NISA制度とiDeCo(イデコ)の違いは?どっちを優先すべきか迷っている人向けにわかりやすく解説 みんかぶ編集室 2023.12.06 新NISA 個人で始めやすい資産形成の方法として「NISA」や「iDeCo」について聞いたことがある方も多いでしょう。 ただ、それぞれどんな制度なのか、どんな違いがあるのかについて、まだよくわからないという方も少なくないはず。そこでこの記事では、NISAとiDeCoの違いを解説した上で、どちらの方が自分の性格・目的に合っているのか判断するためのポイントをわかりやすく解説していきます。 目次 iDeCo(個人型確定拠出年金)とはどんな制度?NISA制度とiDeCoは何が違う?NISA制度のメリット・デメリットiDeCoのメリット・デメリットNISAがおすすめな人と判断ポイントは?iDeCoがおすすめな人・判断基準NISAとiDeCoは併用できるNISAの始め方iDeCoの始め方2024年から「新NISA」が利用可能に! iDeCo(個人型確定拠出年金)とはどんな制度? NISAとiDeCoのどちらを選ぶべきかを考えるにあたって、まずはそもそもiDeCoがどんな制度なのかについて確認してみましょう。 すでにiDeCoについてご存知の方は、このパートは読み飛ばしていただき「NISA制度とiDeCoは何が違う?」に進みましょう。 制度内容や仕組みがややこしく感じるかもしれませんが、iDeCoの目的について理解することで、どんな制度なのかがより分かりやすくなります。 個人で積み立てる私的年金制度 iDeCoは、自分で年金や退職金を用意しておくという制度です。公的年金や退職金だけでは不安だと感じる方でも、老後資金をより確実に用意できる手段となります。 老後の貯金がいくら必要なのか、といった話題が多くの反響を呼ぶように、老後の経済的な不安を抱えている方も多いでしょう。そのような悩みや不安を解決するための手段とも言えそうですね。 非課税効果と所得控除でW節税効果が期待できる iDeCoの特徴として「税制上のメリットが得られる」というものがあります。 運用時・受け取り時に税制優遇が受けられる 掛金の全額が「所得控除」の対象となる 運用時・受け取り時に税制優遇が受けられる iDeCoを通じて得た利益は非課税です。 通常、投資による利益には約20%の税金が課せられますが、iDeCoではその税金が免除されます。約20%(20.315%)もの税金がゼロになるのは、実際の利益にも大きく影響するでしょう。 また、受け取り時には「退職所得控除」や「公的年金等控除」の対象になります。そのため、本来かかるはずの税金がさらに抑えられます。 掛金の全額が「所得控除」の対象となる 老後にもらえるお金だけでなく、iDeCoでの掛金も所得控除の対象となります。 仕組みはシンプルで、iDeCoへの掛金が課税所得から控除されることで、その年の課税所得が低くなり、結果として住民税や所得税が減ることになります。 積み立てたお金の受け取りを待たずに直接的な節税効果として実感できますね。 NISA制度とiDeCoは何が違う? 個人で活用できる資産形成の制度として、「NISA(ニーサ)」を聞いたことがある方も多いでしょう。 NISAとは、少額非課税投資制度のことで「一定金額内の投資であれば、得た利益が一定期間非課税になる制度」です。 利益が非課税になる点は、iDeCoと共通していますが、NISAとiDeCoにはどのような違いがあるのでしょうか?まずは表で確認してみましょう。 一般NISA つみたてNISA iDeCo 非課税期間 5年 20年 最大40年 年間投資枠 120万円 40万円 14万4000円〜81万6600円(職業によって変わる) 最低運用額 なし なし 毎月5,500円 運用額の変更 いつでも可能 いつでも可能 1年に1回 税制上のメリット 運用で出た利益が非課税 運用で出た利益が非課税 運用で出た利益が非課税 積み立てた掛金分の所得控除 受け取り時の「公的年金控除」または「退職所得控除」 投資できる商品 上場株式・投資信託・ETFなど 投資信託・ETF 定期預金・iDeCo用の投資信託・保険商品 利益の引き出し制限 いつでも可能 いつでも可能 60歳まで原則不可 口座管理手数料 なし なし あり NISAとiDeCoの特に大きな違いとして、次の4つが挙げられます。 年間投資枠 税制上のメリット 投資できる商品 利益の引き出し制限 それぞれの内容について詳しく解説していきます。 