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創業後の追加融資は難しい?創業後の資金調達方法とは【教えて吉田先生!】

2023.10.24

著者:弥報編集部

著者:吉田 学

弥報Onlineでは読者から資金調達に関するお悩みを募集しています。回答するのは、財務・資金調達コンサルタントの吉田 学先生。

今回は創業間もない方から、創業後の追加融資についての相談をいただきました。

「創業前に創業融資を利用し事業をスタートしましたが、創業後の現在、追加融資を検討しています。事業がうまくいっていても創業後の融資は思うように受けられないケースもあると聞きますが、追加融資は難しいものなのでしょうか?」

個人事業者やスモールビジネス事業者などが、このような資金需要にどのように対応すればよいのかについて、吉田先生がわかりやすく解説いたします。

※本記事は2023年9月27日時点の情報を基に作成しております。法令などの最新情報については、政府から出ている文書をご確認ください。


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創業後の融資は難しい?その理由は

今回は創業間もない方から「創業後の融資」についてのお悩みをいただきました。創業して日が浅いと融資が通りにくいのでしょうか?

この場合2つのケースが考えられます。1つ目に考えられるケースとしては、創業計画通りに売上・利益が獲得できずに、資金繰りに苦慮して融資を申し込むような場合です。「金融機関は創業後に資金繰りに苦しんでいる事業者に融資をするのは当然だ」と思われている事業者の方もいらっしゃると思われますが、原則論として、金融機関は業績の良くない事業者に対する融資は消極的だということを理解しましょう。

2つ目は業績がさほど悪くないにもかかわらず、思うように融資を受けられないと感じるケースです。これは融資を「する側」と「受ける側」の立場の違いにより、業績の良し悪しの捉え方が異なっていることが想定されます。この2点を理解しておきましょう。

なぜ?業績が良くても融資が難しい理由

業績が悪い場合は理解できますが、創業計画通りに進捗していて業績が悪くないのに融資を受けられないという声もあります。なぜでしょうか。

「融資」は返済する必要があり、返済不要の資金ではありません。返済が難しいと判断されれば融資は受けられないのです。

例えば「初年度2,000万円/年商」の事業計画で創業した事業者が、創業前に1,000万円の融資を金融機関から受けたとします。1期が終了して、計画通りに売上・利益を計上できたとしましょう。2期目は当初計画よりさらに売上高・利益アップを目指すために追加の融資(1,000万円)を受けたいと考えています。このケースで、追加融資を受けることができるでしょうか。

深い財務知識や金融知識がなくても、年商と既存借入額からそう簡単なことではないと判断することはできると思います。しかも無担保・無保証人で融資を受けたいとなると、ハードルは高くなります。

もう少し深く考察してみましょう。先ほどの参考事例で解説しますと、年商2,000万円で既に借入金が1,000万円あります。財務指標を算出してみますと、借入金月商倍率(借入金÷月商)は「6か月」です。一般的に借入金月商倍率が3か月を超えると、借入過多状態だといわれています。

さらに簡易的に債務償還年数(負債÷CF)を算出してみましょう。キャッシュフロー額を売上高の10%(100万円)と想定して算出しますと、1,000万円÷100万円=10年となります。計算式にもよりますが、債務償還年数は「10年を超えると厳しい」と判断されます。さらに据置期間(金利のみの支払い期間)1年で融資を受けているとしたら、ほとんど返済していない状況になります。

たとえ業績が創業計画通りだとしても、このような状態での追加融資は相当困難と判断されるのです。

高業績でも融資を受けられないことがある?

創業計画をはるかに超えた高業績を出しているのにもかかわらず、金融機関から思うように融資を受けることができないというケースも見受けられます。なぜでしょうか。

極端かもしれませんが、例えば創業計画では3,000万円だったのが1億円の売上高を獲得することができたというようなケースを想定してみましょう。

金融機関としては「この売上高が今後どれくらい継続できるのか?」という点を冷静に判断します。その点において、融資は難しいと判断されたのでしょう。

また信用金庫や信用組合などの支店は、大手金融機関と比較すると、1事業者に融資できる限度額は少額になります。1支店で1事業者に融資できる額には限界があるため、融資できないケースもあるのです。

それでも創業後に融資を受けたい場合は?

では、どうすれば思うように融資を受けられるようになりますか?

まずは「選択肢を増やす」ことです。スタートアップ時期の、事業者の資金調達方法としては「融資」以外にも「補助金」「助成金」などもがあります。そういったものにも、積極的に活用していきましょう。

また「オンラインレンディング」や「ファクタリング」などの活用も選択肢の一つです。「オンラインレンディング」などは、民間金融機関やネット銀行、ノンバンクなどが積極的に実施しています。「ファクタリング」や「ノンバンク」などを利用する際には、必ず顧問税理士や専門家などに相談してから判断することをおすすめします。

また、経営セーフティ共済や民間保険会社の保険などの活用も検討しましょう。共済や保険には「経営者貸付」という制度があります。

ベンチャーキャピタル、中小企業投資育成株式会社などから出資を受けるという方法もありますが、スタートアップ時期においては最もハードルが高い手法かもしれません。しかしベンチャー事業者などにおいては、そういった可能性についても積極的に検討してください。

どの選択肢を選ぶとしても最も重要なのは、今後の事業計画や損益計画などをしっかりと作成して金融機関を説得する姿勢です。事業計画通り事業が進捗し、借入返済も可能であるという説得力の高い事業計画書を作成してください。

※本記事は2023年9月27日時点の情報を基に作成しております。法令などの最新情報については、政府から出ている文書をご確認ください。


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この記事の著者

弥報編集部

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吉田 学(よしだ まなぶ)

財務・資金調達コンサルタント
株式会社MBSコンサルティング 代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)、「税理士だからできる会社設立サポートブック」(第一法規)などがある。
また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。

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