をしても結果につながっていないと感じる経営者も多いといいます。実は、社員も「会議ばかりで結局何も進まない」「会議のための資料作りでやるべき仕事に手が付けられない」などと悩んでいるかもしれません。結果が出ない会議を放置しておくと、会社全体にも影響を及ぼしかねません。

そこで今回は『トップ5%リーダーの習慣』などの著者である越川 慎司さんに、優秀なリーダーの会議術や、会議改善方法について解説していただきました。減らす会議と増やす会議を見極めるコツや、簡単に取り入れられるポイント、やるべきこと・やってはいけないことなども教えていただいたので、ぜひ参考にしてください。


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トップ5%リーダーは「効率良く結果を出す会議」を行う

まず「トップ5%リーダー」とはどういった人物か教えてください。

「トップ5%リーダー」とは、変容する社会に順応し、突出して結果を出し続けられる管理職者もしくはリーダーを意味します。私たちは、該当の職務を持っている日本の企業218社、合計18,000人を対象に調査し、トップ5%リーダーの特徴を明らかにすることに成功しました。テレワークで入手可能になったオンライン会議の録画データ、さまざまなツールの履歴の他、アンケートやヒアリングで得られた膨大なデータをAIと人間により分析しています。

トップ5%リーダーの具体的な行動として「社員が話しかけやすいようにゆっくり歩く」「話が短い」などがあげられますが、概要的な特徴として、仕事や成果よりも人に興味を持っていることがわかりました。トップ5%リーダーは人が主役の成果を出し続ける仕組みを作れる人材であるといえるでしょう。

トップ5%リーダーの会議術とは、具体的に何を指すのでしょうか。

分析でわかったトップ5%リーダーの言動には、成果を出し続けるために会議をより効率良く、良いものにする行動習慣もあることがわかりました。彼らは会議の時間を減らしながら、質を高めることに注力していました。会議参加者が自然と発言できる環境作りだけでなく、事前準備や問いかけなどにも共通点があります。彼らの行動習慣を参照することで、会議参加者の言動の改善も促され、より短期間で効率良く成果につなげられるようになるでしょう。

社内会議の52%は「会議のための会議」になっている!

そもそも、会議はなぜ必要なのでしょうか。

それは、意思決定者と実行者が異なるからです。すべての会議は、意思決定者と実行者が認識のすり合わせを行うための時間であり、現場のアクションにつながらなければいけません。アクションが多ければ会社は前に進むことができますから、会議でより多くの決定を迅速に行うことは、企業成長にもつながるのです。

加えて、変容する時代の課題は以前より複雑になり、成功パターンがない場合も散見されるようになりました。会議でより多くの判断材料や見解を基に意思決定を行う必要もあるため、大変重要な時間と言えるでしょう。

実際は「会議が思うように進まない」という会社も多いですが、なぜなのでしょうか。

定例会議や報告会議のように、会議そのものが目的となっている会社が多いからです。アジェンダや議題がなくても「とりあえず集まっていつものように話そう」という会議は何も決まらないダメ会議と言ってよいでしょう。実際、会議に参加していても話を聞かずに、他の仕事を内職する社員は少なくありません。

また、218社を対象にした会議の実態についての調査では、68%の企業・団体で社内会議が行われていました。そのうち、52%は「会議のための会議」だったことがわかりました。つまり、会議の準備として、発表する内容や資料について話し合うための会議に時間を割いていたのです。

しかし、実は作成された資料の40%は会議で使われていないこともわかっています。本来注力すべきタスクの実行や課題解決に時間を割けず「会議のための会議」に集中する働き方は、非常に効率が悪く結果にもつながりません。放っておくと、組織全体にも影響を及ぼしかねないのです。