年間投資枠 NISAとiDeCoにおいては、年間の非課税投資枠が異なります。一般NISAは年間120万円、つみたてNISAは年間40万円まで投資が可能です。 iDeCoの場合は、職業や属性によって年間投資枠が異なります。 国民年金保険の加入状況 職業 掛金の拠出額の上限 第1号被保険者 自営業者等 月6.8万円(年81.6万円) 第2号被保険者 企業年金に加入していない会社員 月2.3万円(年27.6万円) 企業型DCのみに加入している会社員 月2.0万円(年24万円) 上記以外の会社員(企業型DCとDB等の他制度に加入している人など) 月2.0万円(年24万円) 公務員 月1.2万円(年14.4万円) 第3号被保険者 専業主婦(夫)など 月2.3万円(年27.6万円) 任意加入被保険者 60歳以降も国民年金に加入している方など 月6.8万円(年81.6万円) 職業にもよりますが、NISAに比べて年間投資枠が少ない方が多いでしょう。 また実際に何円運用するかについては、NISAはいつでも変更可能。ただしiDeCoは年に1回しか変更できません。 税制上のメリット NISAとiDeCoは、どちらも税制上のメリットが得られます。 NISAでは、運用期間中の利益が非課税となります。通常の投資であれば、発生する利益には約20%の税金がかかりますが、NISAではそのような税金の支払いが必要ありません。 一方、iDeCoでは運用益が非課税であるのに加え、 ・掛金が所得から差し引かれることによる所得税控除の効果 といった仕組みになっており、節税効果がさらに期待できます。 投資できる商品 NISAとiDeCoでは、投資できる商品の種類にも違いがあります。 一般NISAでは株式、株式投資信託、ETF、REITなど多様な投資商品が選択できます。 つみたてNISAでは金融庁が選定したコストの低い、長期投資に適した株式投資信託が対象です。 iDeCoの場合、投資信託のほか、元本割れを起こさない定期預金や保険商品なども選択できます。自身のリスク許容度の変化に合わせ、より安全な商品も選べますね。 資産引き出し制限 保有資産の引き出しに関する制限においても、NISAとiDeCoは大きく異なります。 NISAの場合、資金が必要になった際にはいつでも引き出し可能で、柔軟に資金を管理できます。一方でiDeCoは、60歳以降75歳までの間にのみ利益を引き出すことができ、それまでは原則として解約や資金の引き出しができません。 NISAは柔軟性に優れており、iDeCoはより長期的な資産形成を前提とした制度と言えます。 NISA制度のメリット・デメリット NISAとiDeCoをより深く比較検討するために、それぞれのメリットとデメリットについても確認してみましょう。 まずはNISAのメリット及びデメリットについてご紹介していきます。 メリット デメリット まとまった資金でより大きな利益が狙える 投資商品しか選べないため元本割れリスクがある 資金が必要なタイミングで自由に引き出せる 売却しても非課税投資枠は変わらない NISAを利用するメリット NISAを利用するメリットとしては、主に次の2つが考えられます。 まとまった資金でより大きな利益が狙える 資金が必要なタイミングで自由に引き出せる まとまった資金でより大きな利益が狙える(一般NISA) NISAの主なメリットのひとつは、より大きな資金を投資に回すことができる点です。 非課税投資枠がiDeCoよりも大きい※ため、その分より大きな利益を狙えます。一般NISAでは年間最大120万円、つみたてNISAでも40万円までの投資が可能です。 ※加入資格によってはつみたてNISAよりiDeCoの方が非課税投資枠が大きくなる可能性はあります iDeCoよりも大きい投資枠を利用することで、より大きなリターンを目指すことができます。特に一般NISAでは、多くの資金で株式やETFなどの多様な金融商品に投資できるため、iDeCoよりも積極的な運用ができるでしょう。 資金が必要なタイミングで自由に引き出せる NISAにおけるもうひとつのメリットは、自由に利益を引き出せることです。 iDeCoは原則60歳からしか資金を引き出すことができません。しかしNISAでは、運用の結果得られた資金を、必要な時にいつでも自由に引き出すことが可能です。 そのため、急な出費が必要になったとしても、NISA口座にあるお金でカバーできます。