理想のワークライフバランスを見つける方法|グロービスキャリアノート

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理想のワークライフバランスを見つける方法

理想のワークライフバランスを見つける方法

目次

「やりがいある仕事で、それなりの報酬も得たい。その上で、プライベートも充実させたい。」

働き方に関するさまざまなアンケート調査や直接の対話を通して、よく20代の方からそんな言葉を聞きます。
若手のビジネスパーソンを中心に、ワークライフバランスが重要視される傾向が高まっているように思います。

その一方で、一回り上の世代から「若いうちは目の前の仕事に打ち込まないと、将来の給料やキャリアは先細っていくぞ」とアドバイスを受け、どのようにバランスをとればいいか悩んでいるという方は少なくないでしょう。

本記事では、後悔しない「20代の理想のワークライフバランス」の描き方について考えていきたいと思います。

両方を器用にこなしたい20代・30代

若手ビジネスパーソンはどのようなバランスを理想としているのでしょうか。
20代・30代の「はたらく価値観」本音調査2019』の調査から、20代・30代の仕事および人生のバランスについて3つの傾向がうかがえます。

  • 特徴①:成長意欲があり、同時にやりがいも給与も求めている。
  • 特徴②:定時内で最大限のアウトプットを出し、仕事もプライベートも両方充実させたい。
  • 特徴③:「プライベートの充実があってこそ、仕事もうまくいく」という考え方であるため、仕事のためにプライベートを犠牲にしない。

この3つの傾向を見ていると、仕事とプライベート、どちらか1つに大きく偏るのではなく、「両方を要領よく器用にこなしたい」といった価値観が見えてきます。

具体的な理想バランスを把握していない人は多い

「ワークライフバランスを取り、もっとキャリアを充実させたい。」
キャリアセミナーに登壇すると、このような相談を受けます。
しかし、「具体的にどのような時間のバランスが理想ですか?」と問い返すと、大半の方が「えっ?」と言葉を詰まらせます。
「もっと満足する(自分にフィットする)バランスがあるはず」と現状に不満を抱く人の多くは、そもそも自分が理想とするバランスが設定されていないことに原因があるように思います。

理想とするワークライフバランスを知る方法

理想のバランスは人によって異なります。
時期によっても変わるでしょう。
では、自分にとって理想のワークライフバランスを、どのように把握すればよいのでしょうか。

ステップ①:理想の時間配分を考える

まず、理想の「時間の使い方」をイメージしてみましょう。
時間は、人生において最も重要な限りある資源です。
その資源を自分が使いたいように使えていれば、理想のバランスが取れている状態だといえます。

こちらの図を元に、ざっくりと今この瞬間、どのように自分の時間を使いたいか、理想の配分を考えてみてください。
全体を24時間として、各項目の空白にはどのくらいの時間が割り当てられるでしょうか。
(※「その他」には、項目にはないけど皆さんが大切にされている時間があれば追加してください)

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ステップ②:現在の時間配分を理想に近づける

次に、同様の枠組みを用いて、現在の実際の時間配分を確認してみてください。
理想と現実に乖離があった人もいれば、ほとんど差がない人もいると思います。

理想と乖離していた場合
乖離している項目に注目し、理想の時間配分に近づけるための具体的な行動案を考えてみましょう。
当たり前ですが、一日はみな平等に24時間しかないので、何かにあてる時間を増やしたかったら、他の項目の時間を減らさなければなりません
項目に優先順位をつけたり、かける時間を短縮できないかなど、様々な観点でバランスを調整してみてください。

例えば、移動時間を減らすためにリモートワークに切り替えたり、職場付近に引っ越す。
家事時間を減らすために、家事代行を頼む。
自分のペースで仕事ができる部署に異動を希望する。

そういったことが考えられるかもしれません。

理想と乖離していなかった場合
一方で、理想と現実に乖離がなかった場合は、時間配分には問題がないようです。
それでも人生が満たされず、人生のバランスが取れていないと感じるようであれば、時間の「量」ではなく「質」に改善の種があるのかもしれません

例えば、「仕事にやりがいを感じられない」「能力開発で成長実感が持てない」「趣味に取り組んでもリフレッシュできない」などが挙げられます。
その場合は、意味づけを再定義することや、そもそもの取り組む内容から変えるなどの抜本的な質の転換が必要でしょう。

さらには、理想の時間配分を「理想だと思い込んでいる」可能性も考えられます。
習慣となった時間配分は安心をもたらしますが、それが理想と一致するわけではありません。
より良い状態を目指すためには、ときに安心を犠牲とする必要があります。
その可能性を含み置き、理想を再検討してみてください。

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ワークライフバランスとは?定義や目的、充実させるメリットを解説 ワークライフバランスが重要視される背景や推進に関する具体的な取り組みについて解説します。

理想バランスは「人生全体」で考える

これまで理想の時間配分を考えてきましたが、人生全体での満足度を上げるために、もう一つ「時間軸」を意識して考えることが大切です。
私は、こちらの図のように、人生のバランスには2軸あると考えています。

