M&A用語 ア行
●IB (アイビー)
IBとはInvestment Bankの略称のこと。日本語では投資銀行のことを指す。主な業務としては、M&Aに関する財務戦略の助言、資金調達のアレンジ等を行い、大手企業を金融や財務面からサポートする業務を行う。ゴールドマンサックスやJPモルガン、メリルリンチ、日本だと野村証券、野村証券、SMBC日興証券などがそれにあたります。
●相対方式 (あいたいとりひき)
M&Aの交渉、取引方法の一つ。売却案件に対して売り手と買い手が代理人を挟まず、直接交渉する方法。
売り手にとっては良い買い手に恵まれればオークション方式と比べて交渉に要する時間を節約できるなどのメリットがある。
私も過去に一度、直接オファーをいただき子会社を相対取引で売却したことがあります。従業員が少ない会社や資産管理会社など比較的小規模な会社にはおすすめです。
●IPO (アイピーオー)
IPOとは「Initial Public Offering」の略で、未上場企業が新規に株式を証券取引所に上場し投資家に株式を取得させることを言う。「新規公開」という意味で、それまで日本国内で非上場・非公開だった株式を新規に上場することを指します。
●アーンアウト条項
企業買収を「分割払い」で行う際の取引契約を指す。対象企業を一度に100%買収するのではなく、まず50%などで買収し翌年以降で利益目標達成率などに応じて残金を支払うなどの約束条項を買収契約書に盛り込む条項。私の出資しているファンドでもDD(デューデリジェンス)ができない会社の株を購入する際に使うことがあるいわばリスクヘッジの方法です。
●アドバイザリー契約書
M&Aを検討する際、複数のアドバイザーに依頼すると情報漏洩のリスクが高まるため一般的には信頼の置ける1社を選び排他的な専任契約を結ぶ。仕事内容、秘密保持、報酬、免責等に関する事項が記載された書面をアドバイザリー契約書という。
私の経験上、信頼のおける一社を選ぶことがM&Aにおいて一番大切な仕事だと思います。
●意向表明書 (いこうひょうめいしょ )
意向表明書は買い手企業が売り手企業の株主に対し、提携の意思表示と基本的な条件の意向を伝えるためのものである。希望する企業提携の形態、買収希望価格、スケジュール、デューデリジェンスの実施、費用負担、秘密保持、法的拘束力などである。
LOI(letter of Intent / レターオブインテント)ともいう。複数の譲受企業から手が挙がった場合は、その中から選んだ1社と基本合意契約を締結する。
いわば本気度を示すラブレターであり、実際私もLOIをいただいた時にはキュンとしました。
●EBITDA
EBITDAは、Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略。
イービットディーエー、イービットダー、またはエビータと読む。
税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもので「償却前営業利益」とほぼ同じになる。 「EV/EBITDA倍率 EV/EBITDA倍率」とは、EBITDA(1年間の現金収入)に対してEV(企業価値)が何倍あるかを意味し、買収する場合に何年で元が取れるかを表す指標。株価動向や業種などによって様々であるが、一般的にEBITDA倍率は4~8倍が妥当だといわれているようです。
Earnings Per Shareの略称で1株当たりの利益のこと。 計算方法は当期純利益を一株あたりの株式発行総数で除して算定する。一株あたり当期純利益=当期純利益÷株式発行総数
●IM(インフォメーション・メモランダム)
M&Aの売却対象となる企業・事業の内容、財務内容、売却条件などを詳細に記載した概要書を指す。会社の沿革、事業内容、過去の財務諸表の推移とその分析、市場環境分析、中期事業計画などの企業の詳細かつ秘匿性の高い資料となる。
秘密保持契約書の締結後に、売り手の了承を得た上で買い手候補先に開示される。
●営業権(のれん)
M&Aにおいての営業権とは買収価格で時価純資産に上乗せする部分の価格のことであり無形資産のこと。会社法が施行された現在では「のれん」とも呼ばれており、営業権=のれんと考えてもほぼ問題はない。一般的に収益力が高いほど営業権が高くつく傾向にあるが収益性が低ければ、時価純資産割れ、すなわちマイナスの営業権となることもあるんだとか。
