上場来増配を継続中のネオジャパン<3921> 2025年1月期2Q 決算は増収増益
独自の観点で注目企業の価値を分析するMINKABUマトリクス企業分析。今回はグループウェアやビジネスチャットなどを事業の柱に、12期連続増収、上場来増配を継続しているプライム上場企業、ネオジャパン<3921>をピックアップします。
Key Point
- 高い技術力が可能とするソフトウエアの「自社開発力」と常に新しい技術やサービスを開発する「企業姿勢」が強み。
- 2025年1月期2Qは「増収増益」で1Qに引き続き計画通りに進捗中。売上高は2Qとしては過去最高、また営業利益をはじめ全ての利益で二桁の増益を達成。
- 今年度より中間配当を実施。年間配当金額は前期の23円を5円増配して、2025年1月期は28円(中間配当14円)を見込んでおり、上場来の増配を継続中。
- 2025年1月期は売上高、各利益ともに過去最高となる見込み。2024年9月からクラウドサービスの価格改定を実施しており、2025年1月期の業績にも更にプラスの影響がある見通し。
目次
ネオジャパンとは
創業から30年以上にわたり成長を継続している同社は、グループウェアやビジネスチャットなどを事業の柱に、上場来増配を継続しているプライム上場企業です。
高い技術力を背景に、ソフトウエアの「自社開発力」と常に新しい技術やサービスを開発する「企業姿勢」が特徴で、その優位性は、主力製品「desknet’s NEO」や「AppSuite」における堅調な販売実績に示されています。「desknet’s NEO」は、中小・大企業から自治体・官公庁まであらゆる業種・規模の組織や団体で活用されており、510万ユーザー以上に導入されています。政府機関・自治体に関しては1,100団体以上、都道府県庁では47庁のうち18庁の全職員を対象に導入されています。
Performance 全体業績
2025年1月期2Qにおける国内経済は、企業収益及び雇用・所得環境が改善する下で、景気は緩やかに回復基調で推移しました。またIT業界では、ソフトウエア投資は増加傾向になり、企業収益の改善や人手不足等を背景に、今後もITへの投資は堅調に推移することが期待されます。
主力製品の価格改定
こうした中、同社は2024年9月よりクラウドサービスの価格改定を実施。新たにセットプランの販売も開始しました。「価格改定は、2025年1月期の連結業績に対してプラスの影響があると考えている」と同社ではコメントしていますが、2013年2月のdesknet’s NEOクラウドのリリース以来、今回が初の価格改定となるため、「現時点では連結業績に与える影響を信頼性高く算出することが困難であり、従来の連結業績予想を据え置く」としています。
一方、解約率については、「現段階では目立った影響は出ていない。価格改定を行う9月以降影響がでる可能性はあるが、極端に解約率が上がるとは考えていない。」とコメントしています。実際に2025年1月期2Q時点における解約率は、0.29%と引き続き低い解約率を維持しています。
2025年1月期2Qは「増収増益」(2Q決算としての売上高は過去最高に)
2025年1月期2Qは「増収増益」で1Qに引き続き計画通りに進捗しています。売上高は、ソフトウエア事業が期初計画を上回り順調に推移し、前年同期比4.4%UPで今期計画進捗率は47.8%となり、2Q決算としては過去最高の売上高を達成しています。
利益面では、すべての利益において二桁の増益となりました。営業利益は前年同期比40.8%UPで今期計画進捗率52.8%。経常利益も前年同期比38.4%UPと好調に推移していると判断できます。
また最終利益は、売上高の順調な進捗、販管費抑制などにより、前年同期比25.0%UPとなり、今期計画進捗率は54.9%でした。
B/Sでは自社株買いを主要因として純資産が減少。自己資本比率は4.4ポイントDOWNし69.0%へと推移。
B/Sでは、総資産が3億86百万円減少し、82億36百万円となりました。2024年3月14日付で自己株式85万株を取得したことを主要因として、純資産は6億50百万円減少し、56億89百万円となりました。自己資本比率は4.4ポイントDOWNして69.0%へと推移していますが、引き続き高い財務の健全性を確保しています。また、自社株買いにより2025年1月期でのROEは大きく向上するものと予想されます。
C/Fではフリーキャッシュフローは3億8百万円から5億76百万円へとUP推移
フリーキャッシュフローは、前年同期の3億8百万円から5億76百万円へとUP推移。また、現金及び現金同等物の四半期末残高は7.0%DOWNして45億32百万円となっています。
株主還元:今期より中間配当を実施。年間配当金額は5円増配して28円(中間配当14円)を見込み、上場来増配を継続中!