会議改革に必要なのは「共有」を減らして「決定」「アイデア出し」を増やすこと

トップ5%リーダーの具体的な会議術を教えてください。

会議には「決定」「アイデア出し」「共有」の3種類しかありません。その中で大切なのは「決定」と「アイデア出し」です。トップ5%リーダーはこの2つの割合を増やし「共有」会議を減らすことで、現場の動きを加速させていました。具体的な手順は以下の通りなので、ぜひ参考にして自社の会議改革を試みてください。

  1. 「やめる会議」を決める

まず「やめる会議」を決めます。リサーチの結果報告や、営業目標の達成度を確認する会議などを見直しましょう。最近ではチャットやITツールもさまざまなものがありますし、日ごろからデータをシェアしておけば、その都度集まって共有する必要はなくなります。活用できるツールは取り入れて、意識改革を行っていきましょう。

  1. 会議の24時間前にはアジェンダを共有する

やるべき会議を明確にして目標を決めたら、会議の24時間前には参加者へアジェンダを共有しましょう。特に「決定」や「アイデア出し」を目的とした会議の場合、参加者に事前に意識を持ってもらうことで積極的な意見交換を促せます。

また、中小企業にありがちな例として「決定」と「アイデア出し」が混在した会議が多いことがあげられますが、別々に行うように変更しましょう。なぜなら、アイデアを出してもすぐ意思決定者に却下されることが続くと、意見自体が出てこなくなってしまうからです。

また、そもそもアジェンダが設定できないときは、それが「必要のない会議」である可能性が高いです。必要性の有無も再認識できるきっかけとなるでしょう。

  1. 会議冒頭でアジェンダを再共有し、参加者の名前を読み上げる

実際に会議を始める際も再びアジェンダを共有します。また、対面会議、リモート会議にかかわらず、冒頭で参加者の名前を読み上げてみましょう。これらの取り組みにより当事者意識が生まれ、会議参加者が会議中に他の作業をする「内職」の比率が3分の1以下になることがわかっています。

  1. 会議の終わりに「まとめスライド」を共有する

だいたいの会議は45~60分で行われていますが、参加者の記憶定着率が高いのは、会議最初の1分と最後の5分程度です。会議終盤には、決定事項やアイデアなどを整理した簡易的なスライドを作成し、参加者に求めるアクションをリストアップしてください。その際に質疑応答の時間を設けることも、認識のすり合わせにつながります。

実際に会議改革をした例があれば教えてください。

私たちは218社の会議の割合を調べ、各社に上記で述べた「辞める会議」を洗い出してもらうなどして、トップ5%リーダーの手法を参考にしながら会議の割合を見直すように改革をしてもらいました。その結果、共有の会議は31%に減らすことができました。一方、決定とアイデア出しはそれぞれ18%、37%へと増加しました。結果として、会議改革により多くの企業で目標を達成できるようになったといいます。

また、雑談が15%を占めるようにもなりました。雑談の重要性は後ほど解説します。

※対象の218社が、トップ5%リーダーの手法を参考に会議改革を行った結果

意思決定者は仕切らない!「共感・共創」で参加者の発言を促そう

リーダーは会議中どのような役割をすべきでしょうか。

トップ5%リーダーは、自らがファシリテーターになったり仕切ったりすることはありませんでした。参加者が萎縮してしまい、有意義な意見交換が難しくなるためです。その代わり、皆が発言しやすいように「共感・共創」を意識した行動が多く見られました。場の空気が良くなり、心理安全性を高められればコミュニケーションも増え、積極的に発言する参加者も増えるからです。

会議を開くこと自体はリーダーが決めますが、実際の会議では進行や時間管理などが行える人物をファシリテータ―として立てることが望ましいでしょう。例えば、若手に任せてみるのもおすすめです。若手に任せてうまくいくか不安な場合は「試しに1回だけやってみよう」と、小さな行動実験としてチャレンジする意識を持ってください。周りの社員も最初は不安に思うこともありますが、実際にやってみると「思っていたより良かったね」という声は意外と多いものです。