エスクローとは商取引の際に取引の安全性を確保する仲介サービスを指す。M&Aにおいては、売り手と買い手以外の第三者(金融機関等)を介して、条件付で譲渡金額を決済する仕組みのこと。
●SPA(エスピーエー)
株式譲渡契約書の英語表現であるStock Purchase Agreementの略称。M&Aの最終段階で締結する株式譲渡契約書を指します。
●SPC(エスピーシー)
Special Purpose Company の略で特定目的会社と訳される、M&A後の企業再編時に利用される企業のこと。M&Aを実行する際にSPCを買収主体として金融機関から借入などを行い、少ない資本(投資金額)と多額の借入金を原資にレバレッジを掛けて買収する手法が利用される。買収後にSPCと被買収会社が合併することで買収にともなう企業再編が終了となるケースが多い。
また税務上の観点(ex.節税メリット)から、海外のタックス・ヘイブンにSPCを設立した上で、海外のSPCを活用して対象企業の買収を行うケースもある。
かくいう私もケイマン諸島でSPCを設立し企業再編をしました。
●FA(エフエー)
Financial Adviserの略で財務アドバイザーと訳され、M&Aを検討する企業に対しM&Aの計画立案からクロージングまでの一連の助言業務を行う者を指す。
譲渡企業及び譲受企業のどちらかと個別に契約を結び、一方のM&Aをサポートする(譲渡企業と譲受企業の両者と契約を結ぶことはない)。よって譲渡企業と譲受企業の双方がそれぞれFAを立ててM&Aを進めるケースもある。
●NDA(エヌディーエー)
秘密保持契約書と訳される。CAと同義。
M&Aの手続きに際し売り手企業が買収検討企業に対し開示する情報について買収検討企業に秘密を保持させる義務を課す契約を指す。
秘密情報の定義、情報開示の範囲、目的外使用の禁止、有効期間、損害賠償に関する事項などが記載される。
●エグジット(EXIT)
出口戦略のことで投資した資金を回収する手段を指す。考案された具体的な回収方法のことで、ファンドによる投資の場合はIPOや他社への転売 (M&A) などが一般的なエグジットとなる。
私もファンド数社とお付き合いしましたが、それぞれ目的や出口戦略が違いました。
短期では2~3年保有での転売もあれば、中長期5~7年じっくり育ててIPOを目指すなどファンドの特色がある。まだハゲタカファンドのようなところもあると聞くので選定は大事だと思います。
M&AとはMerger(合併)and acquisition(買収)の略。一般的には「会社もしくは経営権の取得」を意味し、合併や株式取得、事業譲渡などの手法がある。
業務提携、資本提携等をすることによってシナジー効果を期待した「経営面での協力関係」を含めるという考え方もある。
過去2社3回のM&Aを経験した私の意見としては戦略的M&Aという考え方はアリだと思っています。
●М&Aアドバイザー (エムアンドーアドバイザー)
M&Aアドバイザーとは、M&Aに関するアドバイスやM&A成立までの取りまとめ役を行う専門家のこと。M&Aを成立させるための助言から、スキーム案の構築、売手、買手の代理人としての交渉業務等M&Aに関する業務全般に携わる。金融機関、M&A専門会社がM&Aアドバイザーの役割を担うケースが多い。FA、M&Aコンサルタント等と呼ばれることもある。
私の経験上、FAによってM&Aの成功確率は左右される。買い手企業の選定、価格、M&A後の待遇など大きく変わる。読者様にも良きFAと出会えることを祈念してます。
●LBO (えるびーおー)
LBO(エルビーオー)とは、Leveraged Buy Out の略称。企業買収の際に買収対象企業の資産を担保として金融機関融資を受けるなどして買収資金を捻出する買収手法。
金融機関からはリスクが高い買収手法であるため高金利であることが多い。
レバレッジとはてこの意味で、手元に資金がなくても大きな買収が可能となることからこの名前がついている。
私も2度目のM&A時にはファンドがLBOを利用していた。再出資する私の立場からも出資金を少なくできるし投資効率は抜群に良くなるので有効だと思います。