同社では、上場以来の増配継続を強く意識しており、今期より中間配当を実施しています。結果、2025年1月期は5円増配して28円配当(中間配当14円)を予想しています。
2025年1月期は「増収増益」見込み(※2025年1月期2Q時点)
ネオジャパンの事業は、「ソフトウエア事業」「システム開発サービス事業」「海外事業」の3つで構成されています。
2025年1月期2Qにおける「事業セグメント別」の売上高の状況は堅調で、構成比率約7割を占める「ソフトウエア事業」が前年同期比5.1%UP、「システム開発サービス」は1.1%UPでした。また「海外事業」は、20.4%DOWNとなっています。
セグメント利益では、「ソフトウエア事業」が前年同期比56.0%UP、「システム開発サービス」は8.3%UPでした。また「海外事業」は、前年同期、米国DELCUI社が開発したサービスを当社(ソフトウエア事業)に約60百万円で譲渡したことにより、反動減で大きく減少し、損失計上となっています。
売上高の7割を占めるソフトウエア事業では、主力製品「desknet’s NEO」をはじめとした自社製品のクラウド提供、パッケージ製品としてのライセンス販売、および関連する役務作業を提供しています。
特に、成長エンジンと位置付けているノーコード業務アプリ制作ツール「AppSuite」が高い伸び率を示しており、プロダクト累計販売実績におけるユーザー数は、43.5%UPして33.3万ユーザー。クラウドユーザー数では27.5%UPして6.5万ユーザーと堅調に推移しています。
また、システム開発サービス事業は、主に取引先に常駐して、システムの企画開発から保守・運用まで一貫して請け負う業務を子会社(Pro-SPIRE社)で手掛けています。
成長エンジンとなる海外戦略
海外事業については、米国のFanKave Inc.と同社のサービスであるFanVoice AIのサブライセンス契約を締結し、2024年3月に日本でのサービス提供を開始しています。これは、米国子会社DELCUIの市場調査活動等により、現地で提供されているサービスを日本国内で販売することになった最初のサービスです。2024年4月にはASEANで3か国目となるフィリピンに子会社を設立、マレーシアではマレーシア投資開発庁にて同社製品の運用が開始されるなど、新しい動きがあります。
中期展望 「製品ラインナップの拡大」および「AIの活用」
加えて、中期展望として「製品ラインナップの拡大」および「AIの活用」の2つを重視しており、将来に向けた企業成長を確かなものにしていく考えです。
製品のバージョンアップおよび新製品の提供開始についてのトピックスを見ると、同社の成長戦略が確実に進捗していることが分かります。
●主力製品のバージョンアップと全面リニューアルによる競争優位性の向上
「desknet’s NEO」
2024年3月:V8.5提供開始
モバイルアプリの強化、Teamsとの連携を含む14機能・80項目の機能拡張を実施
⇨ 2024年9月:V8.6提供開始
AppSuiteのモバイル対応、エレコム社のアルコールチェッカーとの連携アプリな
新機能を追加
「ChatLuck」
2024年4月:モバイルアプリを全面リニューアルし提供開始
⇨ 2024年8月:V6.5提供開始
会話ログのアーカイブ、画像を用いたChatGPTへの質問などの新機能を追加
●2024年6月News Release:新製品NEOPORTの提供開始
●2024年3月News Release:日本企業初のサブライセンス契約「FanVoice AI」の提供開始
この他に、
●2024年6月News Release:経済産業省が定める「DX認定事業者」に認定
●2024年6月News Release:「BOXIL SaaS AWARD Summer 2024」において『desknet’s NEO』『ChatLuck』がそれぞれの部門で4つの賞を受賞
●2024年7月News Release:「ITreview Grid Award 2024 Summer」の最高位である「Leader」を4部門で受賞 desknet’s NEOはグループウェア部門で21期連続受賞
●2024年7月News Release:NEOREKA ASIA、マレーシア投資開発庁(MIDA)のデジタル改革を『AppSuite』で支援 ~既存アプリ移行の第一弾が8月より運用開始~
Out Look まとめ
ネオジャパンは、「AppSuiteのシェア拡大」と「海外戦略の積極推進」を成長エンジンとして位置づけ、中期展望として「製品ラインナップの拡大」および「AIの活用」を重視して、将来に向けた企業成長を確かなものにしていく考えです。2024年9月にはクラウドサービスの価格改定を実施。新機能の追加やサービスの向上を実現するとしています。また、海外展開にも新たな展開が見られます。