  • 垂直方向:「時間軸(年齢)」
  • 水平方向:「人生の断面図(あるタイミングにおける理想の時間配分バランス)」

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人生100年を通して、ずっと同じ「人生の断面図」で生きている人はいません。
その時々で最適な時間配分の断面図が存在するはずです。
わかりやすく考えるために、人生を20代、30代と年代で区切ってみましょう。

例えば、20代で独り身でとにかく成長と成果を求めていた時の理想バランスは【仕事=60%、プライベート=20%、睡眠+食事=20%】
30代で家族を持ち、仕事外の活動や自己研鑽にも成長を見出した時の理想バランスは【仕事=35%、プライベート=40%、睡眠+食事=25%】

こういった風に、同じ人でも年齢や人生の局面によって断面図は変わります。
むしろ私は、理想の時間配分を惰性で決めず、その時々で考え、変えていくのがよいと思います。

「アンバランス」な時期が将来への投資になることもある

私たちが納得のいく人生を送るためには、人生全体を俯瞰し、「未来」を視野に入れつつ「今現在」の理想バランスを常に考えていく必要があります。
そのためには、人生の中で「アンバランスな時期」があっても良いのではないでしょうか。

たとえば、20代のうちにその瞬間だけの理想バランスを優先し、仕事とプライベート両方を"そこそこ"にこなしていた結果、30代以降に仕事で求められる能力が備わらず、その後理想のバランスを選び取る能力やチャンスをつかむのに苦労するかもしれません。
仕事におけるキャリアや働き方の選択肢が広い人は、「市場価値の高い人」です。
こちらで詳しくは説明していますが、20代は積極的に能力を鍛えておくべき期間です。

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「20代は、とにかくがむしゃらに働け(成長しろ)」。
古びたセリフに聞こえるかもしれませんが、時間軸を意識した際の理想の時間配分を考えるための一つの知恵だったのかもしれません。

後悔しない人生を送るために

20代・30代の「はたらく価値観」本音調査2019』によると、仕事で優先するのは「やりがい」と答えた人が一番多く、僅差で「稼ぎ」でした。
自分で仕事の内容を選べるようになることも、多くを稼げるようになることも、繰り返しになりますが「市場価値」が高い人です。
仕事にやりがいや多くの報酬を求めるならば、ぜひ20代のできるだけ早いうちに先行投資として自己成長に費やす時間を増やすべきです。

あえての「アンバランス」で先行投資をする

私は今、グロービス経営大学院という社会人向けビジネススクールで教鞭をとっています。
働きながら平日夜/土日で学びに来られる20代の皆さんとクラスでご一緒しますが、時間軸のバランス感覚を大切にされていることを肌で感じます。

30代以降の不確実な未来を見据え、早期の活躍で信用とポジションを獲得する。
社内価値に偏らず、同時に市場価値を高めにいく。

人生100年時代に、自分らしい柔軟なキャリアを築いていくために不可欠な先行投資と位置付け、多少のアンバランスを覚悟で動いているのです。

人生の主導権を握ろう

今回は、人生バランスについて解説してきました。
最もお伝えしたいことは、「自らが主導権を握らなければ、誰かに主導権を握られる」という人生の鉄則です。

外部の力でもバランスは生まれるが...

見方を変えると、ワークライフバランスは常にバランスされているのかもしれません。
なぜなら、自分でバランスさせにいかなくても、外部の力(仕事や家庭状況など)が働き、勝手にバランスされるからです。
その外部の力によってバランスされた人生バランスが自分に合わない場合は悩みや不満を抱え、自らが設定した理想の人生バランスを追求している場合、その人は悩むのではなく解決に向けた行動をされているように思います。

将来の理想のバランスを思い描きながら、今のバランスを選ぶ

理想通りの人生バランスが実現するかどうかは、それを実現できる環境に身を置けるか、それに値する能力が自分にあるかに依存しますが、理想の人生バランスは誰もが自由に設定し目指すことができます。

まとめ

理想の人生バランスを設定し目指すことで、悩みや不満が解消され、人生をより建設的な方向へと転換できます。
今現在の時間バランスは、将来につながっていますので、ぜひ20代のできるだけ早いうちに真剣に考えてみてください。

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著者情報

中村直太(グロービス経営大学院 教員)

中村直太(グロービス経営大学院 教員)

慶應義塾大学理工学部卒業、同大学院理工学研究科修士課程(工学)修了。グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA)修了。株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア)にて約1,000名のキャリアコンサルティングを経験した後、事業企画にてサービス企画、営業企画、BPRなどを担当。その後、グロービスに入社。グロービス経営大学院のマーケティング(学生募集)企画、名古屋校の成長戦略の立案・実行や組織マネジメント、アルムナイ・キャリア・オフィス(卒業生向けサービス企画)や学生募集チームの責任者などを経て、現在は顧客コミュニケーション設計やセミナー開発・登壇、WEBコンテンツ企画・執筆など様々な事業推進活動に従事。同時に個人としては、人生の本質的変化を導くパーソナルコーチとして活動。グロービス経営大学院の専任教員としては、思考系科目『クリティカルシンキング』、志系科目『リーダーシップ開発と倫理・価値観』に登壇。また、キャリア関連プログラムのコンテンツ開発及び講師を務める。

※本記事の肩書きはすべて取材時のものです。

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