オランダのデザインの祭典「Dutch Design Week」に行ってきた - that was then, this is now

オランダのデザインの祭典「Dutch Design Week」に行ってきた

去る2024年10月にオランダで開催された北ヨーロッパ最大のデザインイベントと言われるDutch Design Weekに行ってきました。

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9日間の開催に30万人以上が訪れる街をあげた大規模イベント

オランダに行く機会ができたので何かデザイン関連で吸収できることないかなと調べていてたまたま見つけたDutch Design Week。これまで全く知りませんでしたが、2024年で11年目を迎え、ヨーロッパ周辺を中心に世界中から人が集まる大規模なイベントでした。

オランダ南部の街、「アイントホーフェン」で毎年開催されています。このアイントホーフェンは、世界的な電子機器メーカーであるPhilipsのお膝元。デザインに昔から拘っているメーカーもあれば、名門のデザインアカデミーがあるなど、デザインを大切にする素地が有り、街全体でお祭りとして開催しているのも納得です。

Dutch Design Weekのデコレーション

会期中は展示作品、講演、ワークショップ、イベントなどなどが街全体で点在し、9日間フルに使っても全てを回るのは難しいのではないでしょうか。

街全体に点在する展示会場

展示は5つあるテーマのいずれかに関係する内容となっており、"Thriving Planet(豊かな地球)" "Living Environment(生活環境)" "Health & Wellbeing(ヘルス&ウェルビーイング)" "Equal Society(平等な社会)" "Digital Future(デジタルな未来)"と、「デザインが社会課題解決にいかにして貢献するか」という共通命題に基づいた内容でした。

上述の通り、全てはとても見きれないため、我々は "Thriving Planet(豊かな地球)"テーマに絞って展示を回りました。

 「デザインで社会課題を解決する」という強い意志

様々な展示を見ましたが、いくつか印象に残ったものだけ例として挙げると、例えば和紙の展示。自然から取得でき、再生可能な素材である和紙に注目し、ランプなどプロダクトを作る実験や、

和紙を使った照明

自然に帰るじゃがいものでんぷん質で作った紙吹雪。お祭りなどで「紙吹雪を禁止する」ではなく、「自然に帰る素材にすることでサステナブルに楽しもう」という発想が素敵。

自然に帰る素材でできた紙吹雪

洗濯回数を減らすために作られた、「脱いだ服をかっこよく掛けられる椅子」。部屋を散らかすことなく、洗濯かご直行する洗濯物の数を抑制。

脱いだ服をかっこよく掛けられる椅子

生態系が変わりこれまでと同じ原料(土)が取れなくなることを懸念して新素材での器作り。

土以外の材料で作る食器類

オレンジジュースなどの加工時に出る皮を使って作られたシューズ。

雨水を植物の水やり、鳥の水飲み場としても機能させるためのタワー

他にも、オランダの省庁系のデザインに関する取り組みや、リサイクル素材で作られた器類、エコなヴァンライフの推進などなど、様々な側面から環境問題に対してデザインで課題解決を試みる展示がありました。

そもそも、こうした展示されている作品の他に、サステナビリティへの意識の高さを感じることが多々ありました。例えば、何気なく入ったカフェのカウンターで「環境のために牛乳からオーツミルクに変えませんか?」という張り紙があったり(オーツミルクの会社の宣伝かもしれないが)、町中のEV充電ステーションに「100%地域で生産された電力を使用」と書かれていたり、地域で手に入る材料で作られた飲食物の自販機が設置してあったりなどなど。肩ひじ張らずに、生活の中に自然と無理ない範囲でサステナブルに生きている様子が感じられました。

地域で手に入る材料で作られた飲食物の自販機

捨てられるコンピューターチップをアクセサリーに加工しなおした雑貨

デザインを身近に感じるためのコンテンツ

Dutch Design Weekには子供向けのプログラムや、シルクスクリーン印刷を始めとする体験型のワークショッププログラムも数多くありました。時間の都合上、体験することは叶いませんでしたが、デザインを身近に感じるためのコンテンツが豊富にあることはとても素晴らしいことだと感じました。

アイントホーフェンの街中には、クリエイターのためのコワーキングスペースも多く、こんな街で育ったら作ることを身近に感じられるクリエイティブコンフィデンスあふれる大人になりそう。

シルクスクリーンのワークショップをやっていたのはコワーキングスペース

チケットや回り方についてなど

チケットはオンラインで事前購入して、当日、インフォメーションブースでリストバンドに引き換えました。チケットなしで見られる展示もありましたが、メインの会場はチケットが必要なことと、普段は有料のモダンアートを集めたファンアッベミュージアムやフィリップスミュージアムの入場料も含まれていたので、お得でした。事前購入の方が少し安かったようです。

後ろに見えるのがインフォメーションブース。前年のリストバンドをアート作品に作り変えた展示もあった

アイントホーフェンアムステルダムから電車1本で1時間半くらい。アムステルダムからの日帰りも十分可能な距離ですが、アイントホーフェンの街も素敵だったので泊まりが断然がおすすめです。空港までも電車1本なのでアクセスしやすい。

会場間は歩くとけっこうな距離があるので、レンタルサイクルを使って回りました。オランダは国中フラットなので(最高標高点が322.7 mで高尾山よりずっと低い・・・日本じゃ考えられない)雨じゃなければ自転車が最も速い交通手段。イベント専用のシャトルタクシーもあったようなので雨だったら利用してもよかったかも。

MAPには自転車、徒歩の両方での会場間の移動時間を表示

レンタルした自転車。普通のママチャリ、ギアつき。

日本のデザインイベントとはまた異なった刺激をたくさん受けてとても良い体験になりました。10月にヨーロッパ方面にいかれる方には強くおすすめしたいです!