今週の本棚・著者:佐藤卓己さん 『池崎忠孝の明暗 教養主義者の大衆政治』 | 毎日新聞

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佐藤卓己さん 『池崎忠孝の明暗 教養主義者の大衆政治』

佐藤卓己さん
佐藤卓己さん

 ◆佐藤卓己(さとう・たくみ)さん

 (創元社・2970円)

世論先読みしたメディア議員

 戦時中の政治家、池崎忠孝(1891~1949年)の伝記だ。シリーズ「近代日本メディア議員列伝」の刊行1冊目。メディア議員とは元記者などメディア出身の政治家のこと。原敬や犬養毅ら大物もいるが、「今は忘れられた池崎こそ、歴史の教訓として振り返る意味がある」とする。

 池崎は、大学生時代から夏目漱石門下の文芸評論家として注目され、芥川龍之介の大親友でもあった。新聞記者や会社経営を経て、1929年の『米国怖(おそ)るゝに足らず』がベストセラーに。以後、『日米戦はゞ』などの軍事評論が「日本人の留飲を下げさせる」とされ、ヒットし続けた。

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