森閑としている。開演前のイキウメの客席はいつもそうだ。かみむら周平さんの音の効果も相まって森閑としている。皆、しんと、ものがたりの始まりを待っている。喋り声があってもそんな空気が流れている。
シアターイーストにてイキウメ『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』3回目でラスト。E列センターブロック。
小泉八雲せんせいは「怪談」で究極の愛の物語を語ってくれたのですね。この2024年上演のために少し改訂しているけれど、 15年前に前川さんが書いた脚本がすごいです!演出も👏👏
永遠の愛のためにする約束。怨んだり化けて出たり生き霊になったり時空も超える…
愛し合う二人には地獄が不幸とはかぎらない、という。
✍️イキウメ『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話2024』2回目★★★★★
2回目の感想にお清め?と書いてしまった一条の光を伝い落ち続けている砂…は、輪廻?
今日はやや上手だったので黒澤先生(浜ちゃん)の語りや警察官・田神(安井さん)の語りを聞いているときの検視官・宮地(盛さん)(宮地さんお風呂週1はダメです)の顔の表情の変化が面白すぎて目が釘付けに🤣。田神はいつでも「いふ〜む」と頭フル回転している感じ。
あ、黒澤先生は誰かの語る怪談話を聞いているとき頷きながら微笑みを浮べています。作家だから。話を知っているから。書いているから。
配役が全然違うから違うのは当たり前だけど、いちばん大きく違うのは主役の浜ちゃんの黒澤!昨夜観た2009年の仲村トオルさんの黒澤と100%違う!トオルさんには体温とか男を感じるけれど、浜ちゃんはやっぱり人外(笑)。だからラストの浜ちゃんを観て、すべてが腑に落ちて「あるだろう」彼岸に思いを馳せることになるのです。 発声や所作は護摩修行の賜物かもしれない。
浜田信也ありきの奇ッ怪になったの感動🥹もちろん全員素晴らしいけれど、浜ちゃんの黒澤が今年の奇ッ怪の方向性を決めたんだなと思っています。
そして女将の松岡依都美さん。松岡依都美さん凄いよーー😳ということも書きたいし〜。語る声や所作が浜ちゃんと同じく美しく魅力的で、「破られた約束」の先妻は公明新聞の劇評にあった円山応挙のそれです。
左:「月に柳図」光村、中央:「幽霊図」円山応挙、右:「怪談牡丹燈籠図」尾形月耕(圓朝コレクションより)https://seikeidenron.jp/articles/201
「破られた約束」の語りが終わり・・生首事件の話に田上と宮地がただの観光客ではなく、その土地に「フィールドワーク=聞き込み」で来ていて偶然旅館に辿り着いたと知ったと黒澤先生。この瞬間から警察官・検視官ペアvs作家の心理戦が始まったのか・・いや私は見つけてほしかったから彼らを呼んだのだと思ったわ。お茶の中にいたり、死体安置所に出たり・・遺書を残した黒澤先生が永遠の愛を選んだふたりの物語(時を超えての心中)を見つけてほしかったんだと。
奥にいるお露とお米が幽界にいるように映るモノトーンの照明(宿世の恋) (撮影:田中亜紀さん)
🍘『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』カフェコラボのメニュー「せんせいの真夏の昼下がり縁側涼みセット」