幅広いシーンに備えてお金を準備できるため、老後より近い将来のお金を準備したい方にとって特に嬉しいメリットですね。 NISAを利用するデメリット 一方でiDeCoと比較した際に考えられるデメリットとして、次のようなものが考えられます。 投資商品しか選べないため元本割れリスクがある 売却しても非課税投資枠は変わらない 投資商品しか選べないため元本割れリスクがある NISAでは、選択できる商品が投資商品に限られるため、元本割れのリスクが伴います。 運用がうまくいかなかった場合、もともと用意したお金がさらに減ってしまうことも。投資商品である以上、NISAを活用しようとしても逆に損してしまう可能性はゼロではありません。 ただし短期の結果に振り回されず、運用期間を長く設定するほど、損をするリスクは下がっていきます。特につみたてNISAにおいては、厳選された金融商品を長期間にわたってコツコツ運用するため、損失が生まれる可能性は低く抑えられます。 売却しても非課税投資枠は再利用できない NISAにおいては、保有していた投資商品を売却した場合でも、非課税投資枠は変わりません(再利用なし)。 例えば、40万円の非課税枠の中で30万円をある商品に投資しているとします。その商品を売却した場合でも、新たに購入できるのは残りの10万円分だけです。 ただし、売却せずに複数の商品を保有し続けることは可能で、投資戦略に応じて資産のバランスを調整できます。 iDeCoのメリット・デメリット つづいて、iDeCoのメリットやデメリットについても確認してみましょう。 メリット デメリット 節税効果がある 60歳以降になるまで引き出しや解約ができない 確実に老後資金を準備できる 手数料がかかる 元本確保型の商品も利用できる 受け取り方によっては課税対象になる 決められた投資枠の中で自由に売買できる iDeCoを利用するメリット iDeCoを利用することで、次のようなメリットが得られます。 税制上のメリットが期待できる 確実に老後資金を準備できる 元本確保型の商品も利用できる 税制上のメリットが期待できる iDeCoであれば、掛け金、運用利益、引き出し時の3つのタイミングで節税効果が期待できます。 iDeCoを活用することで、課税所得が減るため(掛け金が全額所得控除になる)所得税・住民税が軽減されます。 老後資金を準備しやすくなる iDeCoの利用すれば、老後の資金を準備しやすくなります。 iDecoは原則として60歳まで引き出しができないため、半強制的に「長期積立運用」が可能になります。 歴史的には運用期間が長くなるほど、リスク(資産の変動率)は収束していくとされているため、リスクを抑えた運用が可能になります。 結果として、毎月拠出を続けることで「老後資金の準備ができる」という仕組みです。 長期運用がしやすいのは、資産形成において大きなメリットといえますね。 元本確保型の商品も利用できる iDeCoでは、リスクが非常に低い「元本確保型」の商品を選択することも可能です。 定期預金や生命保険のように、市場の変動に左右されず積み立てられる商品が選べます。リスクを避けつつ安定した資産形成を目指す人にとっては、iDeCoのほうが安心感が強いでしょう。 また、投資信託などの一定のリスクと高いリターンがある商品と併用することで、バランスの取れた資産形成が可能になります。 元本保証型のみでは資産の「増え幅」が期待できないため、若いうちは投資信託型、資産が大きくなってきたら元本保証や債券重視も織り交ぜるのがおすすめです。 保有資産の売買(リバランス)も非課税でできる iDeCoでは、資産配分を変更するリバランスを「非課税」で行えます。 リバランスとは、保有資産の一部を売却し、新たに買い付けを行うことで「資産の比率を一定に保つこと」を意味します。 つまり、iDeCoで運用している商品は「受け取り」は60歳までできないものの、口座内であれば、自由に非課税で売買をして「リバランス」を行えるということです。 特に、株式市場が低迷しているときに、株式重視から「債券重視」にしたいなどの対応がしやすくなります。長期運用をするうえで「リバランスのしやすさ」は大きなメリットといえますね。 iDeCoを利用するデメリット iDeCoが持つデメリットについても、きちんと確認しておきましょう。 