2011年 05月 02日
久しぶりの寄席
上野鈴本での権太楼噺爆笑十夜の初日は「らくだ」を演るというので、朝から当日券の列に並んだ。
「らくだ」という噺はあまり気持ちの良い噺じゃないけれども、演者の実力が大いに必要な大ネタだ。
権太楼は、大病をした人とは思えない熱演で、堪能した。
この日は、小三治も登場。
まくらで、
「あの事件以来、今まで大切なことだと思っていたことが、そうでもない、と思うようになった。この話をしていると一晩中かかる。」と語り、
「落語を聴いていて希望がわいてきたなんて言う人がいるけれど、本当かなあ。もしそうならその人はよっぽど普段悲惨な生活をしている人なんじゃないかなあ。」と笑わせ、
泥棒噺の「出来心」に入る。
これはとても面白かった。
寄席で小三治の滑稽噺を聴くのは久しぶりだけれど、やはり絶妙の間合いと表情がたまらなくおかしい。
久しぶりに心から笑い、心の奥のつかえが少しだけ取れたような心持ちがした。
やはりこんなときだからこそ、笑うこと、笑えることは大切だなあと思える一時だった。
噺家は大したもんです。
あの狭い空間で彼らが醸す空気を吸うと肩の力が抜けていくのを感じますね。