「共感・共有」を促すには、どのような言動が好ましいでしょうか。

会議中におけるトップ5%リーダーの具体的な言動をあげながら、解説していきましょう。

まず彼らは、会議冒頭に雑談を行っていることがあげられます。会議冒頭で雑談をすると、参加者の会議中の発言数が1.7倍、発言者数が1.9倍になり、意義のある話し合いを実現できたという実験結果があります。さらには、予定された終了時間より早く会議を終えられたのです。ここでようやく、なぜ会議改革で「雑談」が15%増えたかわかりましたね。具体的な雑談例としては、天気・ニュース・飲食の話題が好ましいです。明るく、だれでも参加しやすいような話題をリーダーから振ってあげるとよいでしょう。加えて、その会議で特に発言してほしい人にまず話を振ると、会議中の発言もより活発になります。雑談の目安は2分程度。朗らかな雰囲気を作りましょう。

次に、彼らの表情にも特徴があることがわかりました。優秀なリーダーには、口角を上げて柔らかい表情を意識する、参加者の発言にゆっくり深くうなずくといった行動が見られたのです。特に昨今当たり前になりつつあるオンライン会議において、表情は大変重要な要素です。互いに意思疎通ができず、コミュニケーション不足となった場合には良い意見も出にくくなってしまうからです。些細な行動だけでも相手に安心感を与えられるので大変有効です。

また、会議中にトップ5%リーダーがよく使うキーワードとして、「そもそも」「さらに」の2つがあげられます。「そもそも」は会議の前半、課題の根本的解決を促すときに使い、参加者が思考を深く掘り下げるよう促します。「さらに」は、他の参加者の発言後に付け加えて自分の意見を言うときの接続詞で、これにより参加者がより発言しやすくなる傾向があるとわかりました。

これらの習慣を参考にしながら、自身の会議中での言動を意識して変えてみるとよいでしょう。

より良い会議にするために、優秀なリーダーができること

会議内で言い合いなどが発生した場合、どのように対応すべきでしょうか。

もしも参加者同士が激しい衝突になってしまった場合は、効果的な対応策が2つあります。1つは、ホワイトボードに意見や状況を書き起こすこと。いわゆる、会議室にあるアナログのホワイトボードが望ましいです。文字にすることで、感情論から理性的に頭を切り替えられるので、建設的な話し合いに昇華させられます。

もう1つは、シンプルに休憩を入れること。時間を置くことで、冷静になることができます。

ただ、衝突は避けた方がよいですが、摩擦はあるべきと考えてください。多様なバックグラウンドを持つ参加者がいるはずですから、異なる意見が出るのは望ましいことです。しっかりと意見を伝え合い、参加者にもその意識を持ってもらうように伝えましょう。

ファシリテーターはどのようにして選ぶべきでしょうか?

やらされ仕事では成長も期待できないため、ある程度の興味を持って取り組める社員が好ましいです。業務全般に言えることですが、会社側が必要だと考える研修と、社員が自ら選べる研修を織り交ぜて行う指導方法も効果的です。「やるとすれば、資料作成かファシリテータ―、どちらがやってみたい?」と選択肢を与えるなどして、自主性を重視しながら指名するとよいでしょう。

ファシリテーターは不安を抱えながら会議を進行しています。うまくいってもいかなくても、ファシリテーターを務めたこと自体を褒めて、認めてあげることも能力を引き出すコツです。会議をより良いものにするためにも、ファシリテーターのフォローを忘れないでください。


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この記事の著者

弥報編集部

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この記事の監修者

越川 慎司(株式会社クロスリバー 代表取締役社長)

国内通信会社などを経て、2005年にマイクロソフトに入社。業務執行役員としてPowerPointやExcelなどの事業責任者を務める。2017年に株式会社クロスリバーを設立。創業当初から全メンバーが週休3日、複業、7時間睡眠を実践。約700社の中小企業に対して年間400件以上のオンライン講座を提供。著書『トップ5%リーダーの習慣』など30冊。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などメディア出演多数。

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