60歳以降になるまで引き出しや解約ができない 手数料がかかる 所得税を支払っていない人は税制上のメリットが受けにくい 60歳以降になるまで引き出しや解約ができない iDeCoでは、60歳以降でないと資金の引き出しや解約が原則不可能です。 老後の資金を確実に貯めることはできそうですが、急にお金が必要になっても対応できません。また、お金に余裕がなくなってきてもiDeCoを解約することは基本的にできないので注意しましょう。 そのため、iDeCoを利用するかどうかは「家計状況・給与状況」から計画的に考えなければなりません。 運用に手数料がかかる NISAでは手数料が必要ない一方で、iDeCoにおいては様々な手数料が必要になります。 加入・移換時手数料(初回1回のみ):2,829円 加入者手数料(掛金納付の都度):105円 還付手数料(その都度):1,048円 上記の手数料に加え、口座を開設する証券会社にも手数料を支払わなければなりません。証券会社に支払う手数料は、会社によって異なります。 運用する金額や結果によっては、手数料によって損失となってしまう可能性もあります。 所得税を支払っていない人は税制上のメリットが受けにくい 所得税を支払っていない、あるいは所得税の控除をすでに受けている人は、iDeCoが持つ税制上のメリットが小さくなってしまいます。 専業主婦や無職の方など、もともと所得税を支払っていない方は、そもそも所得税控除が適用されません。また扶養に入っている人や住宅ローン控除を受けているなど、すでに所得税の控除を受けている場合、iDeCoによる節税効果は通常よりも小さくなります。 NISAがおすすめな人と判断ポイントは? ここまでご紹介してきた内容を元に、どんな人がNISAに向いているかをわかりやすく解説していきます。 老後だけでなく近い将来の資金を用意したい人 まとまった資金である程度大きな利益を狙いたい人 より自由に投資商品を選びたい人 一言でまとめると、NISAがおすすめなのは「老後だけでなく老後以前の資金も自由に準備したい」と考える人です。 老後だけでなく近い将来の資金を用意したい人 老後の資金だけでなく、近い将来に必要となる資金も効率的に準備したい人には、NISAがおすすめ。 例えば、子どもの教育費、家族旅行、または特別なイベントのための資金など、中短期的な計画に合わせて資金を準備することができます。NISAで運用して得られた資金は、特定の時期を待つことなくいつでも引き出すことが可能です。 そのため、計画的かつ柔軟な資産形成が実現できるでしょう。 まとまった資金である程度大きな利益を狙いたい人 ある程度大きな利益が欲しい人は、iDeCoよりもNISAのほうが適しています。 NISAの非課税投資枠は、iDeCoよりも広く設定されています。そのため、まとまった資金を投入し、より大きなリターンを狙えます。 また資金量だけでなく、NISAでは投資先や資金の配分方法を柔軟に変えられるため、市場動向や個人の投資スタイルに応じた多様な投資戦略を取ることが可能です。 より自由に投資商品を選びたい人 幅広い投資商品から自由に選んで運用したい場合、iDeCoよりもNISAのほうがおすすめです。 一般NISAであれば、投資信託だけでなく、上場株式やETFなど多岐にわたる投資商品から選べます。自分のリスク許容度や投資目的に合わせて、最適な商品を選択し、資産を効率的に運用できるでしょう。 iDeCoがおすすめな人・判断基準 一方で、iDeCoはどんな人におすすめでしょうか?iDeCoが向いている人の特徴や判断基準についてわかりやすく解説します。 時間をかけて老後資金を確実に準備したい人 節税効果を活用したい人 公的年金や退職金の受取額が少ない人 iDeCoは「老後への不安が強いからとにかく確実にお金を残しておきたい」と考える方におすすめですね! 時間をかけて老後資金を確実に準備したい人 iDeCoは、じっくり時間をかけて老後資金を確実に準備したいと考えている人に適しています。 少額(数万円)から毎月拠出できるため、無理なく定期的に資金を積み立てられます。そのため、貯金が苦手な人でも確実に将来に備えられるでしょう。 またiDeCoへの加入期間が長いほど、老後に向けた資金を着実に蓄積することが可能です。老後のお金が不安だと感じる方は、早めにiDeCoの活用を検討してみましょう。 節税効果を活用したい人 所得税・住民税の支払いを少しでも抑えたいと考えている方は、iDeCoの利用がおすすめです。 iDeCoでは、所得税・住民税の節税効果が期待できます。