夫婦別姓導入へ4度勧告「恥ずべきだ」 国連委と建設的対話欠く日本
スイス・ジュネーブの国連欧州本部で10月、女性差別撤廃委員会(CEDAW)の日本政府への8年ぶりの審査があった。CEDAWから最終見解が示され、選択的夫婦別姓の導入や皇室典範の改正などさまざまな勧告が出された。私たちはどう受け止めるべきなのか。国際人権法の研究者で、審査を傍聴した藤田早苗・英国エセックス大人権センターフェローに聞いた。【聞き手・鵜塚健】
――国内では選択的夫婦別姓導入を求める声が根強くありますが、政府は消極的な姿勢を変えていません。導入を求める勧告は4回目です。
◆CEDAWに限らず、国連の各委員会では、前回の審査から何が進歩したのかに注目します。しかし、日本政府は「国民の間で議論がある」として、従来通りの主張を変えていません。4回も同様の勧告を受けるのは恥ずかしいことです。
世界中で夫婦別姓を選べないのは日本だけです。各種の世論調査でも選択的夫婦別姓に6~7割が賛成し、経済界の一部からも要請が上がっています。「家族の絆が崩れる」などの主張がありますが、同姓か別姓かどうかと家族の一体性とは無関係ではないでしょうか。家族をとても大事にする英国の友人に「日本では夫婦別姓が認められない」と話すと言葉を失っていました。
――男系男子による皇位継承を定めた「皇室典範」についても見直すよう勧告がありました。しかし、政府は「国家の基本にかかわること」と反発しています。
◆審査にあたった議長は、日本が反発していることをふまえ、「問題を指摘されているのは日本だけではない。(王室がある)私の国スペインも同様だ」などと話しました。皇位継承に関してジェンダーの視点から問題視しているだけで、皇室自体の存廃に触れているわけではありません。委員たちは、反発の背景には「日本の家父長的な固定観念がある」と考えています。
――「勧告には法的拘束力がない」という見方があります。勧告の内容を無視していいのでしょうか。
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