大傑作にタップアウト『Warrior』
『Warrior』感想。
2011年全米公開。クエンティン・タランティーノが2011年映画ベスト第9位に選出するなど高評価を得るも日本未発売。最近高まってきた総合格闘技(MMA)映画の熱にあてられてUS版Blu-rayを購入。ハイ、大傑作でした。英語わかんなくても大感動。バラバラになった家族の感情がストイックに描かれた映画であり、MMAを扱った映画のなかでボクの見た限りでは一番ホンモノに近い映画でしたね。いやー泣いた泣いた。いがみ合う兄弟とその二人に憎まれる父。三者三様の生き様が優勝賞金5億円のMMAトーナメント「スパルタ」でぶつかり合います。
まず、トム・ハーディ(弟)が素晴らしい。彼の醸し出す「強さに内包された弱さ」は、見る者の心にみしみしと重しをのしかけてくるかのようです。対するはジョエル・エドガートン(兄)。弟とは逆に「内に秘めた強さ」で勝負。兄はUFC参戦経験こそあるものの今は高校の物理学の教師。だが、娘の手術費用を稼ぐため再びケージ(金網)へと身を投じていく。「出戻り」である自分を客観視してのことか、入場曲に格闘技には珍しいクラシック、ベートーベンの「歓喜の歌」を使っていました。そんな彼を支える妻にジェニファー・モリソン。夫の試合に大はしゃぎする彼女の様子は、この映画のひとつのハイライトであります。そして、酒に溺れて家庭内暴力を振るったことにより家族崩壊を招き息子2人に凄まじい憎しみをぶつけられる父親役にニック・ノルティ。第84回アカデミー賞オスカーノミニーも納得の年輪演技(額のシワやしゃがれた声が語る語る)です。つまり、イイ顔グランプリな映画なんですねぇ。
以上、完全に感動しきってしまい、何かこうただただこの最高の気分を残しておきたい、みたいな。描写がどうこう書くことはもう特にないです。近頃、アクション映画でチラホラと見られるようになってきたMMA演出ですが、本格的にMMAを扱った映画ってのはあまり見ない気がします。サレンダー/降参というルール「タップアウト」のある数少ないスポーツであるMMAって、題材として映画に向いてると思うんですけどねぇ。タップアウトとはつまり「心が折れる」瞬間だからです。何かしらドラマを組み込みやすいんじゃないかと。ま、素人目線の口だけ願望だし、そもそもMMA映画がもっと見たいってだけの話だし、ボクがMMA映画の存在を知らないだけかもだけど。とにかく、もっともっと映画でMMAが見たい!そして、早く『Warrior』の国内盤を出してください出しちゃってくださいお願いしますトム・ハーディがブレイクして『ブロンソン』(2008)出したんだからさじゃあこの『Warrior』はいつ出すの今でしょ!!ハイ、虚しくなってきました。おわり