掛け金は所得控除の対象となり、また運用益や引き出し時の税金が免除・控除されるため、税金の負担を軽減することができます。 そのため、税金による支出を抑えておきたいと感じる方は、iDeCoの利用を考えてみましょう。 公的年金や退職金の受取額が少ない人 公的年金や退職金だけでは将来が不安だと感じる人は、iDeCoを活用するのがおすすめです。 「大きな退職金は見込めない……」「公的な年金だけで足りるのかな……」と不安を感じているなら、iDeCoを活用し自らの手で老後資金を準備するのもひとつの手です。 また退職金や公的年金の金額が低いほど、iDeCoにかかる所得税も安くなります。 退職金の金額は企業によって異なりますし、老後資金が2000万円必要!というニュースも多くの反響を呼びました。そのような中、iDeCoで堅実に備えられれば、安心感は大きくなりそうですね。 NISAとiDeCoは併用できる ここまでNISAとiDeCoの違いについてお伝えしてきましたが、どちらのメリットも捨てがたいと感じる方もいらっしゃるでしょう。 実は、NISAとiDeCoは併用して運用することも可能です。そのため、どちらかひとつに絞れない方は併用についても検討してみましょう。 NISAとiDeCoの併用がおすすめな人 もちろん、すべての人が併用すべきであるとは限りません。NISAとiDeCoの併用がおすすめなのは、次の2つの特徴に当てはまる方だと考えられます。 ある程度まとまった資金が確保できる人 老後だけでなく近い将来の資金も用意したい 経済的に余裕があり、中期的〜老後まで幅広く資金を用意しておきたいと考える方は、どちらも活用できるか考えてみましょう。 ある程度まとまった資金が確保できる人 NISAとiDeCoを併用する場合、その分多くの資金が必要になります。そのため、投資に回せるまとまった資金が確保できる人は、どちらかだけでなく併用してみるのもおすすめです。 ただ貯金としてお金を眠らせておくのは、少々もったいないかもしれません。NISAとiDeCoをバランスよく運用することで、お金を増やしつつ将来にもしっかり備えられるでしょう。 老後だけでなく近い将来の資金も用意したい 近い将来の資金も老後のお金、どちらも準備しておきたいなら、NISAとiDeCoの併用が理想的です。 NISAを利用すれば、教育費や旅行費など中期的な資金準備にも対応できます。一方、iDeCoは長期的な資産形成に役立ち、老後の安定した資金源となります。 併用することで、それぞれの長所を生かした運用が可能になりますね。老後と近い将来、どちらかを手放すことなく両方備えることができます。 NISAとiDeCoを併用する際の注意点 しかし、NISAとiDeCoの併用において注意すべきポイントもあります。そのことについて理解しておかないと、思わぬ損失に繋がってしまうかもしれません。 次の2つのポイントを把握した上で、併用するかどうかをきちんと考えてみましょう。 余剰資金で運用する 扶養に入っている方はiDeCoのメリットが小さくなる 余剰資金で運用する NISAとiDeCoを併用する際は、生活を圧迫しないよう、余裕を持って運用するようにしましょう。日々の生活費や緊急時の備えを確保した上で、余剰資金を利用することが重要です。 余剰資金で運用することで、市場の変動に左右されずに長期的な運用計画を維持することができます。また余裕を持った投資は、精神的な負担も軽減し、より計画的で落ち着いた資産形成が可能になります。 生活費を削ってまで併用してしまうのは本末転倒です。必ず無理のない運用を心がけましょう。 扶養に入っている方はiDeCoのメリットが小さくなる 扶養に入っている方がiDeCoに加入する場合、税制上のメリットは限定的です。 iDeCoに加入することで、所得税控除が受けられます。しかし所得税の支払いがもともとない、または少ない場合、控除によるメリットは少なくなります。 もちろん、所得税控除以外にもiDeCoに加入する目的やメリットはあります。ただし、メリットの一部が小さくなることは理解した上で、併用するかどうかを考えてみましょう。 NISAの始め方 一般NISAおよびつみたてNISAの始め方は以下の通りです。 口座開設する金融機関を選ぶ 一般NISAかつみたてNISAどちらを開設するか選ぶ 金融機関に連絡し手続きを開始する 必要書類を提出する 金融機関と税務署の審査を受ける 口座に入金する 運用する金融商品を選択 スマホひとつあれば、誰でも簡単に口座開設ができるので「難しそう」と気負いする必要はありません。 それでは、各手順で必要な作業を説明します。 口座開設する証券会社を選ぶ まずは口座を開設する証券会社を選びましょう。選ぶ際は、以下の項目に着目して検討するのがおすすめです。 取り扱い商品(つみたてNISA対象銘柄)の豊富さ 積立投資でポイントが貯まるか、還元率は高いか クレカ決済が可能か スマホアプリから積立設定ができるか 最低積立金額はいくらか 証券会社の情報については、こちらのランキング記事をご覧ください。 つみたてNISAにおすすめのネット証券ランキング 一般NISAかつみたてNISAどちらを開設するか選ぶ 証券会社を選んだら、一般NISAとつみたてNISAのどちらを開設するか選択しましょう。 一般NISAとつみたてNISAは併用できないため、どちらか片方を選ばなければなりません。 ※2024年からの新NISAでは「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の併用が可能です! また口座を開設する際は、特定口座か一般口座のどちらかを選ぶ必要があります。特定口座を選べば確定申告や損益計算が不要になるので、投資初心者は「特定口座」を選んでおきましょう。 証券会社と口座の種類を決めたら口座開設の申込をする 証券会社や口座の種類を決めたら、いよいよ開設のための手続きを開始します。手続きについては、 金融機関の窓口 金融機関が運営・提供しているアプリやwebサイト【おすすめ】 申込書類を取り寄せる(郵送) といった方法で開始できます。 必要な手続きは次のとおりです。 本人確認書類を提出する 口座を開設するためには、本人確認書類を証券会社に送る必要があります。 マイナンバーカード マイナンバー通知カード+顔つきの本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)1点 マイナンバー通知カード+顔なしの本人確認書類2点(住民票の写し、健康保険証など) 上記のいずれかが必要になるため、手元に準備しておきましょう。 特に、マイナンバーカード(関連書類)がないと、口座開設ができないため、マイナンバー付き住民票を事前に取り寄せておくと安心です。 証券会社と税務署の審査を受ける 書類の提出や必要事項の記入が完了したら、証券会社と税務署による審査が行われます。 「税務署の審査」と聞くと不安に感じるかもしれませんが、NISAをすでに開設していないかを調べるだけなので、過度に身構える必要はありません。 口座に入金する 口座が開設されたら、実際に運用するためのお金を口座に入金します。 一般NISAであれば、どれくらいの資金を運用に回すかを自分で考え、口座に運用資金を入れましょう。 つみたてNISAの場合も、毎月の積立金額を決める必要があります。あまり無理な金額を設定せず、余剰資金で無理なく運用できる金額を設定しましょう。 「毎月の収入から生活費・予備費を差し引いた金額」で、かつ「最悪失ってもよい金額」で運用するのがおすすめです。 運用する金融商品を選択 それぞれのNISAで購入可能な商品から、実際に運用する金融商品を選びます。非課税投資枠の範囲内であれば、複数の商品を選択することも可能です。 つみたてNISAにおいては、あらかじめ「長期・分散投資」に適している銘柄(投資信託)しかないため、初心者でも大きく失敗する可能性は低いです。だからといって適当に商品を選ぶのはおすすめしません。 投資商品の選び方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。 つみたてNISAおすすめランキング – みんかぶ(投資信託) iDeCoの始め方 次に、iDeCoの始め方についても詳しく解説していきます。 iDeCo開始のために必要な作業は次のとおりになります。 加入条件を確認し運用限度額をチェックする 運営管理機関を選ぶ 運用する商品を選ぶ 毎月の掛金額を決める 基礎年金番号を確認する 届出印や引落口座の情報を用意する 金融機関ごとの手続きを進める 1〜2ヶ月後に口座番号とパスワードを受け取る 運用を開始する 加入条件を確認し運用限度額をチェックする まずは、ご自身がどの加入条件を満たしているかをチェックしましょう。 国民年金保険の加入状況や職業によって、運用金額の上限が変化します。ご自身が何円までの金額を運用できるのか、最初に確認しておくのがおすすめです。 国民年金保険の加入状況 職業 掛金の拠出額の上限 第1号被保険者 自営業者等 月6.8万円(年81.6万円) 第2号被保険者 企業年金に加入していない会社員 月2.3万円(年27.6万円) 企業型DCのみに加入している会社員 月2.0万円(年24万円) 上記以外の会社員(企業型DCとDB等の他制度に加入している人など) 月1.2万円(年14.4万円) 公務員 月1.2万円(年14.4万円) 第3号被保険者 専業主婦(夫)など 月2.3万円(年27.6万円) 任意加入被保険者 60歳以降も国民年金に加入している方など 月6.8万円(年81.6万円) 運営管理機関を選ぶ 次に、iDeCoを運用するための金融機関や証券会社を選択します。 多くの機関においてiDeCoを開始できるため、すぐには決められない方が多いでしょう。運営期間を選ぶ際は 手数料が安いか 運用商品のラインアップが充実しているか スマートフォンやパソコンなどさまざまなデバイスで契約・管理できるか わからないことがあっでも相談しやすいか さまざまな情報を発信してくれるか といった項目ごとに比較検討するのがおすすめです。 運用する商品を選ぶ 運用する機関が決まったら、そこで購入可能な運用商品をチェックしてみましょう。 運用できる商品にもさまざまな種類があり、自身のリスク観や求める利益の大きさに応じて選んでみましょう。 安全性を最重視したい:元本確保型商品がおすすめ 運用することでさらなる利益がほしい:元本変動型商品がおすすめ 毎月の掛金額を決める 運用したい商品の種類や価格も考慮しながら、毎月の掛金額を決めます。 掛金額は、無理なく運用できる高さに設定しましょう。運用金額の変更は年に1回のみですし、原則解約はできません。 計画的に、無理なく運用できる金額を考えてみてください。 基礎年金番号を確認する iDeCoの開始には、基礎年金番号が必要です。 基礎年金番号は次の方法で確認できます。 年金手帳を確認する 会社員の方なら勤務先の総務関係部署に問い合わせる 近隣の年金事務所の窓口で聞く 届出印や引落口座の情報を用意す(個人払込の場合) 給与から天引きして運用する「事業主払込」ではなく、個人の口座から引き落とす「個人払込」で運用する場合、引き落とし口座の届出印や口座情報も準備しましょう。 届出印や口座情報が異なると、金融機関での手続きを進めることができません。スムーズに手続きを進めるためにも、あらかじめ準備しておきましょう。 金融機関ごとの手続きを進める 準備が整ったら、運用する金融機関での手続きを進めていきます。手続きを開始する方法は次のとおりです。 金融機関のサイトから資料請求する 金融機関の窓口で申請する 金融機関のアプリで手続きを開始する コールセンターに連絡する 手続きを開始したい旨を金融機関に伝えると、商品の資料とともに手続きに必要な書類が届きます。必要事項を記入し、金融機関に提出しましょう。 1〜2ヶ月後に口座番号とパスワードを受け取る 書類が受理されたら、1〜2ヶ月後に口座番号とパスワードが届きます。手続きから運用開始までは一定の機関が必要となりますのでご注意ください。 手続きに時間がかかってしまうため、手続きはミスのないよう丁寧に進めましょう。 運用を開始する 口座番号とパスワードが届いたら、いよいよ運用開始となります。商品を選択し、掛金の配分を指定することで、実際の運用がスタートします。 2024年から「新NISA」が利用可能に! 2024年から、新NISAが始まります。新NISAでは、一般NISAとつみたてNISAの2つの枠で利用でき、どちらも併用することが可能です。(正確には成長投資枠が一般NISAの代わりとして、つみたて投資枠がつみたてNISAの代わりとして新設されます) 年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円の合計360万円までとなります。 また、非課税運用期間は「恒久化=無期限」になるため、非課税期間が終わる際の戦略を練る手間も軽減されそうですね。 新NISAについては、以下の記事で詳しく解説しているので合わせて確認していただければ幸いです。 関連記事:新NISA制度はいつから始まる?年間上限投資額や非課税期間など変更点をわかりやすく解説 – みんかぶ(マガジン) この記事はいかがでしたか?感想を一言!